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第二百七十三話 駄神に逆らいし獣

未だ犬神様の捜索に渋るエルゼに、

加茂様も動けず、ほのぼのしい展開に飲み込まれていく。


そんな光景を木の影から覗いていた犬神様こと、通称生意気けもみみショタが、突如、エルゼの名を叫びながら飛び出してきた。


犬神「エルゼ~!」


エルゼ「わふっ?」


ココロ「きゃふっ!?‥ふぇ!?な、なな、誰ですか‥ふあっん♪」


犬神「エルゼ~♪エルゼ~♪」


犬神は、エルゼと瓜二つのココロを押し倒し、ご機嫌に尻尾を振りながら、お詫びの印である首舐めからの頬擦りをした。


一瞬の出来事に思わず棒立ちになる三人は、

生唾を飲むほどの完璧な光景に見とれていた。


しかし、三人は直ぐに我に返ると、

犬神に制止を呼び掛ける。


加茂「い、犬神様!何してるのですか!?」


小頼「も、もしかして、エルゼちゃんと間違えてる!?」


犬神「わふぅ~♪ペロペロ♪」


ココロ「きゅ~ん、ぷしゅ~。」


結局、二人の声は届かず、

ココロを押し倒した犬神は、

そのまま相手がエルゼだと思いながら、

大胆な仲直りアピールを勤しんでいた。



そんな中、エルゼと間違えられたココロは満更ではない様子に対して、勝手に片想いをされていたエルゼは、"もふさら"な毛を逆立て、激おこモードになっていた。


エルゼ「‥‥。」


加茂「ひっ!?え、エルゼちゃん!?」


小頼「うわぁ~、あの温厚なエルゼちゃんをここまで怒らせるなんて‥、さすが犬神だね‥。」


普段見せている、温厚で"ふわふわ"な姿から想像つかない程のギャップに、加茂と小頼は、無言で犬神に近寄るエルゼに恐怖した。



そんな事も知らない犬神は、

ココロに対して仲直りアピールをまだしていた。



犬神「エルゼ~♪昨日はごめんよ~♪実はさっき良いことを思い付いたんだ~♪」


ココロ「きゃふん!?あ、あの!?わ、私、エルゼちゃんじゃ‥わふぅん♪ひっぽ‥らめれふぅ~きゅ~。」


犬神の大胆な行為は、徐々にエスカレートしていき、遂には尻尾にまで手をかけた。


犬神「ふへぇ~♪今日は凄く"もふもふ"じゃないか~♪」


ココロ「はぁはぁ、これ以上は‥や‥やめてくらひゃい‥♪」


嫌がる素振りを見せるココロであるが、

口では誘っているかの様な可愛い声が漏れる。


これで更に勘違いする犬神様は、

とうとう、一線を越えようと強行に走ろうとする。


しかし突如、犬神の目の前に真っ白い"もふさら"の尻尾が現れる。


それは、抱きつきたくなるような見事な毛並みをしており、犬神は本能のままき飛び付いた。


犬神「わふぅ~♪こっちもおちつく‥ひっ!?」


落ち着きに浸るのも束の間、

"もふさら"な尻尾が"クルリ"と回ると、目の前には、全身の毛を逆立て狼の様な鋭い目をしながら、こちらを睨むエルゼがいた。


エルゼ「犬神様‥何してるのですか?」


犬神「わふっ!?あ、いや‥あれ‥えっと‥こ、この子がエルゼじゃないの!?」


エルゼ「その子はココロちゃんです!来年私たちの後輩になるかもしれない子なんですよ!」


犬神「ひっ、くぅ~ん、くぅ~ん。」


雷が落ちたかのような怒号に、犬神も思わず怯えてしまい、くぅ~んと弱々しく鳴くことしかできなくなった。


エルゼとの関係が、更に悪化した犬神の心は、

仲直りのプランから徐々に崩れ去っていくのだった。


しかし、

エルゼの怒りはこれだけでは収まらない。


更に追撃がはじまる。


エルゼ「そんなに泣いても許しません!犬神様とは当分、口を聞きません!」


犬神「そ、そんな~!?」


衝撃的な宣言に、

思わずエルゼの尻尾から手を離し、

尻餅をついてしまう。


まあ、絶交までは行かないところが、また可愛いところであるが、これで夏休みの数日間、犬神はノイローゼに苦しむであろう。





とまあ、そんな情けない光景に、

小頼が犬神のあるところに注目した。


小頼「犬神様って、こう見ると駄目系だね。」


加茂「あ、あはは、そうですね。例えエルゼちゃんと結ばれても、数日後には鍋の中に入れられてしまうのがオチですね。」


小頼「クスッ、あり得るわね♪」


"人の不幸は蜜の味"とは、言うが、

この場合は、"自滅したショタの汁はミルク味"

が適切ですね。

※変な意味はありません。新しい格言です。


小頼「そうだ、今度変なことしたら、鬼のお姉さんたちに襲わせてみようかな~♪」


加茂「な、何言ってるんですか!?そんなことしたら、犬神様が死んじゃいますよ!?」


小頼「大丈夫だよ♪犬神様は神様だからね♪よーし!新作の同人誌ネタは決まったわ!"生意気強がりショタが鬼のお姉さんにパックンされます!"あるいは、"お姉さんのけもみみくん!‥こ、これは売れるわ!」


加茂「い、犬神様を売るのですか!?」


小頼「クスッ‥はい♪今の犬神様は女性を大変甘く見ていますから、強いお姉さんに蹂躙されて女性の怖さを知ってもらう必要があります♪」


加茂「で、でも、それって校則違反ですよ!?」


小頼「確かに、それについては、目の光らないところで犬神様を餌にするんですよ♪」


加茂「目の光らないところで‥。」


小頼「まあ、その時は私に任せなさい♪」


二人の間に危険な密約が結ばれるなか、

犬神に襲われたココロは蕩けていた。


ココロ「わふぅ~♪」


エルゼ「ココロちゃん大丈夫?ごめんね、淫犬(いんけん)が私と間違えたせいで、捲き込んじって‥。」


ココロ「わふぅ~♪ひっぽ~♪」


エルゼ「うぅ、蕩けちゃってる。っ!そうだ!小頼さん!小頼さん!」


何かに思い付いたのか、

エルゼは小頼の袖を掴みながら声をかけた。


小頼「ん?どうしたのエルゼちゃん??」


エルゼ「えっと、いぬがみ‥じゃなくて、あの淫犬を裁けますか?確か、異端審問と言うのがあるのですよね?」


小頼「あ、あはは‥、た、確かにあるけど、一年生の事案を上級生が裁いていいのかな‥。それより、一年生には似たような学年規定みたいなのはないの?」


加茂「えっと、それなんですけど、一年生からそう言った規定は作ってはいけないとありまして‥。」


小頼「あ、そうだったね。でも、私たちの学年は隠れてやってたけどね~。」


加茂「か、隠れてですか‥。」


エルゼ「わふぅ~、そ、それより、裁いてもらえますか?」


濁りのない真剣な眼差しに、

小頼に決断を迫られる。


二年生の規定なら間違いなく、

吊るされるレベルの行いである。


だがしかし、この案件は二年生の異端審問を通り越して世界レベルの問題である。


まだ、"もふもふ"程度ならまだしも、

犬神は、ココロを押し倒し、首筋を舐め、頬を"ぐいぐい"と擦り寄せ、最後に尻尾を嫌らしく握ると言う、まさに強姦レベルの諸行をした。


まして、これをエルゼにもしようとした点から、

吊るす材料としては申し分ない。


だがしかし‥。

相手は腐っても神様。

簡単にはいかないものである。

仕方ないので、心当たりがある"先生"に任せようとする。


小頼「仕方ないですね。ここは取りあえずシャルちゃんの判断に任せようか。」


加茂「っ!そ、それがいいですね!」


エルゼ「それなら私も賛成です♪」


こうして、自ら地雷を踏み撃沈した犬神は、

小頼に担がれながら、五人は控え室へと向かった。



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