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第百六十二話 駄犬の主は所詮駄犬

保健室から摘まみ出された桃馬とギール。


溶けたギールを桃馬は担ぎ上げ、校長室へと向かった。


校長室には桜華たちと加茂様、小さな犬耳ショタ(犬神)がいた。上杉校長は臨時職員会議を開き席をはずしていた。


桜華「あ、おかえり桃馬~♪体大丈夫?」


桃馬「あ、あぁ、心配かけてすまなかったな。」


小頼「おや?おやおや~?ギールなんか担いで何してるの??もしかして、襲われたとか?」


加茂「ふえっ?」


桃馬「っ、こほん、襲われてないよ。むしろ介抱してもらったくらいだ。」


まあ‥襲ったのは俺だけど‥。で、でも‥い、いつもやられてることを同じように仕返ししただけだし‥問題はない。


ギールに行為がないとないとわかった加茂様は安堵し、弱みを握れると思った犬神は舌打ちをして残念がった。


シャル「全く、千載一遇のチャンスを無駄にしよってからに‥。仕方の無い兄なのだ。」


ギールの背中を押したシャルは暖かな目でギールを見ていた。


桃馬「シャル‥ギールから犬化計画の話は聞いている。シャルも関わってるんだろ?」


シャル「うむ、如何にも余とポチによるものなのだ。」


桃馬「そうか、色々聞きたいことがあるが‥‥なんで俺たちを犬化させた?」


シャル「理由は簡単なのだ。お主らがこういう急な変化になれていると思ったからなのだ。それに、いきなりこの世界の全員を犬化すれば混乱するだろうし、とにかくテロ行為だと思われたくなかったのだ。」


桃馬「‥シャルにしては落ち着いた判断だな。」


シャル「うぐっ、お主も桜華たちと同じ事を言うのだな。」


どうやら桜華たちも同じ事をツッコンだようだ。


桜華「ご、ごめんねシャルちゃん。」


小頼「あはは、シャルちゃんらしくなかったからね~♪」


憲明「まあな、俺はてっきり"この世界の民を犬化して余の配下にするのだー!"って言うかと思ったけどな。犬神様も従えてるし‥あり得るだろ?」


シャル「ぬわっ!よ、余はそんなことしないのだ~!」


憲明「でも犬化計画には賛成したんだろ?」


シャル「うぅ、それはみんなが"もふもふ"していれば天国かと思ったのだ。」


まさかの賛同理由が"もふもふ"ライフを味わいたかったと言うものであった。


確かに言い分は分かる‥現に今日だけで数えきれないほどもふられたからな。しかも、意外と悪くもなく、むしろ喜びを感じるくらいだった。


だが、シャルは肝心なことを頭に入ってなかった。



桃馬「まあ、もふられるのは悪くはないけど‥。いくつか問題があるぞ?」


シャル「ふぇ?なんなのだ?」


桃馬「ちなみにシャルは、世界の全員を犬化させたらどうするんだ?」


シャル「もちろん!もふもふするのだ!」


桃馬「‥やっぱり、知らない人に手を出す気だったか。」


予想通りの答えについ声を漏らした。

正直もふもふされるのはいいが、知らない人にいきなりもふられるのは‥下手をしたら痴漢と変わらないかもしれない。


シャル「ふぇ?だめなのか?犬になれば"もふもふ"が好きになって求めるのではないのか?」


桃馬「ふぅ、こうなれば言葉より行動だな。」


桃馬はようやくギールを下ろし、シャルに近寄った。


犬神「お、おいお前!シャル様に近いぞ!」


シャル「な、なんなのだ?」


桃馬「シャルが今言ったことを再現するんだよ?」


シャル「さ、再現?ひゃうっ!?」


桃馬はシャルを抱きしめ、お尻を触り始めた。

小ぶりで張りのあるお尻‥触り心地も悪くない。


犬神「わふっ!?」


加茂「ふえっ!?」


憲明「っ!」


小頼「な、ななっ!?」


桜華「‥クスッ。ピキッ」


想定外すぎる行為にまわりは驚愕した。


恐らく女体化してるせいで、女性に触れることに抵抗がなくなっているのだろう。


このままでは明日には学園内の女子に痴漢しまくる可能性がある。しかもあのイケメン姉御フェイスで迫られたら男女関係なく抵抗できないであろう。


撫で回しまくった桃馬は、何食わぬ顔で離れる。


桃馬「とまあ、こんな感じだ。どうだ?今は顔見知りに触られたけど、これが知らない人とかに触られたらどうだ?」


シャル「‥う、うぅ‥//。」


桃馬「ん?しゃ、シャル?どうした?」


シャルは顔を真っ赤にして涙目になっている。

その姿は可憐な少女であった。


傍から見れば完全に犯罪現場である。


シャル「うぅ、ひ、酷いのだ‥。」


桃馬「えっ?」


桜華「桃馬~♪」


桜華の超低い呼び掛けと共に感じたことのない危険な気を感じ取った。尻尾や耳、無数のもふもふ毛が逆立ち震え始める。


桃馬は恐る恐る後ろを振り向くと、そこには目を赤く光らせ、狼のように睨み付けてくる桜華がいた。


桃馬「お、桜華か~?ど、どうした~?」


桜華「クスッ、ちょっと表に出なさい♪」


殺伐とした表情から穏やかな笑みを見せると、普段使わない言葉を並べ桃馬の首根っこを掴み校長室を後にした。

残された憲明たちは冷めた目で桃馬を見送った。

すると、犬神は我に返りシャルの元へ駆け寄った。


犬神「しゃ、シャル様大丈夫ですか!?」


シャル「うぅ、大丈夫なのだ‥少し驚いただけなのだ。」


少し落ち着いたシャルはソファーに腰を掛けた。シャルは犬神の尻尾を抱きしめひたすらもふり倒し気分を晴らした。



憲明「それにしても、桃馬のやつ性格が変わりつつあるな。」


小頼「そうだね~♪時期にショタや弟属性を襲う姉貴系になっちゃうかもね♪」


憲明「十八禁系二次元あるあるだな。」


小頼「クスッ、さすが憲明~♪新作買う?」


憲明「あるならな。」


小頼「まいど~♪」


桃馬自身の変化を心配していると、微かにけたたましい悲鳴が二人の耳に入り込んだ。

しかし、二人は空耳と思い込み気にせず校長が来るのを待った。




その頃‥。


桃馬は木に縛り付けられ、桜華は一応安全性のある鞭を用いて駄犬(桃馬)にお仕置きをしていた。


桃馬「はぁはぁ、お、桜華なに怒ってるんだよ‥。」


桜華「自覚がないみたいね~♪シャルちゃんのお尻を触っておいて‥よく言えますね♪」


桃馬「女同士変なことないだろ?」


桜華「今は女でも心は男でしょ~?」


桃馬「男?な、何を言っているんだ?」


桜華「クスッ、しらを切るのですね~♪」


両手で鞭を笑顔で引きちぎると、次はどこからか棍棒を取り出した。


二人の様子は何かおかしいが、止める者はおろか、目撃者もいないため泥沼化していた。


桃馬「えっと~、桜華?それは流石に冗談にならないぞ?」


恐怖を感じているはずなのに、不思議とそこまで怖くはない。むしろ余裕な気分である。


対して桜華もシャルにしたことに嫉妬し、若干ヤンデレになり始めていた。


そう二人は体が変化したことにより副作用が働き、その体に見合った性格へと変わり始めていた。


女体化と犬化した桃馬に至っては、人と男である記憶をなくし、元から獣人族で女であると認識している最悪のパターンに入っている。


対して桜華に至っては、心のそこに眠っていたドS、ヤンデレ属性を引き出してしまったようで、犬化とは全く関係のない作用が働いたようだ。


桜華「クスッ‥私がいながら‥シャルちゃんに手を出すなんて‥‥桃馬には誰の所有物なのか‥わからせないとね~。」


棍棒を片手で引きずり、カラカラと音をたてながら迫ってくる。


桃馬は生唾をのみ、ようやく本格的に恐怖を感じ始めた。


桃馬「お、おお、桜華!?目が怖いよ!?あ、いや‥ひっ、ひぎゃぁぁぁ~!!?」



その後、桃馬は桜華による、きついお仕置き、もふもふによる調教、最後は熱いキスにより自分が誰の物なのかを教え込んだのだった。




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