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第三百三話 特別記念話 天下覇道編 12

残るは、二組の決闘である。


次に動いたのは、


リフィル・ナーシェル対

シャル・イヴェルア・フォルト

ディノ・フェルトの戦いであった。


注目としては、スライムであるディノが、

情け容赦なくリフィルの体に絡み付き、衣服を溶かしては、リフィルのお口にスライム状の触手をぶちこみ、(あえ)がせるシーンを多くの腐男女たちが望んでいた。


しかし、本大会には天皇陛下を始め、中田栄角首相、春桜学園校長上杉 成陰(なりかげ)、そして信潟県のラスボス小林幸恵(こばやしさちえ)などの多くの人たちが見ているため、望み薄であった。



シャル「うむぅ、やはりリフィルはしぶといのだ‥。なら、魔王としての力を解き放ち一気に決めてやろう!」


ディノ「っ!?シャル様!?それはダメですよ!?兄さんとの約束じゃないですか!?」


シャル「うっ!ぐぬぬ~。」


リフィル「クスッ♪そうそう、こんなところでそんな力を使ったら大変なことになるからね~♪」


大幅な力の制限をかけられ、

これ以上本気を出せないシャルに、

リフィルは煽るかの様に挑発する。


悔しい思いをするシャルであるが、

実際、ギールに駄々をこねてまで、エントリーした事もあり、ここで約束を破れば家から追い出される可能性があるため、本気が出せないのだ。


しかしこのままでは、

確実にリフィルに屈してしまう。


シャルは対策を考える。


シャル「むう、"エッチな"‥。」


ディノ「エッチな技を使ったら退場ですよ?」


シャル「っ!?」


五文字も満たない言葉で、

瞬時に察したディノが注意を促す。


するとシャルは、

臣下にして弟であるディノに、

心を読まれたことに驚く。


シャル「む、むぅ~。ディノよ!何とかするのだ!」


万策尽きたシャルは、

とうとうディノにすがりだした。


ディノ「わかりました。それでは、私がリフィルさんの脚を止めますので、その隙に。」


シャル「う、うむ!妙案なのへぶっ!?」


ディノ「えっ?ふげっ!?」


突如二人の後頭部に光の矢が刺さる。



リフィル「もう~、よそ見しちゃダメでしょ?それに、作戦タイム長すぎるわよ?」



シャルがエッチな手法に出ようとした辺りから、二人の視線はリフィルから離れており、

その隙にリフィルは、二人の真上目掛けて二本の光の矢を放っていたのだ。


エニカ以上にあっけない二人のリタイヤに、ギールは加茂と豆太と共に、予想通りの展開にため息をついていた。


ましてギールは、

シャルがいなければ、ディノが一回戦を勝ち上がっていたのだと思うのだった。


一方、不服に思う犬神は、

"わんわん"と吠えていた。


犬神「こら~!リフィル~!今のは卑怯だろ!?」


ギール「はいはい、お前は大人しくしていろっと!」


犬神「ほげ!?」


騒ぎ立ててはヤジを飛ばす犬神に、

ギールは容赦なく尻尾を握った。


犬神は、いつも通りそのまま脱力して、

ショタ犬らしく、痙攣するのであった。



そして、最後の一組、

一時は、"ガチ"の変態染みた応援をする新発田孔真に、応援されている麗羅と相手の桜華の戦意を落とすと言う神業を見せつけていた。


それからと言うもの、麗羅(れいら)の直々の注意により、過激な応援から普通の応援へと変わっていった。



その後、数分の時間は費やしたが、

再びやる気を取り戻した麗羅と桜華は、

一歩も引かない試合をしていた。


麗羅が放つ氷技に、桜華は桜の花弁の幻影を舞わせながら華麗に斬り刻んでいた。

氷の結晶と桜の花弁が舞う空間は、

まさに幻想的であった。


しかし、

戦いが長くなるにつれて、

麗羅の体力が大幅に消耗されていく。


麗羅「はぁはぁ‥。」


桜華「れ、麗羅ちゃん?大丈夫?」


徐々に息が上がり、

汗が(したた)り落ち始める麗羅の姿に、

桜華は心配する。


雪女である麗羅は、

長時間の激しい運動ができないため、

今の状態でもドクターストップをかけるところである。


麗羅「だ、大丈夫‥、はぁはぁ、あ、あと五分は行けます!」


限界が近いと分かっていながらも、

薙刀を握り直して戦う姿勢を見せる。


桜華「麗羅ちゃん‥。」


桜華も何とか早く決着を着けようと、

刀に力を込める。


しかし‥。


"クスッ‥、健気で可愛い子ね‥"。


桜華「っ!」


突如脳裏から、

母、藤霞(ふじか)の魂が、

娘の桜華に語りかける。


"お、お母様、駄目です!?今出てきては!?"


体の主導権を取ろうとする母に、

桜華は必死で抵抗する。


"クスッ、良いのかしら?このまま、あの子を戦わせたら暴走するわよ?"


"ぼ、暴走?ど、どうしてですか‥。"


母の忠告とも聞こえる話に、

桜華は耳を傾ける。


"桜華は、雪女はクールで大人しくて、熱に弱い種族ってことは知ってるわよね?"


"そ、そのくらいわかってますよ?"


"それじゃあ、その熱とはどこまでが限界かしら?"


"えっ、そ、それは‥。"


確かに聞かれてみれば、わからない事である。

雪女の熱に対する基準、個体差もありバラバラなのだ。


"クスッ、答えは汗が出始めた瞬間よ。"


"っ、そ、それじゃあ、麗羅ちゃんは‥。"


"かなり危険よ。それにあの子は負けず嫌い見たいな様だし、限界と分かっていても無理してる見たいね"


母の言うことが本当なら、

今の麗羅は恐らく"熱中症"になっている。


それなら余計に、

急いで決着をつけないといけない。


桜華は早期決着の焦りが出始めると、

肩に力が入る。


すると、これはまずいと感じた藤霞が、

桜華の体に強引に入り込む。


すると、桜色の髪がパープル色へと代わり、

桜華様が降臨する。



母、藤霞が語りかけてからここまで、

わずか二秒の事である。


これには、桃馬も席を立ち心配し始める。


桃馬(ど、どうして、藤霞さんが!?)


憲明「おおっ!桜華が本気出したな!」


桃馬「あ、あぁ‥、(まさか、自分も参加したかったのか。)」


当然何も知らない桃馬は、

的外れな想像をするのであった。




麗羅「はぁはぁ、桜華もいよいよ‥だね。」


桜華様「クスッ‥、麗羅ちゃんは少し頑張りすぎよ♪」


麗羅「わ、私は‥まだ‥‥ふぇ?」


とうとう、視界までぼやけ体がふらつく中、

気づいた時には目の前にいた桜華様が、

背後に回っていた。


桜華様「クスッ‥武器を下ろしなさい。孔真くんを悲しませてまで得る勝利はないわよ。ふぅ~、」


桜華様は、麗羅の耳元で囁くと、

優しい花の香りの息を吹き掛ける。


すると、麗羅は薙刀から手を離しぐったりと眠りについた。


桜華様「クスッ、試合の勝敗は暴力だけじゃないわよね♪」


映果「おおっと、な、何が起きたんだ!?突如桜華様が現れたかと思えば、優しく麗羅を眠らせたぁぁ!」


思っていた以上に、

優しい攻撃に会場は唖然とするも、

会場中に優しい花の香りが広がると、

暴走気味でもあった盛り上がりが、

少しばかり落ち着いた。


すると、

桜華様は早速、映果に医療班の手配をお願いする。


桜華様「映果ちゃん、急いで医療班をこっちに回してもらえるかしら?麗羅ちゃん重度の熱中症かもしれないから。」


映果「な、なんですと!?い、医療班!急いでくださーい!」



桜華様の対応に、麗羅は医務室へと運ばれた。

結果は思った通り熱中症であった。

しかも、理性が飛ぶ寸前であったと言う。


これには当然、

孔真も血相を変えて駆けつけては、

看病したそうな。


これにより、

一回戦第五試合の勝者は、


シルフィーナ・コードルト

アリシア・ダクリネス

リフィル・ナーシェル

柿崎桜華 となった。


すると、会場の盛り上がり方を見て、

危険と見た大会委員会は、三十分間の休憩を提示したのだった。



次回、不明!

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