第百六十八話 後日のフォルト家
犬化計画の騒ぎから一週間後、いよいよ待ちに待った"ポチ"と加茂の初登校が明日に迫った。
その頃フォルト家では、シャルにより強引に神社から連れ出された加茂様を迎えて賑やかに過ごしていた。
丁度その頃、ギールの父"ケトー"も帰って来ており、犬神と加茂様と初対面をしたのだった。
ケトー「ただいま~、おや?ギールたちのお友達かい?」
何も知らされていない黒髪短髪美少年は、二人の神様をギールたちの友達かと勘違いをしていた。
すると、黒髪ロングヘアーの妻リブルは、旦那の久々の帰りに喜び、尻尾を振り回しながら押し倒した。しかも、ギールたちの前で堂々と濃厚なキスをし服を脱がし始めた。
リブル「あなたお帰り♪んんっ~♪ちゅ、ふぁちゅるっ♪」
ケトー「んんっ~!?こ、こりゃんあっ、りぶりゅ~。」
ギール「母さん!?やめろって!?」
ギールの静止を振り切り、リブルはケトーの服を脱がしにかかる。
ま、まずい‥このまま父さんを喰うきだ。(性的に)
豆太「は、はわわ!?だ、だだ、大胆です//」
加茂「こ、ここ、これが‥せ、せせ‥ぷしゅ~//」
シャル「おぉ~!こ、これが夫婦の営みと言うやつなのだ!」
ディノ「か、感心してる場合ですか!?私たちも止めに入りますよ!?」
犬神「あ、あれが‥父君か‥。我が予想してたのと違うな。」
二人の営みを見せつけられたギールたちは、多様な反応をする。
そんな中、ギールとディノはリブルの暴走を宥めにかかる。
ギール「か、母さん!や、やるなら部屋で頼むよ!?」
ディノ「そ、そそ、そうです!犬神様と加茂様が居るのですから!?」
リブル「わふぅ~♪ここじゃだめなの~?」
ケトー「はぁはぁ‥はぁはぁ。」
リブルはケトーの尻尾をいやらしくなで回し攻略していた。
その余裕からか、リビングで公開プレイを実行しようとしていた。
ギール「だ、だめだっての!?ほ、ほら、ハウス!ハウス!」
リブル「もう~反抗期だな~、わかったよ。それならケ~君♪二人のハウスにいくぞ~♪」
ケトー「わ、わふぅ~。」
攻略されたケトーは情けない声で鳴いた。
その後リブルはケトーを愛のハウスへ連れていき、二時間以上日頃の欲求を張らしたのだった。
その間ギールたちは二人が戻るまで、明日着ていく制服を再度確かめていた。
シャル「うむ!二人ともよく似合ってるのだ♪」
豆太「二人ともかっこいいです~♪」
ギール「うん、そうだな。でも加茂様は男子用でよかったのか?」
加茂「あ、えっと‥その‥こ、こっちの方が動きやすいので‥、へ、変でしょうか?」
ギール「うぅん、すごく似合ってるよ♪」
加茂「っ//あ、ありがとうございます♪」
ギール「うんうん、春桜学園は変なのが多いからな。この方が予防になる。」
加茂「ふぇっ?」
加茂の恋心を裏切るような余計な一言に、加茂はポカンとする。
シャルは冷めた目でギールを睨み、腹部に一発拳をいれた。
シャル「‥鈍感‥。ふっ!」
ギール「ごふっ!?うぅ、な、何しやがる!?」
シャル「ふん、乙女心クラッシャーは制裁なのだ!」
ギール「は、はぁ?なに言って‥。」
まだ理解できない鈍感犬に、まわりも避難し始める。
ディノ「‥今のは兄さんが悪いですね。」
豆太「う、うん‥最後のは余計だよ。」
犬神「ふっ、節操ないな。」
ギール「おいポチ?お前は便乗してるだけだろ?」
犬神「な、なんだと!?」
どうやら図星のようだ。
なんでポチの気持ちは分かって、加茂の気持ちが分からないのか、シャルには謎であった。
邪な企みには敏感で純粋な企みは鈍感‥まるで、桃馬と同じなのだ。
やはり、ペットは飼い主に似ると聞くが満更嘘でもなさそうなのだ。
犬神とギールが再び取っ組み合いを始め、ここで初めての醜い兄弟喧嘩をするのであった。
数時間後
午後二十一時の頃、
ようやく愛の営みを終え、風呂上がりのリブルとケトーがリビングに戻ってきた。
リブルはへそだしタンクトップと短パンと言う目のやり場に困る服装に対して、ケトーの姿は少年には相応しい半袖短パンを着せられていた。
それだけで済めば良いものの、リブルの両手には二着セットの少年、ショタコーデの服を持っていた。
リブルの目が光輝くと、犬神と豆太に襲いかかり服を着替えさせた。
こうしてケトー、犬神、豆太の三匹は横一列に並べられ、リブルの変態撮影の餌食となった。
リブル「ふぇ~♪こうして三匹を並べると兄弟みたいだな~♪」
ケトー「おい‥ケトー‥犬神様に何てことを‥。」
リブル「今は犬神様じゃないぞ♪その子はポチ・フォルトだ♪」
ケトー「うぅ、す、すみません犬神様‥。」
犬神「き、気にすることはない‥わ、我がここに住まわせてもらうために結んだ契約なのだ‥こ、このくらい‥造作もない。」
豆太「うぅ‥な、なんで僕だけチャイナ服なんですか~!?」
リブルに取って豆太はお気に入りの着せ替え狸、今日も過激な服装を着せられていた。
以前にも、ナース、ミニスカポリス、メイドなど女の子系の服をよく着せられていた。
リブル「はぁはぁ、男の娘にはこれが一番って決まってるからな♪」
豆太の訴えも何のその、リブルはカメラを片手に撮りまくった。
この状況にギールは頭を抱え万事休すの状態になった。もはや、母さんを止められる者はここにはいないと悟り、諦めてこの陽気な雰囲気に身を任せるのであった。
数ヵ月前や数年前と比較すれば、もはや奇跡とも言える"今"、妹"シール"を事故で亡くしてから、俺の心の時間はつい最近まで止まっていた。親の仲は今と変わらずだが、俺は一人になることが多くなり、そのもどかしさから柄の悪い奴と絡むようになっていた。
そんな腐り果てた最高潮の時だ。
学園に入学して数ヵ月が経ち、悪友と共にリフィルにナンパしていると、そこへ桃馬が現れ俺の止まった歯車を回してくれた。
あの拳はかなり痛かったけど‥。
俺の人生が変わり始めたのはそれからだ。
もてなかった桃馬を良いことに、毎日のように構ってもらい。二年になれば、シャルとディノ、豆太と出会い、今では加茂様と‥一応ポチがいて、毎日賑やかな日々を送れている。
もはやこの出会いは奇跡だ。
だが心残りなのは、シールと共にこの賑やかな日々を送れないことであった。
それからフォルト家の熱は意外にも、夜中の二十三時を持って静かに沈下したのだった。
しかし‥その夜中の二時‥‥。
加茂「んんっ、はれ?わ、わたひ‥いつの間に寝ちゃって‥。」
寝ぼけながら目を覚ますと辺りは明るく、なんと電気をつけっぱなしで寝ていたのだった。
加茂様は電気を消しに行くのだが、ここで雑魚寝をしているギールを発見する。
全員が寝ている、無防備のギールと言う、ある意味絶好のチャンスである。
しかし、加茂様は寝ぼけているため、電気を消すとそのままギールが寝ている隣に座り込み、某ホラー映画に出てくる真っ白い全裸の子供のように"うとうと"していた。
最終的には添い寝をするかのように寝転がるのだが、これが思わぬハプニングが起きる。
タイミングが悪いことにギールが寝返りを打ったのだ。
真っ暗な暗闇のなか、ギールは加茂様の唇に自らの唇を重ねたのだった。
ギールは寝ぼけてるのか、舌を出して加茂様の唇を突破し舌を絡めた。
対する加茂様も寝ぼけてるため、そのまま受け入れ絡め返した。
"ぺちゅぺちゃ"と淫靡な音は数秒間リビングに小さく響く。
結局二人がこの事を知ることはなく、加茂様は知らぬ間に千載一遇のチャンスを静かに勝ち取ったのでした。