表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/431

第四十九話 妖楼温泉街編(6) 決死の仲直りノ章

第二回戦の"だるま落とし"で、闇落ちに近い状態に陥ってしまったエルンと桜華の機嫌を治すべく、未だに遊び足りない小頼とリフィルからの提案により、勝負方式で直人と桃馬は手を尽くす事になった。


最初に仲直りをする事になった直人は、理性がギリギリと言う中でも、エルンの不意を突いた大胆なキスにより、呆気なく仲直りを果たした。


もはや負け確に近い桃馬は、覚悟を決めて桜華との仲直りに踏み切った。


桃馬からの優しい励ましにより、少し手応えのある反応を見せた桜華に対して、桃馬は透かさずに、直人の戦略を真似て唇を重ねようした。


しかし、この行為が逆効果を招いた。


突如として桜華は、クールな表情をしながら艶のある口調で桃馬からのキスを拒絶した。


思いもよらぬ桜華からの一言に、その場にいる全員が驚く中、桜華の綺麗な桜色の髪が、徐々にクールなパープル色へと変わり、髪の色と性格がマッチしたかの様なカリスマ溢れるお嬢様へと変貌してしまった。


桜華の変貌に驚いている桃馬は、恐る恐る桜華に声を掛けるが、そのまま無言で平手打ちをもらうなり、"桜華様"からの当然とも言える罵倒を受けてしまった。


更に、桜華様の乱心とも言える行為は続き、桃馬と止めに入ったジェルドを熱湯へ投げ落とした。


また更には、自らのカリスマ性で小頼とリフィルを引き抜くなり、小生意気なリフィルの公開調教をする事で、童貞の憲明を鼻血の海に沈めた。



そして今現在。


桜華様が、依然と裸のリフィルを盾にしている現状。唯一頼みの綱である直人は、リフィルの裸と色っぽい声を聞かないように耳と目を塞いでいた。


そのため、今の桜華様を止められるのは、ディノ、リール、エルンの三人だけであった。


桜華「クスッ、直人さんの行動すらも封じるとは、本当に使える可愛い盾ですね。これが終わりましたらご褒美を差し上げますわ。」


リフィル「はぁはぁ‥ごほぅびぃ〜♪」


蕩けきったリフィルは、完全に桜華様に堕ちていた。


しかも、凄く‥えっちい状態である。


小頼「桜華ひゃま~♪私も釜ってくださいよ〜♪」


桜華「クスッ、お前はジェルド見たいに首輪を付けてやろう。この犬め。」


小頼「きゃふん♪」


あの小頼でさえも完全に洗脳もされている状態。


何とも恐ろしいカリスマ性である。


リール「うぅ、もうこの際だけど、強引に行っても良い気がするんだけど……、どうかな?」


エルン「うーむ、仕方ない‥。二人には悪いが我慢してもらおうか。」


ディノ「え、えっと、そ、それなら私が、三人の足を防ぎますので、その隙に桜華さんを捕まえてください。」


リール「了解♪」


エルン「うむ、分かった。」


即席ではあるが三人の作戦が決まると、早速ディノが先行して前に出た。


スライムの姿になったディノは、透かさず桜華たちの足下に絡み付いた。


桜華「っ!な、なんですかこれは!?う、動けない!?」


小頼「はわわ!?ディノくん!離してよ!」


リフィル「ふへぇ~♪ひんやり~♪」


リール「チャンス!」


エルン「今度こそお役に!」


二人が同時に桜華様に迫ると予想外の事が起きる。


桜華「ふっ、私が何もできないと思わないことですね!」


桜華様が手を横に扇ぐと、体が吹き飛ばされる程の突風が起きた。


リール「ふあっ!?」


エルン「くあっ!?」


思いもよらぬ突風に煽られたリールとエルンは、そのまま熱湯に向かって吹き飛ばされた。


直人「っ!?な、なんだこの風は‥っ!?リール!エルン!?」


突風の一部を受けた直人が思わず目を開けると、目の前には二人の嫁が熱湯に向かって吹き飛ばされていた。


咄嗟の事態に直人は、無意識に妖力を纏うなり、瞬時にリールとエルンを抱き抱えた。


直人「よっと、ふぅ〜、あぶねぇ‥。」


リール「ふぇ〜、助かった~♪」


エルン「っ、す、すまない直人。」


直人「よっと、ふぅ、二人が熱湯に落ちなくて良かったよ。」


リール「んんっ〜。」


エルン「なっ……〜っ///」


何とか熱湯に落ちる前に二人を助け出した直人は、無意識に二人の頭を撫で始めた。



すると直人たちは、無様に熱湯へ落とされ天国のぬる湯に浸かっている桃馬とジェルドと合流した。



桃馬「まさか、桜華にあんな力があるとは……。」


直人「あのお嬢様気質‥、桃馬も大変な彼女を持ったな?」


桃馬「う、うん、でも、そうとも言い切れないな。‥なんかこう新鮮と言うか……、むしろ不思議とお嬢様モードの桜華に屈服させたい気分になる。」


直人&ジェルド「あー、それ分かるな。」


桃馬の意見に乗った直人を、リールとエルンはチラリと見つめる。


リール「‥ふっふっ、直人がそんなにお嬢様系が好きとは、片腹痛いですね?」


エルン「ま、まったく‥あっ、い、いや、ほ、本当で……ですわ。これだから直人は困ります。」


桃馬の話をノリで反応した直人であったが、一方で直人のノリを真に受けてしまったリールとエルンは、カリスマ溢れる桜華様に対抗するべくお嬢様っぽく話し始める。


しかし、慣れない話し方に"ぎこちない"感じが出てしまっている二人は、明らかに無理してキャラを作ってる感じが丸分かりであった。


直人「ふぅ、二人とも?無理して張り合わなくても良いんだぞ?」


リール「で、でも、お嬢様みたいな感じも好きなんだよね?」


エルン「そ、そうだ!な、直人は、その……、の、(ののし)られたり、冷たくされたいのだろう?」


直人「っ、ち、違っ、今のはノリで答えたまでだよ!?」


リール「ふぇ!?」


エルン「なっ///そ、そうなのか……うぅ、すまない///」


直人「あ、いや……、俺も誤解を与えて悪かった……。(や、やばい、二人とも可愛過ぎかよ!?)」


あまりにも可愛い二人に、直人の理性も再び危険ゾーンに入っている。


このまま二人の可愛い仕草を見てしまったら、例え桃馬たちの前であっても、強引に押し倒す可能性があった。


そんな危険な状態でも、直人は理性を優先して、深呼吸をしながら気持ちを整えた。


一方その頃。

ディノに足を掴まれ動けない桜華様は、 リフィルの豊満な体を楽しんでいた。


リフィルの淫靡で気持ち良さそうな声が響く中、黙って聞く事しかできないディノの脳内は、パンク寸前であった。


直人「と、取り敢えずどうしようか。また、リフィルを愛で始めたぞ?」


桃馬「‥ごくり、リフィルの声がエロ過ぎる。」


ジェルド「うぐぅ、憲明はまだ倒れてるのかよ。」


リール「もう~、二人共〜、少しはしっかりしてよ〜?」


エルン「‥だが、桜華の戻し方が分からない以上、こちらも動こうにも動けない。例え無策に動いても、また突風に吹き飛ばされるのがオチだ。」


直人「うーん、そうなんだよな。まあ、今の桜華ちゃん、別名"桜華様"を見る限り、シンプルに気持ちの問題による混乱にも見えるけどな。」


桃馬「き、気持ちか‥。」


直人「いっそのこと、ここで桜華様を屈服させて見るのも手か…‥、おい桃馬、もうキスか、公開プレイしかないぞ?」


桃馬「はっ?」


ジェルド「そ、そうだな。こう言う時の展開は、例え強引でも大胆な行動が一番かもな。今の桜華みたいにプライドが高そうな女子は、大抵攻めに弱いはず、ゲームの心理が正しければ"入れて"しまえば勝ちだよ。」


直人「ふっ、ちなみに何を何にだ?」


ジェルド「それはもちろん、桃馬の"自主規制"を桜華の"自主規制"に入れるんだよ。」


直人「こんな非常時に言い切るね〜。まあ確かに、ゲームに出て来る気高いキャラや"ツンツン"しているキャラの攻略は、"序盤の壁"さえ乗り越えてしまえばクリアした様なものだからな。」


桃馬「お前ら‥。今エロゲーの話をしてる場合じゃないんだが?」


エルン「な、なるほど‥。そう言う女は恥辱に弱いのか。それじゃあ、わ、私もそうなのか。」


桃馬「え、エルンさん?まともに捉えなくていいんだよ?」


エルン「っ、す、すまない…、つい口に出してしまった。」


非常時にも関わらず、平然と卑猥な話をする淫獣と色魔(しきま)妖怪と化した直人(ばか)の会話を聞いてしまったエルンは、少し当てはまる要素に自覚してしまいながら、危うくサキュバスとしての本能が目覚めそうになっていた。


ジェルド「と、取り敢えず俺と直人が囮になって桜華の気を引くから、その隙にリールとエルンは、桜華の背後へ回り込み、透かさず桜華の両腕を押さえ込んでくれ。そうしたら桃馬が、嫌がる桜華の唇を強引に奪う……。」


桃馬「言い方は酷いけど‥、仕方ないよな。」


直人「よーし、物の試しだ。やるぞ!」


こうして、桜華を正気に戻すための本格的な共同作戦が行われた。



リフィル「んあっ♪桜華ひゃまぁ〜、もう壊れひょうれふぅ~♪」


桜華「クスッ、何を言っているのですか?私の(しもべ)なのなら、このくらいは耐えてもらわないと困りますよ?」


小頼「うぅ、リフィルばっかりずるいよ~。それとディノ~?そろそろ離してよ~。」


ディノ「だ、だだ、だめです!このまま離す訳には行きません!」


桜華「ほう?女の子の頼みを聞かないとは……、もしかして君……、足フェチと言うやつですか?」


ディノ「っ///ち、ちち、違いますよ!わ、私は、その……、そ、そう言うのには、全く興味がありませんから……。」


純粋なディノの反応を見た桜華様は、少し妖艶な微笑みを見せながら、透かさずディノの心に畳み掛ける。


桜華「ふふっ、そう強がるでない。あっ、そうだ。もし今すぐに離してくれたら…、その"ひんやり"とした体で…、高貴な私の体を包んでも良いわよ?」


ディノ「ふぇ!?」


何とも生々しい桜華様からの誘惑により、純粋な少年心を揺さぶられたディノは、思わず声を上げながら取り乱した。


もしここで、大人しく桜華様の言う事を聞けば、あの凛々しい体に(まと)わりつく事が出来る……。


桜華様の凛々しい体を下から見上げているディノは、魔物としての本能が暴発しそうになっていた。


更には、本来主君であるシャル様にお仕えする身でありながら、今のディノに映る桜華様は、何とも凛々しくて美しい姿で映っており、思わずお仕えしてみたいと思う程であった。



だが、桜華様は桃馬の恋人。


例え乱心しているとは言え、手を出して良い事では無い。


そもそも"自分"は、シャル様の従者である‥。


そのためディノは、(わず)かな理性を振り絞り、八割方支配された不純な感情を追い払おうとする。


ディノ「うぅ、わ、私は……、シャル様の…従者です。お、桜華さんの誘惑は……の、乗りません!」


桜華「ふーん、生意気ね‥。でも、私は、それはそれで好きよ?」


ディノ「‥っ、な、何度言っても無駄です!わ、私の主はシャル様一人です!」


桜華様からの誘惑にも負けず、自分の主は"シャル"だけと言い切ったディノは、近くで鼻血を出しながら気絶している憲明に絡みつくと、そのまま桜華様に向けて投げ飛ばした。


桜華「っ、血迷ったわね!」


勢い良く飛んで来る憲明に対して、再び桜華様が手を構えて一振、二振りと突風を繰り出した。


憲明「ふっ、それはどうかな!」


桜華「っ!憲明!?」


気絶していたと思われた憲明は、桜華様を油断させるために独断で芝居を打ちながら、魔力を通じてディノとコンタクトを取っていた。


途中、ディノの心が激しく揺らいでしまい、正直焦った一面もあったが、何とかディノが投げ飛ばしてくれたお陰で、桜華様の意表を突く事に成功した。


目の前に繰り出された突風は、ディノの魔力で作られた魔壁によって守られ、憲明はそのまま勢い良くリフィルの胸に抱きついた。


リフィル「あぁん♪憲明~♪」


小頼「ふぇ!?憲明起きてたの!?」


その時、別方向からジェルドが飛び出した。


ジェルド「小頼!後で寝返った事を後悔させてやるからな!」


小頼「はわわ!?ジェルド!?」


桜華「っ!懲りずにまた来ましたね!もう一度熱湯に落としてあげますよ!」


桜華様は、もやは盾としては役に立たないリフィルを手放すと両手を使って突風を繰り出した。


ジェルド「わふぅ!?」


憲明の件は想定外であったが、作戦通りジェルドは飛ばされ熱湯に落とされた。


そして悲痛な叫びが木霊する中、今度は直人が素早く接近すると、敢えて桜華様が気づくスピードに減速した。


桜華「くっ!この!」


直人「っ、ごはっ!?」


直人の場合は、その場に叩き付けられるかの様に、ディノの柔らかいクッションの上に叩きつけられた。


するとここで、桜華様が背後への警戒を緩んだ隙にリールとエルンが背後から襲撃し、桜華様の両腕を取り押さえた。


桜華「なっ!は、離しなさい!この!」


リール「嫌だ!絶対に離さないよ〜!」


エルン「桜華さん、大人しく元に戻るんだ!」


桜華「くっ、足下さえ自由なら……。」


背後から取り押さえられても激しく抵抗する桜華様であるが、既に両足をディノに捕らわれている事もあり、思う様に抜け出せなかった。


するとそこへ、高飛車お嬢様を襲うエロゲ主人公こと、 佐渡桃馬が桜華様の目の前に姿を現れた。


小頼「あ、あわわっ!?桜華様を離してよ~。」


小頼の無意味な言葉を無視しつつ、桃馬は桜華様に近寄る。


桜華「くっ、な、何をするつもりですか……。」


桃馬「ごめん桜華……。悪いけど唇をもらうよ。」


桜華「な、何を言って‥や、やめろ、く、来るな!」


桃馬が顔を近づけると酷く拒む桜華様。


だが、桃馬は怯む事なく接近する。


桜華「そ、それ以上寄るな!やめろ!キスをしたら殺す!絶対に!んんっ!!?」


本日二人目の公開接吻である。


強引に唇を奪われた桜華様は、目を大きく開きながら涙目になっていた。


同じ公開接吻でも直人とエルンの華々しい光景とは違い、桃馬と桜華様の公開接吻は、もはやエロゲーの悪役主人公が、ターゲットのヒロインに対してやりがちな"ゲスい"展開にして、何とも穢らわしい光景であった。


しかし、そんな穢れた光景を理解する男たちは、誰一人として見ていなかった。


一番近くにいるディノは、二人の光景を見ようとはせずに目を瞑り、熱湯に落とされたジェルドは、天国のぬる湯でぐったりとしていた。


更に、その場で叩き付けられた直人はそのまま気絶しており、裸のリフィルに抱きついた憲明は、そのままリフィルに抱きしめられながら、今度こそ本格的な鼻血を放出させながら気絶してしまっていた。


これにより施設内はカオスと化し、もはやシンプルに楽しむと言うレベルを遥かに超えていた。


現状を例えるなら、ある意味"恋のつり橋"である。


桃馬から強引に唇を奪われた桜華様は、あまりのショックでその場に倒れ込むと、クールなパープル色の髪が、次第に桜の様に美しいピンク色の髪へと戻って行った。


これでようやく、いつもの桜華に戻ったと判断したリールとエルンは、安堵しながら桜華から離れた。


桃馬「はぁ、何とか収まったな…。」


エルン「ふぅ、トレーニングとして考えても、これはハードなものであったな。」


リール「えへへ~♪今回ので桜華ちゃんの裏の顔と、かっこいい一面が見えた気がするよ~♪」


小頼「あう、うぅ〜、桜華しゃまが~。」


憧れの桜華様に十分に構って貰えなかった小頼は、桜華様が元の姿に戻ってしまった事にショックを受けていた。


これに対して桃馬は、落ち込んでいる小頼に構わず、裏切った代償を容赦なく支払わせ様とする。


桃馬「…ふぅ、さてとディノ?まずは小頼を拘束しようか。あとリフィルだけど…、後で埋め合わせしてもらうから、今は放置でいいや。」


ディノ「は、はい!分かりました!」


憲明の看病をしているリフィルは後にして、まず始めに桃馬は、手が空いている小頼からお仕置を与えようとする。


小頼「ふぇ!?あ、い、今洗脳が溶けた!と、桃馬~♪ジェルド〜♪洗脳を解いてくれてありがとう~♪」


桃馬「本心で裏切ったくせ、今更冗談で済む訳ないだ?」


ジェルド「うんうん、洗脳が溶けたのなら都合がいいな。もう二度と洗脳されない様にお仕置してやるからよ。」


小頼「ひぃ!?そ、そんな~!?」


こうして波乱万丈(はらんばんじょう)の仲直り作戦が、無事(?)に無事に幕を閉じたのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ