第二百二十二話 苦労と苦悩
微食会の四人が泥沼な話をしていると、
すっぽかされているラシュリーナが声をあげた。
ラシュリーナ「こら~!私をのけ者にして話を進めるとは酷いぞ!」
渡邉「お、おぉ、久しぶりだなラシュリーナさん?」
星野「お元気そうで何よりです。」
本間「あはは、話したいことは沢山あるけど、取りあえず近藤を下僕に出来たようだね。」
ラシュリーナ「ふっふっ、なんならお前たちも私の下僕にしてやってもいいわよ?」
三人「いや、それはいいかな~。」
ラシュリーナ「っ!そ、即答!?」
近藤「おい‥お前ら‥。」
予想が付き添うな三人の答えに、ラシュリーナは驚き、近藤はツッコミを入れたくて仕方がなかった。
星野「それより近藤は、太陽の光は大丈夫なのか?」
近藤「っ、砂にはならないけど、何故か憂鬱な気分になるんだよ。多分、悪天候の時は逆に良いのかもな。」
渡邉「ふぅ、それを聞いて安心したよ。」
本間「それなら、そろそろ納涼祭も始まるし外に行こぜ?」
近藤「その前に‥、女子用の制服を持ってきてくれ。」
本間「えっ?まさか近藤‥着るのか?」
近藤「しばくぞ‥。ラシュリーナが着るに決まってるだろ!」
ラシュリーナ「えぇ!?この服装はダメなの!?」
近藤「ふぅ、肌の露出が多すぎる!餓えた男たちに襲われるぞ!」
黒ブーツに、黒いガーター付きソックス、
そして薄紫のフリフリのミニスカートとレースアップの胸だしに‥へそだしである。
完全に注目の的である。
ラシュリーナ「そ、そんな~、お気に入りなのに~。」
近藤「全く、だから普通のにしろって言ったんだ。」
渡邉「ふむぅ、たった一日で結構仲良くなったみたいだな。さすが尚弥だ。」
星野「ま、まさか手紙にはラシュリーナさんから下僕にしたいと書いてあったけど、逆に下僕にしたとか?」
本間「んで、昨日の夜は近藤の超ド級な調教を‥最低‥最低だ。」
近藤「お前らな‥、次から次へと‥。取りあえず、仲良くなった件については置いといて、俺は下僕にもなってないし、してもいない!それと調教もしていないからな!?」
微食会の悪意ある弄りは、なかなか収拾がつかないため、やられる側は面倒である。
本間「それで、当の本人の意見はどうなのかな?」
ラシュリーナ「わ、私?えっと‥そ、それは‥。」
近藤「はいはーい、質疑応答はここまで!早く女子用の制服を取ってこい!」
朝の件を聞かれたら元も子もないので、
近藤は急いで話に割り込み誤魔化した。
本間「な、なんだよ‥、はぁ、わかった。ちょっと、先生に事情を話して借りてくるよ。」
近藤「普通に借りてこいよ?余計なことは言わずにな‥。」
本間「うぐっ、わ、わかってるって、でも、理由を聞かれたらどうする?」
近藤「編入希望の子が来たとか言って、誤魔化せ。」
本間「ありきたりだな、まあ、わかったよ。」
本間は足早にその場を後にすると、
残された三人はその場で待機するのであった。
そうこうしていると時刻は九時になり、
納涼祭開始の花火が高らかに鳴り響き、多くの人が学園を訪れ始めた。
上空には花火部による、
やり過ぎレベルの一尺玉"花雷"三十連発と言う、朝から上げるには近所迷惑並みの花火であった。
これにより、異種交流会の部室で寝ている寝坊助たちが目を覚ます。
ジェルド「わふッ!?」
桃馬「っ!?」
桜華「ふへぇ~。」
小頼「はぁはぁ~、ふへへ~♪」
そこには、
音に驚き抱きつく男たちと、
蕩けた桜華の体をまさぐる小頼がいた。
桃馬「こ、この音は‥は、花火か?」
ジェルド「は、花火にしては大きいだろ‥。」
桃馬「ま、窓を見ればわかるだろう。」
薄暗い部室の中、桃馬は黒カーテンを開けると、納涼祭がすでに開始していることに気づく。
桃馬「えっ?えぇっ!?もう始まってるじゃん!?じ、時間は‥く、九時過ぎか‥。桜華起きろ!寝坊‥って何してるんだ小頼!?」
ここでようやく、桜華が小頼に襲われていることを知った桃馬は直ぐに二人を引き剥がした。
桃馬「し、しっかりしろ桜華~!?」
桜華「は、はへぇ~♪」
小頼「いや~♪桜華ちゃんの感度は抜群だね~♪毎夜毎夜、桃馬に可愛がってもらっているのかな~?」
桃馬「ば、バカ言うな!?そ、そんな、ま、毎夜毎夜はしてないし!」
小頼「へぇ~♪たまにしてるんだ~?」
桃馬「うぐっ、い、いや‥それは‥。」
墓穴を掘った桃馬は、動揺して赤面するが、
言い返す言葉が見つからなかった。
小頼「にしし、調教ご苦労様!あはは!」
桃馬「うぐっ‥こ、この変態女め‥。」
舌戦や発想力では、三枚以上も上手な小頼に、
劣等感を植え付けられ、桃馬は負け犬のように悔しがるのだった。
そんな様子に忠実な駄犬が助けに入った。
ジェルド「こら小頼?桃馬に不快を与えるようなことをするな!」
小頼「おやおや~?駄犬はこの写真を見ながら、朝○キしていなさい。」
小頼は三枚の写真を懐から取り出すとギールに見せつける。
すると、イケメン姿のジェルドは犬のように四つん這いになり犬真似をする。
ジェルド「わふっ!はぁはぁ‥。はぁはぁ。」
小頼「よしよし~、良い子だね~♪」
ジェルド「わふぅ~ん♪」
完全に落とされた駄犬改め、バカ犬は小頼になで回され、写真を受け取ると足早に部室を飛び出した。
桃馬「最低な犬だな‥。」
小頼「こう言う変態で最低な彼氏最高ぅ~♪」
桃馬「歪んでるな‥、今度ベリーに植え付けてもらえよ。」
小頼「ざーんねん♪ベリーは男にしか手を出さないんだよ~?」
桃馬「分かってるよ!俺だってマウント取りてぇんだよ!」
小頼「それなら、材料は選んでおくべきね♪」
桃馬「うぐっ‥お前な‥。」
完全に舌戦に負けた桃馬は、
片手で両目を隠し呆れるのであった。
桃馬「と、取りあえず、ここに一般の人が誤って入って来る前に片付けるよ。」
小頼「はぁ~い!」
寝起きから忙しい桃馬は、早々に布団を片付け、ジャージ姿で蕩けている桜華をおぶさり、小頼から離れるのであった。
途中まで小頼のしつこい追撃に合ったものの、
気づけば二年棟の裏にある、木造校舎(寄宿舎)まで来ていた。
桃馬「はぁはぁ、どうやら撒けたようだけど‥、桜華大丈夫か?」
桜華「ふにゃ~♪桃馬~♪」
寝惚けと蕩けが抜けないのか、
家でよくやる甘えん坊モードになっていた。
桃馬「だ、大丈夫そうだな。さてと、桜華をジャージ姿で連れ出したけど‥、これからどうしよう。」
本当は部室に戻って桜華を着替えさせたいところだが、小頼に出待ちされてる可能性があるため、このまま桜華の正気が戻るまで木造校舎で様子を見ることにした。
昨夜この木造校舎内で、
多くの同級生が泊まっていたようだが、
意外にも全員出払っていた。
桃馬「‥誰か居るかと思ったけど、全員やる気満々だな。」
?「ふっふっ‥そうだな。」
桃馬「えっ?」
突然耳元から、久しぶりに聞く妖艶を漂わす桜華の声が聞こえた。
桃馬は、まさかと思い振り向くと。
桜色の髪から大人びたパープル色に変わった、桜華様がいた。
ちょっとあらすじ、
桜華様とは、桜華の母親である柿崎 藤霞の魂が憑依した姿である。
桜華様の正体が知る者は少なく、娘の桜華や祖母の静乃、あとは桃馬の母親である佐渡雪穂だけである。
しかも藤霞は、娘を差し置いて桃馬を狙っており、家以外での主導権を取るのは禁止にされているのだが、蕩けた桜華の隙を見て出てきたのだ。
桜華様「久しぶりね‥と~くん。」
桃馬「はひっ!?あ、あの‥と、とーくんとは?」
桜華様「クスッ、あなたのことに決まってるでしょ?」
桜華様をおんぶしていることもあり、わざとらしくも色っぽい口調で耳元に語りかける。
桃馬「え、えっと‥あ、あの、み、耳元で‥そ、そそ、その‥は、話かけないでもらえますか‥//」
久々のせいか、辛辣のイメージがある桜華様が、誘惑口調で詰め寄る仕草に興奮するこの男。
いつぞやの、クラスメートの前で桜華様にキスされたことを思い出すのだった。
(詳細九十話より)
桜華様「へぇ~、顔を真っ赤にしているのに‥そんなことを言うんだ~?」
桃馬「ひうっ!?あ、あの‥ど、どこ触っているのですか!?」
桜華様「どこって‥上半身よ?」
桃馬「うぅ。そ、そんなことは‥わ、わかっています。お、俺が聞いてるのは部位の‥くあっ!」
桜華様「おやおや~、もしかして、ここが弱いのかな~?」
分かりきったような口調で、
娘の彼氏‥いや、夫である桃馬を弄ぶ。
その後は、桜華が蕩けている隙に桜華様は、誰もいない木造校舎で、濃厚なキスを強行し桃馬を押し倒したそうな。