第二百十話 姉妹事情
異種交流会の活動方針がある程度決まると、
二週間後に迫った納涼祭について話し合われようとしていた。
ちなみに、部活の詳細は、
八月五日から十一日
八月十八日から八月二十五日まで、異世界で活動をすることになり、夏休みの宿題は七月中に終わらせる方針でまとまった。
時奈「さて、今年の納涼祭はみんなも知っての通り、国民的アイドル"ユキツバキ"が来ることになっている。ユキツバキの人気は学園中にも轟かせているため、納涼祭当日に暴走する生徒が出る可能性がある。そこで、上杉校長から直々に我ら異種交流会に"ユキツバキ"のボディーガードを勤めるようにとお達しを頂いた。」
まさかの報告に、一部を除く全員が愕然とした。
桃馬「な、なな、なんですと!?」
憲明「お、おいおい、まじかよ。」
ジェルド「お、俺たちがボディーガードって‥ごくり、それって、ココロちゃんと一緒にいられるってことか!?」
ギール「ごくり、す、すごい!」
豆太「ほ、本物に近くで会えるのですか!?」
目を大きく開いて驚く二人と、
嬉しさから尻尾を振り回し喜ぶ三匹。
小頼「こ、これは‥さ、撮影のチャンス!」
桜華「や、やや、弥彦様に直にお会いできるなんて‥こ、ここ、光栄です!」
シャル「すごいのだ♪すごいのだ~♪五人の歌は余のお気に入りでもあるのだ~♪間近で会えるとなると凄く嬉しいのだ!」
一人は邪なことを考えているが、"ユキツバキ"のファンである桜華とシャルは大いに喜んでいた。
しかし、リフィルだけは難しそうな顔をしており、心配したルシアが声をかける。
ルシア「どうしたのリフィル?あなたなら食い付きそうな話なのに、やけに静かじゃない?」
リフィル「ふぇ!?あ、いや‥、ちょっと、緊張してるだけだよ~♪」
京骨「‥ん?緊張って、姉さんがいるからか?」
リフィル「うん‥‥えっ?、っ!?」
京骨「ぐへっ!?」
ルシア「ふぇっ!?」
何か思い当たる節に触れたのか、リフィルは突然ルシアと京骨の首根っこを掴み生徒会室に飛び込んだ。
桃馬「ん?リフィルのやつ、京骨とルシアを連れて生徒会室に入ったけど‥。何かあったのかな?」
憲明「どうせ、京骨が変なこと言ったんだろ?おおよそ、それを聞いたルシアも連れ込んで口封じか、記憶を消しているか‥。」
桃馬「‥‥やりかねないな。」
二人がリフィルの闇を想像する中、
ルシアと京骨を連れ込んだ生徒会室ではと言う。
リフィル「な、ななっ、なんで京骨が、お、お姉様のことをしてってるのですか!?」
京骨「いや‥、スカーレットちゃ‥こほん、スカーレットさんの苗字ってナーシェルだろ?」
一瞬ちゃん付けで呼びそうになると、
ルシアに少し睨まれ急いで言い直した。
リフィル「で、でも、ナーシェルと言っても他にもいると思うけど?」
京骨「そ、そうなんだけどな‥。」
ルシア「ルルーちゃんの情報なら話は別よね♪」
リフィル「う、うぅ、サキュバス繋がりですか‥。と、とにかく、お姉様と私の関係はみんなに一切合切黙っていてください!」
リフィルは二人に顔を近づけ釘を打つも、
京骨から懸念が飛んでくる。
京骨「お、おう、でも‥俺たちの他にも、何となく気づいてるんじゃないか?似ているし‥。」
ルシア「確かにね~♪でも、胸を見ればちょっとはゴマかせれるんじゃないの?」
京骨「‥うーん、豊満なリフィルと小ぶりながらも形が分かるスレンダー系のスカーレットさん‥、やっぱり無理があるだろ?うん、絶対に感づいてるよ。」
ルシア「うーん、だめかな~。やっぱり顔が似てるもんね。」
不安を煽るような二人の会話に、
リフィルの不安が高ぶる。
リフィル「うぅ‥そんな。」
ルシア「でも、どうして嫌なの?やっぱり比較されるから?」
リフィル「それは少しあるけど‥それより憲明が取られるような気がするから‥。」
悲しそうな顔をして不安を打ち明けると、
京骨とルシアは、笑みを浮かべた。
まさかの不安の理由が、姉に憲明が取られると言う心配事であった。
京骨とルシアは改めてリフィルの独占欲を目の当たりにすることとなった。
ルシア「クスッ、安心しなさい♪私たちも手を貸すから、一緒に憲明を守りましょう♪」
京骨「そうだな、それより今回の納涼祭で、一番心配なのは直人だけどな‥。」
リフィル「‥っ、そ、そう言えば‥。」
リフィルは最も肝心で重要なことを思い出すと、ルシアは畳み掛けるように尋ねる。
ルシア「その様子だと、ルルーちゃんとエルンが姉妹だってことも知ってるようだね♪」
リフィル「え、えぇ‥、一応繋がりはありますから。」
ルシア「ちなみにルルーちゃんは、直人を襲う気満々よ♪もし、ルルーちゃんと既成事実を作った時には‥、直人の首は確実に落ちるわ♪」
京骨「‥さすがの直人でも、助かる見込みはないな。」
リフィル「た、たた、大変だ!?早くエルンちゃんに伝えないと!?」
リフィルは血相を変えて、生徒会室から飛び出したのだった。
ルシア「さてと、今年の納涼祭は、どうなるかしらね。」
京骨「直人も不運な男だな‥。俺ならそんな命懸けの運はごめんだな。」
ルシア「確かにね~♪勝手に向こうから迫ってくるからね~♪もはやラッキースケベの頂点だね♪」
京骨「笑ってる場合じゃないよ。ボディーガードを命じられたのも何かの縁だ。ルルーさんを全力で止めるよ。」
ルシア「は~い♪」
二人は意思を固めると、部室へと戻った。
ここで、簡単な"ユキツバキ"のメンバーの紹介
金髪エルフのお転婆幼馴染系
リフィルの姉
スカーレット・ナーシェル
銀髪ダークエルフの"くっころ"ツンデレ騎士系
ダクト・リンバートル
白狼族の甘えん坊な忠犬
ココロ・コロネル
紫髪サキュバスの珍しいクール系お姉さん。
エルンの姉
ルルー
茶髪のツインテの妹系現人神
弥彦稔
この五人からなる、日本初の多種族ユニットとしてデビューし、その名を世界中に轟かせた。
最強のユニットの一組である。
その後、
突然夢のような任務を告げられた桃馬たちは、
納涼祭成功のため色々と準備を進めるのであった。