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第二百十八話 デジャブ

あれから一ヶ月。

最後に何が起きたの分からないまま今に至り、

蒼喜たちに聞いても普通に寝ていたと満場一致の返答であった。


うろ覚えだが、あの時のラシュリーナは、吸血鬼みたいな感じだったような気がする‥。でも、あれが現実か夢なのかは、未だハッキリしていない。


そう考えている内に、ラシュリーナが住んでいる城がよく見える、村へとたどり着いた。


女性「あら?あなたはいつぞやの。」


女性「エニカ様専属の公国騎士様よ!」


村の大人たちが、近藤を見かけると嫌な予感を漂わすワードを発しながら続々と集まってきた。


近藤「ふぇ?えぇ!?あ、あの、お、お久しぶりです‥み、みなさん。」


思いもしない展開に一歩、二歩と後ろに下がる。


男性「まさか、あの時助けてくれたあなた方様が、エニカ様専属の公国騎士様だったとは、お手を(わずら)わせてしまったこと、大変申し訳ありません。」


近藤「あ、えっと、それはお気になさらず、そ、それより‥公国騎士とは‥。」


エニカが、俺たちを重臣にしようとしているのは前から知っていることだが‥、了承した覚えが‥ない。


男性「またまた、その様なご謙遜(けんそん)を。リブル公国領では知らない人はいませんぞ?」


女性「噂ではその中からご婚約なされるとか。」


近藤「は、初耳ですよ!?」



真相は定かではないが、レッドカード物の情報に思わず驚愕する。そもそもエニカとルイは不可侵であり、恋愛よりも友人としか見ていないため、十人の恋愛フラグは皆無である。


これをあいつらに、

聞かせたらどう反応するかが楽しみである。


女性「若いって良いですね♪」


男性「エニカ様のことだ、もしかしたら、十人を物にするかもしれませんぞ?」


近藤「うぐっ、あ、あり得ませんよ‥。そ、それより、ら、ラシュリーナさんは今どうしてますか?実は、用があるんですけど。」


強引に話を変えようとすると、

まわりの大人たちは、"あっ、そういうこと~"

見たいな感じで納得し始める。



女性「あ、あらあら、ご、ごめんなさい♪ラシュリーナ様なら子供たちとお城で遊んでいますよ♪」


男性「そ、そうかそうか、お一人でラシュリーナ様に会いに‥。ご安心ください!何かあれば直ぐに子供たちを迎えに行きますので!」


近藤「え、えぇ、で、でも、無理に迎えに来なくても‥。」


男性「な、なんと‥子供たちの前で‥さ、さすが、公国騎士様‥子供たちに気づかれずにラシュリーナ様を調教するのですね!」


近藤「‥‥はっ?」


女性「ごくり、わ、私の異界の薄い本で見たことがあります!子供たちが部屋で遊んでいる時に、クローゼットの中で夫婦がまぐわう物を!」


近藤「‥な、なな、何言ってるのですか!?お、俺はそんなことをしに来た訳じゃないですよ!?向こうが来いって言うから、代表で来たんですよ。」


リブル公国領の村でもあって、日本の文化が若干浸透しているようだが、よりによってなんでエロ同人志なんだか。


男性「あ、あはは、そうでしたか。これは失礼しました。」


女性「クスッ、ラシュリーナ様も同い年くらいのお友だちがほしいみたいですね♪」


近藤「お、同い年って‥見た目はそうかもしれないけど‥向こうは確実に百を越えてるだろ。」


村人たちが解散すると、近藤は小声で禁断のセリフを吐きながら城へと向かった。





それから何事もなく城へ着くと、

以前着たときより門と壁がきれいになっていた。

おそらく村の人たちのお陰だろう。


庭も変わりなく手入れがされ、村の人たちと上手くやっているようだ。


確か子供たちが遊びに行っていると村の人は言っていたが、子供たちの騒音が聞こえないとなると、やはり防音なのだな。


近藤は城に入ると、以前の事件性を漂わす荒れた感じはなく、むしろ豪邸らしい風格を取り戻していた。


そして、子供たちの元気の良い声が響いていた。


手紙には夜までには来いと書いていたが、

さすがに早すぎたかもしれない。


近藤「ふぅ、傲慢キャラは子供からしてみれば、信頼できるお姉ちゃんってか。」


一人で呑気な感想を述べていると、

ラシュリーナの声が響く。


ラシュリーナ「ひゃっ!?ちょっとどこ触ってるのよ!?」


近藤「‥な、なにして遊んでるんだよ。」


子供の遊びには早すぎると感じた近藤は、急いで声のする部屋へと向かった。





女の子「ラシュお姉ちゃんのおっぱい大きい~♪」


女の子「わ、私もお姉ちゃんみたいに大きくなりた~い♪」


男の子「ラシュ姉ちゃんのお尻~♪」


ラシュリーナ「こ、こら~!?わ、私のお尻と胸を触っちゃだめでしょ!?」


男の子「わぁ~い♪怒った怒った~♪」


ラシュリーナ「ぐぬぬ、わ、悪ガキめ~。」


子供たちに(もてあそ)ばれるラシュお姉ちゃんは、日に日に過激になるお遊びに苦労していた。


本来きつく注意すれば良いのだが、上手く怒れず、逆に子供からナメられていた。


(しま)いには、男の子が誤ってコケた際には、ラシュリーナが着ている紫色のネグリジェを掴んでしまい、そのまま脱がしてしまった。

たわわに育った胸が(あらわ)になり、

赤面しながら混乱すると、運悪く近藤が扉を開けて現れたのだった。


目が合う二人に、

ラシュリーナは顔を更に真っ赤にし、

対して近藤は石化したかのように硬直した。


子供たちは気まずくなり黙り混み物陰に隠れた。


ラシュリーナ「い、いい、いつまで見てるのよ!この!変態!」


近藤「へぶっ!?」


怒りの矛先は無慈悲にも近藤へと向けられ、

渾身の魔弾を近藤の顔面にお見舞いした。


展開は違うが、

一ヶ月前と同じ気絶から始まったのであった。




ラシュリーナ「っ!わ、わわ、私としたことが、何てことを!?」


男の子「ら、ラシュお姉ちゃん!?今は手当てをしないと!?」


女の子「わ、私お医者さんを連れてくるよ!?」


男の子「お、俺も行くよ!?」


二人の子供たちが急いで村に向けて走り出すなか、ラシュリーナたちは大柄な近藤を、

なんとかソファーまで引きずると回復魔法を施した。


その後、村の医者や数人の大人たちが駆けつけ診察するも、ただの気絶だと告げられた。


その場の全員が安堵する中、子供たちから事情を聴いた大人たちは、当然子供たちを(しか)った。


男性「全くお前たちは、あれほど迷惑をかけるなって言っておいたのに。」


子供たち「ご、ごめんなさい‥。」


さすがの子供たちも反省しているようで、表

情は後悔の念で溢れていた。


男性「ラシュリーナ様。子供たちがいきすぎた行為をしてしまい申し訳ありません。」


ラシュリーナ「う、うむ、わ、私は気にしてなんかないけど‥、それより家に帰っても、あまり子供たちを責めないでほしいわ。」


男の子「ら、ラシュお姉ちゃん‥。」


女の子「ま、また遊びに来ても良いの?」


ラシュリーナ「ふっふっ、もちろんよ♪でも、次からは少し手加減してほしいわね♪」


子供たち「ふぁ~、ラシュお姉ちゃん!」


お尻や胸を触られても、

拒まないラシュリーナに対して、

子供たちは感極まって一斉に抱きついた。


ラシュリーナ「ふっふっ、お前たちは良い子だな~♪」


子供たちのお姉ちゃん、

なんてほのぼのしい光景なのだろうか。


これには大人たちでも、簡単には引き剥がせないものであった。


だが、ラシュリーナ様と公国騎士様のフラグがある以上、二人っきりにさせたい大人たちは、思いきって声をかける。


男性「はいはい、子供たちよ。今日の遊びはここまで、ラシュリーナ様と公国騎士様はこれからお仕事があるんだよ。」


男の子「ふぇ?お仕事?」


女の子「ラシュお姉ちゃん?あのお兄さんとなにするの?」


ラシュリーナ「えっ?あ、それは、ちょっとね~。」


男性「こらこら、聞いちゃダメだろ?すみません。ラシュリーナ様‥今すぐ帰りますので。」


その後、質問攻めをする子供たちを何とか誤魔化して引き剥がして村へ帰ると、ようやく二人きりの時間ができるのであった。




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