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第七十七話 ガラスのハートボーイ

桜華様の放った一言は、

桃馬のガラスのハートを見事に粉砕した。


そのため桃馬は、部室の片隅に引き籠ってしまった。


桃馬「うぅ、ひっく‥。」


京骨「うわぁ‥あんな桃馬を見るのは久々だな。」


ルシア「えっと、確か最後に見たのは‥。」


京骨「二月の悲恋事件の時だな。確かダークエルフの女の子に告白して見事に玉砕。あの時もひどく落ち込んでたな。」


桃馬「うぐっ、過去をえぐるなよ~。」


桜華様「全く‥この程度で"メソメソ"するとは情けないですね。それだから嫌いなのです。どうして表の私は、こんな男を好いたのでしょうか。」


桜華様のこの台詞に、二人の女子が反応した。


時奈「情けないところが好きとか?」


ルシア「きっと表の桜華ちゃんの母性が強いせいかもね~♪桃馬は寂しいと死んじゃう兎みたいだから、ほっとけなかったとか。」


京骨「二人とも地味に桃馬を傷つけないでください。ほ、ほら、更に沈んでますから…。」


容赦の無い丸聞こえの会話に、桃馬は更に落ち込んだ。


すると桃馬は、自分のまわりにバリケードを張ると、

外部からの関わりを塞ぎ始めた。


ルシア「あ、あはは‥‥これは重症だね。あ、そうだ♪この際桜華ちゃんを忘れてサキュバスの種馬になるか、それともお姉さまの下僕になるか何てどうかしら?」


桜華様「っ!ば、バカを言うな!そんなの駄目に決まっている!」


ルシア「ふえっ?」


京骨「えっ?」


時奈「えっと‥桜華様?何が駄目なのだ?」


先程まで"くそみそ"に桃馬を(けな)していた桜華様であったが、ルシアのサキュバスハーレム案を耳にした瞬間、待ったをかけた。


しかし、桜華様は無意識だったのか。ふと、我に返ると、どうして待ったをかけたのか分からない様であった。


桜華様「えっ、あっ‥わ、私‥何を言って‥。」


時奈「おやおや~?今のはもしかして??」


ルシア「あはは、桜華様ったら…。もしかして~、今まで強がっていましたか?」


桜華様「ち、ちがっ、わ、私はこんな淫猿(いんえん)など嫌いだ!い、今のは何かの間違え‥です。」


京骨「んっ?最後の"です"に元気がなかったな?あっ、もしかして、高度なツンデレ後悔タイプですか?」


桜華様「違うと言っているでしょ!?」


"こんなのおかしい、段々と変な感情が溢れてくる。まさか、表の私の感情なのか‥。や、やめろ、わ、私までそんな穢れた感情を与えるな!今は私が主導権を握っているのだ。お前は大人しく寝ているのだ!"


心の中で葛藤する桜華様。おそらく表の桜華が、激しく抵抗して主導権を取り戻そうとしているのだろう。


時奈「なるほど、もしかして‥お邪魔だったかな?」


ルシア「きっと、桜華様はむっつりスケべなのね~♪拘束されるのが好きそうだもんね♪」


桜華様「そ、そんな趣味は私にはない!わ、私は清らかな精霊です!そんな不純など求めていないです!」


桜華様は、最近出来上がった刀を手にすると三人に刃を向けた。桜華様の表情は、クール女子が思わずデレた時見たいに、赤面からの涙目になっていた。



京骨「うわっ!?それ冗談になってないよ!?」


時奈「わ、わかった。わかったから刀をしまおうか。」


ルシア「あ、あはは‥可愛い‥じゅるっ。」


感情的になりつつある桜華様に対して、これ以上のからかいは、無作為に刀を振り回しかねない危険性があった。


すると、このタイミングが悪い状態の中で、

部室の扉が再び開いた。



時を戻すこと、数分前。


桜華様の様子を部室の扉から覗き込む、

一人の変態と一人のエルフがいた。


小頼「どうしよう。まだ、桜華ちゃんは桜華様のまんまだし、何とかいつもの桜華ちゃんに戻して上げたいけど…、も、もう一度耳を攻めてほしい…。」


リフィル「うんうん!私も耳を攻めをしてほしいな~♪よ、よし、こうなったら、部活中にこっそり人気(ひとけ)の無いところに呼び出して、イタズラして…はぁはぁ。」


桜華様のお仕置きを受けて毒された二人は、

再び桜華様からのお仕置きを頂く作戦を企てる。


もはや、毒された変態である。



するとそこへ、穢れの無い純粋無垢なエルゼを連れたジェルドが接近する。


エルゼ「あ、小頼さんとリフィルさんだ。」


ジェルド「ん?あの二人、部室前で何してるんだ?」


エルゼ「何かあったのかな?」


ジェルドとエルゼが、前方に居る二人の変態に気を取られていると、突如後方からエルゼに抱きつく少女が現れた。


シャル「おぉ~♪余の可愛いエルゼ~♪」


エルゼ「わふっ!?シャルひゃま!?」


ディノ「あわわ、シャル様~!?」


ジェルドが近くにいるのにも関わらず、シャルはエルゼに飛びつくなり頬を"スリスリ"しながら"もふり"始めた。


エルゼ「はぅ‥くぅーん♪」


人見知りのエルンでも、シャルの超が付く程のコミ(りょく)と、どんな犬でも喜ばせるテクニックの前では赤子同然であった。


ジェルド「ふーん、シャルが一年生なら、エルゼといい感じの友達になってたのにな。」


ギール「ようジェルド、いつもシャルがすまないな。」


ジェルド「なあ、ギール?シャルを一年生のクラスに移動できないか?」


ギール「い、いや無理だろ。」


ジェルド「じゃあ‥豆太くんでも。」


ギール「いやいや、だから無理だろ。」


ジェルド「うーん、やっぱりそうだよな。俺としては、エルゼの友達が近くに居てくれるなら安心するんだけどな。それに、ここ最近の豆太くんを見てると、やたらとエルゼを見てる様な気がするし、もしかしたら、気があるのかなって。」


ギール「まさか、エルゼちゃんは確かに可愛いけど、豆太は狸だし喰われちまうよ♪なぁ、豆太♪」


豆太「ジーーーー。」


まさかと思って豆太を見るが、豆太からの返事は無く、むしろ何かに気を取られているのか、ずっと一点を見つめていた。もちろんその先はエルゼであった。


ギール「ま、豆太?」


豆太「えっ?は、はい!何でしょう兄さん?」


ギール「‥もしかして、エルゼが好きなのか?」


豆太「へっ?」



ジェルド(うわぁ‥ド直球な質問だな。純粋な豆太くんが、もしエルゼが好きなら、この後の展開が目に見えるが。)


豆太は徐々に顔を赤くすると、動揺のせいか、

辿々(たどたど)しい声で話し始める。


豆太「は、はわわ!?な、何の事でしょうか‥?に、兄さんが言っている意味が、わ、わわっ、分からないですね。」


何とも可愛らしい豆太の仕草に、

ジェルドは、微笑みながら心境を察した。


ジェルド(いやいや、分かってるでしょ豆太くん。

まあ、誤魔化したい気持ちはわかるけど‥。)


ギール「そ、そうか。じゃあ友達としてか。」


ジェルド(ギールの奴、鈍感過ぎるだろ…。いや、それよりエルゼはどうなのかな。豆太くんに好意を持っていればいいけど‥。)


鈍感なギールに対して、思わず声に出そうになるジェルドであったが、何とか気持ちを抑えつつ口に出すのは堪えた。


豆太「う、うんうん、友達‥うん‥友達ですよ。」


ジェルド(ほらほら、恥ずかしい事を突かれて、段々豆太くんが暗くなってきたぞ。オーバーヒートする前に、早く気づいてやれよギール。)


ギール「あはは、そうかそうか。応援するからな♪」


ジェルド(応援する概念を間違えてるっての!?はぁ、仕方ない、ここは俺が取り持つか‥。)


妄想

パターン1


エルゼ「‥はぅ‥せ、先輩?」


豆太「う、うん?どうしたのエルゼちゃん?」


エルゼ「えっと、その‥な、なでなでしてくれませんか?」


豆太「っ!うん、いいよ♪」


純粋だけど‥これじゃあ、子供同士のふれあいだな。


パターン2

二人を少し大きくしたビジョン


豆太「エルゼ‥今日も可愛いよ。」


エルゼ「だ、だめです先輩‥。こんなところで。」


豆太「大丈夫、屋上なんて滅多に人なんて来ないから。」


エルゼ「‥先輩。わふぅ‥。」


豆太「それじゃあ‥今日もエルゼちゃんの綺麗な毛並みを"もふ"らせてもらうよ。」


エルゼ「わふぅ~ん♪」


うーん、悪くはないけど‥。

二人がここまで大きくならないか。



パターン3


エルゼ「はむはむ、ぺろっはむっ♪」


豆太「ふぁ‥エルゼちゃん‥そこだめ‥。」


エルゼ「ひぇんぱい‥かわいいれふ‥食べちゃいたいくらい‥。」


豆太「んんっ‥はぁはぁ。エルゼちゃん‥なら‥食べられてもいい‥。」


エルゼ「クスッ‥先輩のえっち‥はむ♪」


※卑猥な光景に思われますが、パターン3については、

エルゼが豆太を押し倒し、耳をあまがみしてる状況です。


ジェルド「ぶふっ!」


ギール「うわっ!?ジェルドいきなりどうした!?」


パターン3の妄想にやられたジェルドは、

大量の鼻血を出しながら倒れた。


ジェルド「い、いい‥。」


ギール「な、何が良いんだよ‥。それより早く部室行くぞ。豆太もボーッとしてないで行くぞ。」


豆太「じーー。ふぇ?はっ、はい!」



こうして何かとやばい一行らは、部室前で傍観する小頼とリフィルと合流し、修羅場とかした部室へと入って行くのであった。



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