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第八十四話 新たなおもちゃ

吉田鷹幸に取って今日は複雑な再会の日となった。

"相棒" 紗曇(さたん)との再会、そして動く"黒歴史"キリハとの再会‥。

良いようで悪いような出来事だ。


吉田「はぁ、それでキリハは何しに来たんだ?」

キリハ「たまたまさ。成り行きで行動を共にしてたら鷹幸がいた、それだけのことだ。」

吉田「嘘臭いな?」


疑いの目でキリハを睨む。

すると、ルシアが弁論する。

ルシア「先生、キリハのことは私が許可したんです。」


吉田「許可?キリハと知り合いだったのか?」

ルシア「ま、まあ、ちょっとですけど。」

吉田「‥うーん、キリハの言い分は本当のようだな。」


キリハ「そう剣幕を立てるなよ?別に鷹幸を取って食うと言った訳じゃないだろ?」


吉田「生徒狙ってるだろ?」

キリハ「おうよ♪佐渡桃馬という男を一目見定めたくてな。」

吉田「駄目に決まってるだろ!?お前の責めは上級サキュバス以上だぞ!生徒を殺す気か!?」

キリハ「そう怒るなよ?鷹幸だって蕩けて喜んでたろ?」

吉田「それ以上生徒の前で過去を暴露するなら‥亜種族のオークどもの巣に投げ込むぞ?」

キリハ「ほぅ~♪言うな~、出来るものならやってみてほしいが‥?」


余裕の素振りで鷹幸を見下し、鷹幸と火花を散らした。キリのないスキンシップに、見兼ねたサタンが間に入った。


キリハ「おっと、そう言えばこいつ、ヤマタノオロチにしては大人しすぎないか?」

吉田「このヤマタノオロチが相棒の紗曇だからだよ。」

キリハ「へぇ~、こいつは驚いたな。まさか、あの蛇がヤマタノオロチに‥稀な事例だな?」

吉田「元々、紗曇がヤマタノオロチの子供だったかもしれないが、詳細は不明だ。」


紗曇はナデナデを所望しはじめる。

頬擦りをして頭を突きだしてキリハに甘えた。


キリハ「よしよし、人懐っこくなったな?昔は、鷹幸以外が触ろうとすると噛み付いてきたのにな。」

吉田「たぶん、今日だけだろ。嬉しさから感覚麻痺を起こしてるかもしれないからな。」


キリハ「なるほどな、それより、佐渡桃馬は誰かな?まさか、そこで蕩けてる坊やか?」


吉田「さぁな、」


キリハ「‥ふーん、私のこと結婚したいって言ったこと‥ばらすわよ?」

吉田「なっ!ひ、卑怯だぞ!」

キリハ「あはは、良い反応じゃねぇか。だけどな‥鷹幸は俺の男だよ。」

わざとらしく鷹幸青年の耳元で(ささや)く。

吉田「なっ‥!?」

キリハ「だから鷹幸‥頼みを聞いてくれ。」

吉田「な、なんだよ?」


吉田先生が迫られている光景に、小頼とリフィルは興奮した。


小頼「ごくり、これが大人の恋愛‥。」

リフィル「男の心を掌で上手く転がしている‥。勉強になります。」

小頼「‥そのままキスとか‥するのかな。」

リフィル「ついに吉田先生にお嫁さんが‥ふへぇ~♪」


この後の展開に期待する二人であったが、実際はそう甘くはない。


キリハ「お前の教え子たちを味見させてくれ。」


真剣な眼差しでとんでもないことを口にした。

少し期待した鷹幸の恋心は踏みにじられた。


あー、やっぱり‥わかってた‥わかってたよ‥。


だがこれではっきりしたことがあった。

鷹幸はこんなキリハに恋をしていたのだと‥。


そして、鷹幸はキリハにツッコむのだった。

吉田「だめに‥決まってるだろー!」



結局桃馬に至っては、豆太の狸妖術でその場しのぎで作った袴を履かされ、取り敢えずの難は逃れたのだった。




そしてその帰り道のこと。



吉田「キリハ‥お前は何処まで着いてくる気だ?」

キリハ「そりゃあ、一人くらい抱かせてくれるまでだが?あ、できるなら一日桜華を借りたいな。」

桜華様「お供します!」

吉田「だめに決まってるだろ!それと桜華も乗るな。」

桜華様「先生?気安く名前で呼ばないでほしいのですが?」

吉田「えっ、あっ、す、すまない。」


突然の冷たい切り替えに吉田は戸惑った。

今の桜華様は、キリハにしか良い反応しないだろう。


キリハ「あはは!なんだ鷹幸~?教え子に押されてるぞ?そんなんじゃ、俺から守れないぞ??」


挑発的に煽り始めると、吉田は返す言葉も無く惨めに唸るだけだった。


その様子を伺う者たちは桜華様を元の桜華に戻す方法を考えていた。


憲明「‥うーん、桜華様を止められるのはキリハさんだけかもな‥。」

京骨「‥でも、止める代わりに誰か一人精処理に連れていかれるだろうな。」

シャル「そんなに深刻に考えなくても良いのではないか?」

ギール「ん?何か良い手があるのか?」

シャル「いくつかあるのだ。」

リフィル「さすがシャルちゃん♪」

小頼「魔王の名も伊達じゃないね♪」

シャル「ぬはは!もっと誉めるのだ!」

ギール「いやいや、まだ何も言ってないだろ!?誉める段階が早すぎるぞ!」

ルシア「全く、気が早いわね?」


女子のなかでもクールで冷静なルシアは、お転婆な三人に比べて、不思議とまともに見える。


時奈「うーん、ギールとジェルドを差し出すか‥。あるいは、いっそのこと桜華様をキリハさんに差し出して桜華様を弱らせるとか‥。」


シャル「なっ‥‥。」


突然シャルが硬直した。

どうやら時奈が言ったことが、シャルの考えていたのと同じだったらしい。


時奈「あるいは、桃馬とキリハさんをくっつけて、桜華様に見せつけるとか。」


一同「お~。」


意外にも一理あるような提案にシャル以外が頷いた。


内容は明らか不純行為に走っているのだが、桜華様が桃馬の"桃馬"を見たときの反応を察するに、耐性はないと推測する。

ならば、桜華様の精神を弱らせて、元の桜華の精神を戻そうと言う考えだ。


欠点とすれば、


桃馬の性欲がキリハの上をいかなければ、最悪吸い殺されること。


キリハ気に入られ精処理ペットになる可能性。


桃馬の社会的地位が地に落ちる可能性があること。


不恋(ふれん)のおそれあり。


桜華様との信頼が更に落ちること。

寝首を取られる可能性あり。



色々と問題はある‥。

しかし、桃馬ならやってくれるとみんなが信じ始めた。


ギール「桃馬‥すまん、全部終わったら‥上書きしてやるからな。」

ジェルド「なっ!ギール!抜け駆けするのは卑怯だぞ!」

ギール「うるせぇ、意気地(いくじ)のない犬はその辺の狂犬に腰振ってやがれ。」

ジェルド「うぐっ‥言ってくれるじゃねか。」



豆太「あ、あの~、一応若様の従兄弟ですけど‥。」

シャル「はっ、こほん、気にするな豆太よ。桃馬はあくまで直人の親戚であって気にすることはないのだ。」

豆太「で、ですが‥。」

ディノ「今下手に庇ったら豆太まで巻き込まれてしまいますよ?桃馬さんには申し訳ないですが、あとの事を考えて体を張ってもらいましょう。」


豆太「‥あう。」

シャル「心配するな豆太よ♪別に殺される訳じゃないのだ。むしろ桃馬は気持ちよくなるのだ。」

豆太「心配しかないのですが‥。」

シャル「お姉ちゃんを信じるのだ!さてサタンよ!桃馬を下ろすのだ。」


サタンの背中の上で、未だに目覚めない桃馬を差し出すよう求めた。

まわりはそっぽを向くだろうと思ったが、

意外にもサタンはシャルの言葉に従った。


本能的か、それとも見抜く力があるのか。


それはさておき、シャルは桃馬を乱雑に引きずり下ろすとキリハの元へ向かった。



シャル「そこの鬼人よ。性欲に飢えておるならこの男をやるから落ち着くのだ。」


キリハ「おお!気が利くな!」

吉田「お、おいおい、相手はキリハだぞ!?桃馬はまずいって!」


キリハ「まあ安心しろ?手加減はするからな。」

桜華様「キリハもこう言っているのです。信じましょう!(これで私と桃馬の縁にヒビが入るわね♪)」


吉田「学生にそんなこと‥。てか、桜華‥様もなに乗っているんだ!?」


キリハ「そう言うな。鷹幸も人のこと言えないだろ?」

吉田「う、うるさい‥。」


過去も過去なので、

強く言えない教師。

生徒を守るはずのセキュリティは、キリハと言う鬼人にハッキングされていた。



キリハ「それにしても、この桃馬って子の精気はうまそうだな。」


シャル「ふっふっ、それもそのはず‥この男は新品でおすすめなのだ。」


憲明&京骨「ぶっ、くくっ‥。」

ジェルド&ギール「わふっ!?」

小頼&リフィル「ぷっ、ふふっ。」


悪い表情で怪しい取引をするシャルの姿に、一部が反応する。


豆太「新品??」


純粋な豆太には、"新品"の意味がわからなかった。そんな豆太に時奈が教え込んだ。


時奈「豆太くん、これは遠回しに童◯と言ってるのだよ?」

豆太「童◯?」

ルシア「先輩‥純粋な豆太くんに変な知識を与えない方が‥。」

時奈「まあまあルシアよ、知識は広い方が良いぞ?」

ルシア「‥そ、そうですけど。純粋で無知な方が責めた時に完璧な受けに落とせると思いますが?」

時奈「おぉ、意義を認めよう。」


ディノ「だめに決まってるでしょ!?」


珍しく擁護したように見えたが、結局更なる展開に導こうとする提案であった。



キリハ「新品か。ならなぶり甲斐があるな。しっかり俺のおもちゃになるように(しつけ)てやるか。」


吉田「ちょっと待て待て!それはマジでやめてくれ!色々と問題が起きるから!?」

キリハ「ふーん、問題か‥妬いてるのか?」

吉田「や、ややっ、妬いてねぇし?キリハみたいな変態なんか‥興味ねぇし~。」


分かりやすい誤魔化しに、外野は少し哀れんだ目で見つめた。

鷹幸の恋心はまだ生きている。

俺だけ見てほしい願望やなぶるなら俺だけしてほしいという変態的な願望などが込み上げてくる。そんな中で、生徒に取られるなど寝取られイベント級に辛いものである。


絶対に阻止しなければならない。


鷹幸は新たな策を講じるのであった。





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