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第百六十七話 犬化計画否決!

犬による犬のための集会で企てた人類犬化計画は、多数の課題が見られたため、たった一日で白紙へと傾いた。


やはり、致命的だった性格の大変貌ともふってくれる者がいなくなることであった。


翌日の金曜日の昼休みの頃、シャルは犬神を悪用し臨時で犬の集会を開かせた。



シャル「昨日の一件でよくわかったのだ!この人類犬化計画は響きは良いが、重大な欠点があるのだ!」


三年けも耳男子「け、欠点ですか?」


シャル「うむ!まず一つは性格変貌よる狂暴化である!」


シャルの言葉に集まった犬化の種族たちがざわつく。


三年けも耳男子「し、しかし、狂暴と言えども、我々にも本能的に狂暴化する者もいますが?」


シャル「ほう?なら、その中には同族をリードで引っ張り、棍棒片手に歩いておるのか?」


三年けも耳男子「ど、同族にリード!?」


けも耳男子「し、しかも、棍棒って‥。」


ざわついた会場が更にざわつく。


シャル「その様子だと非常識のようだな!」


三年けも耳男子「う、うむぅ、我々にとって同族にリードをつけられることは服従と屈辱ですからね。普通ならあり得ません。」


三年生のリーダーが非常識と認めるとシャルは更なるカードを出した。


シャル「そうであろう?ポチ‥じゃなくて、犬神もその場に立ち会ったのだが、"このような者が生まれては犬の秩序だけじゃなく世界の崩壊を招く"と言っていたのだ。」


三年けも耳男子「‥そ、その様なことが‥と言うことは‥この計画は‥。」


シャル「うむ、白紙にせよとお達しなのだ!ちなみに、犬神は来週この学園に編入するので、異論がある者は尋ねるがよいのだ。」


ギール「っ!おい、バカ!?」


シャル「へっ?‥あっ。」


犬神編入と言う衝撃的すぎるお知らせに、会場が一気に静まりかえった。


豆太とエルゼは、"やっぱりか"と想像通りの展開に苦笑いをした。


数秒の沈黙から一人が声を上げると一斉に驚きの声が上がった。


けも耳男子「い、いい、犬神様が編入してくるのですか!?」


けも耳女子「は、はわわ!?す、すごいです!」


三年けも耳男子「‥こ、これは本当なのですか!?」


シャル「うぅ、う、うむ!」


少し悩むところがあったが、この際素直に答えることにした。


けも耳男子「おぉ!それではクラスはどこへ!?」


シャル「そ、それは‥い、言えぬのだ!」


いずれはバレることではあるが、今一年クラスと発表すれば混乱を招くと考えこれ以上の返答は固く断った。



シャル「そ、そう言うことなのだ!取りあえずお主らの計画は中止なのだ!はい、解散なのだ!」


シャルの強引な閉会により犬化計画は完全に消滅したのだった。





しかし、犬化計画を阻止したことにより、シャルの悪い癖が発動。午後の授業から無駄に優等生ぶり始めたのだ。そんな様子に先生は問題をふるのだが、シャルは堂々と間違える。ギールは頭を抱えて恥ずかしがり、ディノと豆太は苦笑いをした。


五限が終わると早々にギールの説教が始まるも、底知れぬ慢心状態のシャルは空返事で返し、そのまま六限に取り組んだ。

運良く指名はされなかったが、慢心は今だ健在であった。


ご機嫌なシャルは授業が終わると急いで異種交流会の部室へと向かった。自分が世界を救ったことをネタに自画自賛をしたくて仕方がなかったのだ。



シャル「ぬはは!余はこの世界の秩序を守ったのだ!皆余にひれ伏せ~♪」


桜華&リフィル「はは~♪」


ノリの良い二人は大人しく、シャルの悪ノリに付き合うのだった。


ギール「なんで教室でそれをやらないんだよ‥。(全く、変なところは小心者だな。)」


桃馬「昼休みは大変だったみたいだな?」


ギール「っ!と、桃馬‥あ、あぁ‥シャルに全部任せるとほんと危険だよ。」


昨日のことを忘れているのか、桃馬はいつものように絡んでくる。

ギールは昨日の一件から、更に桃馬を意識し始めていた。それは素直じゃない乙女のように、心臓をバクバクさせる。


くそぉ‥女桃馬のイメージのせいで‥桃馬を直視できない。

いつもなら‥襲いたいはずなのに‥はずなのに‥。


桃馬「お‥‥い、おーい、ギール聞いてるのか?」


ギール「わふっ!?な、なんだ?」


桃馬「いや、ボーってしてるから‥具合でも悪いのか?」


ギール「っ!い、いや‥な、なんでもない。」


ま、まずい‥目が合ってしまった‥。くそぉ‥かっこよすぎるだろ‥。


また直ぐに顔をそらし、怪しい動きをする。


桃馬「‥ギール‥お前もしかして‥。」


さすがの桃馬も様子のおかしいギールに尋ねる。


や、やばい!意識していることが感ずかれた!?ど、どうしよう!?は、早く誤魔化さないと‥。


桃馬「‥発情期か?」


ギール「へっ?」


桃馬「それにしても‥珍しく襲わないな?いいことだけど‥。」


ギール「あ、い、いや‥その‥わふぅ‥。」


ギールの様子がすこぶるおかしい。

何か良からぬ隠し事をしているようだ。


桃馬「ギール‥何か隠してないか?」


ギール「か、隠してないよ!?その‥できれば‥少し離れてくれ。」


やはり何か変だ。

ギールから距離を取るなんて今までに例がない。俺の私物を壊したのか‥、それとも後ろめたいことがあるのか。


ギールの恋心を理解できない桃馬は、あらゆる可能性を想像する。


するとそこへ、昨日の行いを全く反省しない不退転(ふたいてん)のジェルドが、消極的になっているギールを良いことに桃馬に抱きついてきた。


ジェルド「桃馬~♪ギール何かより俺を構ってくれ~♪」


桃馬「うわっ!?こ、この離れろ気持ち悪い!?」


ジェルド「そんなこと言うなよ~♪わふぅ~♪」


桃馬「その姿で甘えるな!?」


イケメン姿のジェルドが甘える姿は、女子には好評だろうが、抱きつかれているこちらからして見れば抵抗があるものだ。


ジェルド「せめて昨日の反省を受け取ってくれよ~♪ほらほら、特別に俺の耳をあま噛みしていいからよ~♪」


小頼「では遠慮なく~♪はむっ!」


ジェルド「ひゃふっ!?こ、小頼!?お前じゃないよ!?」


桃馬「よし小頼、そのままジェルドを押さえつけてくれ。」


小頼「あいあいさ~♪」


ジェルド「そ、そんな~くぅ~ん♪」


駄犬を小頼に託し、桃馬はシャルの悪ノリに付き合う桜華の元へ向かう。


シャル「おぉ~♪桃馬も余の素晴らしき功績を称えに来たのだな♪」


桃馬「ま、まあ、今回はシャルのお陰だな。」


シャル「ぬはは!そうだろそうだろ~♪もっと崇め称えるのだ。」


半分マッチポンプの様な気がするが、下手にツッコんで面倒になるよりはこのままにさせておこう。


でも、桃馬には一つ気になることがあった。


桃馬「なあ、シャル一つ聞きたいんだけどいいかな?」


シャル「ん?なんなのだ?」


桃馬「加茂様と犬神様が編入するのはいいんだけど、まさか二人とも一緒に暮らしてるのか?」


シャル「良い質問なのだ♪ポチは一緒に暮らすことになったのだが、加茂については立場上神社から通うようなのだ。全く神共番とやらも頭が固いのだ。」


桃馬「まあ、神様だからね‥。それにしてもシャルを含めて三人も居候したるのによく許してくれたな。」


シャル「うむ!母上が快く受け入れてくれたのだ!」


桃馬「さ、さすが‥ギールのお母さんだな。」


シャル「うむ、その後にポチを押し倒した時は、犯罪感があってとても面白かったのだ♪確か、ちまたでは、あれをショタ喰いと言うのだったかな?」


おいおい、この魔王様はいきなり何を言い出してるんだ。それとリブルさんも何してるんだよ。


ギールの母、リブルさんの子供好きは耳にしているけど、まさかここまでとは思わなかった。

人妻おねしょた‥。薄い本なら買いたいものである。


シャルの性格を受け継いでいる犬神様が、姉御系美人妻に抵抗できぬまま押し倒され蹂躙される‥。


しかも、傍から見てはアウトだが、法の基では合法と言うなんとも特殊なパターンである。


あぁ~、リブルさんは薄い本の鏡だ。


桃馬「えっと、ま、まあ‥仲が良さそうで何よりだよ。」


ギール「俺からしてみれば由々しき問題なのだが?」


桃馬「う、うーん確かにそうだな、これから監視を強めないと犬神様と豆太が、リブルさんに半袖短パンを着せられて食べられるかもな。」


ギール「うぐっ‥母さんならやりかねない‥。」


桃馬「大変になるけど頑張れよ。」


落ち込むギールに、桃馬は優しく肩に手を置き労いの言葉をかけた。


こうして犬化計画を中止させた結果は、ほとんどギールの負担に繋がると言う傍迷惑(はためいわく)な結末で幕を閉じたのだった。



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