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第百八十八話 夏の大戦乱祭編(18) 最後の会議

各軍が独特な昼休みを過ごす中、

魔紅軍"本陣"改めて"大本営"は、

シャルのぶっ飛んだ策に一同愕然としていた。


ギール「はぁぁっ!?六組の進攻を止めて士道部を攻めるだと!?」


ジェルド「な、なんでだよ?さっきの戦は明らかに俺たちが有利だっただろ?」


シャル「うむ、確かに先の(いくさ)は我々の優勢であった。しかしそれは、志道がまだ本気を出していないからだ。」


ギール「た、確かにそうだけど‥。」


ジェルド「‥志道が出てきた瞬間花火が上がったからな。」


京骨「‥そもそも、志道は強いのか?」


志道とあまり関わりのない異種交流会のメンバーたちは、志道の強さをよく分かっていなかった。


しかしシャルは、藤原志道と言う男の真髄を見抜いていた。


実際帝都の変では、別行動を取っていたが、一人でデーモンクラスの亜種族を三体倒すと言う豪傑ぶりを見せていた。


武器は、名剣(めいけん)恋岬(こさき)魔剣(まけん)"サイノメ"の二刀流である。


ちなみに、微食会の序列で例えるなら(じょう)()くらいだろうか。



シャル「うむ、志道には不思議な力を感じる。なんと言えば良いか、太い(えにし)‥いや、(みちび)かれている‥うーん、確かアニメか本でそれっぽい表現があった気がするのだが‥。」


シャルがファンタジー臭いことを言い出すと、

憲明がボソッと声を漏らす。


憲明「主人公補正ってやつか?」


シャル「そう!そうれだ憲明!」


下手なクイズ番組見たいな雰囲気に、

まわりの仲間たちは思わず拍手を送る。


憲明にとっては恥ずかしいものだ。


ギール「主人公補正か‥なら、シャルはラスボスか?」


シャル「まあ、それもありだな。」


ディノ「おぉ!遂にシャル様が魔王に戻られるご決意を!」


豆太「シャルお姉ちゃん!かっこいい!」


弟たちも目を輝かせながらシャルを推した。

実際、魔王再臨はシャルの本懐である‥、

しかしシャルは、意外なことを話す。


シャル「ふっ、魔王になるのはまだ先でよい。今の私では、魔王に戻る資格はない。」


ディノ「っ、な、なぜですか!?」


ギール「シャル‥お前。」


仲間たちの大半は魔王宣言を期待したが、

シャルは、自らの厳しい評価で魔王の座に着くことを否定した。


当然これには、仲間たちも驚いた。


シャル「‥余は、まだ知らぬことが多い。それを全て学ぶまでは魔王の座に戻る気はない。今は皆と共に学園生活を謳歌したいと思うぞ。」


見た目はカリスマ溢れる魔王だが、

中身に関しては魔王らしさは微塵もなかった。


理想的な高貴な王の風格があり、

この時のシャルを、

皆は口を揃えて"女神"と称した。


魔紅軍の仲間たちは、

神々しいカリスマ溢れるシャルに魅了され大喝采(だいかっさい)であった。



だいぶ作戦の話とズレたが、

シャルは直ぐに切り替えて作戦を計画する。


今段階で魔紅軍にある情報は、


士道部の高田海洋率いる第三部隊が壊滅寸前で、微食会の相手で精一杯と言うこと。

そして、相川葵率いる第二部隊は本陣に帰陣し、これからの動向が注目されるところ。


そして六組は、同じく微食会の攻勢により雲行きが悪くなり部隊の補充が必要としていること。



このことから、六組の相手を放棄すれば、六組は対微食会に力を入れ、魔紅軍への深入りはしないと考えた。


更に士道部がこちらに気が回らないのなら、微食会と挟み撃ちにして、倒した方が良いと踏んだ。



シャル「さて、編成だが、孔真、ディノ、豆太、ルシア、あとここに残る二十人は余と共に別動隊を組織する。他の者は全力で士道部を倒すのだ!」


魔紅軍一同「おぉぉぉっ!!」


シャルの号令に魔紅軍の士気は飛躍的(ひやくてき)に上昇した。




そして、今や風前の灯と化した士道部はと言うと、まだ勝機を捨ててはいなかった。


燕奏太のリタイヤと両津直人の(はりつけ)に関しては仕方ないとして、大参謀の三条晴斗は、新な策を考えていた。


初戦は"影"である土佐清一を引きずり出すため自由に戦闘をしていたが、ここからは本来の士道部の戦が始まる。


その天才的な戦略から戦国武将の竹中半兵衛になぞらえ"半兵衛"の二つ名を持つ男の采配が火を吹こうとしていた。



晴斗「こちらの戦力は七十人弱、リタイヤと裏切り者で半数近く失ったな。」


海洋「面目ない‥。」


晴斗「謝ることはないさ、むしろ壊滅せずに耐えてくれた。これだけでも大きいよ。」


海洋「晴斗‥ありがとうよ。」


責任を感じる海洋に、

晴斗は尊重し気持ちを()んでやった。


すると葵は、午後の攻勢について切り出す。


葵「さてと、午後からどうする。今や一番の劣勢は俺たちだ。連合軍(魔紅軍)の動きも気になるし、ここは近くに迫っている微食会を壊滅させ、連合軍に攻め入るのがいいんじゃないか?」


理にかなった提案に晴斗は頷いた。


晴斗「確かに葵の提案は士道部として一番良い提案だね。でも‥それではこの戦には勝てないよ。」


葵「ふっ、さすが晴斗だな。なら"半兵衛"としての策を聞かせてもらおうか。」


晴斗「あぁ、いいぜ。」


晴斗は午後からの戦の展開を予想する。


まず、連合軍(魔紅軍)が攻勢に出て来ることは完全読んでいた。


例えわかった上で目の前にいる微食会を全力で倒したとしても、今の状態で連合軍(魔紅軍)を防げるとは到底思わない。


まして、最悪の展開である。

微食会の最強の武人ルイ・リーフがこちらに動いた場合、敗北は確定である。


そのため、晴斗から切り出した策はシンプルに、連合軍(魔紅軍)と微食会を戦わせる作戦であった。


その内容は戦国時代で使われた、

"キツツキ戦法"を習った物であった。


これは、上杉謙信と武田信玄が対峙した川中島の戦いで、山に陣を置く上杉軍を武田軍の別動隊が山のふもとまで下ろし、本体と挟み撃ちにする物である。


ここで半兵衛は、二方面から攻めてくるなら、敢えて全軍で陣を離れ、連合軍(魔紅軍)と微食会を(あらそ)わせ、漁夫の利を獲ようと考えた。


この策に多くの者が度肝を抜いた。

まさに策士と言わんばかりの物であった。


晴斗「まあ、この策の問題はタイミングだね。両軍が同時に、この本陣に来なくては一方が退く可能性があるからね。」


海洋「と言うことは、うまく時間を調整しないとダメと言うことか。」


葵「これはまた難しいな。」


晴斗「まあ要するに、そこまでしないと勝機が無いってことさ。」



こうして士道部の命運をかけた、

戦の方針が決まった。


連合軍(魔紅軍)には、葵とシェリル率いる部隊が当たり。


微食会には、スザク、海洋率いる部隊が当たることになった。






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