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第二百八十三話 牛歩の道のり

無事に駅の外に出た小頼たちは、

女の子たちは"ウキウキ"状態で先行していた。


その一方で後方にいる三人の男たちは、

重い荷物を任され、折り畳み式の"ガラガラ"に乗せ、後を追おうとしていた。


ギール「ふぅ、こんな時のために"ガラガラ"付きのクーラーボックスを持ってきて正解だったな。」


京骨「はぁはぁ、確かにな。それより、中越駅の改札が二階にあるとは思わなかったよ。しかも外に出るのに、また階段を降りるって‥、腕と肩が痛い。」


ジェルド「うーん、それに加えて会場は一キロ先にあるんだもんな。"これ"がなかったらある意味トレーニングだな。」


京骨「ほんとだよ‥はぁ、いっそのこと"がしゃどくろ"の姿になれば軽いんだけどな。」


ギール「そう言うな京骨、もしがしゃどくろになってしまったら、街は大混乱するぞ?」


京骨「わ、わかってるよ。はぁ、この姿だと非力だから情けないよ。よっと」


一人一つ任せられたクーラーボックスは、

おそらく、十五から二十キロくらい入る大きめの物であった。


そのためギールとジェルドは容易く持てていたが、身長が少し低くて非力な京骨に取っては、少々骨が折れそうな物でもあった。

※骨妖怪だけに‥。


とまあ、難所の階段はもう越えたため、

後は引きずりながら歩くだけである。


三人の男たちはクーラーボックスを"ガラガラ"と引っ張ると、先行する女の子たちを追った。



そして先行する女の子たちは、

シャルを筆頭にもふもふの行進をしていた。


シャル「花火~♪花火~♪」


シール「花火~♪花火~♪」


エルゼ「花火~♪花火~♪」


豆太「さ、三人共!?そんな前に出てしまうと、はぐれてしまいますよ!?」


ディノ「そ、そうです!人も多いのですから、小頼さんから離れては行けませんよ!?どこに行けば良いのか、シャル様はわからないでしょ?」


楽しそうに先行する始める三人に、

ディノと豆太は必死に注意を促していた。


シャル「むっ?そう言われればそうなのだ。よーし、二人とも少し後退なのだ!」


エルゼ「はーい♪」


シール「わん♪」


シャル「ふへぇ~♪うい奴なのだ~♪」


人混みの中で堂々と愛らしい二匹をもふり始めるシャル。本来通行人の邪魔になる行為だが、すれ違う大半の人からは"可愛い"と、言われほのぼのしい声をかけられていた。



小頼「あはは‥、あの二人を盾にしたら冷酷な人以外は誰も責められないよね。」


ルシア「クスッ♪ほんと可愛いわね♪」


犬神「わふぅ~。」


加茂「ふへぇ~♪皆さん凄く輝いてます~♪」


癒されているシャルに、

ディノと豆太も駆けつけ、まさに平和その物と言わんばかりの光景が作られていた。


まあ、おそらく、

身長が低い子達だからこそ、

そう見えるのかも知れないが、


とにかく‥癒される光景である。


しかし、そんな光景でも、

犬神だけは素直に喜べていなかった。



あの悲劇とも言える納涼祭の一件から、

未だに、エルゼから許してもらえず、

未だに、会話すらもできていない。


近くに居させてもらえるだけでも、

嬉しいことだが、話せないとなると生殺しである。



するとそこへ、

ギールたちが追い付いてくる。


ギール「ん?小頼たち、何突っ立っているんだよ?」


京骨「も、もしかしてナンパされたか?」


ジェルド「っ!だ、誰にだ!?」


ようやく追い付いた三人の男たちは、

人混みの中で突っ立っている小頼たちを見るや、京骨の冗談にジェルドが要らぬ誤解をし始める。


小頼「ばかね~、そんな分けないでしょ?あれを見なさいよ。」


ジェルド「あ、あれって?ん?」


ギール「何してるんだ?あの五人は?」


京骨「‥新たなパフォーマンスか?」


小頼「違うわよ~、シャルちゃんが"もふもふ"してるだけの癒される光景よ♪」


ルシア「すれ違う人たちが、みんな"ニヤニヤ"して喜んでるから面白いわ♪」


ギール「‥えっと、表現は犯罪的だけど‥。狙われてる訳じゃないんだよな?もし違うなら、出るとこはでないといけないし‥。」


ジェルド「‥エルゼをそんな目で見るやつがいるとは‥、全員絞めるしかないか。」


徐々に利口になっていくギールと、

変わらず"シスコン"で"アホの子"まっしぐらのジェルド。


二匹の格差がまた開いていった。



小頼「こーら、そんな事言わないの?ルシアちゃんも誤解させちゃダメでしょ?」


ルシア「クスッ、ごめんね♪でも、少しは注意した方がいいわよ?この世に完璧な安全はないんだからね。」


ギール「‥そ、そうだな。」


ジェルド「う、う~ん、ま、まあ取りあえず、この先も人が多くなるんだろ?はぐれないように集団で行こう。」


京骨「てか、俺たち‥。小頼を見失ったらほぼ終わりなんだよな。この辺りの土地勘はないし、はぐれたら変なところに行きそうだよ。」


小頼「大丈夫よ♪だって、スマホあるでしょ?」


京骨「あ、あるけど‥。それでも迷いそうだよ。」


ギール「‥確かにな、俺もこんなに人が多いと鼻も利かないしな。」


ジェルド「‥位置を教えてもらっても、人に押し流されるかもしれないしな。」


意外にも慣れない土地に不安が募る三人。

便利アイテムスマホがあったとしても、心細く感じるのであった。


ギール「ま、まあ、俺たちが迷子になったとして、問題はシャルたち五人とはぐれることが一番怖いよ。」


ジェルド「だな。エルゼならチョコバナナとかフランクフルトに釣られて知らない人に着いていくかもしれないしな。」


京骨「‥ディノと豆太以外三人に当てはまる内容だな。」




妄想。

エルゼとシールの場合。


知らない人「ねぇねぇ、お嬢ちゃん?おじさんがチョコバナナ食べさせてあげるからちょっと来てくれるかな♪」


エルゼ&シール「わふぅ~♪」



その後、


エルゼ&シール「ふぁ~ん♪はむはむ♪。」



なんとも言えない可愛い表情で、

チョコバナナを咥える二人の姿に、


ギールは、ほっこりする中、

ジェルドは、何を考えているのか半分キレていた。



シャルの場合。


知らない人「お嬢ちゃん、チョコバナナ食べるかい?おじさんが買ってあげるからついておいで。」


シャル「本当なのか!?それじゃあ、お言葉に甘えるのだ~♪」



その後、

路地裏から激おこで出てくるシャルを想像する。


シャル「全く何がチョコバナナなのだ!ふん!」


路地裏には、

下半身裸でうずくまる犯罪者が横たわっていた。



犯罪者に同情するつもりはないが、

哀れな者だと思うギールであった。



まあ、そうなる前に未然に防ぐまでだが‥。




変な妄想をする二匹の様子に、

京骨はため息をついた。


京骨「早速なに考えてるのやら‥。」



その後、

進行速度が牛歩並みに遅い小頼たちが、

桃馬たちが待つ場所まで、たどり着いたのは、

十八時を過ぎてからだったそうな。




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