第二百話 特別記念話 天下覇道編 6
(祝)二百話記念
最強を決める大戦が幕をあける。
詳細は百話、百二十二話、百四十九話,百五十話百八十七話をご覧下さい。
一撃必殺並みの技がぶつかり合う第三試合。
たった十分足らずで、二十人もいた選手も六人だけとなっていた。
聖籠忍と三条実時
近藤尚弥と本間が孝
両津直人と本田忠成。
この三人の中から、準決勝への切符を手にする者が現れる。果たしてこの一騎討ちで決まるだろうか。それともまた、他の攻撃に捲き込まれ哀れに終わるか。
いざ、男たちの壮絶な戦いの行く末は如何に。
愛する嫁とエロエロな夜を迎えるために奮闘する変態、通称両津直人は、出し惜しみ無しの修羅モードで本田忠成と激しい打ち合いをしていた。
立派な二本の鬼の角に、金色の狐耳と三本の"もふもふ"した尻尾が左右に揺れる。
直人が勝てば、エルンはエッチなコスプレをして直人に奉仕をしなければならい‥。
エルンは恥ずかる気持ちを抑えながらも、期待を込めて見守っていた。
だが、相手は学園最強の武人、易々とは倒れてはくれなかった。
直人「はぁはぁ、これでも‥倒せないのか‥。」
忠成「うーむ、太刀筋はよし‥だが、焦りが見えるな。そして無駄な動きも見える‥、それでは我には勝てんぞ?」
激しい動作に息が上がる直人に対して、忠成は動きが少なく息も上がっていない。そして一糸乱れぬ佇まいで愛槍を構えていた。
直人「‥くっ、(この姿でも勝てないのか‥。しかも、気迫で押されているせいで、どこから攻めても負けるイメージしかない‥。こんなにも壁が高いのか。)」
攻撃の一手を出そうにも、忠成の気迫に圧され動きが止まる。
そんな直人の姿にリールとエルンが心配し始める。
エルン「まずい、忠成先輩の気迫に呑まれてしまった。これでは手がでなくなるぞ‥。」
リール「ど、どうしよう。あの姿の直人でも圧されるなんて‥さ、さすが学園最強‥。し、仕方ない!エルン!ここは脱ぐしかないよ!」
エルン「なっ!バカを言うな!?そんなことをしても何にもならないぞ!?」
リール「う、う~ん、でも‥これじゃあ‥負けちゃうよ。」
さすがのリールの提案は却下され、二人はどう応援しようかと悩む。すると、隣でフードを被った女の子が忠成の応援を始めた。
?「忠成様~!頑張って下さい!」
リール「‥っ!な、直人負けるな!負けたらエルンのコスプレが見れないぞ!?」
エルン「なっ!?大声でそんなことを言うな!?わ、私は‥い、いつでも‥‥頼んでくれれば‥。って!?こほん、な、直人!頑張れ!」
フードを被った女の子に負けじと、直人の応援を始める。
これが影響したのかわからないが、再び直人は忠成に斬りかかった。
そして、激戦のお隣では、
先程から土埃や爆音を響かせ暴れている。微食会同士の一騎討ちが繰り広げていた。
力強い右手のツッコミを二度もくらい立ち向かう近藤尚弥と、三度も偃月刀で吹っ飛ばされた本間孝は、一歩も退かない攻防をしていた。
近藤「おら!さっさと倒れんか!」
本間「それはこっちのセリフだ!」
近藤&本間「ぐふっ!」
相討ちになっても直ぐに立ち上がり、負けを認めない姿勢であった。
これに対してエニカは頭を抱えた。
エニカ「はぁ、もう止められないわね‥。」
渡邉「そ、そう落ち込むなって、運がよかったら、二人とも準決勝に上がるかもしれないだろ?」
エニカ「そうだけど‥あの二人のことだからペース配分のこと考えてないわよ。」
藤井「‥だろうな。あれは普通に戦っているな。」
エニカ「もう~、こうなったら、私と蒼喜、尚真と天に賭けるしかないわ!」
藤井「お、おぉ~、エニカ‥ね。」
藤井を含む男八人は、じーっと、エニカを見つめた。
エニカ「ちょっ、な、何よ?わ、私は準決勝に行けないとでも思ってるの!?」
茂野「ま、まあ~、行けなくはないとは思うけど‥、大丈夫か?」
エニカ「大丈夫よ!み、みんなは私と戦ってくれないから分からないと思うけど、私はこう見えて強いのよ!」
八人「へぇ~。」
八人は疑いと心配の目でエニカを見つめると、
エニカは珍しく拳を握り、八人を懲らしめたのだった。
ピンポンパンポーン
この先はキャラ的問題から見せられないよ~。
その頃、一際キラキラとさせる聖籠忍は、ようやくレイピアを抜き、激しく鼻につく攻撃をしていた。
三条「くっ!いちいち攻撃する度にかっこつけやがって‥!」
忍「攻撃する時も美しくだよ、三本くん。」
三条「っ!俺は三条だ!」
わざとらしく名前を間違えられ事に、腹を立てた三条は幾度もの斬撃を繰り出す。
だが、美しくない三条の剣技は、忍の華麗な剣技に弾かれたり、避けられたりした。
ちなみに忍は、人の名前を覚えられない欠点があり、覚える条件として、自分が興味を持った者の名前しか覚えないのだ。
忍「あぁ~、芸もなく‥美しくないな。さっさと終わらせよう。」
忍はレイピアを構え、瞬時に三条の懐には入り込み容赦なく腹部を突いた。
三条「なっ!ぐはっ!?」
その威力は見かけによらず凄まじく、壁まで飛ばされめり込んだ。
忍「ゴージャスに美しく!これが僕の美学だ!」
聖籠忍VS三条実時
勝者、聖籠忍
‥‥と思われた。
決め台詞を言った直ぐに忍の背後から、激しい爆音と共に本間孝が弾丸の様なスピードで突撃して来たのだ。
忍はそのまま捲き込まれ、三条がめり込んでいる壁の方向へと打ち付けられ三人仲良く形を取った。
すると、あっという間に準決勝進出候補が確定したのだった。
事は数分前。
小技の打ち合いに飽き、早々に決着をつけようとした近藤と本間が、個々が持つ奥義をぶつけ始めたのだ。
晴れ舞台だからこそ相応しい戦慄、普段使えない技を出せる素晴らしい舞台。
小技で負けては、まさに損である。
近藤「龍奥邁進!」
偃月刀の刃先に力を込め、大きく振り下ろすと、青い炎を纏った龍型の斬撃波を出した。
同時に本間も、
本間「虎獅残響!」
刀に力を込めると赤い炎を纏わせ、刀を縦横に振り下ろし、赤い炎を纏った虎型と獅子型の斬撃波を出した。
映果「おぉっ!微食会の二人が何やら凄まじいものを‥うわっ!?」
龍と虎獅子がぶつかった瞬間、会場全体に激しい爆音と共に衝撃波と黒煙が舞った。
本間「くっ、互角か。」
激しい爆風に怯んでいると、突如目の前に黒煙を払って本間に迫る近藤の姿があった。
本間「なっ!?」
近藤「怯んでる暇はないぞ!」
本間は慌てて迎撃しようとするも、時すでに遅し、近藤の重い一撃をもらい吹き飛ばされた。
本間「がはっ!?」
これにより、忍の背後から本間が体当たりをすることになり、捲き込み方の勝敗となった。
直人「今のは‥。」
忠成「ほう、かなり無茶なことを誰かがしたようだな。」
さすがの二人も突然の爆音に驚き、視線をそらした。
すると、亀田映果の実況が響く。
映果「いってて、ん?おおっと!どうやら、今の衝撃で決着がついたようだ!えーっと、一、二、三‥間違いないね。こほん、第三試合勝者は、両津直人、本田忠成、近藤尚弥だー!!」
直人「なっ!?なんだと!?」
映果の宣言に、会場は盛り上がった。
藤井「ふぅ、な、何とか準決勝に上がってくれたな。」
エニカ「むぅ、嬉しいですけど‥あんなのを放って次は大丈夫なのでしょうか。」
渡邉「ま、まぁまぁ、休憩時間もあるし大丈夫だよ。だぶん‥」
エニカ「‥ならいいのですけど。」
何とか準決勝に入り込んだ近藤は、序盤からの奥義の使用で準決勝が心配されるも、その表情にはまだ余裕があった。
これで微食会は、ルイに続いて二人目である。
そして、直人の応援団はと言うと。
リール「やった~♪何とか生き残ったね♪」
エルン「あ、あぁ‥でも、こ、これは‥約束を果たしたと言えるのか?」
リール「うーん、忠成先輩は健在だし、残念だけど失敗だね♪」
エルン「そ、そうか‥。」
少し皮肉な勝利に、エルンは少し残念な表情をした。
すると、お隣のフードを被った女の子は、忠成の準決勝進出に大いに喜んでいた。
?「やった~♪忠成様の我慢勝ちです♪」
無邪気に跳び跳ねる姿に、リールとエルンが微笑むと、女の子のフードが外れ、べージュ髪のツインテールが露になる。
リールとエルンは目を丸くして驚いた。
その子は、帝都グレイムの姫君ナーシャ・グレイム本人であった。
エルン「あ、あの‥。」
ナーシャ「えっ?は、はい、なんでしょうか?」
エルン「失礼かと思いますが、ナーシャ姫殿下では?」
ナーシャ「はい、そうですよ♪でも、変装までしたのによくわかりましたね?」
どうやら、フードが取れたことを気づいてないらしい。
すると、リールは気さくに声をかけ教えてあげる。
リール「あはは、フードが取れてるよ♪」
ナーシャ「ふぇ?はっ、あはは‥私ったらつい熱くなりすぎてしまいました。」
笑みを浮かべながら、フードを被り直した。
しかし、護衛が見えないことから察するにお忍びのようだ。
リールとエルンはナーシャが入ることを知った以上、側で護衛すると共に観戦を楽しむのであった。
続く。
次回PV10000記念、あるいは一日PV500越え記念にてお会いしましょう