第三百一話 特別記念話 天下覇道編 10
(祝)三百話記念
最強を決める大戦が幕をあける。
詳細は百話、百二十二話、百四十九話,百五十話百八十七話、二百話、二百二十四話、二百五十話、二百八十七話をご覧下さい。
女子だけの一大決戦にして、
壮絶な一回戦五試合。
主な面子は至って豪華であった。
エニカ・リブル
柿崎桜華
アリシア・ダクリネス
シャル・イヴェルア・フォルト
リフィル・ナーシェル
妙高院麗羅
シルフィーナ・コードルト
新潟時奈
ディノ・フォルト (男の娘枠)
一人男の娘が混ざっているが、
彼女たちの華麗な戦いは、一歩も譲らない激しいものであった。
しかも場外からは、
今まで以上の応援が響き渡り、
サッカーの大会並みの歓声が響き渡った。
しかし、その応援の中でも、
"ガチ"過ぎる故に徐々に応援される側へ、
色んなダメージを負わせる者もいるわけで‥。
桜華「うぅ、麗羅ちゃんへの応援が凄い‥。」
麗羅「うぅ‥もう孔真ったら‥、恥ずかしいよ~//。」
最初は活力をもらっていた麗羅であったが、
孔真と式神による、過剰な応援が祟り赤面していた。
まあ、小頼商会から購入した麗羅の盗撮写真を、段幕にプリントして掲げているのだ、そりゃあ、赤面するわけである。
相手の桜華もドン引きのあまり、
戦意が落ちていた。
これには桃馬も、
過剰に応援する孔真に異議を唱える。
桃馬「おい!この変態陰陽師!今すぐその変態染みた応援をやめろ!」
孔真「っ!な、何だと!?これのどこが変態だって言うんだ!」
桃馬「全部だよ!バカたれが!?」
麗羅ラブの孔真は完全に暴走しており、
物事の良し悪しについての機能が、完全にエラーを起こしていた。
そのため、
バグり始めている孔真は、
更なる妄想を掻き立てる。
孔真「ほう~、なるほど、そう言うことか‥。」
桃馬「な、なんだよ?」
孔真「ふっ、桃馬よ‥、お前‥桜華が負けるのが怖いのだな!」
桃馬「っ!」
孔真「あはは、やはりそうか!我らの応援は凄いからな~!そう思うのも仕方がない。」
挑発的な物言いに、
桃馬は思わず場外乱闘を考えるも、
拳に力を入れて耐えるのだった。
桃馬「ふっ‥桜華が負けるだと?あり得ないな。確かに、麗羅は強いが‥、本気の桜華に勝てると思うなよ?」
孔真「ほう‥なら、見せてもら‥。」
麗羅「こ、孔真!」
互いに彼女自慢をする中、
突如、乙女の戦場から孔真を呼ぶ声が響く。
孔真「っ、麗羅?どうした?もしかして、決着が着いたのか?」
麗羅「ま、まだ着いてないけど‥その、も、もう少し応援を控えてほしいの!」
孔真「なっ!?なんだと!?」
孔真にとって衝撃的な指摘に、
桃馬も近くの観客も頷くのであった。
そりゃあ、麗羅にとってみれば、
チアガール姿、水着姿、おやすみ姿などの段幕を交互に出されたら、試合どころではない。
単なる辱しめである。
孔真は麗羅の指摘に、
渋々受け入れると、段幕を式神に片付けさせ、
一応普通の応援に戻るのであった。
桃馬「ふぅ、ずっと、そんな応援して入ればいいものの‥。それにしても、孔真にそんな趣味があるとはな‥。」
桃馬は、そんな変態陰陽師に少々呆れるも、
麗羅の可愛らしい段幕のレパートリーについては称賛するのだった。
さすが、小頼商会に毒された同士である。
そして、
視点は乙女の戦場に戻し、
春桜学園副会長のシルフィーナと、生徒会長の新潟時奈の一戦に変化が起き始めていた。
腰まで伸びた金髪ポニーテールと黒髪ロングの美女が振るう剣技は、誰よりも激しく誰が勝つのか、分からないくらいであった。
しかし、
戦っているシルフィーナは気づいていた。
時奈が、"私"のペースに合わせていることに。
シルフィーナ「くっ!はぁはぁ、どうして、私に合わせるのですか!」
時奈「ん?別に合わせてはいないが?」
シルフィーナの質問に対して、時奈は前を向いて答えた。しかし実際の時奈の視線は、シルフィーナの足下辺りを見ていた。
くっ、どうしていつも時奈に勝てないのだ。
どんなに修行をしても‥、それ程まで、私と時奈には差があると言うのか。
あらゆる型を試しても動じない時奈に対して、
次第に劣等感を植え付けられるのだった。
しかし、
剣の腕では、確実にシルフィーナの方が上である事は間違いない。ではなぜ時奈に勝てないのか。
それには、皮肉な話があった。
そう時奈は、
シルフィーナの事が色んな意味で好きなのだ。
そのため、不思議と細かな動きでも簡単に読むことができ、シルフィーナを徐々に追い詰める事ができていた。
時奈が、視線を下に向けていたのも、
すらりとした美脚に、整った腰と胸を‥。
そして首筋と顔と髪をじっくり見るための行動であった。
更に時奈は、シルフィーナの恋人である"柏崎岬"が、彼女をどんな風に押し倒すのか、どこに何をするのかなど、卑猥な想像をしながら戦っていたため、
シルフィーナは、時奈の動きを読めないのであつた。
シルフィーナ「くっ、ならば‥この技を使いましょう。」
時奈「っ!」
一度、刀を鞘に納めると抜刀の型を作る。
すると、時奈は反応する。
時奈の位置から見える、
シルフィーナの白く綺麗に強調された胸の谷間。
二年前の決闘で経験はあるが、
もう一度あの胸の谷間に手を入れたいと願うのであった。
時奈「ふっ、やっぱりシルフィーナは最高ね♪」
瞳の中で輝くシルフィーナに、
とうとう、我慢できなくなった時奈は、この一戦を早く終わらせて、早くイチャつこうと刀を構えて真面目モードになる。
がしかし、これが敗因の素になり。
煩悩まみれで読めなかった行動が、はっきりと見える様になり、高速一閃で"変態生徒会長"新潟時奈は撃破されたのだった。
なんとも決着の着き方が、
味気無いものであった。