第二百六十八話 五人目候補は命懸け
ギールの妹"シール"の一件で、
ライブ会場に混乱が起きそうになる中、
ユキツバキのトークは未だに続く。
スカーレット「あはは♪それにしても学園て楽しそうな所だね♪妹が楽しそうに通う理由もわかるよ♪」
ダクト「そう言えばスカーレットと、ルルーは学校とかに通ったことがないんだよな?」
スカーレット「そうそう、私とリフィルは元々王国育ちだから学校とかは行けなかったわね♪」
ルルー「私も学校と言うよりは、サキュバスの養成所だったわね♪毎日、魔族の男の子や人間の子供を相手していたわ♪」
ダクト「こ、こら、ルルー!?」
スカーレットの閉ざされた王国暮らしに生徒たちが同情している中、ルルーの養成所時代のエロすぎる"ショタ喰い"発言に、サキュバスの生徒たちは頷き、会場の半数近くの生徒が生唾を飲んだ。
籠の鳥であった悲しき姫君と
無力で新鮮な精気を溜め込んだ、うぶな子供を個室へ連れ込み、いやらしいお姉さんやロリサキュバスなどが、拘束されたショタを死なない程度に搾り喰うイメージが二対八の割合で想像された。
稔「もう~、ルルーが変なこと言うからみんな引いちゃってるよ~。」
ルルー「クスッ♪真実を言っただけよ♪それに、これは引いてると言うより‥ぺろっ‥恥ずかしがっているのよ♪」
ダクト「や、やめないかルルー!?」
ルルー「クスッ、ごめんねダクト♪実は私‥昨日運命の人に出会っちゃって、昨夜から浮かれてるのよ~♪」
ダクト「えっ?」
スカーレット「へっ?」
稔「っ!?」
ココロ「わふっ?」
ルルーの突然の告白に、
メンバーの四人はもちろん、
会場の一部を除く全生徒たちが驚愕した。
男子「う、うう、運命の人!?」
男子「る、ルルーさんに‥運命の人だと‥、」
女子「そ、そんな‥ルルー様~。」
女子「い、一体その相手は誰よ~!?」
大スキャンダルレベルの告白に、
会場は大混乱になる。
しかも昨日と言う事もあり、
運命の人は学園内にいる男子生徒の可能性が高いと予想される。
まさかの国民的アイドルからのサプライズとも言える告白に、多くの男子たちは胸を踊らせ自分である事を願った。
一時は、異種交流会男子の誰か、微食会の誰か、六組の藤原志道か、士道部の誰かなど、囁かれた。
しかし、多くの二年生たちは、
ある男の名が思い付く。
それは、ハーレム否定をしながらも四人の嫁を持ち、ハーレム規定の異端審問にリーチがかかっている両津直人であった。
しかし、これには問題があった。
それは直人の嫁にはサキュバスであるエルンが、既にいると言うことだ。
サキュバス一人でも、夜の相手をするのに命がけだと言うのに、ここでもっとレベルの高いルルーを嫁にするなど、例え人間をやめた直人でも自殺行為である。
それに、ある意味生命のリーチが色々とかかっているなかで、日本‥いや世界中の男性を敵にまわす様な事はしないはずである。
そのため直人を疑う者は、
現実的に考えて次第に候補から外すのだった。
なら、やはり近い中で言うなら、
桃馬、憲明、ジェルド、ギール、京骨が妥当である。
しかし、どちらも彼女持である。
桃馬と桜華、憲明とリフィル
ジェルドと小頼、京骨とルシア、
ギールについては‥一応シャルが推されている。
さて、この中に、
寝取られ逆バージョンエンドか、
それとも愛人エンドか、悲恋エンドか、
あるいはシンプルに一夫多妻か。
会場では色々なルートを妄想していた。
そんな中で、
ルルーの運命の人に心当たりのある、
京骨、ルシアに続いて、相川葵とシェリルは、何かに気づき始め、リールとエルンは少し顔を青ざめた。
京骨「‥やばい。」
ルシア「えぇ、これはかなりまずいわね。」
京骨「‥すまん、直人‥、お前を助けられなかった。」
ルシア「‥あなたの最後はルルーとエルンに、責任をもって吸い殺させるわ。」
京骨「いや‥ここは、男らしく腹を切らせてやろう。直人なら喜んでやるだろう。」
二人は直人に助けてやると言いながらも、
意図も簡単にルルーに拐われ、○され、気に入られてしまった事を反省しながらも、物騒にもどう殺めてやるかを考えるのであった。
一方、直人の親友では‥。
葵「‥‥。」
シェリル「‥‥。」
もはやこれまでと悟り、黙って合掌していた。
そして、注目のリールとエルンはと言うと、
リール「こ、これ‥ま、まずいよね。」
エルン「あ、あぁ‥まさか姉上‥ここで発表する気なのか‥。」
リール「ふぇっ!?」
エルン「こ、こらリール静かに‥な、直人!?」
リール「っ!?」
直人「‥‥。」
この世の終わりと悟った直人、
彼の表情に感情はなく、ほぼ無と化していた。
エルン「し、しっかりしろ直人!?」
リール「はわわ!?どうしよう!?」
あらゆる対策をしてもなお、
ルルーは意図も簡単に攻略する。
このまま名前を出されれば、
もはや、王手飛車取り四面楚歌、
万事休すにチェックメイトと、
八方塞がりの展開である。
完全に希望が消えかけた時、
ルルーと目が合った気がした。
その時のルルーは、
弟を弄ぶ様な、妖艶な笑みを浮かべ、完全に弱みを握られた感じがしたのだった。
そう、つまりこれは、
バラされたくなかったら、"私の物になれ"と言う上級サキュバスならではの独占欲である。
しかし、意識が洩ろうとする直人には、
このメッセージに気づく事はおろか、答えなどでるはずもなく、無回答のままルルーに委ねられた。
驚愕する会場から十数秒後、
直人に取っては追求してほしくない事だが、
そうとも知らないダクトは、重要な質問を投げてしまう。
ダクト「え、えっと、ルルー?ま、まさか‥学園の生徒に惚れたのか?」
ルルー「クスッ‥、どうかしらね♪あの時は人も多かったし、一般の人かもしれないからね~♪」
なんとここで、ルルーが一般に紛れて納涼祭に参加していた事を明らかにすると会場が更に燃える。
スカーレット「お、男の人に興味がないルルーちゃんが、運命を感じた人って‥どんな人何だろう‥。」
稔「‥確かに‥気になるわね。」
ココロ「わふぅ♪恋バナです~♪きっと、ギールさんやジェルドさん見たいに、かっこいい狼かもしれないですね♪」
ダクト「お、狼か‥確かに、あり得るかもな。」
メンバーの四人もルルーの運命の人が気になる話で盛り上がる中、会場にいる一人の男は、このまま狼の線で終わってほしいと願っていた。
幸い会場の生徒たちは、ココロの予想に釣られて狼族たちに注目を集めていた。
それなのに‥。
調子に乗ったルルーは、
最悪のヒントを出してしまう。
ルルー「クスッ‥、違うわよ♪私の運命の人は狼じゃないわ♪その人は人間の姿をした‥妖怪‥、可愛い妹だけじゃなく‥他に三人も嫁を持つ‥素敵な方よ♪」
なんだか聞いたことのあるようなワードに、
会場がざわめき出す。
ルルーに妹がいたことは驚きだが、
それより運命の人の情報が、二年生を中心に心辺りがあった。
人間の姿をした妖怪
妹を含めた四人の嫁
そして、この学園に
サキュバスを嫁にして他の三人の嫁を持つ男は一人いる。
そして、それを確信に導く会話が直ぐに明らかとなる。
ダクト「な、なんと、そ、それは凄いハーレムだな。ん?でも待てよ。どうしてそんな事知っているんだ?」
ルルー「クスッ‥それは秘密よ♪未来の旦那様に迷惑がかかるでしょ?」
ダクト「う、うむ、そうかもしれないが‥今も相当な事を言っている気がするが‥、ま、まあ‥学園の後輩でないことを願うよ。」
ルルー「クスッ‥、」
再び笑みを浮かべると、
まるで人妻の様な感じが溢れでていた。