表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/431

第九十話 残春暖かな風が吹く

桃馬がいない隙に各クラスの女子たちが桜華に群がり賑やかな二年一組の教室。

女子「桜華ちゃん元に戻ってよかったよ~♪」

女子「クールな桜華様もいいけど、ふわふわしてる桜華ちゃんもいいよ~♪」


一人がほっぺをツンツンと触るとまわりも便乗して触り始める。

それは徐々に下へ下へと‥。

桜華「んんっ‥。」

小頼「はいはい、それ以上のおさわりだめだよ?」

リフィル「あはは♪触りたい気持ちはわかるけどね♪」

女子「それより桜華ちゃんが桃馬に変な事されてなくて良かったよ~♪」

女子「うんうん!あんな噂を聞いたら心配しちゃうよね。」


桜華が桃馬に調教したという噂は、

桜華ファンの女子たちを震撼させ、ある意味事件であった。まだ、恋人らしい接し方ならまだしも‥クールな美女を調教して堕とす行為は事件以上でファンに対しての宣戦布告である。

しかし、これがデマと明らかになると桜華ファンは安堵し矛を下ろしたのだ。


だが、今桃馬の机の上には縦走枚の脅迫文が刺さっていた。


一部紹介します。


桜華様の純潔を汚す行為は応援しますが、代償は払ってもらいます。


私の桜華ちゃんにお前の粗末な物で襲ったときには、お前の(けつ)が無事で済むと思うな。


愛犬がどうなっても良いのか?


ジェルドとギールを満足させられないヘタレが、桜華様と対等に居られるなど笑止である。


など、憎悪と願望の念が要り混ざっていた。


女子「ねぇねぇ桜華ちゃん?桜華様にはもうなれないの?」

女子「一日で戻ったってことは制御できたってことだよね?」


桜華「ふぇ、えっと‥なれないことはないけど、何か恥ずかしいですね。」


みんなの前で桜華様の正体が母親でした、なんて言えるはずもない。

困り果てた桜華は誤魔化すように返事を返した。


小頼「はいはい、みんな桜華ちゃんを困らせないの。」

リフィル「そうそう、例え一日で戻ったってことはいえ、偶然主導権を取ったかもしれないでしょ?」

女子「そ、それもそうですね。ごめんなさい。」


桜華「あ、あはは‥こっちこそごめんね。」


クスッ‥友達が多く出来てて嬉しいわ♪


お母様、学園にいる時は出てこない約束ですよ?


ごめんなさい。つい嬉しくてね。

それに、桃馬君はいないのかしら?


桃馬ならジェルドと何処かにいきましたよ?


心の会話に気を取られていると、

突如目線を下に向けて固まる桜華に、まわりの女子たちは心配をして声をかけた。


女子「桜華ちゃんどうしたの?大丈夫?」


小頼「もしかして、桜華様が出てきそうなの?」

リフィル「ふぇ!?このタイミングで!?」


桜華「あっ、ご、ごめんなさい♪ちょっと、押さえ込んでまして‥あはは。」


‥クスッ、変わろうかしら?


だ、だめです!話がややこしくなりますから!


‥私も学校生活に興味があるけどね~♪

少しだけ代わりなさいよ?


うぅ、変な事しないでくださいよ?


‥わかってるわ♪


藤霞(ふじか)の積極的なお願いに桜華は渋々主導権を代えるのだった。

桜色の髪が一瞬でパープル色へと変わり、クールな雰囲気を漂わせた。


女子「きゃぁ~♪桜華様~♪」


小頼「なっ!?」

リフィル「は、はやっ!?」


桜華様の到来に女子たちは歓声を上げた。


桜華様「クスッ‥みんな桜華をいつもありがとう。これからもよろしく頼むよ。」


女子「はぅ~♪もちろんです!」

女子「桜華様!これで私を調教してください!」

女子「なっ!わ、私も!」


桜華様の出現に端に追いやられた男子たちも反応した。


憲明「お、おいおい‥まじかよ。」

男子「前触れもなく現れたな‥。」

男子「あぁ、美しい‥踏んでほしい。」


男子たちはみとれる者や危機感を感じる者で分かれた。

桃馬の処刑か‥あるいは、気まぐれか‥はたまた、調教の話が本当で桃馬の地位をおとす


桜華様「クスッ、みんなかわいいわ~♪」


‥お、お母様!蕩けてますよ!


大丈夫よ♪みんなはこれを求めてるみたいだし、桜華様として答えてるだけよ♪


‥うぅ、恥ずかしいです。


桜華様「クスッ‥桃馬く‥こほん、桃馬は何処かしら?」


女子「ふぇ?桃馬?」

女子「嫌いな桃馬に何か用ですか?」


憲明「あ~あ、桃馬もここまでか。」

男子「‥墓標でも作ってやるか。」

男子「それなら任せろ。奴の机の上におはぎとチューリップを添えてやる。」


憲明「やっぱりお前ら桃馬に妬みがあるみたいだな。」


男子「当たり前だ!なんなら、お前も埋めたろか?」

男子「そうだそうだ!リフィルという美女を手中におさめてるからそんなこと言えるんだ!」

憲明「す、すまん‥吊るすなら桃馬だけで頼むよ。」

男子「さて‥どうかな。この際リア充どもに天誅を下すのもいいな。」

憲明「そ、それはやめておけ普通に大戦乱になる。それに例え勝ってもなんの得にも‥。」

男子「くっ、ならこの思いをどこにぶつければよいのだ。」


憲明「‥フルロジカルの遊郭なら。」

男子「憧れのフルロジカルか‥でも、俺たちにそんな通える金はない。」

憲明「‥サキュバスの店なら安価だぞ?」


男子一同「おぉ!!」

憲明の情報にまわりの男子たちが駆け寄った。


男子「そ、それはいくらだ!」

憲明「え、えっと‥三千円くらい?」

男子「よし、今日行くぞ!」

憲明「待て待て!?学園の校則に引っ掛かるからやめろって!?」

男子「憲明はばかだな?学園校則はあくまで学園内だけの話だ。外に出れば一般人として行けば合法だ!」


憲明「お前ら‥餓えてるな。」

男子「だから憲明‥案内しろ。」

憲明「こんなに多くは無理決まってるだろ!?もし、先生とかに見つかったらまずいって。」

男子「変装すれば大丈夫だ!」


彼女に飢えている男たちは、憲明を最後の希望としてすがり始める。

そして、最後まで断れば桃馬と同じように処刑される‥。

だが、顔見知りに見つかれば停学は免れないやもしれない。


どっちを選べばよいのやら‥。


憲明は意を決した。


憲明「わかった。だが、多くて十人だ‥いいな?」

男子一同「おぉぉ!」


歓喜する男子たち、早速じゃんけんを始めた。


そんな時、映果の手から免れた桃馬は、息を切らして教室に入ってきた。


桃馬「はぁはぁ‥‥映果め‥執着しすぎだろ。ん?あれなんだあれ。」


いち早く目に入ったのが机の上に直立しているナイフであった。そして近寄ると脅迫文が乗せられていた。

桃馬は一瞬で桜華の件であると理解した。


だが桃馬はもっと重要なことに気づけなかった。


教室にいる男女たちが一斉に注目していることに。


桃馬「おい憲明?これは‥って、なに見てるんだよ?」


憲明「桃馬‥今までありがとう。」


哀れんだ目で桃馬の肩に手を置き労った。


桃馬「お、おいそれはどういう意味だ?」


男子たちは一斉に桜華様の方を指した。


桜華様「桃馬!良いところに来たな?」


桃馬「‥‥あ、桜華様か‥えっ、桜華様!?」


一度はスルーしたが、一瞬で桜華様を二度見した。

桜華様は躊躇(ちゅうちょ)なく桃馬に迫る。


憲明率いる男子たちは合掌し、女子たちは固唾を飲む者や、注視する者など様々であった。


桃馬「え、えっと‥な、なんでしょうか?俺、何かしたかな?」


桜華様「クスッ‥なにもしてないわ。」


妖艶ながらクールな美女は、昨日とは比べ物にならないくらい接近した。


桃馬「で、ですよね~。」


桃馬自信も焦っていた。

あれだけ嫌っていた桜華様がこんなに近くにいる。


殺されるような‥気がした。


桜華様「なにもしてないけど‥これは私がするのよ。」


桜華様は手を伸ばし桃馬の後頭部に触れる。

すると、桜華様は自分の方に引き寄せた。


桜華様「ちゅっ‥。」


二年一組にいる全生徒の時が止まりました。


二人は公の場で静かに接吻をしている。


桃馬は混乱を通り越して、そのまま身を任せていた。


静かな教室の中で二人はゆっくりと唇を離す。


桜華様「クスッ‥照れ隠しも飽きたわ。これは私からのお詫びよ。」


そう言い残すとパープル色の髪が桜色へと変わり、顔を真っ赤に染めた桜華に戻った。


気まずい空間に、外野も騒ごうにも不思議と騒げない状態、ただただ目の前に起きた事を受け入れるしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ