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第百八十三話 夏の大戦乱祭編(14) 魔王の御前

影の正体、

土佐清一が率いる部隊は呆気なく壊滅した。


岩村一郎、長州新丞、薩摩良盛は隙を見て逃亡。

波乱万丈な戦場だからこそあり得る、興ざめイベントであった。



そして魔紅軍船着き場には、


薩摩と長州に袋叩きにされた孔真は、麗羅の介抱を受け、魔紅軍司令部からシャルも駆けつけ、土佐とその一味は魔紅軍と士道部に挟まれていた。


己の欲望のために、人質と言う下劣な策を駆使して信頼の()を乱した行為は、まわりの怒りを買った。


直人「さて‥土佐よ。校長が来る前に‥これまでの悪行を全て吐いてもらおうか。」


土佐「‥なんのことかな。」


桃馬「とぼけるな!こんな卑劣なことをしておいて、なにも知らぬ存ぜぬで済むと思うな!」


直人「桃馬よせ!?」


桃馬「離せ直人!こいつは‥こいつだけは許せねぇ!」


桃馬は土佐の胸ぐらを掴み殴ろうとするが、直人に腕を掴まれる阻まれる。

桃馬の他にも一部で殴りかかろうとする者はいるが、まわりに取り押さえられていた。


ジェルド「くっ、ギール離せ!俺はまだ‥殴り足りない!」


ギール「気持ちはわかるが、これ以上は殴っても仕方がないだろ!?」


シャル「さっきからお主らは何してるのだ?」


ギール「シャル!?結局来たのかよ!?」


シャル「なんじゃ?余が来てはならんのか?」


ギール「あ、いや‥そういう意味じゃ‥。」


シャル「違うのか?ふむぅ‥。」


シャルは一度全体を見渡し分析する。


士道部と縛られている謎の部隊を見る限り、この騒ぎの原因がなんとなく、縛られている者たちの仕業だと察知した。


シャル「ふむ、戦犯はあの縛られてる奴らか。」


ギール「ま、まあそうだな。」


ジェルド「頼むシャル!ギールを剥がして‥ひぐっ!?」


シャルは暴走気味のジェルドに対して、

弱点の尻尾を強く掴んだ。

ジェルドはショックからか、

その場に泡を吹いて倒れ込んだ。


ギール「ジェルド!?」


シャル「少し大人しくしているのだ。ふむぅ~、皆がこうも殺気だっておるのは、あやつらのせいか。ふむふむ、かなり外道な行為をしたのだな。」


シャルは興味本意で土佐のもとへと向かった。


ギール「あ、おいシャル!?どこへ行くんだ!?」


シャル「心配するなギールよ。余はただ、あの縛られている者たちのリーダーと話がしたいだけなのだ。」


ギール「っ、な、なら俺もいくよ。」


ギールは心配のあまりシャルの後を追った。


その頃、桃馬を全力で止める直人であったが、

不意を突かれ"コブラツイスト"をきめられていた。



直人「ぐぐぐっ!?」


桃馬「おらおら!ギブか?おいギブか?」


直人「の、ノーギブ!」


シャル「何をしてるのだお主らは?」


コメディー的な光景にさすがのシャルもツッコんだ。


桃馬「あぁ、シャルか!見ての通り土佐を殴らせてくれないから、こうして分からせてるんだ。」


直人「くそ、こんなのなんともぉっ!?ぐおぉぉ!?」


ギール「‥えーっと、なんか‥逆じゃねぇか?」


シャル「うむ‥こう言うのは止める側の直人が仕掛けるものだと思うが‥。じーー。」


従兄弟同士のじゃれ合いに、めずらしくシャルは冷静に指摘するのだが、その後何故か、じーっとギールを見つめる。


ギール「なんだよシャル、受けにはならないぞ。」


シャル「今はいいのだ♪終わったらあれをやらせてほしいのだ♪」


ギール「ふっ、残念だなシャル?身長差が有りすぎてできないぞ?」


シャル「うーん、それもそうなのだ。」


ギール「え?い、いいのかよ?」


いつもならここで、"ふがぁーっ"と怒って噛みつくのだが、また珍しく大人しかった。


立場を意識しているのか、やけに大人しいシャルに、逆に恐ろしく感じるギールであった。



じゃれ合う二人の茶番を無視するシャルは、そのまま放置された土佐に話しかけた。


シャル「こほん、お主五組の土佐だな?」


土佐「っ、こ、これは‥自称魔王様‥俺を知っているのですか?」


シャル「当然だ。同級生の名前はある程度覚えているからな。」


土佐「ふっ、それはどうも‥それで、俺に何か用か?まあ、答える気はないけどな。」


何も語る気のない土佐は余裕の表情で構えていた。


シャル「うむ、なら勝手に話すぞ。こほん、今回の騒ぎはお主の仕業か?」


土佐「さぁ‥。んっ?っ!?」


当然のようにしらばっくれると、右頬に何かがかすめる感触があった。土佐は手でヒリヒリと痛む右頬を触るとべっとりと血がついていた。


ここで自分の置かれた立場をようやく理解する。

動揺する土佐に追い討ちをかけるかのように、シャルは悪魔らしく冷酷な表情で土佐に問う。


シャル「‥もう一度聞く‥お主の仕業か?」


土佐「っ、あ、いや‥は、はは‥はい‥。わ、私がし、仕組んだことです!な、なんでも話しますので‥い、命だけは‥お、お許しを‥。」


一瞬意思を貫こうとするが、シャルの威厳に押し負け、情けなくも土下座までして許しを乞うた。


一部始終近くで見ていたギールも、初めて見る魔王シャルの威厳をその身で感じた。


しかし、ギールは恐れるどころか、‥"これで大人姿のシャルを見たい"と思うくらい魅了されていた。


ギール「‥ごくり、」


シャル「‥ふっ、所詮小物だな。おーい、桃馬、直人、後は任せたぞ?」


シャルが振り向くと、直人と桃馬は攻守を入れ換え、直人が桃馬に"さそり固め"をしていた。


直人「さっきはよくもやってくれたな!」


桃馬「いたたっ!?ぐぞぉ‥調子に乗りやがって‥。」


シャル「‥‥はぁ、全くお前たちは。」


あのシャルが呆れてため息をつくと、二人の元へ歩き出す。


すると、シャルの体は徐々に大きくなり、綺麗な黒髪は膝下まで伸び、小さな制服はエロく破れ、スタイル抜群のへそだしお姉さんへと姿を変えた。


まわりの多くの男子たちは一斉に鼻血を出して倒れた。


ギール「お、おい、シャル!?」


シャル「ん?どうした?」


元の姿に戻ったと自覚がないシャルは、歩みを止め振り返る。


クールでエロエロなシャルと目を合わせたギールは、赤面して今の状態を教える。



ギール「っ///か、体が元に戻って制服が破れてるから‥ふ、服を着てくれ!」


シャル「むっ?ふむっ‥確かに戻っているな。それでなにか問題でも?」


ギール「えっ、あ、いや‥なんでもない。」


シャル「ふっ、変なギールだな♪」


本来正論はギールにあるのだが、カリスマ溢れるシャルの返答に押し負けた。

その後ギールの目に映るシャルは、高貴でエロく、黒いドレスを身につけた姿に見えていた。


ちなみにまわりの様子はというと、


さすがシャル様、体だけではなく脳内も魔王らしくなられたご様子。

しかも、胸やお尻が八割以上露出しているのにも関わらず、恥じらいなく堂々と構える姿は誰もが魅了した。


そんな姿になったことも知らない桃馬と直人は、場違いにもプロレスを続けていた。


シャル「おい、桃馬、直人?」


直人「ん?‥んっんっ?誰?」


桃馬「うぐぐっ‥っ?っ!?しゃ、シャル!?」


直人「はっ?シャル??この人が?」


シャル「正解だ。直人はこの姿を見るのは‥初めてだったか?」


直人「‥うーん‥ないかな?」


無邪気で子供っぽい雰囲気は無く、カリスマ溢れるクールで大人びた女性に、桃馬は驚いたが、直人に至っては然程(さほど)驚いていなかった。


シャル「ふっ‥やはり、ハーレムを築いた直人には耐性があるようだな?少し残念だぞ?」


直人「うぐっ、す、すまん‥。」


シャル「ふっ、よい‥じゅるッ。」


聞き間違いだろうか、今舌舐めずりをしたような気がした。


直人は桃馬を盾にするかのように一歩、また一歩と後ろに下がる。


それに気づいた桃馬も負けじと一歩、一歩と後ろに下がる。


シャル「ふぅ、二人ともそう警戒するな。ほら、土佐の尋問をしてくれ。」


桃馬「尋問しろって言われても‥。」


直人「黙秘するし、しらばっくれるしな‥。」


シャル「大丈夫だ、余が話せるようにしたからな。」


いつものシャルらしく自慢げに胸を張ると、

八割も露出している胸を揺らした。


しかし、さっきからフェロモンを"ムンムン"と漂わすシャルに警戒しているせいで、二人は注目する暇などなかった。


桃馬「そ、そうなのか?」


直人「そ、それなら‥。」


二人は互いの背中を押し合い、先に行かせようとする。

今のシャルを横切ったら性的に食われるのではないかと思ったのだ。


直人「‥先行けよ。」


桃馬「いやいや、直人が捕まっても耐えられるだろ。ほら、シャルお姉さんとするチャンスだよ。」


直人「バカ言うな‥もしそんなことしたら‥今度こそ殺されるぞ。」


シャル「二人ともさっきから何警戒しているの?」


気づけば二人の目の前には、二つの豊かな胸があった。


桜華とエルンもその光景を見ているのだが、カリスマ溢れるシャル様に魅了しているせいで助けに来れなかった。


そして二人はシャル様に抱き締められ、

その豊満な胸に顔を(うず)める。


魅了された男子たちは、恋人持ちの二人に不ノ念を向ける。特に直人には殺意が向けられた。


もはやシャル様に食われると思った。


しかし、シャル様は、


そのまま二人を土佐のところへ連行した。


シャル「さっ、二人とも頼むぞ、」


桃馬&直人「お、おぉ‥。」


こうして土佐への尋問を始めると、土佐は先程とは比べ物にならないくらい喋った。


その後上杉校長らが駆けつけると、土佐の身柄は引き渡された。


あとは、薩摩良盛、長州新丞、岩村一郎だけであった。



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