表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/431

第百九十一話 夏の大戦乱祭編(21) 二虎競食

長期戦が予想された六組と微食会の交戦であったが、想定外の事が相次ぎ、あっという間に終局が見え始めていた。



一方で、二方面から攻められている士道部は、

微食会と魔紅軍を同時に本陣へ引き付けることに成功させるが、高田海洋率いる部隊は、身を(てい)して微食会の藤井尚真、高野槇斗を道ずれに壊滅した。


その結果、

微食会のエニカ率いる部隊が、敗走するスザクを追いかけながら士道部の本陣にたどり着くと、そこには士道部ではなく、まんまと引き付けられた魔紅軍が居るのであった。



憲明「おぉ~と、これはこれは‥。」


リフィル「お、おや~。これは晴斗の策にやられたかもね。」


エニカ「あ、あれ?リフィルちゃん?」


番場「‥ふーん、どうやら擦り付けのようだな。」


お互い想定外の展開に動揺するも、

双方の道はそのまま戦う他なかった。


茂野「ここで戦えば‥晴斗たちの思うつぼになるか。」


番場「だけど、今の士道部はほぼ虫の息だ 。例え俺たちがここを制しても、(かな)いはしないさ。」


茂野「果たしてそうかな。」


エニカ「えっと、私はどうしたらいいのでしょうか?」


本来は戦うべきではあるが、何かが引っかかる展開に、エニカは意見を求めた。


茂野「取り敢えず攻撃命令を。」


番場「ちょっと、調子が狂いますけどね。」


ルイ「‥ルイは、エニカに従う。」


三人は交戦に賛成であった。

理由はシンプルである。

結局交戦するなら、遅かれ早かれだと思ったからだ。


それに、ルイがいる時点で負ける心配はない。


エニカ「‥リフィルちゃん、不本意だけど‥ここで倒させてもらいます!」


リフィル「‥クスッ、仕方ないね~♪憲明たちもいいかな?」


憲明「ま、まあ後々戦うことになるからな‥。」


ギール「‥わふぅ‥一人危険なのがいる‥。」


小頼「あ、あはは‥ルイちゃんがいるもんね。」


リフィルの目にルイが見えていないのか‥。

ルイの強さを知る者たちは、誰が相手をするのかと"そわそわ"し始める。


エニカ「では、夏休みとやらを謳歌するため全軍突撃です!」


微食会「おぉぉー!」


エニカの号令と共に微食会は、

魔紅軍に向け攻撃を開始する。


リフィル「手加減はしないよ~♪」


リフィルはお得意の弓でエニカを迎撃するも、

易々と矢を弾かれ距離を詰められる。


憲明たちも覚悟を決め迎撃する。


憲明「はぁ、お前らいくぞ!」


ギール「仕方ねぇな!」


京骨「ルシアと一ヶ月‥イチャイチャするため‥ここは勝つ!」


小頼「あはは‥ここが正念場だね。」



数的には有利である魔紅軍。

質的に有利である微食会。


果たしてどちらがこれを制するか。


各幹部の対戦カードはこちら、


エニカVSリフィル


番場VS憲明


茂野VSギール


ルイVS京骨、小頼、他となった。


まず、一つ目の視点。

拳式五式"千手"の使いすぎにより、拳式が使えない番場は、平均的で普通の憲明と対峙した。



番場「うーん、困ったな~。俺の相手が村上くんか。」


憲明「そんな見え透いた演技はいいよ。まあ、来ないのならこっちから行くまでだ!」


憲明は刀を抜いて真っ正面から番場に迫る。


例え拳式が使えなくても、番場にはそれに匹敵するような技を持っている。


そのため憲明が攻撃を仕掛けると、簡単に交わされ腕を掴んで慣性の力を活かして投げ飛ばす。


憲明「うわっ!?ぐはっ!」


まさに無策、

桃馬と一緒にいても所詮はモブ友人。

そう言われても仕方がない戦いであった。


しかし、番場は投げ飛ばした瞬間、妙な感覚を感じた。


それは魔力でもなく妖力でもない。


ただの強者の感覚である。


番場「‥村上くん?何遠慮してるのかな?本気で来てくれないと‥やる気でないんだけど?」


憲明「いってて‥俺はこれでいいんだ‥。異界的"力"に依存する者は、己自身の"力"と言って過信する‥。真の強い者は‥強い力に依存しないことだよ。」


受け身を取るもダメージが入るなか、

憲明は体を起こして戦う姿勢を取る。


番場「あはは‥かなり痛い所を突いてくるな。まあ、直人もいいそうだが‥。それだと負けるよ?」


憲明「‥だろうな。でも‥異界的"力"は切り札にしておくよ。」


番場「なら‥さっさと出させてやろうか!」


力強くその場で正拳突きをすると、

凄まじい衝撃波が憲明を襲った。


憲明「ぐはっ!」


番場「出し惜しみは相手への冒涜とナメプだ。それで負ければただの恥だよ!」


番場の言うことはもっともだ。

もしこれが本当の戦場なら、死を早めるだけの無駄な行為だ。


異界的"力"に依存しない心意気は立派だが、時と場を考えるのもこの大戦乱祭で学ぶ重要な点である。


憲明は意を決して秘技を出そうとする。

番場は絶えず衝撃波を繰り出すなか、


憲明は刀を構えて、大きく縦横に振るった。


憲明「後悔するなよ番場!覇上三日月(はじょつみかげつ)!」


番場「っ!ぐはっ!」


突然憲明から放たれた斬擊波は、

番場を飲み込みふっと飛ばした。


憲明「ふぅ、悪く思うなよ。」


憲明は刀をしまうと苦戦していそうな、

京骨らのところに向かった。


憲明の勝利である。



そして、ギールと茂野の対決は、


両者の睨み合いから始まっていた。


茂野「どれ‥駄犬の力を見せてもらおうか。」


ギール「今はもう駄犬じゃねぇよ‥。俺はもう駄犬を卒業したんだよ!」


ギールは自慢の俊足で茂野の背後を取る。

しかし、予想の範疇(はんちゅう)であった茂野は、大鎌の石突きでギールの腹部を突いた。


ギール「ごはっ!?」


茂野「"ワンパ"だな~?相手が消えた時は、大体後ろ説を知らんのか?」


ギール「くっ‥見くびりすぎた‥。」


茂野「さてと、この後もあるんだ。さっさと終わらせようか‥。」


当たり所が悪く、未だに立てないギールに大鎌を向ける狩人(かりうど)


まどろっこしい長期戦は全くなく、

ここもあっという間に終わりそうな気配である。


茂野「そりゃっ!」


ギール「くっ!はぁはぁ、、ぐはっ!」


間一髪のところで刀で防ぐも、

二擊目がギールを襲う。


茂野「手こずらせるな‥。さすが桃馬の犬だ。」


ギール「はぁはぁ、っ!」


力の差の前に屈するイケメン犬。

茂野はギールの尻尾を掴みトドメ刺そうとすると、ギールの防衛本能が炸裂。ブレイクダンスのように体を動かし回し蹴りを見舞う。


茂野「ぐっ!?」


何とか防ぐも、予想以上の防衛本能の強さに(ひる)む。


ギール「はぁはぁ、尻尾は触らせないぞ。」


茂野「いっつつ、なるほど‥慣れてない男には、容赦なく防衛本能が働くと言うことか。」


ギール「こうなれば俺も本気でいくぞ!わおーん!ぐふっ!?」


茂野「させっかよ!」


無慈悲な茂野は、危険な芽を速攻で潰し、

雑兵(ぞうひょう)処理に向かうのだった。


ギール「わふぅ~。やっぱり‥これを使うと隙が多い‥わふっ‥。」


ギール、ここに敗北する。


未だに本気を出す時は、二、三秒くらい隙が生まれるため、容赦のない相手では絶対に使えない技であった。



そして、問題視されてるルイは、

とにかく無双状態であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ