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第七十九話 サキュバスに仕えた鬼人

駆け出し冒険者の街である"ルクステリア"から東の位置に、"フルロジカル"と言う、サキュバス、エルフ、獣人族と言った数多くの種族の女性たちが住まう、少しディープな街があった。



しかし、少しディープと言っても、如何わしいお店は一部の区画にしかなく、街の大半は女性向けのアクセサリーや服などの高品質なアイテムが多く揃っている、女性向けファッションの街として知られている。



ちなみに、この街を訪れる男性の大半は、以外にも、嫁、娘、恋人へのプレゼント目的で訪れる人が多く。むしろ、如何わしお店へ赴くのは、女性の方が何かと多い。


何故なから、"俺っ子"系、お姉様系など、

女性心を擽らせる特殊な店があるせいでもある。



そんな"フルロジカル"の街に、

異種交流会は訪れた訳たが、街に入ったのは女子たちだけで、男たちは街の外で採取クエストに(いそ)しんでいた。




小頼「おぉ!これはすごいですね!イメージしていた如何わしい感じが微塵もありませんね!」


リフィル「ふあ~♪このピアス可愛い~♪」


ルシア「相変わらずあの二人はお気楽ね‥。裏に回れば遊郭(ゆうかく)なのに。」


時奈「ま、まあ、それは二人を監視しつつ、早くこの素材を届けに行きましょうか。」


桜華様「…不思議な街ですね。色街(いろまち)なのに不純な気を感じません。」


ルシア「そう感じるのは、ここが一般向けの商店街だからよ。裏に回れば色気と不純が広がる街に出るわ。確か私が耳にしている話によれば、女の子でも普通にユリプレイとか求められるから注意しなさい。」


桜華様「そ、そうなのですか。気を付けるわ。」


ルシア「今のあなたならそうね。少しMな子に誘われるかもね。」


桜華様「わ、私はそんな所へは行きませんよ!」


ルシアの懸念に、きっぱりと否定した桜華様であったが、

その数分後、人混みに呑まれてしまい気づいた時に、先ほどの場所とは全く空気が違う所へ流れ着いた。


桜華様「‥‥えっと、ここ‥どこかしら?」


辺りを見渡すと、そこは薄暗く(つや)のある街並みが広がっていた。その街には妖艶なお姉さんや露出度の高い服を装った女性が、あちらこちらに出歩いていた。


中には、男性を捕まえたのか腕を組みながら店に入ったり、店に入らず楽しそうに会話をしていたり、事後なのか腑抜けた表情で歩く男性を目にした。


それだけなら、呆れ顔で済む所だが、

以外にも女性たちの比率も高く、明らかこの街の者であろうカッコいい女性と妖艶なお姉さんと共に、男性と同様な事をしていた。




桜華様「‥まさかここが…ルシアが言っていた‥遊郭か。」


自分が遊郭に迷い混んでしまったことに気づくと、

早速そこへ、色っぽい和服を着込んだ姉御風の鬼人お姉さんが声をかけてきた。


鬼人お姉さん「よぅお嬢さん?よかったらうちで遊んでいかないか?」


桜華様「い、いえ‥私はその。(ふあぁ‥この人かっこいい‥女の人なのになぜか惹かれるわ。)」


鬼人お姉さん「ふっ、そう緊張しなくても良いんだよ。俺に身を委ねれば‥。」


鬼人お姉さんは、桜華様の肩に手を置くと手慣れた感じで自分の体へ引き寄せた。鬼人特有の豊満で形の良い胸が、桜華様の顔を迎え入れ包み込むと、桜華様は不思議と抵抗せずに身を任せた。


鬼人お姉さん「可愛いな‥君の様な子は好きだぜ。」


完全に自分のペースを掴んだ鬼人お姉さんは、

桜華様をお店に連れ込もうとするが、そこへルシアが声が響く。


ルシア「はぁ、二人は何してるのですか?」


桜華様「えっ?ふあっ!?」


鬼人お姉さん「ん?ルシア様じゃないですか?久しぶりですね~お帰りですか?」


ルシア「はぁ、違うわよキリハ。取り敢えずその子を返してくれるかしら?同じ学園の同級生なの。」


キリハ「へぇ~、それは奇遇だね~♪それなら思う存分に…。」


ルシア「話聞きなさいよ!?全く、宮中に居た時からあなたは変わりませんね。気に入った女の子を見つけては襲って…最後は調子に乗ってお姉様に手を出して追放‥、はぁ、本当反省していませんね。」


キリハ「あはは、目標の第二皇女様を抱いたんだ。本望だよ。」


ルシア「そのお陰でお姉様は、男に興味をなくしましたよ。」


キリハ「そうなのか?じゃあ、俺の嫁にしてやろうか。」


ルシア「だめに決まってるじゃない。それより、あなたも男を見つけなさいよ。」


キリハ「そうだな~、弟みたいな奴なら脈があるかもな~。」


ルシア「‥はぁ、どうして鬼人族は年下好きが多いのかしら。」


キリハ「それは偏見だよ~。」


キリハは桜華様を抱きながら、店の方へ少しずつ近づく。


ルシア「だから、駄目って言ってるでしょ?」


キリハ「少しくらいいいだろ?ほら、当の本人も嫌そうじゃないし。」


桜華様「んんっ‥(‥この安心感はなんだろう‥。)」


完全に心を奪われた桜華様に、

心の奥底に閉じ込めていた桜華の心が叫ぶ。


"気をしっかり持ってください!私は桃馬の彼女ですよ!例え相手が女の方でも、見ず知らずの人と体を重ねるのは嫌です!


"あんな男よりこの鬼人の方が良いと思いますけど?"


"そんなの許しません!

あなたは私の‥‥うぅ。 "


"ふっ、言い返せないでしょう?

あなたは私なしでは生きられないのです。

魂の主たるあなたでも‥私がいなくなれば聖霊としての地位も力も無くなるのですから。"


"くっ‥お願いです‥。

桃馬を嫌っても構いません‥。

だけど‥体だけは‥許してください。 "


"いいですね~。その無様な姿‥。

いいでしょう、許してあげます。

ですが、当分は私に体の権利を譲渡しなさい。"


"そ、そんな‥。"


"嫌ならいいのですよ?"


"わ、わかりました‥。"


"よろしい♪"


桜華様「クスッ‥キリハ様、申し訳ありません折角のお誘いですがお断りします。」


キリハ「なっ、そ、そうか‥。それなら仕方ないか。」


ルシア「‥。(何か、力の流れが変わった見たいね。やっぱり、今の桜華は何かあるわね。)」


キリハ「はぁ~あ、これで不完全燃焼だな。」


ルシア「クスッ、それなら心当たりがあるけど‥乗るかしら?」


キリハ「おぉ!それは本当か!」


ルシア「えぇ、きっと気に入ってくれると思うわ。」


ルシアには、愛する京骨を除く、

キリハ好みの男たちに心当たりがあった。


平気でサキュバスの皇女様を襲うキリハに、

誰が犠牲になるかわからないが‥、

そもそも耐えられる男はいるだろうか。


まあ実際は、耐えられると思うけど‥。




その後、三人は遊郭を後にして時奈たちと合流した。


時奈「えっと‥そちらの方は?」


キリハ「どうも~♪俺はキリハって言います。よろしく~。」


小頼「はわわ!?か、かか、かっこいい~。」


リフィル「ごくり、そ、それに、和服越しでも分かるバランスが取れたスタイル…。やっぱり鬼人族は、レベルが高いですね。」


女性でも虜にする程のキリハのカリスマに、

小頼とリフィルの脳内に電撃が走る。



俺っ子姉御キャラ‥しかもかっこいい。

春の大戦乱祭で乱入した。朱季(しゅき)(かえで)と同じ雰囲気を(かも)し出していた。


ルシア「えっと、ここにいるキリハは、昔私に仕えていた子で、今は色々あってここに住んでいるんだけど、久々に会ったこともあって、少しだけ同行させてほしいのだけど良いかしら?」


時奈「えぇ、別に構いませんよ。でも、そろそろ男子たちと合流するけど良いかな?」


ルシア「えぇ、構わないわ。」


時奈「それと、えっと、あとキリハさん?私に何か?」


チラチラとこちらを見ているキリハは、

時奈を始め、小頼、リフィルの三人を観察していた。


キリハ「ふむふむ、三人ともかなりレベル高いな。」


ルシア「こらキリハ?この三人はだめよ?」


キリハ「えー、だめなのか。」


ルシアの引き留めに残念がるキリハに、

桜華様は、この時を待っていたかの様にとある提案をした。


桜華様「キリハさん、もしよければ、おすすめな男がいるのですが‥。」


キリハ「えっ?男か‥うーん、気は乗らないな。」


キリハの反応を見るに、

基本的な好みは男性よりも女性の方が強い様だ。


しかし、桜華様は、

キリハの様なタイプの女性を理解していた。


桜華様「クスッ。"メンタル激弱もやし童貞男"とか‥。どうでしょうか?」


キリハ「ほう、ということはマゾ気質か。」


桜華様「正解です♪」


悪意ある桜華様の言い回しに、時奈たちはすぐに察した。


"メンタル激よわもやし童貞男"

これが示す男が桃馬であるとは、分かりやすいものであった。


しかも、どさくさに紛れて桃馬の身柄をキリハに譲渡しようとする手口。かなり上手い手口ではあるが、明らか桜華の意思とは思えない"者"の意見に、さすがの時奈は待ったをかけた。


時奈「ちょっと待つんだ。それは"桜華自身"の意思ですか?それとも、"あなた"の意思ですか?」


桜華様「クスッ、さてどっちでしょうか…。」


露骨に嬉しそうな表情を浮かべると、

桜華様は堂々と先行して行った。


時奈「…声に躊躇(ためら)いがなかったな。」


ルシア「ふふっ。桜華様は面白いですね。完全に桃馬を嫌っちゃって、まるで結婚を認めない親みたい。」


時奈「…確かにな。」


キリハ「うーん、それで俺は結局どうすればいいんだ?」


ルシア「取り敢えず、今のは真に受けないで良いわよ。」


キリハ「お、おう。(…だ、ダメとは言わないんだな。)」



桃馬への嫌悪感が増していく桜華様に、

時奈を始めとする女子たちは、桜華様の行動を警戒しつつ男子たちの元へ向かうのであった。






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