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第七十一話 春の大戦乱祭(11) 祭は投げられた

偉大なるシャル様の力により、四風御影の奥義である水焉龍が、見事な男の娘ショタへと変身を遂げた。


これに対して母性と姉属性を開花させた御影は、

そのまま龍の尻尾を生やしたショタに夢中になるや、徐々に戦意を削がれていった。


西軍の中でも厄介な相手を平和的に沈める事が出来たが、想像以上に"ほのぼのしい"光景に、次の攻勢に出ようとする、ギール、シャル様、ディノの目を奪った。


母性が眩しく輝かせる御影。

そして、尻尾を振りながら甘えるショタ。


まさに神展開とも言える光景に、

三人はあっけなく戦意喪失すると、

御影とショタの元へと駆け寄るのであった。




そしてその頃。

御影の触手束縛術から解放された、

椿、ルビア、スザクの三人は‥。


スザク「うぅ‥汚された‥男としてのプライドが‥うぅ‥椿の前でこんな‥。」


椿「はぁはぁ‥おね‥ひゃま‥ゆる‥ひゃない‥。」


ルビア「んんっ~♪楽しかったな~♪」



複雑な感情と温度差はあるものの、

至って平和的であった。


ちなみに、せっかく武功を上げたスザクは、

男のプライドをズタズタにされ戦意喪失。

早くもリタイヤである。


更に、椿も同様に、

もはや戦える状態ではないためリタイヤ。


そして三人の中でも、元気の良いルビアに至っては、

触手による束縛が相当気に入った様で、気分も高揚していた事もあり、そのまま帰ってしまったそうな。



これにより、西軍最後の攻勢部隊を撃破した東軍は、

痛み分けとも言える大損害を出すも、残った生徒を束ねて、崩壊寸前の西軍本陣を目指すのであった。





一方、その頃。

崩壊寸前の西軍本陣では、一足先に西軍臨界生の救援が入り、決死の攻防戦を繰り広げていた。


不参加と聞いていたはずの一隊の出現に、

不意を突かれた東軍は大打撃を受けた。


一時は後退を考えた東軍であったが、

西軍の臨界生がいるなら東軍にも臨界生あり、


相川葵、シェリル・フェンリル率いる東軍臨界生が、ボロボロ状態の東軍総攻撃隊と合流したのだ。


当然、戦況は大混戦になり、

本来は"終戦"であるのにも関わらず、

両軍の被害は拡大していく。


ここまでに出た被害。

東軍。


二年一組

村上憲明

臨界生に背後を取られ、

"現実はこんなもんだ"と言い残し華々しく散った。


ジェルド

西軍生の寝返りを誘うため小頼商会に利用されると、狼として、男としてのプライドをズタズタにされた後、大戦乱祭が終わるまで上半身裸で、ぶっとい棒に縛られては放置されたと言う。


二年三組

相撲部

鬼山、六道、春日大喜

臨界生の後方奇襲による混乱から、

魔術部隊のダブルパンチによりリタイヤ。


二年六組

リト、ニブル、

東軍側に付いたことを知らない葵とシェリルに瞬殺。

また、二条実光と三条実時も手にかけられた。



危うく藤原志道と姫騎士たちも手にかけようとした時、たまたま近くにいた佐渡桃馬とエルンの仲裁により、勘違いと言うことがわかった。



シェリル「わ、私はなんて事を‥知らなかったとはいえ‥取り返しのつかない事をしてしまった。」


エルン「シェリル‥まあそう気にする事はないぞ?臨界生の方々は途中参加なのだから、状況がわからないのは当然だ。」


シェリル「エルン‥。」


葵「‥すまん、これは俺の責任だ。上杉校長に渡された紙を鵜呑みにしすぎた。」


かなりの仲間を誤認討伐した事で、二人の士気が下がる中、危うく討たれそうであった三人の姫騎士が駆け寄ってくる。


ジャンヌ「相変わらず凄い武勇ね♪」


アンジェリカ「さすが、剣聖と薔薇騎士だな。」


アリシア「直人さんは残念でしたけど、やっぱり二年三組はみんな強いですよね♪」


三人の美女たちは、

誤討ちをしそうになった二人を責める事なく、

二人の武勇を称賛した。


葵「‥強いか。」


シェリル「‥う、うむ、そ、そうか。」


意外にも称賛される事に慣れていない二人は、

視線を離しては、照れを隠した。


葵「‥そ、それより、まさか、直人と奏太を犠牲にして、あの楓さんを撃退とはな。」


桃馬「‥俺も想定外な西軍の助っ人に驚いたよ。その分、二人には貧乏くじを引かせてしまったよ。」


葵「まあ、心配するな、ここまで暴れたんだ。道半ばであっても満足してるだろう。」


桃馬「だといいな。」


二人が話していると桜華が、

慌てた様子で駆け寄ってきた。


桜華「桃馬~!」


声の大きさから察するに良い知らせの予感がする。

総大将"新西荒儀"を討ち取ったのだろうか。


桜華「はぁはぁ、やったよ!私、総大将の側近を倒しちゃった♪」


桃馬「えっ?側近ってメルクさんを!?」


葵「あ、あの天才と言われている魔法使いを倒したのか。な、何者ですかあなたは?」


桜華「な、何者って言われましても~。」


桃馬「あ、そうか、葵は知らないよな。彼女は柿崎桜華、聖霊様だよ。」


葵「せ、聖霊だと!?す、すごい‥異界では神様みたいな方だぞ!」


桜華「神様だなんて~♪嬉しいな~♪」


葵「‥桃馬?この桜華様はいつからここに?」


桃馬「この四月から編入したんだよ。ちなみに俺の彼女だ。」


葵「はっ!?う、嘘言うな!少し前まで彼女なしだったろ!?それでいきなり聖霊様を彼女って‥何したんだ!」


あまりにも信じがたい事なのだろう。

葵は、剣幕を立てながら桃馬に言い寄る。


桃馬「な、なにもしてないよ!?」


葵「異界では、あの手この手で女性を堕とすという下劣な行為がある‥秘密を握ってるとかないよな?」


桃馬「な、ないって!もし、それが本当なら直人が許してないだろ!?」


葵「‥確かにそうだな。すまん。」


桃馬「‥直人の名前を出すといつも納得するな。まあ、昔からの大親友だから当然か。」


二人が話している中、

桜華は、申し訳なさそうに声をかけた。


桜華「あ、あの~。誤解しないで聞いてほしいのですが、桃馬とのお付き合いは私からお願いしたのですよ。」


葵「桜華様から?と言うことは、いつからか桃馬を知って興味を持たれたと?」


桜華「はい、私は桜の聖霊で河川敷の桜並木に住んでいます。いつもショボくれた桃馬を見てぶつぶつと句を‥んんっ!?」


要らぬ事を口走る桜華に、

桃馬は慌てて桜華の口を手で塞ぐ。


葵「お、おい、何してるんだ?」


桃馬「あはは!なんでもないよ~♪ちょっと桜華が言ってはいけないことを口にしそうだったから‥‥、桜華それ以上過去の話をするな。」


桜華「んはっ、ご、ごめんなさい。わ、私もつい話したくなって‥あはは。」


葵「ふっ、まあ、詳しい話は後にしよう。メルク先輩も倒れた今、西軍には勝ち目はもうない。新西先輩を討ち取ってこの戦を終らせるぞ。」


桃馬「お、おう!」

桜華「は、はい!」


葵「シェリル、この戦を終わらせるぞ。準備は良いか?」


シェリル「も、もちろんだ。いつでも行けるぞ!」


エルン「うむ、それなら私も続くぞ。」


ジャンヌ「わ、私たちも行きます!」


アンジェリカ「ここまで来たんだ良いだろ葵?」


アリシア「そうそう、最後まで戦わせてよ♪」


葵「も、もちろんだ。とまあ正直‥今の俺に三人を引き留める権利はないけどな‥。」


葵のトドメの号令に、

東軍の強力者たちが次々と最後の決戦に賛同した。

するとそこへ、藤原志道が声をかけた。


志道「全く‥根は直人とおんなじだな。」


葵「志道‥さっきはすまない、」


志道「まあ、仕方ないさ。寝返りの代償と思えば蚊に刺された物だ。」


葵「言ってくれるな。後で泣かせてやるぞ?」


志道「ふっ、返り討ちにしてやるよ。」


葵「それは、楽しみだな。」


葵は刀を抜くと東軍最後の号令がかかる。


葵「目指すは新西荒儀の御首(みしるし)ただ一つ!突撃!」



カリスマ溢れる大号令に、

西軍本陣外に構える東軍全軍が総攻撃に出た。


こうして、春の大戦乱祭に完全に終止符が打たれた。西軍生は後悔なく力を尽くし見事に散っていった。


西軍総大将、新西荒儀は、無様に半裸でうつ伏せで倒れているところを発見され良い晒し者となった。


しかし、問題なのが‥。

"討ち取ったー!"と、勝利の声を上げるにはあまりにもお粗末な物であった。


そんな時、本来とうに新西荒儀を倒した。

二年五組のベリー・レリフソンが、全身をテカらせて戻ってきた。


(空耳)

ベリー「あん?お客さん?最近だらしねぇな?」


いつも日本語がうまいベリーなのだが、レスリングに熱が入ると空耳が激しい英語を話す。


そのため、まわりは笑いを堪えたり、

クスクスと笑う者があちらこちらにいた。


更に、笑いに拍車をかけるかの様に、

新西の晒しがエスカレートする。


気絶している新西に対して、

ガチムチレスリングが開始されたのだ。


東軍生「おい!ゴング!ゴング誰か持ってないか!」


東軍生「太鼓ならあるぞ!」


東軍生「何でも良い早く鳴らせ鳴らせ!」


締まりの悪い春の大戦乱祭は、東軍の勝利で終わったかの様に見えた。しかし、勇ましい太鼓の音と共に、急遽(きゅうきょ)勝手に、後野祭(こうやさい)が開始されたのであった。


ベリー「どぅしようかな?」


まずは倒れている新西のまわりをぐるぐると見回る。


そして三周くらい回った後、ついにベリーが動く。


ベリー「ビックリトンコツコーン!」


新西の腰を掴むと、ぐるぐると回し始めた。


外野は大盛り上がりを見せる中、

ベリーコールと世界地図コールが響く。


新西「んんっ‥なっ、なんだ!?」


良いタイミングで新西は目を覚ました。

気がつけば、ぐるぐる回され、東軍生に見られている。そして、ベリーは新西に対して禁断の技である"がっぽい"を強行した。


新西「アァァーッ!」


新西の悶絶に東軍生は盛り上がった。

更にベリーの責めは止まらなかった。



桃馬「‥こりゃ、新西家も終わりだな。」


桜華「す、すごい‥な、何て言いましょうか。白熱と言うか‥み、見てはいけないものを見てる気もします。」


小頼「あはは♪初めて見る人は抵抗するかもね。でも、東軍生全員傀儡とか主張した罰にしては優しいくらいだよ。」


リフィル「そうです。ここは心を鬼にしなくては行けません!」


穢れた女子たちは、肯定した上楽しそうに観戦した。


桃馬「桜華も無理してみなくて良いよ?目が腐るから。」


桜華「い、いえ‥これはもはや芸術だと思います。」


桃馬「げ、芸術か‥。ま、まあ‥ある意味芸術だな。」


少し曲がった意味かもしれないが、

桃馬も芸術的考えで観戦し、そして願った。


"どうか桜華が腐りませんように"



レスリングは更に二十分続き、空耳の嵐と新西に対する前菜の罰は、ここに伝説となった。


そして、汗まみれで倒れた新西の背中に、

再び片足を乗っけては決めポーズを決めた。


そして、我に返り勝利宣言を放った。


ベリー「ふぅー、西軍大将新西荒儀!討ち取った!」


東軍生は歓喜し、胴上げ、万歳などの喜びを(あらわ)にした。


春の大戦乱祭、

東軍の勝利。





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