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第三百四十三話 ダシにされた人質

犬神に続いて、桃馬の失踪。


桃馬に至っては、

白備と昴の知るところであるが、


佐渡家本家のご子息に、

非礼があってはならないと、

白備は急いで稲荷の部屋へと向かった。



その頃、稲荷の部屋では‥。


白備と昴の読み通り、

桃馬は稲荷に捕まっていた。


しかも、

目隠しに続いて、口を塞がれ、

体を紐で縛られては、動けない状態であった。


稲荷「クスッ♪私の可愛い弟に手を出そうなんて、悪い従兄弟ね~♪」


桃馬「んんっ~!んんっ!?(こ、この声って、まさか稲荷さん!?)」


稲荷「クスッ♪直人と同じ反応ね♪さすが、従兄弟同士ってところかしら‥。それに、私の尻尾を触って蕩けるところも‥本当にそっくり‥ふぅ~♪」


桃馬「っ!?」


目の前が真っ暗で身動きできない現状。

不安と焦りが桃馬の心に募る。


稲荷の(つや)やかな声が耳元に響くと、

妖艶な香りが鼻孔をくすぐると共に、

意識が可笑しくなりそうになる。


稲荷「クスッ♪良い反応ね♪これならお仕置き甲斐があるわ♪」


桃馬「うぐっ。ふぅふぅ~。(や、やばい‥このままだと、ものすごくやばい‥、)」


お姉さん属性にあまり耐性がない桃馬は、

思わず童貞みたいな反応を見せると、

稲荷の"いけないお姉さん"心に火をつける。



稲荷「はぁはぁ、まさか‥。白備を押し倒そうとした、変態な従兄弟にお仕置きをする日が来るなんて‥、あぁ~。こんなにもドキドキするものなのね♪」


完全にモードに入っている稲荷は、

体を"もじもじ"させながら、桃馬の着物を脱がし始める。


桃馬「っ!?(な、なな!?な、何を!?ぬ、ぬぬ、脱がされてる!?)」


思いもよらぬ行為に、

桃馬は動けない体を何とか動かそうとするも、

努力虚しく、意図も簡単に押さえつけられる。



稲荷「あぁん♪もう、動かないの♪」


桃馬「んんっ!?(ひぃ!?も、もうだめだ。お、犯される!?)」


稲荷「クスッ♪じゃあ‥、お姉さんのお仕置きを始めるからね♪と・う・ま・く・ん♪」


桃馬「っ!?」


再び耳元に、艶やかなエロい声が響くと、

桃馬はビクンっと体を跳ねさせる。


更に桃馬の心の中は、

複雑な思いに満ちていた。


不安だけど不思議と身を任せて、

滅茶苦茶にされたいと言う感情。


桜華一筋の硬い意志が、

意図も簡単に揺れる程の誘惑。


もし、今日まで桜華と出会っていなかったら、

おそらく、稲荷さん一筋だったかもしれないと桃馬は思った。



これに稲荷は、

桃馬の気持ちを全て見透かしたかの様に、

浮気ギリギリのお仕置きを開始する。



桃馬の着物を襟元(えりもと)を開き、

上半身を(あらわ)にさせると、桃馬の上に馬乗りになるや、自慢の豊満な胸を押し当てる。


桃馬「っ!!!?(な、なな、こ、ここ、これはまずい!?)」


稲荷「どう?桃馬くん?浮気ギリギリのお仕置きは?」


桃馬「んんっ!?(や、やばい‥このペースに飲まれたら‥、ほ、本当におかしくなる。)」


稲荷「クスッ♪はむっ♪」


桃馬「んんっ~!?」


手応えを感じた稲荷は、

桃馬の耳をあま噛みする。


稲荷「クスッ♪あぁ~♪この背徳感‥、本当にたまらないわ♪そしてこれを知った直人は、私に嫉妬して滅茶苦茶に‥はぁはぁ。」


浮気ギリギリと言うよりも、

もはや、浮気、二股レベルのお仕置きの展開。


しかしこの展開は、

稲荷にとって少しリスクはあるが、

非常に都合が良い展開であった。


何故なら、

直接の直人との接触を警戒されている中、

"こっち"から仕掛けるのが駄目なら"直人"からと‥、完全にダシにされている桃馬は、情けなくも何もできないまま、"白備を襲おうとした罪"として、お仕置きを受けるのであった。


お仕置き内容としては、

ドレインタッチに似た様な手法で、

精気搾取するものである。




それから数分後のこと。


稲荷の部屋の前に、

血相を変えた白備が到着すると、

扉を力強く叩いて呼び掛ける。


白備「ね、姉さん!姉さん!桃馬さんがそこに居る事はわかっています!早く桃馬さんを解放してください!」



稲荷「っ!?むぅ~、もう感ずいたのね‥。早すぎるわよ。」


桃馬「ふぅふぅ~。(た、助かった‥。)」


まさに、

ちょうど良い助け船に桃馬は安堵した。


稲荷からの浮気プレイとも言えるお仕置きに、

運良く微量の精気だけを搾られるも、

致命的なものではなかった。


だがしかし、

この程度でお仕置きが終わるなど、

稲荷はそう甘くはなかった。


稲荷「クスッ‥。えいっ♪」


桃馬「んんっ?!ふぐっ!?」


稲荷は大胆にも桃馬に抱きつくと、

精気を根こそぎ搾り取った。


それと同時に、

白備は部屋には入り込む。


白備「姉さん入りますよ!姉さん!桃馬さんをかえし‥っ!?」


白備の目には、

拘束されている桃馬に対して、

大胆に抱きついている稲荷がいた。


白備「な、なな、何をしてるのですか!?」


稲荷「クスッ♪あら白備~♪突然来るものだから、驚いて襲っちゃったよ~♪」


白備「えっ!?わ、私のせいですか!?」


稲荷「そうよ~♪それに、せっかくお姉ちゃんが、"変態の魔の手"から白備を守ってあげたのに、そんな怖い顔をされると悲しいわ~。」


白備「っ、‥ま、魔の手?な、何の事ですか。」


いつもみたいに、

言葉巧みに誤魔化されている様な気がするが、

白備の脳内には、"変態の魔の手"と言うワードが気になっていた。



稲荷「クスッ♪白備と桃馬くんは、ポチって言う子をモニター越しで探してたのよね?」


白備「え、えぇ‥、モニターで確認したところ、妖楼郭から出て行ったみたいですが。」


稲荷「うんうん♪それじゃあ、その時に、桃馬くんが白備の尻尾を狙っていたのは、分かったかしら?」


白備「えっ?い、いえ‥それはわかりませんでしたが‥。」


稲荷「クスッ♪全く隙だらけね。白備は男ウケも良いんだから、尻尾を掴まれて弱味を見せたら、押し倒されるわよ?」


白備「ま、まさか‥、桃馬さんがそんな事を‥。」


にわかに信じがたい話だが、

不思議に説得力のある話に、

白備は蕩けた桃馬に視線を送る。


稲荷「だからね、ちょっと、お仕置きのために、精気を搾り取ったわけよ♪」


白備「っ!せ、精気って!?」


稲荷「大丈夫よ♪ただの接触での搾取だから♪それに、私の体は直人だけのものだからね♪」


白備「‥えっと、と、取りあえず桃馬さんを解放して‥。」


稲荷「嫌よ♪ちょっと手癖の悪い桃馬くんには、もう少しお仕置きが必要だからね♪」


白備「わ、私の事なら大丈夫ですから、その、お仕置きはもう‥。」


姉の気持ちはよく分かるが、

このまま桃馬さんが搾られるのは心が痛い。


それに、未遂で終わっている事もあるため、

白備は許してあげたい気持ちである。


しかし、稲荷だけは厳しかった。


稲荷「白備は優しいわね♪自分を襲おうとした従兄弟を庇うなんて♪」


白備「し、尻尾くらいどうって事もありません。そ、それより、仮に襲われたとしても、逃げる手段はありますからね。」



稲荷「さすが白備ね♪でも、解放はまだだめよ。今の桃馬くんは私にとって、大切などう(ぐ)‥‥こほん、とても大切な人よ。だからね、白備には悪いんだけど、早速直人に、桃馬くんは私と一緒に居る事を伝えてほしいのよね~♪」


色々とツッコミ所がある中で、

白備は何となく、稲荷の考えている事が分かり始める。


白備「‥はぁ、姉さん?もしかしてですけど、兄さんの前で桃馬さんとイチャついて、怒った兄さんに襲われようとしてませんか?」


稲荷「っ、さ、さすが私の弟ね♪」


白備「な、何考えてるんですか!?そんな事をしたら一族離別する可能性がありますよ!?」


稲荷「それは考えすぎよ~♪直人がそんな事するわけでしょ~♪」


白備「し、しかし‥。うぅ‥。」


稲荷「まあ、無理に言わなくて良いわよ♪その代わり桃馬くんはこのまま、妖気製造機になるだけだからね♪」


白備「なっ、ひ、卑怯な‥。」


稲荷「どうする??こっちの方が、一族離別の可能性があるわよ?」


白備「うぅ、わ、わかりました。そ、その代わりに、これ以上桃馬さんに変なことをしないでください。」


稲荷「クスッ♪はーい♪」


その後、

稲荷の言葉巧みに惑わされた白備は、

そのまま部屋を後にした。


そして、蕩けた桃馬は拘束されたまま、

稲荷と共に直人の到着を待つのであった。


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