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第百六十一話 忠犬の大願成就

午後の授業がようやく終わり、遂に待ちに待った放課後の時間。


桃馬は一足先に校長室へと向かいギールとシャルに会いに行った。


ジェルド「あっ、桃馬~!もう行くのか!?」


憲明「あ、あはは、相当あの姿が嫌なんだな‥。」


桜華「ふえっ!?あ、あんなに可愛いのに‥。」


小頼「やっぱり、攻め派の桃馬に取ってもふられることは嫌なのかな?」


いやいや、桃馬が嫌がってるのは二人が思っているのと違うと思うよ‥。


憲明は心の中でツッコミを入れる。


分かってはいたが、相当女体化したことが不服のようだ。


昼休みから放課後までの休み時間を使って色々調べたが、女体化してる男子はゼロ、京骨やルシアは今だ変化はない。


もしかしたら、桃馬を中心に異変が起きているようにも思える。


憲明「まあ、俺たちも早く校長室に行こうか。」


桜華「う、うん、そうだね!」


小頼「真相も気になるもんね!」


ジェルド「あ、三人とも!?待ってくれよ!?せめてこの手錠を解いてたから‥わふぅ‥、」


桃馬を襲い逆鱗に触れたジェルドは、五限から両足を手錠で机にかけられ動けない状態であった。当然鍵は桃馬が所持しているため、鍵を持っていない三人に助けを求めるも、そのまま放置され一人寂しく教室に取り残されたのだった。


しかしそんな状態でも‥変態で淫獣で駄犬のジェルドは、女体化した桃馬を思い出し発情するのだった。


そしてその光景は、小頼の隠しカメラより撮影されてしまうことになった。





犬化したことによって身体能力が跳ね上がった桃馬は、全速力で爆走し校長室前までたどり着いた。


桃馬「はぁはぁ、着いたぜ‥。」


必死に走った桃馬は、目は血走り、手を膝につけ息を切らしていた。

直ぐにでも校長室にノックして入りたいが、呼吸困難に近い今ではどうにもならないので、息を整え始める。



するとタイミングよく、ギールとシャルが校長室から出てきた。


ギール「では、よろしくお願いします。」


シャル「二人とも余が戻るまで最後の試験頑張るのだ!」


どうやら試験はまだやっていたようだ‥。

シャルの時はこんなに長くやってなかった気がするが‥もしかしたら神様対応なのかもしれない。


桃馬「ぎ、ギール、シャル!?っ!ごほごほっ、はぁはぁ、」


ギール「と、とと、桃馬!?‥って、あ、あれ?桃馬‥だよな?」


シャル「おぉ~!本当に犬になってるのだ!」


桃馬「はぁはぁ、あぁ‥桃馬だよ‥。はぁはぁ、二人に‥聞きたいことが‥はぁはぁ、あるんだよ。」


桃馬は胸の圧迫もあり、うまく呼吸ができなくなっていた。表情も徐々に青ざめ顔色が悪くなっている。


今倒れてはいけないとわかっているが、桃馬の視界も顔色が悪くなるにつれ、薄暗くぼやけ始め、終いにはその場に倒れた。



ギール「と、とと、桃馬!?しっかりしろ!?」


シャル「ぬわっ!?た、大変なのだ!はやく保健室に運ぶのだ!」


騒ぎに気づいた上杉校長が飛び出して来る。


上杉「な、何の騒ぎだ!?」


ギール「あ、すみません。ちょっと桃馬が倒れちゃって‥保健室に連れていきます。」


シャル「恐らく、今の身体能力に本来の体力が追い付かなかったのだろうな。」


上杉「ふむ、しかし万が一のこともある。急いで保健室に連れて行きなさい。」


ギール「は、はい!」


シャル「任せるのだ~♪」


ギール「お前はやっぱり校長室にいろ。桃馬が来たと言うことは‥桜華や小頼たちも来るだろうからな。」


シャル「う、うむ‥それならこちらから出向く手間が省けるのだ。それと‥幸運を祈るのだ。」


ギール「ゴクリ‥そ、そうだな。」


シャルは、気持ち悪いくらい澄んだ表情で敬礼し期待に満ちたギールを見送った。


桃馬に取って第二次貞操の危機である。


ギールの道は二つに一つ、

一つは、忠犬として保健室に連れていき、こっそり‥するか。


二つは、校舎裏に連れ込み気を失っている桃馬とだいたんに既成事実を作るかである。


結果ギールに取って人(犬)生で最大の千載一遇チャンスである。


ギールは尻尾をブンブンと振り回し桃馬を連れていった。


その後直ぐに桜華たちも校長室へたどり着き、シャルから事情を聞き出すことになるのだが、その内容はまた機会に置いといて、ギールの恋路を見てみよう。



ギールが選んだ道は、


保健室に連れていくと言う。

男として‥いや、狼として情けない。

小心者の選択を取ってしまった。


ギールが一番怖いのは、桃馬に嫌われることである。例え校舎裏で好き放題したとして‥エロゲーの様に服従できれば良いが‥もし、失敗して返り討ちになったときは‥人(犬)生の終了、バッドエンドである。


ジェルドなら‥きっと校舎裏に連れ込むだろう‥。でも、俺は桃馬の犬として‥この関係をずっと保ちたい。ここは‥我慢だ!


後悔覚悟の決断は後に福をもたらすのだった。



保健室に桃馬を預けると、ギールは起きるまで何もせずに待っていた。

例え、桃馬を苦しめていたさらしがほどかれ、胸がほどよく膨らんでいても‥鼻血を出しながら、発情しそうになるも我慢していた。



二十分後


桃馬「‥んんっ‥ここは‥。」


ようやく意識が戻り目を覚ますと、ベッドの上に横になっていた。まわりを見ると真っ白いカーテンの様な物に囲まれている。察するにここは保健室だと思った。



ギール「おぉ!桃馬起きたか!」


桃馬「っ、ギール!?」


ギール「わふぅ~♪全く桃馬は自分の体力も考えないで、さらし巻いた状態で全速疾走なんかしやがって‥心配かけさせんな‥うわっ!?」


ギールは紳士的に注意をしたのだが、早速桃馬に胸ぐらを掴まれ、鬼の形相をした桃馬に睨まれ尋問を受ける。


桃馬「おいギ~ル?お前には聞きたいことが山ほどあるんだ。それと俺がこんな風になってるのは‥返答次第ではわかってるな??」


ギール「あ、いや‥それは‥その‥。」


今まで以上に強い圧力に、ギールは思わず"たじたじ"となる。


結局こうなるのなら、既成事実を作ればよかったとギールは後悔するのであった。


桃馬「どうなんだギ~ル??この姿になったのは‥シャルとギール絡みなんだろ?」


いつも以上に近い桃馬、怒ってるはずなのに自分に言い寄っているように見えてしまう。


ギールの脳内は、欲情と理性で大交戦をしていた。このまま押し倒せば‥確実に勝てる自信と、返り討ち、あるいは成功しても完全に嫌われると言うハイリスクを負うと言う恐怖が"ぐちゃぐちゃ"に入り乱れていた。


結局混乱したあげく素直に謝り、事情を話した。


ギール「わ、わふぅ‥ご、ごめん‥じ、実は‥い、犬化計画のためにも‥その‥うぅ、混乱させないために‥まずは桃馬の近い人からって‥わふぅ。ごめん‥ごめん‥わふぅ~。」


初めて見たギールのガチ泣きに、桃馬はやり過ぎたと反省した。


どんな仕返しを受けても泣かないギールが、ここまで泣いている。


しかし、駄犬に隙を見せてはならない‥。


隙を見せればジェルド見たいに襲うだろう。

だが‥最近のギールは少し変わりつつある。

以前の様に尻尾を振り回し、俺を襲うことしか脳がない駄犬でなくなっている。


総合的にまだまだ駄犬ではあるが、我慢を覚え忠実な犬になり始めている。


その証拠に、ギールは気を失ってる俺を襲うチャンスがあったはずだ。なのに、俺を保健室に運び介抱してくれた‥。


そこまでしてくれた大切な駄犬を泣かせた俺は‥都合の良い最低な男だ‥。



桃馬は冷静に考え直した。

一時の感情に任せて大切な駄犬の胸ぐらを掴み圧をかけた‥。これほどまで最低な行為はない‥。


桃馬は泣いているギールの手を取り抱き寄せた。


桃馬「‥すまんギール、俺‥熱くなりすぎてた。」


ギール「‥と、桃馬‥‥。」


桃馬「最低な主で‥ごめんよ。」


ギール「そ、そんなことないよ‥お、俺も‥思い止まってシャルを止めたいれば‥こんなことには‥んんっ!?」


ギールが顔を上げたとき、桃馬はギールの唇を奪った。


ジェルドの様な強引なやり方ではなく、

とても優しく心からの謝罪を込めた桃馬の誠意だった。


恐らく五秒くらいだろうか、桃馬はゆっくりと唇を離した。


桃馬「‥あとで、もっと詳しく話を聞くからな。」


ギール「わ、わふぅ~。」


桃馬の問いに対してギールは上の空であった。


桃馬「‥ふっ、仕方ないな。」


そんなギールを桃馬は静かに布団に入れ、ギリギリの調教を三十分も繰り返し、その後摘まみ出されたのだった。




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