第三百二十一話 蕩ける展開
妖楼郭大浴場。
そこは微量の妖気を漂わし、
白く濁った"濁り温泉"として一目置かれる人気の温泉である。
ちなみに、日帰りでも可である。
そしてここ、大浴場女湯にて、
三人の美女たちが、ゆったりと浸かっていた。
リフィル「ふぇ~、やっぱり、気持ちいいれふぅ~♪」
桜華「はふぅ~♪最高ですね~♪」
スタイル抜群の二人が、
"ぬくぬく"と温泉に浸かっている中、
二人のスタイルに比べて少々劣る小頼が、
リフィルと桜華の胸を無言で凝視していた。
小頼「ジーー。」
しかし、桜華とリフィルは、
あまりにも気持ちが良い温泉に蕩けており、
視線に気づくどころか、完全に無防備の状態になっていた。
小頼に取っては、
ある意味最高の展開であった。
合法的に、二人の体を触れる事。
恵まれたスタイルを持つ者への嫌がらせ。
公共の場で堂々と調教する背徳感と罪悪感を味わいたいなど、ほぼ、穢れた私的なものであった。
そして運が良いことに、
今現在大浴場には人が少なく、
実行するにはうってつけであった。
そのため小頼は、三人の中でも一番スタイルの良いリフィルに迫った。
小頼「ふへぇ~♪リフィルちゃん~♪」
リフィル「ほえ?どうしたの小頼ちゃん?」
小頼「むふふ~♪えい♪」
リフィル「ふにゃ!?」
小頼は容赦なくリフィルの胸を鷲掴みにする。
桜華「ふぇ!?こ、小頼ちゃん何してるの!?」
とまあこんな感じで、
いきなり胸を鷲掴みにしようなら、
すぐにばれてしまう。
これでは、
背徳感や罪悪感など何一つも感じられない。
そこで小頼は考えた。
なぜ、ご丁寧にも温泉が白く濁っているのか。
それは、自分の様な変態のために、妖楼郭の皆さんが、わざわざ"入浴剤"を入れてカモフラージュをしてくれているのだと。
そんなお心遣いに応えるためにも、
焦らずゆっくりとリフィルを責めてやるのだ。
捕捉。
白く濁っているは、にごり湯と言い。
決して入浴剤ではなく、温泉成分によって白く濁っている天然物です。
そのため、妖楼郭の皆さんが、
小頼の様な変態のために、意図的に仕組んだわけではありません。小頼の行き過ぎた妄想です。
話は戻し、
小頼は早速、白く濁った温泉を良いことに、
左手でリフィルの脚を触る。
リフィル「んっ、ふぇ?あれ?何か、脚に当たった気が‥。」
小頼「えっ?当たったって、何が??」
リフィル「うーん、気のせいかな‥?」
この調子で小頼は、
嫌らしくリフィルの脚を"じわじわ"と触っては、直ぐに離して惚けると言う行為を繰り返した。
さすがのリフィルも、
"ハァハァ"と興奮する小頼を怪しんでいるが、
温泉の気持ち良さと微量の妖気のせいで、
徐々に思考が鈍り、触られてる感覚すらも分からなくなっていた。
しかも桜華は、完全に蕩け始めていたため、
リフィルの反応に全く気づいていなかった。
ある意味、桜華は食べ頃である。
そんなリフィルに取って、
ある意味ピンチを迎えている時に、
弱々しい声で小頼に声をかける。
リフィル「はぁはぁ‥、こ、小頼ちゃん‥。」
小頼「うーん?どうしたのリフィルちゃん?」
リフィル「はぁはぁ‥、さ、さっきから、わ、私の脚を触ってるの‥小頼ちゃん‥だよね。」
リフィルの弱々しい声に、
小頼は、待っていたと言わんばかりに、
笑みを浮かべ、第二プランへと移行した。
小頼「クスッ、だったら何かな~♪」
リフィル「んんっ~//」
そう、胸攻めである。
小頼の予想通り、温泉に蕩け、妖気によって思考が低下しているリフィルは、大きな声を出さず甘い声を漏らした。
この反応に小頼は、凄まじい背徳感を味わった。大切な友だちを人がいる公共の場で、変態行為に及び感じさせてしまっている。
これにより、小頼の暴走は更に加速する。
重点的に胸を責めては、
リフィルの長い耳を甘噛みし、
周囲の目を気にしながら愚行に走る。
その後、
どこまで発展したのかは分からないが、
結局三人は、逆上せて浮かんでいるところを他のお客さんに発見され、部屋に運ばれるのであった。
その頃、
温泉街へ出掛けた桃馬と憲明は‥。
湯畑の下流部にいた。
温泉が滝の様に落ちる光景は、
不思議と桃馬の心を釘付けにし、
前のめりで凭れ掛かっていた。
桃馬「いや~、ずっと見てられるな。」
憲明「あ、あぁ。ゴクリ、な、なあ、桃馬?」
桃馬「なんだ?憲明?」
風情ある光景を見つめる桃馬に対して、
背中で凭れ掛かる憲明は、別の方を見ていた。
憲明の視線には、
真っ白い大福の様な真ん丸な"ポメ公"と
野生の牙を抜かれ優しそうな表情をしているハスキーがいた。
憲明「えっと、さっきからずっと白い"モコモコ"とハスキー見たいなのが、こっちを見てるんだけど‥。」
桃馬「ん?っ!ほ、本当だ。‥あ、あまり、み、見るな。寄ってくるかもしれないだろ?。」
興味そそる憲明の言葉に釣られて振り向くと、
確かに"もふり"たくなるようなポメ公とハスキーがこちらを見ていた。
様子から見て、脱走か、それとも放し飼いでもしているのか。近くに飼い主らしきひと人も居らず、立派な首輪をつけては、周囲の視線を集めていた。
憲明「う、うん‥そうだな。でも俺は、完全に目が合っている。っ!おっ、どうちた~♪おまえ~♪」
白い大福みたいな"ふわふわ"が、
憲明に近寄って来ると、憲明は一瞬で蕩け始めた。
桃馬「あぁ~、来ちゃったよ‥。変に懐かれるなよ?この子には、飼い主がいるんだから。」
憲明「わかってるよ♪ふへぇ~♪もふさら~♪この"大福"は最高だな~♪」
桃馬「はぁ、だめだこりゃ。取りあえず、今回の旅行には、ジェルドとギールも居るんだ。変な誤解を与えないように気を付けろよ?」
憲明「わかってるよ~♪てかそれより、俺がいくら犬と戯れても、あの二人が動くわけないだろ?あの二人の目当ては桃馬なんだからな?」
桃馬「うぐっ、た、確かにそうだが、いらん誤解が生まれて捲き込まれたくないんだよ。」
憲明「はいはい、それも込みで気を付けるよ。」
実際桃馬も、頗る程"もふり"たい気持ちはある。しかし、あの二匹がいるため、触りたくても触れないのだ。
そんな葛藤をしていると、
誰かに左手を舐められる。
桃馬「うわっ!?って、お前は、あそこにいたハスキーか‥何の用だよ?餌はないぞ?。」
さすがに、あの二匹の様に、
強く追い返すのは可哀想なため、
桃馬は丁重に追い返そうとする。
ハスキー「ジーー。」
しかし、ハスキーは、
食べ物でも求めているのか分からないが、
ずっと桃馬をガン見している。
憲明「あはは、桃馬って、不思議と狼よりの犬に好かれるよな♪もしかしたら、ギールかジェルドの匂いにでも反応してるんじゃないのか?」
桃馬「っ‥そ、そう言われると‥、確かに。」
憲明の指摘に納得していると、
ハスキーは、桃馬の足下で"うろうろ"しては"すり寄り"、簡易的なマーキングをする。
憲明「にしても、何もしてないのに完全に懐かれたな?」
桃馬「何感心してるんだ。こうなったら、飼い主を探して回収してもらうしかないよ。」
憲明「えー?もう匂いを付けられたんだし、構ってやれよ?」
桃馬「他人事みたいに言いやがって‥。うぐっ、はぁ、わ、わかったよ。」
とうとう、折れた桃馬は、
ハスキーを思う存分もふり倒すのだった。
その後、
ポメ公とハスキーは、
満足そうに二人から去って行った。