表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/431

第三百二十三話 神隠しの始まり

ここまでの出来事を簡単に総括。


温泉の効能に(とろ)けた桜華に続き、

リフィルに対して"イチャ"ついた小頼は、長湯のせいで逆上せてしまい、三人はそのまま部屋に運ばれた。


それ以降三人は、同じ部屋で大人しく寝たきりの状態になるのであった。


その後、温泉街から戻った桃馬と憲明は、よく分からない光景に驚くも、事情を聞いた瞬間安堵し、心配、呆れなど、複雑な思いの中で看病に至ったのだった。




そして、ギール、ジェルドたちはと言うと、

意外にも何の外傷もなく楽しげに帰ってきていた。


しかし、

ヴィーレやシャル、そして駄犬が三匹いる中、

当然、そんなわけないと思うだろう。


そうです。実際は色々合ったんです。

今回は、たまたまWin-Winの感じになったため、仲良く過ごした様に見えているだけです。



ヴィーレと豆太は"おねしょた"プレイに走り。

それを見て興奮するシールとエルゼ。(腐女子属性としての興奮。)


そして今やストーカーの神となった犬神は、

希望の光(エルゼとの恋路)が、更に輝き始めた事に上機嫌であった。


一方で、残りのシャルたちは、

普通にプールで楽しんでいた。


そして、リールとエルンは、

温泉街から部屋に戻ると、

当然、直人と晴斗の姿はなく、

何となく察しながらも、ゆっくり過ごしていた。


最後に京骨とルシアだが‥、

結局二人は、人気(ひとけ)のない路地裏で、

ずっと愛し合っていたらしく、色々と搾られ()からびた京骨をルシアが(かつ)いで、妖楼郭へ帰還したと言う。


その後、ルシアは宿泊部屋にて、

三十分程度、京骨を追い込んだらしい。

こうなるとつくづく、サキュバスの彼氏は命懸けであると感じる。



そして時刻は十八時半。


初日からハイペースな一日を過ごした桃馬たちは、夕食を取るため各自動き出す。


妖楼郭一階の大広間にて、

一足先に直人と晴斗が待っていると思い、

桃馬と憲明が足早に向かうも、


そこには、

直人と晴斗の姿はなかった。



直人に至っては何となく予想がつくが、晴斗まで居ないのは(いささ)か心配であった。



桃馬「うーん、先に居ると思ったんだけどな。やっぱり、直人は来ないのかな。」


憲明「まあ、初日だからな。家族(稲荷)と過ごしてるんだろうよ。それより、晴斗が心配だよ。」


桃馬「そうだな、もしかしたら、猫耳の女の子‥えっと、確か千夜ちゃんだったかな?その子と一緒に居るなら良いのだけどな。」


憲明「ごくり、も、もしそうなら‥。まさか、お楽しみ中とか?」


桃馬「まあ、可能性はあるな。現に、ここに着いた時の熱々な様子を見る限り、それは十分にあり得るよ。‥ん?ちょっと、待てよ。そうなると、俺と晴斗は、ちょっと離れた親戚になるのか‥。」


憲明「‥た、確かに、でも気にする程でもないだろ?」


桃馬「まあ、確かにな。これは忘れておこう。」


こうして、二人が駄弁(だべ)っていると。

続々に"みんな"が集まって来た。


リール「うぅ~、やっぱり、直人がいないよ~。」


エルン「ふむぅ、仕方がないだろ?直人にだって、稲荷さんたちと久しぶりに食事をしたりと、家族と過ごしたいだろうからな。」


リール「で、でも、それなら、私たちも誘ってくれるよね?」


エルン「う、うむぅ。確かに、私もそうは思うが‥。いや、図々しい考えはやめておこう。もしかしたら、晴斗と共に手伝いをしてるだけかもしれないからな。」


リール「あ~、それはあり得るかもね♪」


エルン「それに、もし食事なら、稲荷さんから直々に誘われそうな気がするからな。」


リール「おぉ~、それも一理あるね♪」


二人の美女が、

都合の良い解釈をしている頃。


直人と晴斗はと言うと。

晴斗は、千夜と共に経理部にて、お手伝い中。

直人に至っては、未だに稲荷と就寝中であった。



更に一方で、

桃馬と合流したギールとジェルドは、

桃馬から漂う"雄犬"の匂いに反応し、瞬時に接近しては、平然と人前で、あちらこちら犬の様に嗅ぎ回っていた。


桃馬「お、おお、お前ら何してんだよ!?」


ギール「くんくん。桃馬‥お前‥、誰と浮気したんだ?」


ジェルド「‥この匂い‥、ポメ公と駄犬(ハスキー)の匂いだな。」


二匹のストーカー犬は、

桃馬から漂う知らない犬の匂いに、

かなりのジェラシーを感じていた。


それはまるで、

夫の浮気を察知した妻の様な感じであった。


ここで小話、

実は狼系獣人族の中には、

現実世界の犬や狼に、かなりの(けん)(犬)悪感(おうかん)を持っている者もおり、温厚な獣人族ならまだしも、ライバル視や嫉妬しやすい獣人族を恋人に持つと、一部ペット禁止になる上、接近禁止、更には、自らをペットとして求めるそうです。


そう、これにギールとジェルドが、

普通に当てはまります。


良い歳したイケメンが、一人の男を巡り、

たまたま遊んだ得体の知らない二匹の犬に嫉妬し、羨ましそうに、ご主人様にすり寄り始める。


桃馬「うっ、ふ、普通の犬と遊んだだけだろ?何が不満なんだよ?」


ギール「俺には遊んでくれないくせに‥、見ず知らずの犬には、構ってやるんだな。」


桃馬「い、いや、そう言う訳じゃ‥、向こうからすり寄ってきたら仕方ないだろ?」


ジェルド「ふーん、俺たちがやると嫌がるくせに、初見には優しいんだな。」


だぁ~、めんどくせぇ!

もう少し、どうして嫌がられるのかを考えないのか‥。今もそうだが、イケメンの姿で、普通に人前ですり寄られれば、誰でも嫌だろに‥。


せめて"ショタ"か犬の姿で、

すり寄ってくれれば良いが‥。


しかし、

例え構ったとしても、調子に乗って押し倒しに来ることは目に見えている。


押し倒すのは俺だけの特権だってのによ‥。


(いささ)か、

不純を匂わす桃馬の心の叫びは、

正直、駄犬の飼い主なら、飼い主もまた駄主(だしゅ)であると思える。



これには、隣で黙って見ている憲明は、

呆れながらも、いつもの光景に安堵する。




するとそこへ、

直人の弟である鴉天狗(からすてんぐ)(すばる)が、声をかけてきた。



昴「あれ?エルン姉さん、大広間の入り口で何してるのですか?」


エルン「あ、昴くんか。すまない。ちょっと、他のみんなを待っているだけなんだが、もしかして、邪魔だったかな?」


昴「あっ、いえいえ、ただ何してるのかな~って、気になったもので。」


エルン「あはは、確かにな。こんなに人が集まれば気になるのも無理もないか。」


昴「あはは、俺も要らぬ誤解をして申し訳ない。あ、そうだ、ついでに兄さんはどこにいますか?」


エルン「えっ?直人なら身内の用事とか言って、昼間からどこかに行ったと思うが?」


昴「っ!?そ、それは本当ですか!?」


エルン「あ、あぁ、恐らく稲荷さん繋がりだとは思うけど‥。」


耳を疑う様な話に、昴は嫌な予感を感じる。

完璧な監視体制の中だと言うのに、

警戒していた最悪の展開を臭わす事に動揺する。


そんなイケメンの動揺に、

一応姉の立場であるリールも話に参戦する。


リール「ふぇ?昴くん知らないのですか?私はてっきり、稲荷さんたちと食事をしているのかと思ってたけど?」


昴「い、いえ、そんな予定は聞いていません。ま、まずい‥、早く兄さんに伝えないと。あ、あの、お二人には悪いのですが、もし稲荷姉さんを見つけたら何もせずに、俺か他の兄弟に伝えてください。」


エルン「あ、あぁ、わかった。」


リール「も、もも、もしかして、直人‥ごくり、稲荷さんにずっと‥はわわ!?。」


昴「‥さ、最悪は‥あり得ますね。で、では、俺は仕事に戻りますので、これで。」


エルンとリールに取っては、

不安と心配が残る話になってしまったが、

何となく直人の居場所が分かったため、

それだけでも安心するのであった。



しかし、安心するのも束の間。

晴斗について、聞きそびれるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ