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第百八十七話 特別記念話 天下覇道編 5

PV7500回記念

特別版天下覇道編 5

詳細は百話、百二十二話、百四十九話,百五十話をご覧下さい。


一回戦第三試合。


春桜学園の武名(ぶめい)()だたる危険級の選手が揃った。


両津直人、近藤尚弥、本間孝、

本田忠成、聖籠忍の準決候補を始め、

ジレン、リト、三条実時などが集まった。


映果「さぁ手汗握る天下覇道祭も、いよいよ第三試合です!今回の対戦カードはおそらく今大会で最も危険とも言える対戦となるでしょう!」


映果の実況に会場は盛り上がり、

観客は今か今かと始まりを待っていた。


するとここで映果から、

突然のルール変更が告げられる。


映果「さて、ここで特別ルールを設けさせてもらいます。準決勝枠は本来五人でしたが、ここのグループについてはあまりにも危険なので三人に絞りまーす。」


この変更について、

選手の大半がブーイングをした。


男子「お、おいおい待てよ!?なんで三人なんだよ!?」


男子「そ、そうだ!不公平だろうが!」


当然とも言える訴えに、映果は冷静に説明する。


映果「えーっと、第三試合については()りすぐりの猛者を集めているため、五人も準決勝に上げてしまうと、確実にパワーバランスが崩れてしまうので妥協して三人までにしています。それに、真の勝者になりたいのなら、一人にしても良いんだよ~?」


一理ある映果の挑発的な説明に、ブーイングをする選手たちはただ唸るだけで、これ以上の異議は申し出なかった。


直人「全く、漁夫の利目当ての奴等が多いこと。」


近藤「まあ、そう言うな。それより‥誰から潰そうかな。」


近藤は辺りを見渡し相手を見定めると、

ちょうど隣にいる本間の方を見つめた。


本間「‥おい、何見てるんだ。のっけから近藤とやり合うのはごめんだぞ?」


近藤「あはは、そんなことするわけないだろ?ほら、六組のジレンとか皇太子のリトがいるだろ?」


本間「えっ?あ、あぁ、そうだな。」


直人「‥なんだ?忠成先輩とやらないのか?」


近藤「バカ言うな、本田先輩と戦ったら秒殺だろうが。しかも、帝都の姫が応援に来てるんだろ?むりむり~勝てない勝てない。」


近藤がひどく恐れるのも無理もない。


今や本田忠成は帝都グレイムのナーシャ姫を守る近衛師団長である。


しかもそのナーシャ姫は帝都をこっそり抜け出し応援に来ている。

そのため、いつもの五倍、十倍は強いと予想がつく。


直人「‥うーん、やっぱりそうか。」


本間「いや、考えるまでもないだろ。本田先輩とやり合うのは最後がいい。」


三人が序盤の動きに悩んでいると、

エルン、リールの声が響く。


リール「直人~♪序盤で本田先輩に勝ったら、エルンがエッチな衣装で今夜の相手をしてくれるって~♪」


エルン「っ//なっ、ななっ、何勝手なことを言っているんだリール!?」


相変わらずその場のノリで恥ずかしげもなく声援を送るリールに、エルンは恥ずかしそうに反応する。


近藤「相変わらず、良妻に恵まれてるな?」


本間「ほんと、羨ましい限りだな。」


二人が茶化すも、直人に反応はない。


近藤「ん?どうした直人?」


いつもなら食い付いてきそうな話なのだが、

不自然にも反応がない。

恐る恐る近寄ると何やら小声でぶつぶつと言っているようだ。


直人「‥エルンにメイド服‥エルンに水着、OL衣装‥サキュバス正装‥チャイナ服‥ぶつぶつ。」


リールの言葉を鵜呑みにした直人の頭の中は、愛するエルン一色となり、今夜のためにも打倒本田忠成に火をつける。


直人「‥おい、二人とも。」


近藤「お、やっと反応した。」


本間「大丈夫か?」


直人「あぁ‥俺は忠成先輩を倒す。捲き込まれたくなかったら近寄るなよ?」


近藤「わ~お、完全にモードに入ってるなこの変態め。」


本間「安心しろ、それはこっちからお断りだからな♪」


直人「ふっ、先輩を倒したら‥次はお前らだ。」


近藤「おぉ~こわっ‥まあ、楽しみにしてるよ。」




三人が悠長に話していると、第三試合開始の銅鑼が高らかに鳴った。


直人は宣言通り忠成の元へ走り出し、近藤と本間は、ジレンとリトに向け走り出した。


序盤から衝撃波や魔法が飛び交う戦場は、

第一、第二試合と比べても差ほど大差はない。


しかし、一つだけ違いがあると言えば、


ほとんどが一撃必殺並みの強さであることくらいだろうか。


そのため開幕五人が本田忠成に挑むも、容赦なく薙ぎ払われ一撃でリタイヤする。


忠成「我に敵はなし、強き者よ我に挑め!」


愛槍"人間止主(にんげんやめます)"の石突(いしつき)を地に叩いた。


一方で、一際(ひときわ)キラキラと目立つ聖籠忍は、二人の相手を嘲笑うかのように華麗に交わし、演劇モード全快で戦っていた。


忍「あぁ~、僕の美しさに二人も来てくれたんだね♪」


男子「んな分けないだろ!」


男子「ただ鼻につくだけだよ!」


忍「あぁ~、僕も罪な男だ。仕方ない、君たちを美しく散らせてあげるよ!」


忍はレイピアを抜くと華麗に二人を切り刻む。


男子「ぐはっ!」


男子「ぐふっ!」


忍「あぁ~、桃馬くんだけじゃなく、他の男も魅了してしまうとは‥あぁ~、僕は何て美しいのだろうか。」


ドン引くような事を平然と語っていると、

後輩の三条実時が野蛮にも斬りかかる。


しかし、忍はわかっていたかのように華麗に交わす。


三条「ちっ、はずしたか。」


忍「おっと、野蛮な攻撃だね?」


三条「へっ、やっぱりただの鼻につくナルシストではないか。」


忍「おやおや、ナルシストとは酷いな~?まあ、僕に剣を向けるのも‥僕の美しさ(ゆえ)か。」


三条「ふっ、これは酷く自分に酔っているな。」


忍と三条が交戦するなか、


近藤、本間VSジレン、リトはと言うと、


白熱とした戦闘を繰り広げていた。


まずは、

偃月刀を振り回す近藤と聖剣で対抗するジレン。


近藤「どうしたジレン!この程度か!」


ジレン「ぐっ!これでまだ本気じゃないんだからな‥。本当に厄介な男だ。そんな力があるんなら、本田先輩とやりあったらどうだ?」


近藤「ふっ、それは最後だ。それに、今は直人が血相変えて一騎討ちしてるからな、捲き込まれたくないなんだよ!」


返答と同時に偃月刀を振り回し地に叩きつけた。


ジレン「うっ、馬鹿力め‥。」


ジレンは()けるだけで精一杯であった。


一方、本間とリトでは早くも決着が着いた。


刀と剣の激しい斬り合いの中、

本間が剣を払うと、すぐにリトの顔面を掴み、その場に叩きつけた。


本間「そ~らよっと!」


リト「ぐはっ!?」


本間「取った!」


リト「うぅ‥。」


その場に気絶したリト、

皇太子、美少年属性でも容赦のない本間、

一部女子から悲鳴が響く。


すると本間はリトを掴むと、

悲鳴が聞こえる女子の元へと投げ込んだ。


しかし、良かれと思った行為であったが、防御結界が張られていることをすっかり忘れていた。


リトはそのまま結界にぶち当たり、

完全に気絶したのだった。

これぞオーバーキルであった。


本間「近藤~、こっちは終わったぞ?」


近藤「あいよ、それじゃあジレン‥終わりにしようか。」


ジレン「ちっ、ほんと‥対戦カードが悪すぎだな。だが俺も‥何も残せず終わる分けにはいかない。渾身の力を駆使してお前と戦おう。」


ジレンは両手で聖剣を持ち後ろへ構えた。


今にも光のビームか、何らかの斬擊波を出しそうな構えに、近藤は敢えて真っ正面から受けようとする。


近藤「ふーん、本来はため終わる前に倒したいが、それでは面白くないよな。」


近藤も同じく偃月刀を構えると、

青黒いオーラを放ちジレンの攻撃を待ち受ける。


するとジレンも黄色く光輝き始める。



映果「おぉっと!壮絶な一騎討ちの近くでは何やら、勇者とボス戦のような対決展開だ!」


映果が、直人と忠成の人間を越えた一騎打ちを実況をしていたが、ジレンと近藤の対決を注目する。


隙だらけのジレンは数秒間力をためていると、

光の輝きが全て聖剣に宿る。


ジレン「‥聖剣よ、我が願いを聞き入れ強敵を穿(うが)つ力を与えたまへ!天元神烈斬(てんげんこうれつざん)!」


ジレンは渾身の力を込め、

縦と横の斬擊波を出した。


対して近藤は、その場に立ったまま無言で偃月刀を振るうと、青黒いオーラを纏った龍が現れ、ジレンの斬擊波とぶつかり黒煙と共に大爆発が起きた。


そして、ジレンは休むまもなく黒煙を払い近藤の目の前に現れた。近藤は怯んでいたのか、偃月刀を構えずその場に立っていた。


ジレン「っ!尚弥!覚悟!」


完全に勝利の間合いに入り込んだジレンは、勝利を確信した。


だが‥。


近藤は不敵に笑みを浮かべた。


近藤「ようこそ‥俺の間合いに。」


ジレン「っ!」


近藤は腰につけた刀を抜き一閃すると、

ジレンは勢いよく転げ落ちた。


近藤「全く、ご丁寧に真っ正面から来るとはな。横か背後なら勝てたかもしれないと言うのに。」


ジレン「‥む、無念‥だ‥‥やっぱ‥つえぇな。」


近藤「お前もな、もう少し戦い方を変えられたら、俺は厳しいかもな。」


ジレン「‥ふっ、鬼仏になってないくせに‥。」


近藤「あれはもはや暴走だ。強さにはカウントしないよ。」


ジレン「‥そう‥かよ‥ぐふっ。」


ジレンは気絶し力尽きた。


すると会場は盛大に盛り上がり、

映果の実況も熱が入る。


映果「な、なんと言うことだ!微食会の二人が、準決勝候補二人を軽くいなした~!このまま、三つ巴の対決になるのだろうか!」


映果の言う通り辺りを見渡せば、二十人も居た選手はあっという間に六人しか残っていない。


近藤「さてと‥本間‥。これからどうする。」


本間「‥二手に分かれて、三つ巴をするか‥それとも‥。」


本間が刀に手を置くと、

近藤は再び不敵に笑い、偃月刀を構える。


近藤「ふっ、それもありだな。」


映果「な、ななっ、なんと!?まさかのここで味方同士の潰し合いか!?」



二人の行動に、エニカは思わず声を出した。


エニカ「こ、こら~!?二人とも何してるの!?」


渡邉「あはは、いいじゃないか?準決に上がっても結局は戦うことになるんだから。」


エニカ「そ、そうだけど。」


星野「まあ、ここは黙って見届けましょう。」


エニカ「う、うぅ‥わ、わかりました。」


ついに近藤と本間の一騎打ちが始まった。




そして、エルンを餌に暴走する餓えた変態は、

果敢(かかん)に忠成に攻めかかる。


直人「そりゃぁっ!」


忠成「くっ!さすが直人だ‥我が闘志を奮い立たせてくれるもののふよ!」


直人「忠成先輩、今日の俺は本気ですよ。油断したら‥大ケガしますからね。」


忠成「ふっ、その勢いは良し‥。だが、己の力を過信しすぎるなよ?命取りだからな!」


直人「ぐっ!?うわっ!?」


忠成の渾身の槍擊が襲う。

直人はこれを防ごうとするが、

その力の差から押し負け吹き飛ばされる。


直人「くっ、さすが‥帝都近衛師団長‥。なら、俺も全力でいきます!」


右足を強く踏み込むと、青白いオーラが直人を纏う。すると、立派な二本の鬼の角にもふもふの狐耳と三本の尻尾。

(あやかし)兼修羅モードである。


直人「これで挑むのは‥恥ですが、ここは恥を忍んで忠成先輩を倒します!」


忠成「うむ!ならば参れ!お主の全ての力を見定めてやろうぞ!」


直人「‥参る!」


刀を構えると勢いよく仁王立ちをする軍神へ挑んだ。


目の前に立つ天国への高い壁。

越えられるか分からないが、

今は全力で挑むのであった。



次回、

天下覇道編 6

第二百話記念

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