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第二百七十七話 円満されど問題残す

食料調達と異端審問会を終え、

憲明が、先に闘技場内にある控え室へと戻ると、

早速お腹を空かせた女の子たちが、一斉に群がってきた。


憲明はその勢いに為す術なく、無惨に食料を全て取られてしまい、徐々に男たちが食べる分が無くなっていった。


憲明「そ、相当腹が空いてたんだな‥。(それより、いつも間にか、エルゼちゃんと加茂様がいるな‥、まあいいけど。)」


この場に、二人増えていることよりも、

予想を越える彼女たちの食欲に、憲明は思わず唖然とする。


しかし、彼女たちが喜んで食べてくれる姿を見ていると、不思議と心が"ほっこり"とするのであった。


そんな時、ふと脳裏に映果が仕掛けた犯罪アイテムの存在を思い出すと、彼女たちが食事に夢中になっている隙に回収しようとする。


映果の話が本当なら、

控え室には

カメラが四つ。

盗聴機は三つと言っていた。


憲明「えっと、確か‥あの映像だと、この辺りのはず‥あっ、これか。」


まず一つ目は、

黒い薄型テレビが備えてある、

台の中からボールペン並の小型カメラを発見。


何とも映果らしい巧妙な配置である。


こうなれば、残りの犯罪アイテムがどこにあるかは予想がつく。



一件違和感のないカレンダーの裏を見ると、

壁ではなく、カレンダーの裏と言う小賢しいところに小型盗聴機が貼られていた。


憲明「‥いつか、あいつ逮捕されるかもな。」


まだ、犯罪アイテムを二つしか見つけていないのに、早々にストーカー並の技術に、映果の将来を心配するのであった。


まあ、スパイ系の仕事なら活躍するかもしれないが、一般でやれば即アウトである。


いつか映果が捕まってインタビューを受けた時には、"いつかやるとは思っていました"‥と、

はっきり答えようと思うのであった。


それから、憲明は怪しまれずに"ひょいひょい"と犯罪アイテムを回収し、後は盗聴機一つだけとなった。


後、怪しいとなれば‥。


憲明「‥そう言えば、この毛玉はなんだ?」


先程から気になってはいたものの、

部屋の片隅に大きな黒い毛玉があった。


憲明のイメージでは、

この毛玉の中にあると思い、

躊躇(ちゅうちょ)なく掴む。


?「きゃふっ!?な、なにするのだ!?」


憲明「うわっ!?」


突然毛玉から声がしたことにより、

憲明は思わず手を離してしまい、

黒い毛玉は、そのまま床に落ちてしまった。


犬神「ふぎゅっ!?いてて‥、な、なにいきなり離すのだ!」


憲明「す、すまん、って、犬神様じゃないか?こんなところで何してるんだよ?」


毛玉の正体が犬神だと分かると、

憲明はひれ伏すどころか普通に接した。


犬神「うぐっ、そ、それは言えぬ。」


憲明「‥はは~ん?エルゼちゃんと喧嘩したな?」


犬神「っ//う、うるさい!か、下等なお主に答える義務はない。」


憲明「はいはい、それならもう少し見栄を張るレベルを上げないとな。図星が丸見えだぞ?」


犬神「う、うぐぅ。」


一般の人間ごときに、

返す言葉もない犬神は、憲明に背を向け再び毛玉に戻る。


憲明「こりゃ相当だな。一体エルゼちゃんに何したんだよ。」


二匹の関係が気になるところだが、

憲明は再び最後の盗聴機探しに戻った。



憲明「さてと‥最後は‥椅子の下かな‥。」


入り口前にある二つの椅子の裏を調べると、

案の定、片方の椅子の裏に盗聴機があった。


憲明は、早速盗聴機を取ろうと手を伸ばすと、

ちょうど良く控え室の扉が開き、ショタギールを背負った桃馬とリードをつけられたジェルドが入ってきた。


桃馬「ただいまもどりま‥ん?そこでなにしてるんだ憲明?」


憲明「あっ。」



不意に目が合う二人、

桃馬の目には、明らかに憲明が椅子の裏に何かしようとしている光景が広がっていた。



こういう時の多くの展開は、

盗聴機を仕込んでいたのだと、

勘違いされる展開である。


そのため憲明は慌てず冷静に対処する。


こう言う時は、変に動揺せずに一から十まで丁寧に話せば上手く行くものである。


まずは、同様せずに焦らないことからだ。


憲明「あ、お、おかえり桃馬。そっちは何とか終わったみたいだな。」


桃馬「お、おう、何とかなギールの記憶消去ですんだよ。やっぱり俺の犬を(みじ)めな思いをさせたくないからな。」


ジェルド「と、桃馬‥うぅ、いつもそんなに思っててくれたんだな‥。よし、今夜お前と初夜を‥。」


桃馬「黙れ駄犬、お前に主導権があると思ってるのか?だったら、少なくとも近所のハスキーやポメ(ポメラニアン)に吠えられて負けてんじゃねえよ?」


ジェルド「っ、くぅ~ん。くぅ~ん。」


憲明「ほんと飽きないやり取りだよな。」


イケメンの容姿を持ち、犬になればカッコいい狼犬になると言うのに、最近のジェルドに風格がないのか、近所のハスキーに吠えられると直ぐに逃げようとするし、自分より小柄なポメラニアンでさえも逃げる始末である。




ここで小話。

白狼族と黒狼族などのけもみみ種族は、

現実世界に住まう一定の動物と会話をすることできます。今段階で分かるのは、犬科と猫科の言語をベースにして言葉が分かる見たいですが、それでもムラがある見たいです。


例えば

鳥類では、ハーピー

海の生物なら人魚、

話せる種族でもばらつきがあります。


ちなみに獣人型のオークとかは、

豚と猪の声が聞こえると思われがちですが、

実際は聞き取れない様で、言語的には人間と代わりはないようです。



ここで、ジェルド目線の日常をお送りします。


よく合うハスキーの場合。


ハスキー(メス)「おい、お前雄だよな?ヤらせろよ。おい、白狼族だが知らねえが‥俺も人間みたいになれたらお前の子種を吸いとってやるからな!覚悟しやがれ!」



ポメラニアンの場合

ポメラニアン「あぁ?何見てんだデカ物?ぶっ○ろすぞ?」


人間目線では可愛らしい様に見えるが、

ジェルドたちから見ると、相当怖いらしい。





とまあ、話を戻して。


話が良い感じにそれるなか、

ここで桃馬から質問が入る。


桃馬「それより憲明は椅子なんか見て何してるんだ?整備でもしてたのか?」


憲明「いや違う。映果の犯罪アイテムの回収だよ。ほら。」


椅子の裏を見せると、

小型のマイクがくっついていた。



桃馬「うげっ‥。これはまずいぞ、このままだとギールの件を盛りに盛りまくって、噂を流すぞ。」


憲明「大丈夫、口止めはしてある。データも消させたし、一応安全だ。」


桃馬「そうか、全く。映果には油断も隙もないな。」


憲明「映果だけじゃないさ。この件は小頼も絡んでたようだ。まあ差し詰め、犯罪アイテムに気づかれないように監視役ってところかもな。」


桃馬「‥はぁ、後で尋問だな。それより腹が減ったよ。俺たちの飯はどこにある?」


憲明「それなら、全部食われてるよ。」


桃馬「なんだって?」



まさかの昼飯なしと言う結末を迎え、

男たちは、見栄を張りつつも喜んで食べてくれる彼女たちの光景を"おかず"にし、見守るのであった。


しかし、

そんな見栄も彼女たちからは情けなく見られ、

結局、恵んでもらうのであった。



昼食が済むと、

しばらくして"ユキツバキ"の五人は名残惜しくも、控え室を後にし学園から去って行った。



こうして、波乱に満ちた納涼祭は幕を閉じたのだった。



第二章 夏より来たれし女神様! 完


少々強引ながらここで閉幕となります。

半年と言う長い間ありがとうございました!


次回は、

第三章 秋より訪れし皇女様!


おそらくまた長くなる可能性がありますが、

引き続き、よろしくお願いしまーす!m(__)m


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