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第二百一話 魔族嫁の本領

これは夏の大戦乱祭二年生の部の後日談である。


とある医務所(いむしょ)で、とうとう校則違反を犯そうとする。二人の美女がいた‥。


それは一時間前のこと。


気絶した直人が目を覚ますと、

桃馬を含む数名の友人たちが、

監視ついでに見舞いに来ていた。


直人「うぅ‥ここは‥‥。」


意識が朦朧(もうろう)とする中、まず視界に入ったのはリールとエルンであった。

心配そうな表情をしていた二人は、

徐々に笑みを浮かべ始めた。


リール「な、直人!だ、大丈夫?」


エルン「か、体に違和感はないか?どこか痛むところはないか?」


直人「‥えっと‥ん?‥。」


目覚めたばかりで若干の混乱もあり、脳の働きが遅れ、すぐに二人の簡単な質問に答えられなかった。


そん中で不意に横を向くと、

桃馬を含む五人の男たちがいた。


直人「桃馬‥?なんで‥ここに?」


桃馬「ふぅ、二人の呼び掛けを無視してこっちに話しかけるとはな‥。」


葵「‥まあまあ、暴走の反動もあるだろうし無理もないさ。」


晴斗「そうだね、今は落ち着いてるようだし安心したよ。」


志道「でも、油断はできないぞ?早いところ例の件を伝えた方がいいだろ。」


直人「‥例の話?」


まだ脳の回転が鈍い中、渡邉が話を切り出した。


渡邉「‥直人。落ち着いて聞いてくれ。例の土佐たちの件だけど。」


直人「‥‥。」


四人の話を聞いたら途端、

一瞬で重苦しい空気へと変わった。

五人の男たちは少し身構えると、

リールとエルンが直人の両手を握った。


直人「‥っ、リール‥エルン。」


再び我を失いかけた直人は、リールとエルンを見つめると、二人は無言で首を横に振った。


二人の手は温かく不思議と妖気が静まり返る。


五人の男たちも冷や汗をかきながらも、一呼吸置いて安堵した。


ここで直人は、ようやく脳の回線が繋がり話の続きを再開しようとする。


直人「‥すまない、また取り乱してしまった。もう大丈夫だ‥、続けてくれ蒼喜。」


渡邉「あ、あぁ、まず逃亡していた三人だけど、奴等は俺と尚弥で仕置きして、先生方に引き渡している。」


尚弥「そうそう、今頃は土佐と共、生徒指導部の先生にきついお叱り受けているはずだよ。」


直人「‥そう‥か、この手で殴れないのか。」


残念そうな表情でうつむき肩を震わせた。

その震えはリールとエルンが握っている手にも伝わった。しかし、直人は決して強く握ろうとはしなかった。

その代わりに、リールとエルンが強く握っていた。


リール「な、直人?そんなに復讐に囚われないでよ。ほら、いつもみたいに笑って♪」


エルン「リールの言う通りだ。直人の無念な気持ちは分かる‥だが今は、暴力を捨てた直人に戻ってくれ。頼む‥。」


二人の心からのお願いは、荒んだ直人の心に響く。

暴走してもなお‥、必死に止めてくれる二人が、とても(いと)おしく感じる。


そのためか、愛する人のための暴走で逆に悲しませれば、まさに本末転倒である。


すれ違う理性と本能、ここは大人しく理性を取る他なかった。


直人「わかった‥。どうやら、俺の戦はここが引き時のようだな。」


リール&エルン「っ!直人~!」


少しぎこちないが、二人に笑みを見せると、

リールとエルンは、涙を浮かべながら直人にダイブしたのだった。


桃馬「ふぅ、まったく‥見せつけてくれるな。」


葵「やっぱり、今の直人には二人が必要だな。」


志道「絵に描いたような綺麗な光景だ。」


晴斗「‥だね。さてと、これからどうしようか。」


渡邉「取りあえず、閉会式があるから一旦戻ろうか。」


桃馬「そうだな、直人も病み上がりだし大人しくさせておこう。」


こうして男たちは、直人とイチャつく二人を一旦引き離し、直人には念のため絶対安静と忠告を言い残し、七人はその場を去るのであった。


直人「‥‥ふぅ、寝よう。うぅん?」


再びベッドへ横になると、柔らかなクッションのような物が顔に当たる。


触ったことがある感触とちょっとエッチな甘い香りら思わず手が伸び、柔らかなクッションを鷲掴みにした。


?「あぁん♪」


すると、聞き覚えのある淫靡なお姉さんの声が聞こえた。


直人「‥‥‥稲荷姉‥何してるの。」


直人は柔らかなクッションに顔を埋めながら話した。


稲荷「クスッ♪何って看病よ♪」


直人「‥仕事‥サボって大丈夫なのか?」


稲荷「いいの♪大切な旦那様‥いや、可愛い弟が大変な目に合ってるのに仕事なんかしてる暇はないわ♪」


稲荷は立派な九本の尻尾を、元気よく振らせながら答える。


しかし直人は、何となく"この状況"を口実に仕事をサボったのではないかと思った。


稲荷姉が学園に忍び込んだあの日以来、

リヴァル兄さんや白備とのやり取りから、

相変わらず日が上っている時は自室に籠って、

俺やリールとエルンの観察をしているようだ。


そのため、リヴァル兄さんと白備には監視をお願いしたのだが‥、ここに稲荷姉がいると言うことは、うまく出し抜いたようだ。


稲荷姉は、さっそく脚を絡め豊満でエロエロな体を密着させ、いつでも襲える準備をしていた。


そのため、変に悟られないようにするのであった。


直人「い、稲荷姉‥えっと‥その‥看病は嬉しいんだけど‥い、色々と‥密着し過ぎな気がするんだけど‥。」


稲荷「だ~め♪あれだけ暴走したんだもん♪お姉ちゃんが静めてあげないとね♪」


確かに密着されながらも、暴走の(もと)である妖気が浄化されていくのがわかる。


それと同時に急な眠気に襲われ、稲荷の豊満な胸の中で眠りについた。


稲荷「‥クスッ‥じゅる。」


完全に眠ったことを確認した稲荷は、着物を脱ぎ始め無防備な弟を時間が許される限り、楽しんだのであった。



そして、一時間後。

二年生の部の閉会式が終わり、リールとエルンの二人は急いで医務所へと駆けつけた。


そこには大人しく寝ている直人の姿があり、

二人は安堵して胸を撫で下ろした。


リール「よかった~、暴走はしてなかったね♪」


エルン「あぁ、そうだな。本当に気持ち良さそうに眠っている。」


リール「でも、ちょっと気が抜けてるように見えるけどまあいいか~♪それじゃあ、早速桃馬に現状報告してくるよ♪」


エルン「あぁ、直人は私が見ていよう。」


リール「‥襲っちゃダメだよ~♪」


エルン「っ!お、襲わないぞ!‥たぶん。」


赤面するエルンをからかいながら、

扉を開けようとする。


がしかし、先程までスムーズに開いたはずの扉がびくともしない。


リール「ん?あ、あれ?」


エルン「どうしたリール?」


リール「お、おかしいな~?扉が開かない。」


ガタガタとドアノブを引くが、不思議な力が働きびくともしない。


エルン「どれ、私もやってみよう。」


リール「ふへぇ~、ほんとに固いよ?」


エルンも同じように試すも、リールの言う通りびくともしない。


エルン「どう言うことだ‥。」


リール「‥これってもしかして、閉じ込められた?」


エルン「っ、可能性はあるが‥取りあえず窓も調べよう。」


リール「おぉー!盲点だった!」


エルンとリールは、窓も調べるも当然鍵はびくともしなかった。


エルン「‥やはりだめか。」


リール「ふえーっ!?そんな!?」


完全に閉じ込められた三人、

()(すべ)なしの状況に、

エルンが微量の妖気に気づく。


エルン「ん?この気配は‥。」


リール「エルン、どうしたの?」


エルン「‥いや、ちょっとな。」


エルンは再び直人の元へ向かうと、

綺麗にかけられている布団に注目した。


さっきは気づかなかったが、よく見ると少しだけ大きく膨らんでいるようにも見える。


エルンは思いきって布団をめくると、全裸の直人と全裸の稲荷が寝ていた。


エルン「なっ!?」


リール「ふぇ!?稲荷さん!?」


九本の尻尾を隠し、大胆にも狐耳のお姉さんが直人にしがみついていた。


その衝撃的な光景はまるで、新婚夫婦のように見え、リールとエルンは赤面しながら稲荷を起こした。




稲荷「んんっ~♪二人ともおはよ~♪」


エルン「お、おはようではありません!な、ななっ、何をしているのですか!?」


リール「も、もも、もしかして、私たちがいない隙に抜け駆けですか!?」


マイペースな稲荷に対して二人の嫁は問い詰めた。ましてや、絶対に来れそうもないと手紙に書いて合ったのにも関わらず現れるとは‥。

完全にこの展開を、狙っていたかのように思えた。


稲荷「クスッ、二人ともごめんね♪実はこれ罪滅ぼしでもあるのよ♪」


エルン「つ、罪滅ぼしですか?」


稲荷「コンコン♪実は私が送ったお札なんだけど、私の愛情が逆効果だった見たいなのよね~♪」


エルン「‥や、やはり、そうでしたか。」


リール「あ、あはは‥。姉ラブって言うやつですよね。」


稲荷「あぁ~ん♪私の直人への愛が、二人にばれちゃった~♪お姉ちゃん恥ずかしい~♪」


両手で頬を抑え、赤面しながら恥ずかしがる

変態ブラコン狐は、全裸でデレデレになる。


エルン「‥ふぅ、今回の件について稲荷さんは反省してください。」


稲荷「コンコン♪わかったわ♪あと‥これは私から二人へのお詫びよ♪」


稲荷は"ポン"っと、

二本の怪しい小型の瓶を出すと二人に渡した。


リール「こ、これはなんですか?もうこの時点で怪しいのですが?」


エルン「‥媚薬‥精力促進剤ですね。」


稲荷「せいか~い♪さすが、エルンちゃんね♪」


リール「な、ななっ、なんでこれがお詫びになるのですか!?」


慌てるリールに稲荷は優しく説明する。


稲荷「クスッ♪それは決まってるじゃない♪今の直人は私の術でおやすみ中よ。これほどのチャンスはないわよ?」


リール「ちゃ、チャンスって‥た、確かにそうだけど‥。」


心が揺れるリール、直人との体の関係は数えるほどしかないが、それでも寝込みを襲うのには抵抗がある。


そんな時、エルンが意外な行動を取った。


エルン「‥稲荷さん、すみませんが‥これは受け取れません。」


稲荷「えっ?いいの??」


エルン「‥はい、直人が寝ているのに私だけ楽しむのは‥寂しいですからね。」


受け取り拒否からの、エルンの胸の内を語ると、稲荷は感心しながら怪しげな瓶をしまった。


稲荷「クスッ♪さすがエルンちゃんね♪リールちゃんも直ぐに手を出さなくて安心したわ♪」


リール「‥い、いえ‥私は‥ちょっと危なかったけど‥。」


稲荷「二人とも良いお嫁さんね♪でも、だからこそ‥二人には夜這いのテクニックを学んで欲しいわ♪」


稲荷は煙玉の様な物を床に打ち付け、

煙をばらまくと、その場から姿を消した。


リール「けほけほ、うぇ~、煙たいよ。」


エルン「こほこほ、ま、全く稲荷さんには困ったものだ。」


リール「うぅ~、絶対に私たちを妹のようにからかってるよね。」


エルン「‥まあそれに関しては無理もない。現に稲荷さんの方が、力も知識も技量も上だからな。」


リール「うぅ、これじゃあ、いつか直人を独り占めされちゃうよ。」


エルン「うーん、そうかもな。それよりリール?扉が開くか見てみよう。」


リール「そ、そうだね!」


二人は再び扉と窓を確認するが全く開く気配がなかった。


ふたりが完全に困り果てていると体に異変が起きた。徐々に体が熱くなり、性的衝動が抑えられなくなり、リールは正気を失い直人へと迫る。

さすがのエルンも抑えきれずサキュバスとしての本能が目覚め、リールと共に寝ている直人を襲うのであった。



その後、稲荷に続いて二時間にも渡る激しい夫婦の営みに眠りながら死にかける直人であった。



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