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第二百四十八話 恐怖とハーレム

学園内が戦火に包まれている頃。


ルルーと稲荷に精気を吸い付くされ半殺しにあった両津直人は、武道場にてエルンとリールの看病を受けていた。


リール「うーん、なかなか起きないね~?」


エルン「まあ無理もない、姉上方に責められてはどうすることも出来ないさ。むしろ生きて戻れたことを喜ぶべきかもな。」


リール「あ、あはは‥そうだね。」


エルン「はぁ、やはりあの時リールに引き留められる前に、一言だけでも姉上に文句を言ってやりたかったな。」


エルンは刀を手にして、

心の中で煮え滾る気持ちを漏らしている。

今回ばかりは、実の姉であるルルーに愛する直人が喰われたことが相当不服だったようだ。


リール「ま、まあ、それは今度にしておこうよ。それより、今は結界のお陰で妖魔たちは入ってこれないけど、外はかなり彷徨(うろつ)いてるみたいだね。」


学園内情報

武道場の位置は、激戦区南防衛線になっている、体育館付近の西側にある。


そのため、結界が破れた所から続々と決闘場から武道場を通り、激戦区へ進行している。


ちなみに武道場の対面には別棟がありその中には、微食会の拠点である美術室がある。



エルン「確かにな‥。だが、この程度の妖気なら私たちだけでも倒せるレベルだ。」


リール「‥エルン、それフラグだよ。」


エルン「っ//こほん、冗談だ。こんな事が直人にばれたら怒られてしまうからな。」


リール「そうそう、直人は過保護な旦那様だからね~。」


直人「過保護で悪かったな‥。」


二人が楽しそうに話していると、

突然直人が口を開いた。


リール「うわっ!?」


エルン「っ!直人!目が覚めたか!?」


直人「うん‥うぅ‥頭いてぇ‥。」


布団から"ムクリ"と上半身を起こすと、

短時間で大量の精気と妖気を吸われたこともあり、副作用の頭痛に襲われた。


エルン「あっ、そうだ。稲荷さんから直人が起きたらこれを飲むように言われていたんだ。」


直人「‥稲荷姉から‥?」


少し嫌な予感を感じるも、

エルンは稲荷から渡された妖気促進剤を直人に差し出した。


直人「‥‥これ、飲んで大丈夫なのか?」


怪しさ抜群の黒い粒を睨みながら、

効果を知る良しもない二人に問う。


エルン「え、えっと‥それは‥。」


リール「も、もしかしたら、わ、私たちを身籠らせるくらいに強い精力剤とか‥//」


エルン「ごくり‥そ、それもありかもな。」


直人「全然‥ありじゃないよ‥。子供は‥三年早いよ。」


エルン&リール「ごくり‥さ、三年‥。」


頭痛と疲労に苦しむ直人に、

もはやツッコむ力もなかった。


直人「はぁ、ここまで弱らせても尚、更に性欲に酔わせようなんて考えないと思うけど‥、あむっ‥ごくり。」


エルン&リール「‥じーー。」


背に腹は変えられないことから、

ここは思いきって黒い粒を飲む。

対してリールとエルンはどんな効果を見せるのか、期待の眼差しで見届けるのだった。



直人「ふぅ‥おっ、頭痛がなくなったぞ。」


エルン「そ、それだけか?」


直人「ん?あ、あぁ‥、あとは、妖気も戻って疲労もなくなったかな?」


リール「それでそれで!興奮は!」


エルン「わ、私たちを襲いたいとかは!」


二人は両手を畳につかせ言い寄ると、

直人は困った素振りをしながら答える。


直人「ま、待てって‥今はそんなことをしてる場合じゃ‥。(やばい、二人ともルルーさんと稲荷姉に対抗しようとしている‥。なんだか、まともなのがリグ姉だけな気がする。)」


四人の嫁の一人である、

リグ姉こと、魔界剣士リグリードはリールの師匠でもあり、薄赤い長髪に健康的な褐色肌の美しさとクールなカリスマ性を引き立たせる美女である。


リール「むぅ‥、稲荷さんはこういう時だけまともな物を渡すんだから‥。」


エルン「う、うむぅ‥直人の言うことは最もだが‥。姉上と体を重ねたのは‥少し()せぬ。」


直人「っ‥、あ、あはは‥あ、あまり‥思い出したくないな‥。」


直人の脳裏に蘇る、

二人のお姉さんに吸い殺される一歩手前まで責められた極上でトラウマ級の記憶。


純粋な少年では、

女嫌いになること間違いなしである。


リール「ふぅ、直人が襲ってくれないなら、これからどうしようかな?」


直人「おいこらリール、人を"性処理種馬男"みたいに言うの止めろ。」


リール「そんなこと思ってないよ~♪もう~、直人は変態だな~♪」


直人「うぐっ、挑発しても乗らないからな。」


エルン「わ、私はそんな風に見ていないぞ!む、むしろ‥めちゃくちゃにしてほしいくらいだ///」


エルンは赤面しながら本音を漏らすと、

尻尾でハートマークを作り左右に振り出す。


直人「え、エルンまで‥はぁ、(ルルーさんと稲荷姉の影響が大きいせいか‥二人の発情期がゲリラ化してる。)」


このままでは、ろくに参戦できず一人だけ乱○パーティーのエサとして終わってしまう。

もし、これがばれれば‥噴水広場で死刑になるだろう。


窮地に立たされた直人は、

勢いに任せてとんでもない約束をするのであった。


直人「わ、わかった!全部終わったら‥煮るなり焼くなり、妖気を吸うなり好きにしていいから、今は我慢してくれ!」


それは本当に死ぬかもしれない

地獄への片道切符であった。


これに二人の美女は、

頬を緩ませ舌なめずりをする。


リール「えへへ~♪直人~♪今の言葉‥忘れちゃダメだよ~♪」


エルン「あぁ、男なら二言はなしだぞ?」


直人「‥あ、あはは‥て、手加減してくれると嬉しいな~♪」


リール・エルン「だーめ♪・だめだ♪」


直人「‥はぁ、やっぱりか。よっと‥。」


無駄とわかっていた交渉が弾かれ、

直人は布団から起き上がり刀を手にすると、

ストレッチを始めた。


エルン「もういくのか?」


リール「病み上がりなんだからもう少し休んでてもいいと思うけど。」


直人「もう充分休んださ。それに稲荷姉がくれた薬が本物だったし、回復も早くすんだからな。」


エルン「ふっ、確かにその様だな。」


リール「えへへ~♪まあ、もし何かあれば直人の背中は私たちにお任せ~だよ♪」


直人「‥捲き込まれんなよ?」


リール「おぉ~♪」


エルン「ご安心を♪」


直人「‥んじゃ‥始めようか。(どうか‥終ったときには約束が忘れてます様に!)」


直人は刀を抜き、

外へ出る扉を開くと、三人は一斉に妖魔連合隊へ奇襲を仕掛け、騒がしい南側激戦区へと向かった。



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