Story9 「大切なものを大切に」
心を打ち明ける天音
アステは天音に必死に伝えようとする
アステは口を開いた─
アステは口を開く
聞き心地の良い声で
言葉を放った
「大切なものが増えた
だから脆くなった
本当なのかな
動けないから
それは弱いことだって
本当にそう思う?
私は、こう思うよ
守るものは
確かに
しがらみになっちゃうよね、
すごくわかるの
意思を揺るがすから
長年の性格をやんわりと否定してくるよね
大切なものが大切すぎて
私達、動けなくなっちゃったよね
自分の大切を否定してはいけないし、
勿論傷つけてはいけないから、
天音は逃げ出したいよね、このまま何もかも忘れて消えてしまえたら、なんて思っちゃうよね
でも、
天音は逃げ出せる?
しがらみに囚われて
逃げ出せないよね…
でも天音はさ、本当に逃げ出していいとは思ってないんじゃないかな
逃げ出したいならすぐにでも人間は独りになれるんだよね
でも、天音も私も結局逃げられない…
逃げる勇気がないのかもしれないね…
逃げ出したら天音の中の大切はどうなるんだろう、迷惑をかけてしまうかも
傷ついたりしてないかな
それが怖い
でもそれよりも
天音自身さ、
優しさに慣れてしまって
離れたく
ないよね
大切なものが気づかせてくれるいろんな事が、
言ってくれる言葉が
天音を救うこともあるんだよ
それを手放して、自分一人で生きていくなんて…
私には、できないよ
だって、知ってしまったから…
与えられる言葉、どんなものでも…あなたの大切があなたに届けるなら、あなたの心に届かないわけないよ
あなたのそれは、どうしようもなく誰かを愛してしまう衝動は、弱さじゃないよ
あなたの心の暗いところ、自分を受け入れられないところ、
それを、
抱きしめてくれる人がきっといる
だから、逃げられないよ…
逃げたくないもん…
誰かに必要とされる大切さが、私には分かったの
誰かが土壇場で私のことを後押ししてくれる
誰かが私のことを止めてくれる
そんな大切を私達は
手放しちゃ…いけないんだよ
そんな自分の心は弱いかな
一人のときよりも、誰かを守りたいともがいてるときのほうが、弱いと思う?
空っぽであることよりも弱いと思う?
守るものがない強さより弱いのかな?
貴方はどっちが好き?
どっちの自分が好き?
自分の心に素直になることが弱い…?
私はそうは思わない
嘘をつくほうがよっぽど天音を傷つけ弱くする
そうでしょ?
あなたはあなたを否定しすぎて
正直に生きてはいけないと、思っている
そんなことない
素直に生きていい
だけど…
自分を貫ける人は
そんなに多くないよ
みんな少しずつ嘘をついて生きてる、だからね、素直になれない自分がいたっていいし、当たり前。どうかそこを否定しないで
でね、自分を貫ける人は自分に嘘をつかない素直な人だと思うの
だから、少なくとも私は自分の弱さを否定している人よりも自分の弱さを受け入れてそこも含めて貫ける人のほうがよっぽどかっこいいと思うんだ
弱くても強くても
私は
自分を否定しない人は気高い
そう思うの
この考え方を押し付けるつもりはないの
あなたは、あなた
だけど
もう少しだけ、自分を受け入れてみて…天音」
読んでいただいてありがとうございました
そろそろこの話も中盤です
そしてそろそろこの話も大きく変わっていきます
ぜひぜひお楽しみに♪