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第四百二十七話 異世界皇女戦記英雄譚その50

NTR……、通称"寝盗られ"……。


それは、アニメやゲーム……、または同人誌といった架空の物語だけに許された禁断の外道行為であり、時には胸糞、時には至高をもたらすプレイとされている……。 (八割方、R18禁の物である……。)


それ故……、一般的な現実世界での"NTR"は、非道で下劣極まりない行為とされ、実行した愚か者には、老若男女問わず"腐れ外道"の烙印(らくいん)を押されてしまう……。


だがしかし……、"現実世界と異世界"が合わさったこの時代で、もしNTRを実行した暁には、"腐れ外道"の烙印を押されるだけでは済まないだろう……。



・・・・



長く照らしていた日が沈み、次第に青々としていた空が赤く焼け始める頃……。


ドル公国の残党による支配から解放され、ようやくディーデン公国に落ち着きの色が見え始める中…、とある宿屋が跡形も無く吹き飛ぶ程の大爆発が起きた…。


幸い、大爆発が起きる前に、宿屋の店主が迅速に避難勧告を促していたため、民間人の負傷者は誰一人として出なかった……。


その一方で、宿の中に居たギールたちはと言うと……。


ルシアが咄嗟に施した防御魔法のお陰で、奇跡的に助かったものの……、それでも、多少の怪我を負ってしまっていた……。


特に、眠っていたギールと、呪霊三女の"古都古"に至っては、多少黒焦げになる程の中等症を負っていた……。


その後、爆発音を聞きつけた桃馬たちに保護されたギールたちは、そのまま近くの病院へと運ばれた……。



翌日……。(八月十八日)


シャルの魔弾で負傷したギールたちは、最先端の"医療魔法学"のお陰ですっかり完治していた……。


しかし、ディーデン公国の解放から一夜明けた病院内では、シャルとギールによる兄妹喧嘩が勃発していた。


シャル「ふぇ〜ん!ギールがぶったのだ〜!」


小頼「あぁ〜、よしよし〜。痛かったね〜。」


ギール「こ、こらシャル!話はまだ終わってないぞ!」


リフィル「ま、まあまあ、そんなに怒らないでよギール?ほ、ほら、他の患者さんに迷惑が掛かるでしょう?」


ギール「っ、だ、だからって、ひとの寝込みを襲う奴がいるかよ!?も、もしあの時、ルシアの防御魔法がなかったら…、呑気に寝ている"古都古"と一緒に、跡形もなく消し炭にされていたぞ!?」


ギールがここまで怒るのも無理もない……。


ぐっすり眠っている所に、いきなり宿を吹き飛ばす程の魔弾を撃ち込まれては、誰だって怒るものである。


しかし今回の一件に関しては、少なくてもギールにも非はあった……。


例え寝言だったとはいえ…、呪霊三女の一人、悪霊の"古都古"を抱き枕にしながら、"シャル〜"っと呼んでしまったのは……、この上ない大失態である。


これに対して、古都古に寝盗られてしまったと勘違いしたシャルは、怒りに任せて膨大な魔力を魔弾に込めるなり、呑気に寝ていたギールと古都古に撃ち込んでしまったわけである……。


そのため、膨大な魔力を消費したシャルの容姿は、魔力不足による反動で、色気のある大人びた姿から、何とも可愛らしい幼女の姿になっていた……。




シャル「ふんなのだ!元あと言えば、"古都古"何かを抱き枕にしていたギールが悪いのだ!むしろ、危険な女から引き剥がしてくれた事に感謝するのだな!」


ギール「な、何だと!?だ、だからと言って、宿を吹き飛ばす程の魔弾を撃ち込む事はないだろ!?」


シャル「ふん!"浮気者"の言い訳など聞きたくないのだ!」


ギール「はぁ!?誰が"浮気者"だよ!?こっちは危うく死ぬ所だったんだぞ!?」


今まで見た事がない程の兄妹喧嘩に、少し絶縁の危険性を感じた小頼は、すぐに両手をパンパン!っと強く叩きながら静止を促そうとする。



小頼「はいはい、二人とも?醜い兄妹喧嘩はそこまでにしなさい?これ以上騒ぎが大きくなると、すぐに病院から追い出されるよ?」


シャル「っ、うぅ……。」


ギール「っ、おい小頼……。まさかだとは思うけど……、シャルの肩を持つ気じゃないよな?」


小頼からの静止に睨みを利かせるギールは、"ボサボサ"になっている尻尾と髪を逆立て始めていた。


小頼「おぉ〜、こっわ…。先に言っておくけど、今回の私は、誰の肩も持たないからね?現に昨日の一件は、一時の感情に囚われてしまったシャルちゃんに非があるからね。」


シャル「っ、ぁぅ……。」


ギール「ふっ、当然だな……。」


小頼「だけど、ギールもギールだよ?例え寝言だったとしても…、呪霊三女の"古都古"を抱き枕にした挙句、シャルちゃんの名前を呼ぶのはどうかと思うよ?」


ギール「っ、はぁっ!?そ、それは流石に無理があるだろ!?」


シャル「うぅ……。」


何とも理不尽極まりない指摘にギールが反論する中……、一方のシャルはというと、重い罪悪感に駆られながら(うつむ)き始めた。


すると、この状況に見兼ねたリフィルが、穏便にギールとシャルを和解させようと、怒りに囚われているギールを(なだ)めようとする



リフィル「ね、ねぇ、ギール?私も昨日の一件については、確かにシャルちゃんの方に非があると思うわ。…で、でもね?今日だけは、私と小頼ちゃんに免じて許してくれないかな?」


ギール「っ、ふん、それは無理な話だな。てかそれより……、どうしてリフィルもシャルを庇おうとするんだよ!?」


リフィル「っ、い、いや〜、別に庇っている訳じゃないんだけど〜、ほ、ほら、いつも無邪気で可愛いシャルちゃんが、あんなにも暗い表情を浮かべていたら…、な、なんて言うか見ていられなくて……。」


ギール「っ、あ、あれは自業自得の結果だろ!?」


リフィル「で、でも〜。」


ギール「でももヘチマもあるか!もし仮に、今ある結果が気に入らないのなら、自分の言動に責任感を持って深く反省するべきだ!」


シャル「〜っ!?…うっく、ひっく……、ぅぅ、ごめんなのだ……ひっく、ギール……うぅ……ごめんなさい…ひっく…なのだ……。ふえ〜〜ん!」


ギールからの厳しい一言で、とうとう鋼のメンタルが崩壊してしまったシャルは、ギールの方を向きながら泣き始めてしまった。


ギール「っ!?」


小頼「っ、あぁ〜、よしよ〜し、泣かないでシャルちゃん?」


リフィル「あぁ〜あ、ギールが泣かせた〜。」


ギール「っ!?い、いや、これはどう見ても、いつもの嘘泣き……。」


シャル「ふぇ〜〜ん!」


鋼のメンタルが崩れてしまったシャルの号泣は、嘘泣きとは思えない程のガチ泣きであった。



リフィル「もう〜、どうするのギール?滅多に泣かないシャルちゃんを泣かせて〜?」


ギール「うぐっ……。」


シャルの号泣に続いて、リフィルに(あお)られてしまったギールは、徐々に込み上げて来る罪悪感に囚われながら、少し(しか)めた表情を浮かべた。


これに対して、仲直りの兆しを感じたリフィルは、早速ギールに畳み掛けようとする。



リフィル「ふふっ、ねぇねぇギ〜ル〜♪どうしたらギールは、可愛いシャルちゃんの事を許してくれるのかな〜?」


ギール「っ、ゆ、許すも何も……、こ、今回は、命の危機に晒されたんだ……。な、何かしらの見返りがないと許せるかよ……。」


リフィル「ふ〜ん、見返りね〜。…ふふっ、それならいい案があるよ〜♪」


ギール「ふん、どうせ"ろくでもない"案だろ?」


リフィル「ふふぅ〜ん♪それはどうかな〜?」


自信満々な笑みを浮かべたリフィルは、ササッとギールに歩み寄るなり、そっと耳元に顔を近づけた……。


リフィル「…ギールに取って"大好きで堪らない"シャルちゃんを…、この病室でハメ堕として孕ませる…、なんてどうかな〜?」


ギール「は、はぁ!?な、なな、何を言っているんだお前は!?」


耳を疑う様なとんでもない提案に、思わずギールは声を上げた。


リフィル「ふふっ♪ちょうど隣の病室には、"ルシアちゃんたち"も居る事だし〜♪この機にサキュバスの力をふんだんに借りて、禁断の兄妹(あにいも)プレイを強行するのもいいんじゃないかな?」


ギール「い、いいわけあるかよ!?」


リフィル「まあまあ、そう心配しなくても大丈夫だよ?可愛い妹を犯すのは、誰だって抵抗はあるけど、サキュバスの力でギールとシャルちゃんの理性をぶっ壊せばヘッチャラだよ♪」


ギール「っ、このドスケベエルフが……。」


リフィル「ふふっ、そんな"ドスケベエルフ"にナンパをした"淫獣"に言われたくないわよ♪」


ギール「うぐっ……。」


ぐうの音も出ない程のしっぺ返しを食らったギールは、次第に発言権を失っていく……。


その後、ギールの話を無視しまくったリフィルは、親友の小頼に淫らな作戦を淡々と説明し、隣の部屋にいるシフェルム三姉妹を呼び出すのであった……。




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