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第二百二十三話 けもみみと食いしん坊

納涼祭のスタートは順調に進み、

満員御礼に近いほどの人が訪れ、学園は大いに盛り上がっていた。



ここで注目を集めていたのは、けもみみ男子たちの大半が嫌がっていた、けもみみ喫茶であった。



けもみみ女子八割(全学年)、けもみみ男子二割(ほぼ一年)の体制で五百人は軽く入れる大教室で開いていた。


その中でも、犬神、エルゼ、豆太が大注目を集めていた。


けもみみ三年女子「ふへぇ~♪三人とも可愛い~♪」


けもみみ三年女子「はぁはぁ、どうしよ~♪犬神様と豆太くんのメイド姿を見たら‥はぁはぁ、こ、興奮してきちゃったよ~♪」


けもみみ二年女子「しぇんぱいたちも見る目がありまひゅね~♪はぁはぁ、」


女性「きゃあぁ~♪かわいい~♪写真撮っても良いですか!」


男性「ふへぇ~癒されるな~♪」


女子生徒「はぁはぁ、エルゼちゃんかわいい~♪ふへぇ~♪」


エルゼ「わふぅ~♪もふもふ気持ちいいでひゅぅ~♪」


このように、四方八方に囲まれた三匹の内、

エルゼはもふられ、二匹の男の子はおどおどするばかりであった。


さすがの犬神でも不思議な力に圧され、男の娘みたいに可愛く"もじもじ"しながら豆太に助けを求めた。


犬神「わふぅ、え、えっと‥その‥ま、豆太、ど、どうすれば良いんだ。」


豆太「え、えぇ~っと、そうですね‥ひゃうっ!?」


犬神「ま、まめ‥きゃふっ!?」


二匹の敏感な尻尾に激しい快感が走る。


そう、一般の子供たちが"もふさら"な二匹の尻尾に抱きついたのだ。


豆太「ふひぃ~♪こ、こら~♪ひっぽは‥敏感‥んんっ!」


犬神「こ、こら‥な、何をして‥わ、我のひっぽを‥きやひゅく‥わふぅん!?」


子供「もふもふ~♪」


子供「しゃらしゃら~♪」


豆太&犬神「きゅ~ん。」


二匹は二人の子供にもふり倒されると、

カメラのフラッシュが耐えなかった。


結局、けもみみ喫茶は本業の飲食コーナーに後付けして、三匹の看板けもみみっ子とのふれあいコーナーを設け、歴代売上を最速の早さで塗り替えたと言う。


ちなみにもふられ過ぎた犬神は、

ただの犬であることを認め始め、

犬としての喜びを初めて感じるのであった。



そんな様子をけもみみ喫茶の噂を聞きつけ訪れた、新発田孔真と妙高院麗羅が入り口付近で見ていた。


孔真「す、すごい人だな。」


麗羅「そうですね、もしかしたら噂の豆太くんたちが囲まれてるのかも!」


孔真「うーん、こうも騒がしいとゆっくりもふれないな。」


麗羅「そ、そうですね。でも、エルゼちゃんと犬神様を堂々と"もふ"れるのは今しかありません!」


孔真「お、おぉ‥、熱心なのは良いけど、あまり燃えすぎるなよ?」


麗羅「大丈夫です♪私だって日々成長してるのですから!」


自信満々に胸を張ると、胸の程よい膨らみが強調される。

確かに昔と比べて夏バテはしなくなっているが、それでも心配である。


孔真「ふぅ、それじゃあ入るか。」


麗羅「はい♪」


少し騒がしい大教室へ二人が入ると、早速猫耳の先輩が出迎えて来た。二人は案内されるがまま着いて行くが、二人の目線は先輩の尻尾と耳に注目していた。


猫耳三年女子「こちらのお席へどうぞ~♪」


先輩が笑顔で振り向くと、

さっきまでいた二人の姿がなかった。


猫耳三年女子「にゃ?後輩くんたちは‥にゃにゃ!?」


孔真「ふむふむ、先輩の猫耳凄く柔らかくて‥コリコリしていますね。」


麗羅「ふわふわな尻尾~♪はぁはぁ、」


猫耳三年女子「こ、こら~、君たち~?ここはおさわりは注文してからにゃ~、にゃうぅ~ん♪」


この後、めちゃくちゃ"もふもふ"した。



意外とけもみみ好きの二人は、

三時間以上滞在することになるのであった。




その頃お外では、


お昼前の十一時にも関わらず、

大食い大会が開かれていた。


本来プログラムにはないのだが、

事の発端(ほったん)は、

午前十時十二分のこと。


微食会の男六人は夜の下見及び、

エニカとルイの付き添いをしていた。


エニカとルイは、学園の生徒とは関わりはあるものの、一般人との関わりが皆無であった。


この世界の情報を得るには、主に学園のテレビか雑誌でしか、情報を得られることはできなかった。


そのため、エニカは(なま)で見る一般の住民に興味津々であった。

特に、着ている服やヘアスタイルなど、元の世界には無い、いわゆるファッションに驚いていた。


エニカ「こ、これがこの世界の"ふぁーしょん"と言うやつですね!」


ルイ「みんな‥"キラキラ"している。美味しいのを食べてるから?」


ぐぅぅ~。


一人ファッションの意味を理解していない子がいるが、恐れを知らぬ番場はツッコむ。


番場「おいおい、エニカ?"ふぁーしょん"じゃないよ?ファッションだよ。あと、キラキラしているのは食べ物は関係ないよ?」


エニカ「なっ!?///」


ルイ「違うの?」


茂野「まあ、二割くらいは正解かな。ファッションってのは、(はる)(なつ)(あき)(ふゆ)の、季節に見合った服装やヘアスタイルなどを合わせることだよ。」


ルイ「うーん、ルイ‥よくわからない。」


茂野「そうだな簡単に言えば、夏の暑い日に分厚い長袖は着ないだろ?」


ルイ「うん、夏は‥半袖が良い。」


茂野「まあ、そんな風に色や文字とかデザインとか、自分に見合った服を選べば、大体のファッションになるよ。」


ルイ「‥なるほど‥、餃子には‥餃子タレ、醤油、みそ‥ポン酢‥見たいな感じ‥。」


ぐぅぅ~。


茂野「え、えっと‥う、うん‥。」



簡単な講座が、まさかの食い物変換され、

思わず驚いた茂野は言葉を失い、ツッコミを諦めた。


藤井「何負けてるんだよシゲ?」


茂野「いや、まさか食い物に変換されるとは、思ってなかったから‥。」


ルイ「‥??」


ルイは不思議そうな顔をして首を傾けた。


まあ、ルイらしいっちゃ、らしいが、


やはり、ルイの様な能天気キャラのツッコミと制御装置役は今の面子(めんつ)では難しいと悟った。


藤井「うーん、やっぱり留守番は一人だけにすればよかったな。」


坪谷「なんならゲートを閉じてしまえば、良かったんじゃねぇか?」


番場「おぉ!それは良い考えだね。でも、その後が怖い気がするけど、今更って感じがするな。」


藤井「確かにな。それと、マッキーと大西はどこ行った?」



坪谷&番場「そ、そういえば‥。」


三人がこそこそと裏の話をしていると、高野と大西の姿がなくなり、更にこそこそしている三人を怪しんだエニカが尋ねてきた。


エニカ「ねぇ、三人とも何こそこそしてるの?」


藤井「な、何も~、ただ昼飯のことを考えていたんだよ。」


エニカ「お昼?二時間前に食べたばかりなのに、もうお昼の話ですか?」


番場「あ、あはは、そうそう!ほら、ルイがさっきからお腹を鳴らしてるだろ?だから、二年生のブースと学食のタダ飯ツアーも良いかなって‥。」


春の大戦乱祭で戦勝クラスの二年五組は、

十一月まで学食と購買の料金はタダとなっている。しかし、一日の上限が千五百円までとなっている。


これは大食い生徒の横暴を止めるための妥協策であった。



エニカ「‥ふーん、まあ、尚弥(しょうや)がいない事と関係してないのならいいわ。全くどこ行ったのかしらね。」


それよりマッキーと大西が逃亡した件について、気づいてほしい三人であった。


そんな時、ルイのお腹の虫の音が徐々に大きくなり、少し離れていても聞こえるくらいになっていた。


今日の腹減りはやけに早いようだが、

一行は早速食堂に向かおうとする。


するとそこへ、スクープの臭いを嗅ぎ付け、

カメラを持ったジャーナリストが現れた。



映果「全てのネタは見逃さない!神出鬼没のジャーナリスト!亀田映果参上!さぁ、微食会のみんな!そのお悩み私にお任せを!」


藤井「な、なんだよ、映果?」


番場「面白いネタはここにはないぞ?」


坪谷「絶対に後をつけてたろ。」


エニカ「え、映果ちゃん?な、何してるの?」


映果「ふっふっ、ルイちゃんがお腹を空かせてるようだから、ちょっと、面白いイベントが思い浮かんでね♪」


茂野「‥まさか、大食いじゃないよな?」


映果「あっ‥‥。う、うん、そう。」


茂野「やっぱりな。」


先回りをされた映果は、

序盤でペースを乱された。


映果「で、でも!今の五組は春の大戦乱祭の戦勝クラスだよ!学食でやろうよ!」


茂野「映果、上限忘れてるよ。」


映果「‥なっ!?しまった~!」


更に追い討ちをかけられた映果は、

ショックのあまり膝をついた。


藤井「バカだな。」


番場「うん、ばかだ。」


坪谷「うーん、やりたいことが現実よりも先を歩いてるな。」


エニカ「さ、三人とも!?寄ってたかって、やめなさいよ!?」


坪谷の意見はまだ優しいとして、頭に思い浮かんだことをそのまま言う藤井と番場であった。


するとそこへ、まさに神出鬼没の上杉校長が現れた。


上杉「おやおや、まだ午前中なのに早速トラブルかな?」


映果「あ、校長先生‥、実はルイちゃんをメインにした大食い企画をこれからやりたいのですけど、今日だけ学食の食費条件を免除してもらえないでしょうか?」


上杉「おや、そんなことなら構わないぞ?」


映果「そうですよね‥やっぱり‥え、えぇ!?良いのですか!?」


まさかのすんなり許可が降りたことにより、

ルイを除く微食会の五人は驚いた。


上杉「もちろんだとも、企画はどうあれ君たちは青春を謳歌しなさい。その代わり、映果くんにはその記事をホームページ用に作成すること‥これで良いかな?」


映果「も、もちろんです!それでは早速準備に取りかかります!」


その後、上杉校長は微食会の男四人に会釈をすると、その場を去っていった。


おそらく、

今夜の仕事報酬の一つであると四人は感じた。



それから映果は、上機嫌にエニカとルイの手を取り足早に学食へと向かったのであった。






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