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第二百二十六話 水も滴る良い駄犬

各ブースで盛り上がりを見せるなか、

好奇心旺盛な魔王様は、制服姿で真夏の水鉄砲合戦を楽しんでいた。


シャル「ぬはは!待つのだギールよ~!」


ギール「ちっ、しつけぇな、待てと言って待つバカはいないっての!これでも食らえ!」


シャル「ぬわっ!?」


いつぞやの対決を思い出させるような武器性能の差に、今回もギールは的確にシャルの顔面に水をぶっかけた。


シャル「うぅ~、またやられたのだ~。」


ギール「全く、チート級の水鉄砲を使ってもこの程度とはな‥。」


シャル「う、うるさいのだ!もう一度勝負なのだ!」


ギール「はいはい、何度来ても同じだけどな。」


シャルのわがままに付き合っていると、

負けを重ねズブ濡れ姿のシャルを見かねて、ジェルドとリフィルが、ギールの背後に忍びより水鉄砲を突きつけた。


ジェルド「それはどうかな。」


リフィル「えへへ~♪弱いものいじめはよくないよ♪」


ギール「っ!お、お前ら!?へぶっ!?」


二人に気づいたギールは、直ぐに応戦しようとするが、二人の容赦ない水攻めに思わずその場に倒れ込む。


すると、

満面な笑みを浮かべるシャルがチート級の水鉄砲を向ける。


シャル「にまぁ~♪」


ギール「けほけほ‥、お、おいシャル!?や、やめ‥。」


シャル「食らうのだ~♪」


ギール「わふぅぅ~ん!!?」


至近距離で食らったギールは全身水浸しとなり、白いワイシャツは()け、美男子としては少しエロい姿であった。

文字通り、水も滴る良い駄犬である。


シャル「やったのだ~♪ギールを濡らしたのだ~♪」


無邪気に喜ぶシャルに、

リフィルとまわりの生徒たちは微笑んだが、

一部ではジェルドの様に不敵に笑う者もいた。


男子「全く大人げないことをしてるから‥。」


女子「はぁはぁ‥おいひひょ~♪」


男子「や、やべぇ‥今のギールなら‥だ、抱けるかも。」


男子「ばか、ギールは桃馬専用の犬だぞ!それに、例え襲えても噛みつかれるのがオチだ。」


ギールに対する意見は多彩であったが、

色んな意味で株をあげるきっかけとなった。


ギールは"ムクッ"と起き上がると、

犬のように水を震い落とした。




ギール「わふぅ~、ブルルッ。うぅ、ボサボサだ。」


シャル「ぬはは!ギールよ~♪良い様なのだ~♪」


ギール「卑怯な手を使ってそんなに嬉しいか?」


シャル「ふっふっ、余は勝てばそれで良いのだ。」


ギール「うぐ、開き直りやがって‥そりゃ!」


シャルが言った通りに、

ギールも不意打ちと言う汚い手を使った。


シャル「ひゃうん!?」


しかし、狙いを定めず放った水は、シャルの敏感な部分に命中した。

本来透けにくい女子用のワイシャツであるが、

水圧が強いこともあり、命中した部分から小さな膨らみが見えた。


なんとシャルは下着をつけていなかったのだ。


幸いその光景はギールにしか見えていなかったが、先程のシャルの色っぽい声からして、再び妹にラッキースケベを働いたことから男子生徒たちの冷たい視線が刺さる。



男子「おいこらギール‥、義理でも兄妹だからって、今のは見過ごせないな~?」


男子「今‥どこを狙ったのか‥詳しく聞かせてもらおうか‥。」


ギール「わふっ!?あ、いや‥おれは、何も‥てか、たまたまだって!?」


男子「たまたま~?」


男子「最近やけに、そう言うの多いよな~?」


シャル様信者の男子たちは、

こぞってギールに水鉄砲を構える。


ギール「お、お前らな。痛い目みる前にその銃を下げろ。」


そろそろ飽きが来る展開に、

嫌気が差したギールは、十人は軽く越える男子を威嚇する。


男子「あぁ?駄犬が何言ってへぶっ!?」


一人の男子が水鉄砲を構えて近寄ると、

ギールはつかさず水鉄砲をぶっぱなした。


男子「っ!やろっうぶっ!」


男子「ぶふっ!?」


一人がやられると他の男子たちも水鉄砲を構える。するとギールは構えた順番に水鉄砲を放つ。


ジェルド「は、はえぇ~。」


リフィル「ありゃりゃ~♪これは本気だね~♪まあ私より射撃は遅いけどね~♪」


シャル「は、早いのだ。」


珍しく見せるギールの本気に、

挑む男子たちは圧倒され、ものの数分で水浸しにした。


ギール「ふっ、これで少しは力の差がわかったか?」


男子「うぐぅ‥、こ、こんなに強いとは‥。」


男子「大戦乱祭では、手を抜いていやがったな。」


ギール「ばーか、別に手を抜いてなんかねぇよ。そっちが勝手に都合の良い妄想から現実の力の差を見ていなかっただけだよ。まあ、いつも同じチームだったから無理もないけど。」


男子「っ、くっ‥くそぉ‥。」


いつものギールとは思えない(たたず)まいに、ジェルドはあることを試そうとギールに近寄った。


ギール「ん?なんだジェルド?次はお前か?」


ギールは水鉄砲を片手にジェルドを威嚇する。

するとジェルドは、何故かギールの後ろを気にし始めると隙の一手を打つ。


ジェルド「‥ふぅ、あっ、桃馬。」


それはシンプルに、桃馬が後ろに居るかのように一人芝居を打つものだった。


ギール「わふっ!?桃馬!?」


ギールは尻尾と耳を"ピン!"っと立たせ、後ろを振り向くとジェルドは容赦なく水鉄砲を放った。


ギール「わふっ!?‥ブルルッ、や、やってくれたじゃねぇか‥、この腐れ犬が‥。」



ジェルド「ふっ、桃馬の名前を出しただけで隙を見せるとは‥、桃馬の忠犬にしてはお粗末だな?」


ギール「な、なんだと‥。」


久々の一触即発展開に、まわりの生徒たちがこぞって観戦し始める。


白と黒の獣男子は、

毛を逆立て、短い髪が腰までフッサフサに伸びる。


これは獣人族 狼種(おおかみしゅ)に伝わる、

最大級の威嚇である。


その容姿は、男子でも惚れるような姿であった。


男子「いつもあんな風ならな‥。」


男子「や、やべぇ‥かっけぇ‥。」


男子「ごくり、今なら抱ける‥。」


男子「あぁ‥○されたい‥。」


意見は多種多様であるが、男子でも魅了するカリスマ性は、すごいものであった。




今にも飛びかかりそうな危険な雰囲気に、

側面から大量の水が襲う。


二匹の逆立った毛は、

一瞬で大量の水を吸い悲しく垂れ下がった。


ギール&ジェルド「うぅ、ブルルッ!」


突然の水攻めに、

二匹は普通の犬のように水を震い落とした。

すると、シャルとリフィルが仲介に入った。


シャル「二人ともやめるのだ!」


リフィル「そうそう、今日は一般の人も居るんだから、喧嘩しちゃダメだよ?」


ギール「ちょっかい掛けてきたのは、ジェルドだよ。」


ジェルド「ふん、人のせいにするのか?相変わらず駄犬を通り越して仔犬だな。」


ギール「っ!なんだと!」


シャル「やめろと言っているのだ!」

リフィル「二人ともやめなさい!」


二人は水魔法を施し、二匹を水の空間に閉じ込めた。


これにより、大量の水をかけたのは、シャルとリフィルによる魔法だと判明した。


ギール「ごぽぽっ!!?」

ジェルド「ぐぼぼっ!!?」


シャル「少しそこで頭を冷やすのだ!」


リフィル「二人とも~、大人しく水を飲んでいれば、一応呼吸ができるよ~♪」


こうして二匹は珍しい水性生物として

お昼まで展示されるのであった。



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