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第二百五十九話 再進と小女神

三匹の犬との散歩も終わり闘技場内にある、

国民的アイドル"ユキツバキ"の控え室に着くと、早速ギールに不運が訪れた。


早くシャルから解放されたいギールは、

なぜか先陣切って控え室の扉を開けた。


控え室の中は、

ちょうど着替え中の女の子たちがギールの方を向いて唖然としていた。

ギールは思わず全体を見てしまい、

中には見てはいけない部分まで見てしまった。


早く謝って逃げれば良いのに、

その場で固まるギール。


普通なら物を投げられ、"キャー変態!"などと言われて追い出されるシーンが一般的だが、ここだけはそうではなかった。


ギールはそのまま、"ユキツバキ"のメンバーであるダークエルフの"ダクト"に胸ぐらを掴まれ、控え室へと連れ込まれた。


その後は‥‥。

それなりの罪を償うことになるのであった。



そして、そんな事が起きていると知るよしもない。四人の男たちは異種交流会の部室に戻る前に本館屋上から吊るされている七人の男たちと話をしていた。


桃馬「それで?過保護にしていた罰としてその有り様か?」


番場「まあ、そんな感じだな。」


高野「こうなるとは思っていたけど‥ここまでされるとは予想外だったけどな。」


意外と元気そうな反応に、

四人は複雑な思いで見ていた。

同情すべきなのか、それとも今の現状を受け入れるべきなのか‥、難しい物であった。

しかも、近藤、渡邉、本間は熟睡中である。



憲明「‥ま、まあ罰にしては快適そうで何よりだな。」


ジェルド「だけど高いところが無理な奴には(こた)えるな?まあ夜に吊るされた様だし、目をつぶって寝てしまえばこっちのものだな。」


京骨「うんうん、しかも無重力的な感じで揺らされれば、更に眠れるだろうしな。」


ジェルド「だけど問題は、目が覚めて起きた時だな。俺なら取り乱すかもな。」


憲明「‥俺も少し無理だな。」


呑気に地上から見上げる三人は、

彼らの立場に立って感想を述べる。




桃馬「それにしても、そこの三人は良く寝てるな??」



番場「まあ、それほど疲れてるんだろうよ。」


高野「日が差しても、会話してても起きないんだ‥このまま寝かせておこうや。」


近藤「ZZZ‥ZZZ‥。」


渡邉「‥‥スピ~。」


本間「‥‥‥。」


身の危険を感じさせず、

平和的に寝ている三人に、桃馬は苦笑いする。


桃馬「ま、まあ、無事に降ろして貰えると良いな。それじゃあ‥お大事に。」


番場「おうよ、二度寝を楽しめよ。」


憲明「いや、楽しむもないだろ‥。」


こうして無駄なやり取りもあり、

桃馬たちは部室へと戻り、再び眠りについた。




それから時間は過ぎ‥。

時刻は八時をまわった。

学園内では警察機構の警備も解け、

生徒たちも次々と起床し、納涼祭の後片付けをし始めていた。



一方、本館に吊るされた七人は、

七時頃に"ひょこ"っと屋上にが現れたルイに回収されていた。


その一部をどうぞ。


番場「いや~、助かったよルイ♪」


高野「てっきり、ずっとこのままだと思ったよ~♪」


ルイ「うぅん、大丈夫、もうルイは怒ってない。それより‥。」


無表情で"もじもじ"しながら答えると、

二本の深紅のアホ毛が左右に揺れる。


すると大きな地鳴りのような音が聞こえる。


大西「なんだ、腹減ってたから助けたわけか♪」


星野「なるほど、さすがにエニカとだけの飯はつまらないもんな。」


ルイ「‥‥っ///、ご飯はみんなと食べたいから‥。」


お腹の音を聞かれて赤面しながらうつむくと、

ルイからの願望が漏れた。



星野「それなら、美術室に籠っている三人も連れ出さないとな。」


ルイ「‥ルイはさっき、そこへ向かった‥けど‥扉の前に紙が落ちていた。」


ルイは、制服のポケットから一枚の紙を取り出した。


星野「‥‥多用のためしばらく美術室の出入りを禁止する。」


大西「なんだそれ?」


番場「‥あの三人、まさかほとぼりが冷めるまで籠る気か?」


ルイ「多分‥それは違う‥。部屋の中には‥知らない人の気配を感じた。たぶん‥昨夜の捕虜かなにか‥。」


番場の予想にルイは直ぐに否定し、

あの場で感じた事を答える。


星野「‥捕虜か。なら、少しそっとしておこうか。」


大西「だな。あとそれより‥この三人はいつまで寝ているんだ。」


大西は呆れた様な目付きで、

三人を見るとルイが起こしにかかる。


ルイ「蒼喜‥尚弥(しょうや)‥‥孝‥起きて‥ご飯食べよう?」


近藤「んんっ‥あと、十分‥。」


渡邉「んんっ‥まだ‥寝かせてくれ‥。」


本間「ZZZ‥。」


ルイ「‥‥‥。」


ルイの声でも全く起きようとしない三人は、ルイの往復ビンタで起こされ、頬を"パンパン"に()らせながら、食堂へと向かうのであった。





そして時を戻すし、


二度寝を終えた男たちは、ディノと豆太と共にシャルたちがいる闘技場の控え室へと向かっていた。


その道中、

早朝に起きた奇跡の話をディノと豆太にしてあげると、二人は大変驚いていた。


ディノ「シャル様が、その様なことを‥。」


豆太「はわわ!?そんな感動的な事が起きてたなんてすごいです!」


桃馬「そうなんだよ♪俺もここに来て、シャルが普通の魔王様ではないって事を実感したよ♪」


ディノ「と、当然ですよ。シャル様は偉大な方ですからね。」


シャルを崇拝(すうはい)するディノにとって、

シャルの威光が広がることは自分の事のように嬉しいものであった。


だが、しかし‥、他の反応はと言うと。


ジェルド「俺は魔王より、問題起こして奇跡を呼ぶお転婆姫の方が合ってる気がするけどな?」


ディノ「‥ふえっ?」


京骨「まあ、それもあるけど‥、確かに魔王の風格はないよな。」


ディノ「ひゅぇ!?」


憲明「うんうん、お転婆 小女神(こめがみ)様かもな♪」


ディノ「こ、小女神!?」


桃馬「あはは、そうだな。女神にすると品が欠けるからな、小女神がちょうど良いな。」


豆太「シャルお姉ちゃんが‥こ、小女神‥。ごくり、す、すごいです!」


ディノ「ま、豆太!?」



少々小バカにした様な呼び方ではあるが、

豆太が大賛同してしまったことにより、

ディノの心は揺れていた。


内心は、

お転婆で何をするのか予測不明のシャル様に、本来お転婆と言うのは良くないが、実際間違いない。


しかも、最近魔王としての風格もなく、覚醒をすれば何とかそれらしく見えるものの、日頃から少女のお姿のため、風格がない事は否定出来ない。


更に"小"が付いても女神は女神、喜ぶべきか非常に悩むところであった。


桃馬「あはは、ディノの反応からして豆太が賛同するのは予想外みたいだな?」


ディノ「い、いえ‥わ、私は‥その‥シャル様が魔王でなくても‥その‥女神でも、最後までお仕えするつもりですから‥あはは‥。」


動揺する男の娘の素振りは新鮮その物、

女装させてこの仕草をされていたら、襲っていたかもしれない‥と、桃馬と後ろの三人は思うのであった。



ついでに、姿形(すがたかたち)を自由に出来るのであれば、もう少し男前にすれば良いと思うのは気のせいでしょうか??(誰に言ってるんだ?)



とまあ、こんなこともあり、

シャルたちがいる闘技場へと到着するのであった。




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