第八十七話 残酷なエデン
部屋で寂しく18禁アニメを鑑賞する桃馬は、
桜華と桜華様(藤霞)が和解したことは露知らず、久々の自家発電に勤しんでいた。そんな時に小頼商会特製の接近者探知機が作動した。桃馬は手際よく急いで色々片付けた。
そして接近者を確認すると母雪穂であった。
雪穂「桃馬?ちょっと良いかしら?」
桃馬「い、いいけど、どうしたの母さん?」
雪穂「桜華ちゃんのことに決まってるでしょ?」
桃馬「‥うぐっ‥結構毛嫌いしてただろ?」
雪穂「えぇ♪それはもうすごく可愛らしい毛嫌いだったわよ♪」
桃馬「か、可愛らしい?いやいや、ごみを見るような感じだったけど‥。」
雪穂「まあ、この類いは難しいでしょうね♪でも、安心しなさい。今まで冷たく当たってしまってたのは、複雑な女心が表に出てただけだからね。」
桃馬「‥複雑って、やっぱり俺がしっかりしてないから‥こんなことに。」
桜華「それは違います!」
桃馬「えっ?」
雪穂の後ろから桜華が飛び出した。
髪は綺麗な桜色に戻っており、瞳には涙を浮かべ切なそうにしていた。
桃馬「桜華‥?元に戻ったのか!?」
桃馬の問に静かに頷いた。
桜華「桃馬ごめんなさい‥、私の意思が弱いせいで桃馬を傷つけてしまいました。」
桃馬「そんなことない‥。俺が桜華様に見合う男であればこんなことにはならなかったんだ。」
雪穂「はいはい、二人ともそこまで。二人が引き手ではずっと繰り返すだけよ?」
桃馬「っ、ご、ごめん‥。」
桜華「ごめんなさい。」
雪穂「それじゃあ、誤解も解けたことだしご飯にするわよ♪」
結局桃馬は、桜華様の正体が桜華の母、藤霞であることを知ることはなかった。
むしろ、知らない方が気まずくなくて良いのだ。
こんなやり取りからか、桜華は積極的になり桃馬にべったりとしているのだ。
そして、今に至る。
男子生徒「き、昨日の今日で何があったんだ‥。」
男子生徒「あんなに桃馬に冷めきっていた桜華様が元に戻ってるということは‥桃馬の野郎‥桜華様を調教したんじゃないか‥。」
男子生徒「言うこと聞かないなら体で教え込むってか‥落ちたものだな。」
男子ビジョン
桃馬「ほらほら、さっきまでの威勢は何処に行った?桜華は俺の所有物だ‥誰がご主人様か教えてやるよ!」
桜華様「くっ、やめろ‥お前のような下劣な物を近づけるな!くっ、やめ‥くあぁぁ!」
男子生徒「殺す‥あの野郎‥踏んではならない境界に足を踏み入れやがったな‥。」
男子生徒「緊急異端審問会を開くか‥。」
男子の憎悪が深まる中、女子たちはほのぼのしく見ていた。
女子生徒「二人とも仲直りしたんだね~♪」
女子生徒「あんなにべったりしてるなんて大胆~♪」
映果「おっ桃馬~♪朝からお熱いね~♪桜華ちゃんももとに戻ったみたいで何よりだよ♪それで早速どうやって戻したの?」
桃馬「い、いきなりだな‥まあ、成り行きだよ。」
映果「なるほど、佐渡桃馬流の調教術っと‥。」
桃馬「おいこら、なに話を改竄してるんだよ?」
映果「えっ?違うの?」
桃馬「違うっての‥桜華自信でもとに戻ったんだよ。」
桜華「映果ちゃんごめんね、桃馬の言うとおりよ?」
映果「むぅ‥まあ昨日のこともあるし信じるよ。また、桜華様を呼び出すとまずいからね。」
吉田「ほう?なら俺を呼び出すのは良いのか‥亀田。」
映果「はひっ‥。」
桃馬たちに気を取られていると、後ろから吉田先生の声が聞こえる。
映果は背筋を凍らせ、ゆっくりと振り向くと
号外を丸め笑顔でペシペシと手を叩いている、吉田先生がいた。
吉田「おはよう亀田‥。この号外はなんだ?」
映果「‥新聞ですが何か?」
とりあえず、焦っても始まらないので、冷静に質問を返した。
吉田「そうではない。この内容はどう言うことだ?いくらジャーナリストでも‥踏み込んではいけない線だぞ?」
映果「吉田先生のご婚約を祝して書いたのですが‥。」
吉田「その心はありがたく受け取るけど、今の時代は報道の自由が制限されてるからな?気を付けろよ。」
映果「ご安心を私はストーカー染みた週刊誌見たいに平気で人権を踏みにじるジャーナリストではありません。」
どの口が言っているのやら‥。
いつぞやのジャーナリストXは完全にストーカー染みていただろ‥と、ツッコミたい桃馬であった。
憲明「おーい、桃馬?早く教室に行くぞ?」
桃馬「そ、そうだな。桜華行こうか。」
桜華「はい♪」
憲明に促され、桃馬と桜華は教室へと向かった。
だが、そこに待っているのは、昨日の件で心配してくれている同士ではなく殺意に満ちた同士であった。
男子は仕置き用の模造刀やバットを持ち、
桜華様派の女子は、大鎌と鞭を用意して桃馬を待っていた。
それを知らない桃馬たちは、桃馬を先頭に扉を開け、再び閉めた。
だが、すぐに再び扉が開き、桃馬の胸ぐらを掴み教室(地獄)へ引きずり込んだ。
桜華は丁重に桃馬から剥がされ、桃馬を椅子に縛り上げられた。ホームルームまであと十分‥仕置きには充分な時間である。
憲明「お、お前ら何してるんだ?」
小頼「あはは、今度はなにしでかしたの?」
桜華「みんな桃馬になにするのですか!?」
桃馬「うぅん!んんっ!!」
男子「桜華さん申し訳ありません。こんな桃馬にひどい目にあってることも知らずに、昨日の桃馬を同情した我々は恥ずかしいです。」
女子「桜華様に気安く調教とは万死ですね。」
朝から見に覚えのない冤罪を押し付けられ、色んな凶器が向けられた。
桜華「調教?私は何もされてないですけど?」
女子「本当に?秘密を握られてるから言えないんじゃないの?」
桜華「いいえ、そんなことはありませんけど‥みなさんはその話を何処から?」
男子「‥いつもの伝達で来たんだよ。」
男子「そうそう、昨日の今日で毛嫌っていた桜華様が桜華さんに戻って、いつも以上にいちゃついてると‥。」
桜華「はうっ‥えっと‥最後だけは当たってるかな。」
男子「よし、桃馬は有罪死刑だ。」
同士「おぉぉ!!」
桃馬「んんっ!!??」
同士たちは一斉に襲い掛かろうとする。
桜華「ふぇ!?み、皆さん!?」
憲明「待て待て!証拠もないのに死刑はやりすぎだ。」
小頼「うんうん、桃馬にそんな調教するような根性ないからね。」
小頼に至っては、弁論からの貶しに掛かった。
女子「小頼ちゃん、男はみんな心に狼を一匹飼ってるのよ?大人しそうに見えて、油断したところに‥。桜華様をなめ回し‥汚し‥ごくり、ゆるひぇまへん!」
女子「クールな桜華様が、へなちょこ桃馬に汚されるのは‥いい‥じゃなくて、だめです!」
小頼「期待してるのか、許せないのか分からないわね?」
憲明「腐女子が多いせいで、意見が矛盾してるな。」
女子「憲明~♪それは喧嘩売ってるの?」
つい出てしまった失言に、腐女子たちは憲明にジリジリと迫る。
憲明「いえ、売っておりません。桃馬を早速吊りましょう。」
窮地に陥った男の手のひら返し。
桃馬を生け贄にしてその場から逃げようとする。
あの野郎‥覚えてやがれよ‥。
桃馬は憲明をじっと睨んでいると、
そこへ愛犬にして駄犬、淫獣のジェルドが妹のエルゼを送り届け終わり教室に入ってきた。
ジェルド「と、桃馬!?な、なんで縛られてるんだ?」
このタイミングでバカ犬の登場は‥かなりやばい。
ジェルドは心配そうに駆け寄った。
男子「ジェルド!今は桃馬の処刑中だ。近寄るな。」
ジェルド「処刑だと?罪状はなんだ?」
男子「桜華様に対して調教し洗脳した情報がある。」
ジェルド「はぁ‥またそんなガセネタに踊らせやがって‥。」
男子「が、ガセだと!?」
ジェルド「ガセだよ!ガセ!桃馬がそんな羨ましいことができる男じゃない!俺でさえ誘ってもしてくれないのだ‥。できるはずがない!」
男子たち「うわぁ‥。」
女子たち「えぇ~。」
あの犬何言ってるんだ!
最後の絶対いらないだろ!
ほらほら、みんな引いてるだろ!
男子「桃馬‥お前‥愛犬の誘いを断ってるのか‥最低だな。」
女子「どうしてジェルドの誘いを断るの?」
なんで此方が避難されてるんだ!?
ジェルドの方がヤバイこといってるぞ!
処刑ならあいつだろ!?
桜華「あわわ、どうしましょう‥話がややこしくなってますよ。」
小頼「うーん、とりあえず桜華ちゃんと桃馬の誤解を解いて、ジェルドの話にすり替えましょうか。」
憲明「うわっ、それはえぐいな。」
収拾のつかない現場であるが、取り敢えず小頼と桜華の努力により誤解は解けた。
だが、不幸なことに桃馬の判決は死刑に代わりはなく、愛犬を粗末に扱ったことによる
二学年生徒条例
ハーレム規定
第一条第一項に違反したとみなされた。
※二人以上恋人を持つ場合、女子側の了承の元であれば刑に値しない。
しかし、別れる行為、厳かにする行為、平等に接することのできない行為を明らかになった場合、学年ハーレム撲滅運動異端審問会にかける。
縛られた桃馬は時間の限り駄犬に公開ペロペロ処刑を受けた。
この時限って‥担任の三条先生は五分遅れて教室に入り、桃馬はベトベトの状態でホームルームを受けた。
この屈辱許すまじ‥。