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百七十五話 夏の大戦乱祭編(6) 一途な陰陽師

御前会議から一週間。


各学年クラスの軍編成がすべて決まった。


二年の部は最初の予定通り、



一組二組の連合軍、


士道部を主軸とした"壬生(みぶ)浪士"、


微食会を主軸とした"維出喪喰獲(これでもくらえ)"


六組を主とする大軍



この四軍で決まった。


各軍は来週の夏の大戦乱祭に向け着々と準備を進めている。


中には不穏な空気を察知し、一部の士道部と微食会が密かに調査を行っていたが、調査は難航し(とどこお)っていた。



一方で、一組二組連合軍と六組は大戦作戦立案会議を開いて着々と準備を進めていた。



その中で一組二組連合軍、一組陣営はと言うと、作戦会議と称して女子の群れから新発田孔真を解放し、ようやく桃馬たちと何気ない会話を始めていた。


桃馬「それにしても、一ヶ月も早く終わらせるなんて、さすが天才だな。」


孔真「まさか‥麗羅からの手紙がなければ早く終わってないよ。」


桃馬「へぇ~、修行中に麗羅ちゃんから手紙をね。」


憲明「てか、届くものなのか?」


孔真「あぁ、妖怪式の文通なら簡単に出きるよ。カラスに届けたい人の念を送ればいいからな。」


桃馬「郵便より早く届きそうだな。」


孔真「個人のやり取りだけなら、このやり方の方が早いな。」


手紙の内容よりも、漫画のようなやり取りが気になる二人であった。一方で内容が気になる桜華は思い切って聞いてみた。


桜華「あ、あの、それで手紙の内容は、ど、どんなことが。」


小頼「"今すぐ会いたい"とか、"寂しくて心が凍りそう"とか書いてたとか~?」


少女漫画の様な展開とは裏腹に、孔真は深刻な顔で答える。


孔真「‥それが、六月くらいから"また嫌な視線を感じる"って書いていてな。」


のろけかと思っていた手紙の内容は、まさかのSOSの知らせであった。しかも、"また"と来たので、麗羅には過去にも似たような嫌がらせを受けていると桜華と小頼は察した。


小頼「れ、麗羅ちゃんって前も嫌がらせを受けてたの?」


孔真「五ヶ月前にな‥。あの時は俺が駆けつけて未遂で終わったけどな。」


桃馬&憲明「なに!?」


桜華「犯人はわかっているのですか?」


孔真「‥そ、それが‥怒りのあまり忠告だけで追い返してしまってな。相手が男ってことくらいしか分からないんだ。」


桃馬&憲明「まあ、だろうな。」


孔真には若干天然が入っているため、

二人は分かりきった情報に思わずツッコんだ。


それよりこの一週間、女子に囲まれているせいで、麗羅と二人っきりになっている光景を未だ見れていない。


桃馬「でもよ、そんな事があったのに麗羅ちゃんを一人にしていいのか?」


孔真「大丈夫だよ。麗羅には俺の優秀な式たちに守らせているから心配はない。」


憲明「す、すげぇ‥。」


小頼「さ、さすが天才!」


桜華「式神って便利ですね!」


桃馬「ちなみに何体を着けたんだ?」


三人が感心するなか、桃馬はまさかと思い護衛に着かせた式神を聞いて見た。


孔真「うーん、大小あわせて百体くらいだな。」


四人「ひゃ、百!?」


想像以上の個体数に四人は驚愕した。


麗羅に対する愛が"ガチ"すぎて、むしろ引くレベルであった。


孔真「俺は麗羅のためならなんだってする!本来陰陽師と妖怪は相容(あいい)れぬ関係だが、所詮それは昔の話‥俺は純粋に白く美しくて押し倒すと可愛い麗羅を愛している!」


一部審議が必要な事を口走っていたが、麗羅に対する愛は本物のようだ。


これに対して乙女心に火がつく桜華は大胆な質問を切り出す。


桜華「ごくり、あ、あの!ふ、二人きりの時は、な、何をしてるのですか?」


小頼「あぁ~♪私も気になるな~♪」


小頼の後に桃馬と憲明は続いて頷いた。


孔真「うーん、そうだな。登校時と下校時が唯一二人きりになれるからな。その時は接吻し合ったり、うたた寝する麗羅の頭を撫でたり‥ん?どうした?」


恥ずかしげもなく語る姿に、桃馬たちは言葉を失い驚愕した。


登校と下校が二人っきりになれる。

そして孔真の登下校スタイルは牛車‥。

その中で、接吻やらなでなでやらと‥。

これは‥ガチガチのガチだ。


狭い空間で大胆にも密着し愛し合っている。

これは既成事実の可能性もある。

桃馬は恐る恐る聞いてみる。


桃馬「あ、いや‥えっと、仲が良くて何よりだなって~、そ、それと‥えっと‥他にはしないのか?」


孔真「他って?」


桃馬「ほ、ほら、えっと‥だ、抱いたとか。」


とうとう出てしまった禁断ワードに、まわりは生唾を飲んだ。


孔真「なっ!?そ、そんなことするわけないだろ!?さすがに愛してるからって‥が、学生の時にそんなこと‥出きるかよ。」


今の返しは、既に経験済の桃馬と桜華の心を"ぐさり"と刺した。


五ヶ月前ぶりの再開にも関わらず、それだけで済んでいることは(いささ)か不自然である。


桃馬「そう恥ずかしがるなよ。牛車で二人っきりでキスなんてしてたら、理性が持たないだろ。」


憲明「そうそう、麗羅ちゃん見たいな可愛い子と狭い空間で接吻したらそのまま襲うだろ。」


小頼「まあ、さっき"押し倒す"とか言ってたし説得力ないよね。それにこの暑い時期にひんやりとした麗羅ちゃんの体を堪能するのはたまらないでしょ~♪」


桜華「はわわ!?あ、あんな狭い空間で‥ごくり。」


孔真「なっ///」


孔真は顔を真っ赤にして全てを見透かされたの様な驚きの顔をしておどおどし始める。


小頼「おやおや~♪どうしたのかな~♪顔が真っ赤だよ~♪」


孔真「う、うるさい!?あ、あんなに可愛い麗羅と五ヶ月前も会えなかったんだ‥、するだろ‥普通‥///。」


徐々に声が小さくなり顔を真っ赤にしてうつむくと、桜華と小頼が湧いた。


桜華「か、可愛い!」


小頼「相変わらずクールな顔をしてるのに、麗羅ちゃんになるとショタ見たいな反応するね~♪君は~♪」


恋心と乙女心をくすぐる展開に燃えるなか、

桃馬と憲明は、孔真と麗羅のやり取りを想像していた。


想像内


麗羅「んんっ‥はぁはぁ‥孔真‥もっと‥して。」


孔真「あぁ、麗羅が望むなら‥いくらでもしてやるよ。」


麗羅「ひゃうっ‥はぁはぁ、んんっちゅ‥こうまぁ~♪」



文句の言えない純愛過ぎるイメージに、二人の男は悔しがった。


桃馬「くそぉ‥イメージが良すぎる。」


憲明「麗羅ちゃん‥可愛いすぎるだろ。」


孔真「こ、こら!?変な想像をするな!?」


エロエロな麗羅を想像する二人に孔真は直ぐに止めにかかる。これに桃馬は素直に謝ると一つの気になるな点を切り出した。


桃馬「あ、あはは、ごめんごめん‥。それより、今回の大戦乱祭は麗羅ちゃんと敵対するけど、一緒にならなくてよかったのか?」


孔真「大丈夫‥これは麗羅からのお願いでもある。"いつまでも俺にしがみついている場合じゃない"ってね。」


小頼「麗羅ちゃんらしいね♪少し前は体が弱くてひ弱だったのにね♪」


憲明「懐かしいな。それで温厚で優しくて、まわりの雪女と比べて真逆な感じだったな。」


桃馬「うんうん、ドMは冷徹でツンデレな雪女に群がり、対して麗羅ちゃんには健全な男たちがこぞって告白連鎖してたな。」


桜華「そ、そんな方が三組に居たのですか!?」


中学時代の思い出を振り替えるなか、

未だに麗羅と会ったことのない桜華は、興味津々で聞いていた。


桃馬「あぁ♪特に中学二年の時に編入してきた時なんてすごかったな。」


憲明「"温厚系雪女現る"って、各クラスの男子たちが湧き始めてな。」


小頼「自己紹介の時なんて"もじもじ"してて、仔犬のように可愛かったな~♪」


孔真「ふぅ、正直あの時は"麗羅も一緒に学校に通いたい"って、言って来た時はすごく心配したけどな。」


何とも可愛らしい一面に桜華は好感を持ち始め、早く友達になりたいと思うと、孔真の話し方に小さな疑問を感じた。


桜華「クスッ♪なんだか当時の孔真さん、幼馴染みを相手にしてるみたいですね♪」


孔真「ん?‥麗羅とは小さい頃からの幼馴染みだよ?」


桜華「ふぇ?」


まさかの返答に桜華は"ポカン"とすると、桃馬と憲明が悲観的に再び語り出す。


桃馬「そうなんだよね~。男同士の争いは無視するんだけど‥麗羅ちゃんに直接近寄る男たちは容赦なく摘まみ出すんだよね。」


憲明「何も知らない奴は、ライバルと思って襲いかかっては返り討ちに合い、その数日後には幼馴染み宣言して多くの男たちの心をへし折った‥罪な男だよ。」


桃馬「今思うとあれは良くないね。その日の内に宣言するべきだった。」


孔真「うぐっ、それは悪かったと思うよ‥でも、まさか群がるとは思わなかったから。」


過去の指摘をくらい、孔真はひきつった表情を見せた。話を聞いた桜華は少女漫画のような展開に燃えに燃えていた。


桜華「す、素晴らしいです!幼馴染みのためにそこまで尽くすなんて!孔真さんに取って麗羅さんはとても大切なのですね♪」


孔真「ま、まあな‥麗羅は俺にとって最高の理解者だからな。それに‥か、可愛いから‥。」


褒めることには体勢はあるけど、愛を込めたメッセージにはすごく抵抗があるようだ。


桜華「んんっ~♪たまりません♪」


小頼「もう~、幼馴染みならいい加減慣れなさいよ?」


孔真「う、うるさい‥みんなの前で話してるからだよ。ふ、二人っきりなら‥そんなことない。」



惚気(のろけ)話に動揺する孔真に桃馬と憲明が、いつぞやの復讐を込め攻め立てる。


桃馬「あぁん♪孔真の‥たくましいですぅ~」


憲明「ふっ、麗羅。これが欲しかったら、いつものようにおねだりするんだ。」


桃馬「は、はい‥その‥ご主人様の‥ごふっ!?」


憲明「ごへっ!?」


二人は突然泡を吹きながらその場に倒れ込んだ。

倒れた二人の前には孔真の式神純粋ショタの河井継丸が立っていた。


継丸「ご主人様と麗羅様の侮辱は許しませんよ。」


孔真「こら、継丸?勝手に出てきてはダメだろ?」


継丸「し、しかし、この者が無礼を‥。」


孔真「継丸‥。」


継丸「‥わ、わかりました。」


継丸が紙人形に戻ろうとすると、目を光らせた小頼と桜華に捕まった。


継丸「ふあっ!?な、なんですか!?」


小頼「これが男子が言っていた継丸くんか~♪」


桜華「ふぁ~♪ほっぺぷにぷにですね~♪」


継丸は二人のお姉ちゃんに囲まれ動揺していた。


継丸「あ、あの‥ぼ、僕は‥戻らないと‥ひっ!?」


ショタを弄ぶかのように二人は両耳に息を吹き掛ける。


小頼「女の子みたいな声を出して可愛い~♪」


桜華「豆太くんと犬神様とは違うこの感じ‥たまりません!」


継丸「ひっ!?ご、ご主人様~!?お、お助けを~!?」


純粋童貞ショタは恐怖から孔真に助けを求めるが、孔真は勝手に出てきた罰として少しの間、二人のお姉ちゃんに付き合わせるのであった。


その後、継丸は小頼と桜華の事をお姉ちゃんと呼ぶように調教されたのだった。



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