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第三百三十二話 次女のまとめ役

時刻は午前四時半頃。


初日から波乱で騒がしくも、

とても長い夜がようやく明けた。


ここで、昨夜までの総括。


昨夜から直人の大捜索をしていた白備たちは、

深夜を回った辺りから、既に諦めモードに入っおり、そんな絶望状態の中、アイシュから呼び出しがかかる。


白備たちは、アイシュに呼び出されるまま、

足取り重く直人が寝泊まりする部屋へ駆けつけた。


するとそこには、

二人の嫁に搾られ半殺しにあった直人がいた。


白備「に、兄さん!?」


昴「なっ!?や、やっぱり手遅れだったか‥。」


月影「あ、兄上が、兄上が‥。」


完全に稲荷に搾られたと勘違いしている弟たちは、落胆のあまり気力が"ガクッ"と落ち込んだ。


アイシュ「こら三人とも?勝手に直人を殺さないの?直人は、エルンとリールに搾られただけだから。」


白備「えっ?え、エルンさんとリールさんにですか?」


昴「で、でも、その姉さんたちは‥?」


アイシュ「二人なら大浴場だよ。かなり乱れて汗だくだったからな。」


白備「ごくり、な、なるほど‥。」


アイシュ「まあ、これで分かったかもしれないが、直人はいつもあの三人と一緒なんだ。姉上に搾られても、それなりに耐えられる耐性は十分にある。だから、下手に心配はするな。むしろ、姉上が直人の子を身籠れば嬉しい事だろ?」


白備「そ、それは‥そうですけど。」


昴「た、確かに、エルン姉さんはサキュバスだしな‥。稲荷姉さんより搾る量は多いか‥。」


月影「あ、兄上の命に関わらなければ‥、僕は構いませんけど。」


説得力のあるアイシュの話に、

一応納得する弟たち。


しかし、三人の気持ちは、

素直に直人を発見できた喜びと、

相手は注意していた稲荷ではなかったが、二人の嫁に半殺しになるまで搾られた直人を前にして、色々と複雑な思いになるのであった。


その後直人は、

妖気回復のため、白備と昴により、

大浴場へと運ばれるのであった。


一方、昨夜までの桃馬たちはと言うと、

エルンに襲われた男たちを各部屋に運び終え、

各自の部屋へと戻ると、開幕ロケットスタートの疲労により、直ぐにおやすみになっていた。



更に経理部で、夜中まで数字と睨めっこしていた晴斗と千夜は、さすがの仕事疲れもあり、二人仲良く抱き合って寝ていたのであった。




そして、朝日が昇り、

温泉街を明るく照らし始める頃。


稲荷の秘密の部屋では、

三日ぶりの睡眠から稲荷が目覚める。


稲荷「んんっ‥んっ?あれ‥直人‥?」


昨日は直人を抱き枕にして寝ていたはずが、

目を覚まして見れば普通の抱き枕にしがみついていた。


これに稲荷は、

昨日の出来事が夢であったのかと思い、

"もふさら"な耳を"へにゅっ"と畳んでしまい、

がっかりするのであった。


アイシュ「お目覚めですか?姉上?」


稲荷「コン!?あ、アイシュ!?」


突然のアイシュの声に、

らしくない驚きを見せる稲荷は、

"へにゅっ"と畳んだ耳を直立させた。


アイシュ「っ、えっと、驚かせてしまいましたか?」


稲荷「あ、いえ、ご、ごめんなさい。ちょっと、寝起きもあって取り乱したわ。」


アイシュ「そ、それはそれは、えっと‥こほん、実は直人の件なんですけど。」


稲荷「そ、そうよ!な、直人はどこなの!?わ、私はちゃんと約束を守ったわよ!?」


やはり、昨日の一時(ひととき)が夢ではないと分かると、稲荷はアイシュに言い寄った。


アイシュ「え、えっと、実は昨夜、色々あってエルンがサキュバス化してしまい‥、緊急のため直人を拝借していました。」


稲荷「え、エルンちゃんが?お、おかしいわね、あの子の精神力ならサキュバスの本能なんて常に抑えられるのに‥。」


アイシュ「そ、それが‥、お友だちのルシア様に、色々と仕込まれたとかで。」


アイシュの口からルシアの名前が出ると、

稲荷は口を膨らませて不満げに怒る。


稲荷「‥むぅ、シフェルム家め~。私の楽しみを害するだけじゃなく、エルンちゃんをいたぶるなんて許せないわね。」


アイシュ「姉上?変な事はやめてくださいよ?シフェルム家は、サキュバス族の頂点に君臨する家柄なんですよ?下手に刺激して、直人に危害を及ぼす訳にはいきません。」


稲荷「わ、わかっているわよ。でも、ちょっとお仕置きも必要よね?」


アイシュ「そ、それがダメだと言っているのですが?」


稲荷「大丈夫よ♪サキュバスなんて、ちょっとマウントを取ってしまえば直ぐに堕ちる種族よ♪」


アイシュ「‥ま、まあ、確かにそうですが‥。」


稲荷「クスッ♪そうだ~♪良い事を思い付いたわ♪」


アイシュ「‥な、何でしょうか?内容によっては全力で阻止しますよ?」


危険を漂わせる稲荷の"良い事"に、

アイシュは冷静に身構える。


稲荷「コンコン♪ルシアちゃんのお仕置きをするのは決定として、私の邪魔をする悪い子達は、随時お仕置きをするってのはどうかしら?」


何とも自分事の様なルールに、

アイシュは、ため息をつきながら答える。


アイシュ「‥はぁ、そんな事をする暇があるなら仕事しますよ?」


稲荷「ふん、これを受け入れてくれないと働かないもん。」


アイシュ「それなら私は、金輪際(こんりんざい)姉上の手を貸したりしませんが、よろしいですか?」


稲荷「っ、い、いいもん♪ここから、私一人で‥。」


アイシュ「では、私は早速白備に、姉上の監視強化の徹底を伝えて来ます。もちろん、この結界は解かせてもらいます。」


稲荷「ふぇっ!?そ、そそ、そんな!?」


アイシュ「それが嫌なら、分かりますよね?」


結界の解放、監視体制の徹底。

昨日までアイシュの協力なしでは、どうする事もできなかった稲荷は、アイシュとの舌戦に大敗。そのまま軍門に降るのであった。


結果、

仕事をサボる事なく、しっかりこなす約束で、

お仕置き案は認められた。


ちなみにアイシュは、

やることをしっかりこなせば、

多少の行為は認めると言う、

若干、セキュリティに甘い一面がある。


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