第二百八十七話 特別記念話 天下覇道編 9
(祝)PV15000記念
最強を決める大戦が幕をあける。
詳細は百話、百二十二話、百四十九話,百五十話百八十七話、二百話、二百二十四話、二百五十話をご覧下さい。
あわや死人が出ると思われた一回戦第四試合は、行き過ぎたプレイにより相川葵、渡邉蒼喜、二条実光の三人は反則負けを言い渡された。
結果、
シェリルとリーファが、準決へと駒を進めた。
そして、次なる第五試合目は、
世紀のヒロイン対決へと発展する。
映果「皆様長らくお待たせいたしました!いよいよ、美女だらけの世紀の一戦が始まります!ここまで、むさ苦しい一戦、トラブルだらけの一戦、はたまた、危険すぎる一戦からの箸休め、いざ、登場してもらいましょう!至極のヒロインたちに!」
映果の開幕合図から、
会場中の明かりが一瞬にして暗転する。
すると、
大型モニターから心踊るようなサウンドと共に、対戦カードが出された。
エニカ・リブル
柿崎桜華
アリシア・ダクリネス
シャル・イヴェルア・フォルト
リフィル・ナーシェル
妙高院麗羅
シルフィーナ・コードルト
新潟時奈
ディノ・フォルト
など。
ちゃっかりディノまで、
ヒロイン対決に捲き込まれており、
ディノの名前が出された瞬間、会場から気が狂うほどの大歓声が木霊した。
本来女の子しか出れないはずのこの一戦。
ヒラヒラなスカートを身に付け、恥ずかしそうにしている素振りに、ディノの"男の娘"事情を知る者共は、その目に力を入れながら大歓迎するのであった。
ディノ「うぅ、なんで私まで‥。」
シャル「ぬはは~♪良く似合っているぞディノよ~♪」
ディノ「ちゃっ、茶化さないでくださいよ!?」
純粋度百パーセントの仕草に、
目の前の"男の娘"に萌える者共は、
次々と失神し始める。
桜華「はわわっ、緊張します‥。」
麗羅「わ、私も緊張しまふっ!はうっ‥//(噛んじゃった‥。)」
リフィル「二人とも~、気を張りすぎだよ~♪いつもみたいに気を楽にしなよ♪」
桜華「うぅ、と、桃馬に見られていると思うと‥急に気が乱れちゃうよ~。」
お手本に近い三人のヒロインは、
互いに声を掛け合ってベストを尽くそうとする。
一方で、
このグループで一番好戦的な一人の姫様は、
この中で一番厄介と感じるお姫様に対して決闘を申し込んでいた。
エニカ「アリシアさん、最初に私と勝負してくれませんか?」
アリシア「えっ?私とですか?」
エニカ「はい、実は、貴女からルイと同じ覇気を感じますので‥、一戦お手合わせをと‥。」
アリシア「はい♪私で良ければいいですよ♪」
エニカの申し出に、
アリシアは嫌な顔せず応じた。
むしろアリシアからしてみれば、
望むところの話でもあった。
互いに微笑みながらも握手をする二人の赤髪美女。果たして、勝敗の軍配はどちらに上がるのか‥。
そして最後は。
春桜学園の生徒会長である新潟時奈と、
春桜学園副会長にして臨界制生徒会長である、
シルフィーナが互いに向き合っていた、
時奈「クスッ、まさかこの様なところで、シルと戦えるなんてな。」
シルフィーナ「ふっ、私もだ。久々に時奈と手合わせができる日が来て嬉しいぞ。」
時奈「クスッ、生徒会選挙以来だもんな~♪」
シルフィーナ「あぁ‥、あの時は不覚を取ったが‥、今はあの時みたいにはいかないぞ?」
時奈「確かにその様だな。でも、私も易々とはやられないからな?例え‥不幸に愛された"柏崎岬"が見ていたとしてもな。」
シルフィーナ「ふっ、不幸に愛されているか。確かに、岬は一年の時から不幸体質だな。でも、その分受けた不幸に準じて見返りを得る特異体質でもある‥。まあ、極端な運の持ち主だがな。」
時奈「‥さすが、隠れて約二年間恋人関係を築いたこともあって詳しいな。」
シルフィーナ「っ、言い方に気を付けろ‥。誤解されるだろうが。」
時奈「はいはい、じゃあ、岬には悪いけど、愛する彼女が"ボコボコ"に"リョナ"されるところを見せつけちゃおうかな。」
シルフィーナ「‥相変わらず歪んだ性格だな。」
時奈「いやはや~♪そう誉めなくても~♪」
シルフィーナ「誉めてないぞ。」
運良く観客には聞かれてはいないが、
学園トップの会話にしては、極めて品のない会話であった。
第五試合目の主役たちが揃うと、
映果から試合開始の合図が仕切られる。
映果「それでは、戦場に舞いられしヒロインたちよ!その力を存分に示したもう!試合開始!」
高らかに鳴る銅鑼の音と共に、
第五試合目が切って落とされた。
観客席からは、ヒロインへの応援が強まり、
声を高らかに吠えていた。
特に、
麗羅の応援は凄まじいものであった。
孔真「麗羅~!無理せず頑張ってくれ~!式たちも見守ってるからよ~!」
継丸「麗羅様~!ご武運を~!」
新発田孔真は、出せる式を全て出し、
応援団規模で麗羅を鼓舞した。
太鼓や大旗や小さな旗を振り回し、
その規模はサッカーチームのサポーターレベルである。
さすがの"ガチ勢"に、
まわりもドン引くのだった。
豆太「む、向こうは凄い応援ですね。」
ギール「さ、さすが、麗羅一筋の変態だな‥。自分の番が来る前に、あんなに式神を出すとは‥、ここで果てる気かよ。」
桃馬「それなら、相変わらずの嫁バカだな。」
憲明「麗羅ちゃんも逆にやりづらいだろうな。」
"ガチ"過ぎる応援に、
桃馬たちの外野は、麗羅に同情するのだった。
ジェルド「恋人のためなら、その力すらも惜しまないか。」
ギール「それって、ドーピングじゃないか?」
豆太「た、確かに‥。」
更には、
暴走する孔真の応援に、
麗羅へのドーピングが疑われ始めた。
しかし、
例え、ドーピング行為を働いたとしても、防御結界が即座に反応して、レッドカードを言い渡す様になっている。
それがないことは、
シンプルに応援だけをしている様だ。
桃馬たちは、視線を試合場へと戻すと、
そこには氷の薙刀を持った麗羅が、桜華と互角に渡り合っている光景が広がっていた。
麗羅「はぁぁっ!」
桜華「っ!や、やるね麗羅ちゃん!」
麗羅「みんながここまで応援してくれてるのです!私もそれに答えたいですからね!」
桜華「っ!(どうしよう、麗羅ちゃんの動きが全然読めない‥。)」
麗羅「はぁはぁ、それっ!」
麗羅は一切の隙を見せず、
桜華の攻めの一手を譲らなかった。
しかも薙刀と言うリーチもあり、
懐に入る隙や余裕もない桜華は、
大苦戦を強いられた。
一方その近くでは、
シャルとリフィルが対峙していた。
シャル「ぬはは!リフィルよ!今までは味方であったが、今日は直々に余が相手してやるのだ!」
リフィル「クスッ、まさかシャルちゃんに目をつけられるとは、相手がいなかったのかな?」
シャル「ち、ちちっ、ちがうのだ!他の女子たちが、弱くて相手がいないだけなのだ!」
リフィルが辺りを一瞬だけ見渡すと、
早くも半数以上は脱落していた。
リフィル「なるほどね!なら、私が相手をしてあげますよ」
リフィルは一気に模擬矢を三本取り出し、
瞬時に、シャルへ向けて放った。
シャル「よっと、そんな物、当たるわけが‥ほげっ!?」
放たれた三本の矢を簡単に交わしたシャルは、反撃に出ようとすると、急に背後からリフィルが放った模擬矢が、軌道を変えてシャルに襲い掛かった。
リフィル「クスッ♪油断しちゃダメだよ~♪弓の使い手には、軌道を操れる人もいるんだからね♪」
シャル「ふへぇ~。」
三本の模擬矢が、詰めの甘いシャルに刺さり、
優勝候補かと思われたシャルが、かなり早い段階でリタイヤした。
ギール「っ!?な、何してるんだ!?」
豆太「はわわ!?な、何が起きたのでしょうか!?」
シャルの応援団は、
突然過ぎる出来事に驚いていた。
あんなに、たかをくくっていたシャルが、
こんなにもあっさり終わるとは想像してはいなかった。
そんなギールと豆太は、
予想外すぎる結果に落胆し腰を下ろした。
しかし直ぐに、
やられたはずのシャルの体に違和感が起きた。
突如、シャルの体がスライム状になり、
油断したリフィルの背後から、魔弾が撃ち込まれた。
リフィル「ふにゅっ!?」
シャル「ぬはは~♪残念だったなリフィル~♪お主を攻撃したのはディノなのだ~♪」
ディノ「うぅ、卑怯な気がしますが一応成功ですね。」
リフィル「むぅ~、悔しい~。完全に油断した~。」
完全に一本取られたリフィルは、
悔しそうにしていた。
これにはギールと豆太も、
落胆から希望へと変わるのであった。
しかし、ここで問題が発生。
審判団が今のプレイを審議し始めたのだ。
ルール上、身代わり行為はグレーゾーンで、
タッグでの際は、変装しての攻撃は禁止とあった。
しかし、今回は、攻撃と言うよりシャルに変身したディノが、一方的にやられ、変身を解いた後に攻撃をしていたためセーフとなった。
一方でディノは、完全にやられていたのではないと判断され、このまま復帰して良いのかで分かれていた。
結果は、
戦闘不能に陥っていないことで、
ディノはこのまま継続となった。
そのため、
リフィルも同様に試合に戻り、
一対二と言う展開となった。
次回、三百話記念にて
お楽しみに!