第二百六十七話 特別ライブ復活祭
時刻は十一時。
闘技場には、学園の九割を越える生徒たちが押し込まれていた。
ライブ開幕と同時に花火部自慢の"花雷"と共に曲が流れ出す。
夜とはまた違う明るい雰囲気に、
生徒たちは大歓声をあげた。
すると、ステージの五ヶ所から煙幕が立ち込むと、ユキツバキの五人が優雅に登場し代表曲"エンジェルハート"を歌い始めた。
昨夜の疲れを全く見せない五人に、
一部のガチ勢の生徒たちは心配するも、
昨夜よりキレの良い歌声と滑らかなダンスを見て圧倒される。
スカーレット(なにこれ、なにこれ~♪何だか今日は、凄くやる気が出てくるよ♪)
ダクト(こんなに気持ちが良いのは、久々かもしれない!)
ココロ(わふぅ~ん♪昨日の脱力感が嘘のようです♪)
稔(す、すごいわ、これが聖唱魔法の恩恵なのかしら!)
ルルー(クスッ♪すごいは‥やっぱり、直人くんの精気は極上ね~♪もっと‥彼を知りたいわ♪)
普段以上の絶好調な気分に五人が驚く中、
ルルーに至っては予想以上の効果に、更に直人への興味が湧くのであった。
一方、
人生のリーチをかけられた直人はと言うと、
ステージ正面より左側におり、
対して要注意人物のルルーは右側にいた。
直人「‥よ、よし、ルルーさんはここから反対側‥第一関門突破だな。」
リール「あ、あはは‥本当に警戒してるね。」
直人はライブを楽しむどころか、ルルーと言う天敵を警戒しそれどころではなかった。
傍から見て直人の視線は、
ルルーファンと言われてもおかしくない程の凝視であった。
エルン「な、直人?姉上を見るのは良いが‥その‥念を向けたり、目を合わせたりしてはダメだからな?」
直人「う、うん‥。でも、何するか分からない人だからな‥。目が離せないよ‥。」
これもルルーによる策なのか、
ずっと、彼女を見ていると徐々に誘惑されそうになってしまい、頭がクラクラとしてくる。
すると、両サイドから負のオーラを漂わした二人が、惚気る直人の二の腕をつねるのだった。
一方、桃馬たちは、
引き続き昨夜と同じ位置に配置され、
警護兼ライブを楽しんでいた。
桃馬「二回もライブを近くでみれるなんて、ラッキーだな♪」
桜華「はい♪それに一緒にお泊まり会だなんて最高でしたよ♪」
桃馬「あ、あはは、まさかスカーレットさんたちが、桜華たちを招いてくれるとは思わなかったな。」
桜華「えへへ~♪でも、あの時桃馬たちも誘ってもらってたのにどうして断ったの?」
桃馬「あ、いや、そ、それは‥。」
昨夜の一生に一度‥いや、本来訪れることのない貴重なお泊まり会のお誘い。
しかし、異種交流会の男たちは断り、女の子たちを護衛と称して残して部室へ向かったことに、
桜華たちは疑問に思っていた。
尋ねられた桃馬はら
少し苦笑いをしながら答える。
桃馬「うぅ‥そ、そうだな。理由としては色々あるけど‥まず、ルルーさんが獲物を見る目で俺たちを見ていたことと‥、あと、他の生徒たちに寝ていたことがばれたら確実に吊るされるし‥、あとは、緊張しすぎて眠れないと思ったから‥。」
何とも可愛らしい理由に、少し恥ずかしそうに答えると、桜華は微笑みながら、桃馬の右腕に抱きついた。
桜華「本当は、気遣ったんでしょ?」
桃馬「うぐっ、ばれてたか。ま、まあ‥あの時、本当は‥桜華と二人きりになりたかった‥。その‥夜のデートとか‥。」
桃馬の苦しげな嘘を見破り、本心を引きずりだすと、桜華は微笑みながら答える。
桜華「クスッ、桃馬にしてはロマンチックだね♪でも、ある意味昨日の夜じゃなくてもよかったと思うわよ♪」
桃馬「ど、どうして?」
桜華「満点の星が広がる夜空でも、地上が死屍累々じゃあ、ときめかないわよ♪」
桃馬「た、確かに‥。」
想像すると、かなりエグい光景だが、
もし逆に、二人が戦場に立っていたのなら、それはそれで、かっこよかったのかもしれないと思うのであった。
ここで小話
話は変わりますが、
昨日のルルーは、直人を襲ってからサキュバスとしての欲求が開花していましたが、ルルーなりに欲求を我慢していました。
しかし、ライブ後控え室にて、
目の前にうまそうな男を目の前にして、夜な夜な隙あらば食べようと考えるも、一斉に逃げられ失敗し残念がったそうです。
すると矛先は直人に向けられ、襲おうと計画しますが、その頃には、リールとエルンが独占しお楽しみ中だったので、渋々手を引いたとか。
それからと言うもの、ライブは順調に進み
時刻は十二時をまわり、前半箸休めのトークが始まった。
スカーレット「いや~♪今日は朝から凄く元気が漲るんだよね~♪」
ダクト「確かにそうだな。もしかしたら、みんなの声援のお陰かもしれないぞ?」
ココロ「わふぅ~ん♪それならみんなにありがとうだね~♪」
ココロの一言に大歓声が起きるも、
弥彦 稔が手を叩き、
ルルーと共に静止を呼び掛ける。
稔「はいはい、みんなお静かに~♪今は私たちがトークしてる時だよ~?」
ルルー「そうよ~♪私たちのお・は・な・し♪聞いてくれないかしら~?」
男子「あぅん♪ごめんよ~♪」
女子「はぁはぁ、なぜだろう‥稔様の‥この隠れたSの要素は‥、はぁはぁ。」
男子「はぁはぁ、ルルーさま~‥はぁはぁ、」
女子「ルルーお姉様‥ふへぇ~♪」
二人の一言に、
会場の一部の生徒たちはメロメロである。
スカーレット「クスッ♪みんな正直すぎるよ~♪あっ、そうそう今日ね♪朝からかわいいワンちゃんを見つけたんだ♪」
ダクト「あぁ、そう言えばそうだったな♪あの子は、ココロに引けを取らないくらいの可愛さだったな。」
ココロ「わふぅ~♪"シールちゃん"は、私のお友達~♪」
稔「こ、こら、ココロ!?名前は出しちゃダメって!?」
ココロ「きゃふっ!?」
ルルー「あらあら~♪」
うっかり、シールの名前を出してしまったココロは、尻尾と耳を"ピン"と直立させた。
シールと言う名前の生徒は、学園に、二、三人いるが、スカーレットが言っていたワンちゃんに該当しないため、一瞬ざわつくも疑いは直ぐに晴れた。
すると、稔から苦しい嘘の話を盛り込む。
稔「もう、早朝散歩している時に出会った犬の名前を言っちゃダメでしょ?」
ココロ「わふっ?そうだったか‥」
稔「そうよね~♪」
ココロ「わ、わふっ♪そ、そうだよ~♪も、もふもふでとても可愛かったね♪」
稔の圧に押されて、ココロは苦し紛れに嘘に乗った。すると会場の生徒たちは、ココロに会える千載一遇のチャンスを無駄にしたと悔やみ始めた。
男子「な、なに!?早朝に散歩だと!?」
男子「そ、そんな‥じゃあ、間近で会えるチャンスが‥あったのか。」
女子「うごぉ‥そ、そんな‥ココロちゃんの‥おしゃんぽぉ‥。」
多くの生徒が、ココロの首に首輪とリードを着け、五人が仲良く学園外を歩く、ほのぼのしい光景を想像をしていた。
そんな中、
シャルの膝の上で見ているシールは、
自分の事を話され赤面していた。
シール「うぅっ///恥ずかしいです‥。」
シャル「ぬはは♪良いではないか♪シールを知る者は我々しかいないのだからな♪」
シール「で、でも‥。」
豆太「だ、大丈夫だよ♪もしばれても、お、おお、お兄ちゃんが守ってあげるから!」
シール「豆お兄ちゃん‥わふぅ。」
豆太「ふへぇ~♪」
初めてお兄ちゃんとしての実感を湧かせる豆太であったが、シールの頭を撫でた瞬間、威厳の欠片もない"デレデレ"モードになってしまった。
ディノ「豆太にお兄ちゃんは、まだ似合わないですね。」
シャル「ふふっ、まだ幼いからな♪あと十年経てば‥あのバカギールよりもかっこよくなるのだ!」
ディノ「あ、あはは‥兄さんが許されるには、時間がかかりそうですね。」
ラッキースケベの代償として、
ぼこぼこにされたギールは、未だに控え室で縛られていた。
がしかし、それだけで済む訳もなく、
長岡小頼を筆頭に桃馬とジェルドが、
ライブ開始前に、人目を盗んで控え室へ侵入。
目隠しに猿ぐつわ、股を開かせ、ロー○ーなる物を‥体の一部一部に装着させ、快楽漬けのまま、放置プレイをさせられていた。
もちろん、兄がこんな目に合っていることは、
シャルたちは知るはずもなかった。