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第百五十八話 魔王に導かれた編入生

駄犬ジェルドに制裁を加え置いてきぼりにした桃馬たち四匹は、それから無事に春桜学園に到着した。


途中で登校中の生徒が犬化していないか辺りを見渡すも、それらしい生徒は見当たらなかった。


なら、異種交流会限定か‥。


気になる点はあるが、取りあえず原因と思われるシャルとギールに会いに行こう。


桃馬「さてとエルゼちゃん?一人で教室行けるかい?」


エルゼ「だ、大丈夫です。お、お兄ちゃんに頼りっぱなしもよくないですから。」


兄の醜態を見たせいか、エルゼの自立心が向上したようだ。


小頼「エルゼちゃん偉いね♪よしよし~♪」


エルゼ「わふぅ~♪」


桜華「可愛い~♪じゃあ私もよしよし~♪」


自立心が向上しても、これだけは変わらなそうであった。


桃馬「こらこら二人とも、ホームルームに遅れるから離してやれよ?」


桜華&小頼「はぁ~い♪」


エルゼ「わふぅ~♪それでは皆さん頑張って下さい♪」


エルゼは一礼すると元気よく一年生棟に向かい、無事見送った桃馬たちも教室へ急いだ。




その頃二年二組では、


ディノと豆太はいるものの、原因のシャルとギールはいなく、クラスメートの女子たちは犬化したリフィルを可愛がっていた。


女子「きゃあぁ~♪リフィルちゃん可愛い~♪」


女子「はぁはぁ、ただでさえ可愛いエルフなのに、犬耳と尻尾は卑怯よ~♪」


リフィル「わふぅっ♪ひっぽ~ら、らめれふぅ~♪」


女子「らめじゃないでしょ~?同じエルフ族として羨ましい物を生やしちゃって~♪」


リフィル「わふぅ~ん♪」


その頃、隣の一組では‥。


男子「それにしても、イメチェンにしては人体改造並だな?この尻尾のさわり心地は‥本物だし。」


男子「ふむふむ、耳の感触もジェルドと同じ‥、人間の耳は残ったままか。」


憲明「ば、ばか!?そ、そんなに触るな!?うぅ、やっぱり休めばよかった‥。なんで、俺とリフィルだけなんだよ‥。」


男子「まあまあ、そう決めつけるにはまだ早いぞ?桃馬と桜華、小頼もなってるかもしれないだろ?」


憲明「うぐっ、だと良いけど‥きゃふっ!?お、おいひっぽやめろぉ~!?」


男子「あはは!きゃふっ♪だってよ~、可愛い犬だな♪よしよし~♪」


憲明「おまえら覚えていろよ~!」



両クラスは朝からこんな感じで賑わっていた。

すると、窓越しから怪しげな影が覗いていた。


桃馬「っ、ギールがいないだと!?」


桜華「ほんとだ~。ねぇ桃馬?あの金髪けも耳の子ってリフィルちゃんかな?」


桃馬「ん?あ、ほんとだ‥。うわぁ‥もふられてる。」


桜華「わ、私たちも‥もふもふされちゃうのかな?」


桃馬「避けられないかもな‥。」


小頼「桃馬~、憲明ももふられてるよ~。」


桃馬「やっぱり、異種交流会限定か。」


窓越しで怪しげなやり取りをしていると、近くにいた豆太が窓を開けて訪ねた。


豆太「あの、もしかして桃馬さんと桜華さんですか?」


桃馬「あっ、豆太くんちょうど良いところに、ギールとシャルはいるかな?」


豆太「お二人なら校長室に行ってますけど。」


桃馬「えっ?校長室??」


桜華「ど、どうしたのでしょう?もしかして、私たちが犬化したことと関係があるとか?」


桜華の的確な質問に豆太は苦笑いしながら答えた。


豆太「えっと、話せば長くなるのでかいつまんで話すと‥犬神様と加茂様が転入なされます。」


桃馬&桜華「わふっ!?」


小頼「ん?どうしたの二人とも?」


衝撃的な話に驚くと、ちょうどよくホームルームの鐘が鳴った。

するとタイミングよく久々の登場、一組ロリ担任の三条美香と二組担任天然お姉さんの杉本桐音が現れる。


三条「およ?」

杉本「あら?」


二人の目の前には見覚えがあるような無いようなけも耳生徒がいた。


三条「えっと、佐渡くんと柿崎さん、長岡さん?」


桃馬&桜華&小頼「す、すみません!すぐに教室に入ります!」


三人は慌てて一組に入り込んだ。

当然クラスは犬化した三人を見て大はしゃぎであったが、三条先生により一瞬で鎮圧した。



しかし、それはホームルームが終わると再び盛り上がることになる。犬化した四人は一日中注目の的になるのであった。




その頃‥早朝から校長室にいるギールたちは慣れた感じで、加茂様と犬神(ポチ)の編入手続きをしていた。



上杉「ふむう、魔王様の次は神様か。ギールくんの(えにし)は強いようだね。」


ギール「そ、そのようですね‥。」


校長の問いに苦笑いをするギール。

犬神には昨夜から威嚇され、校門前で初めて出会えた加茂様に(なつ)かれ、短時間でイベントを起こしまくっていた。




昨夜の話は追々として、時間を戻すこと早朝七時。


昨夜色々あって犬神も入学することになり、一行は目立たないようにギールは犬神に睨まれながらも学園に到着した。すると校門前にはシャルくらいの身長で和服を着た男の子が立っていた。


ギール「なんだあの子は?こんな朝早くから一人で何してるんだろう?」


先に見つけたギールが口ずさむと、シャルが驚いたかのように声を上げた。


シャル「うーん、あ、あれは!?加茂なのだ!?」


ギール「あ、あの子が加茂様?えっと、男の子に見えるけど?」



ここで初めてシャルと犬神を除く三人が加茂の姿が目にした。ギールの脳裏には確か女の子って聞いてはいたが見た目が完全に美男子である。


しかし、目の前の子が加茂様である以上、ギールは超希少な"(おんな)の子ではないかと思った。


シャルの声に気づいたのか、加茂はこっちを振り向き笑顔で駆け寄ってきた。


ディノ「えっと、兄さん、豆太は見えてますか?」


ギール「あぁ、しっかり見える。」


豆太「女の子じゃないですね?」


シャル「見た目はな。だが加茂は正真正銘の女の子なのだ。」


犬神「シャル様‥気にする所そこですか。」


始めの早朝から一人で何しているのかと言う疑問やなぜ見えるようになったのか、重要な疑問があるのに、犬神を除く四人は性別について気になっていた。


もはや気にするところを間違えてる様な気がするが、気づけば加茂様はシャルの目の前に駆け寄っていた。


加茂「はぁはぁ、おはようシャルちゃん♪」


シャル「おはようなのだ♪それより加茂よ?こんな朝早くから何してるのだ?」


加茂「え、えっと‥実は色々あって‥ここに編入させてもらいたくて来たんだけど、どこにいけば良いのかわからなくて困ってたんだよ。」


まさかの加茂様も編入する話に、ギール、ディノ、豆太は驚きを通り越してポカンとしていた。


シャル「おぉ~!これはちょうど良いのだ!実はポチも編入するのだ♪」


加茂「ふぇ!?犬神様もですか!?」


犬神「う、うむ、それより加茂よ神社はどうするのだ。」


加茂「神共番の皆さんが学園の編入を薦めてくれまして、私がいない間代わりに神務をしてくれています。」


犬神「そうか、まあ違反ではないが、何かあれば加茂に責任が来るぞ?」


加茂「そ、それは覚悟しています。」


シャル「大丈夫なのだ!余とポチもいる、何かあっても守るのだ!」


犬神「わふっ!?」


突然の捲き込み動揺する犬神に、ギールはクスクスと(わら)った。


ギール「ククク、良かったなポチ~♪信頼されてる証じゃないか♪しっかり加茂様を守るんだよ~♪」


犬神「き、気安くポチと言うな!この淫犬が!」


ギール「ほらほら、そんな汚い言葉遣いだと嫌われるぞ?なあ、加茂様♪」


加茂「ふえっ?へっ、あ、はひっ!?」


犬神に対する悪意のある話を振られた加茂様は、ギールと目が合ったことで自分の姿が見えていることを理解する。


先程まで見えないことで安心していたが、実際見えるとなると恥ずかしく取り乱してしまった。


ギール「ん?加茂様?」


加茂「は、はわわ!?ぎ、ギールしゃま!?わ、わわ、わらひのころ、み、みみ、見えてましゅか?」


ギール「えっ?えぇ、見えてますよ?」


加茂「う、うぅ、み、見ないでください!」


ギール「わふっ!?な、なんで!?」


あまりにも分かりやすい手応えのある反応だが、逆に強すぎるあまり好意を持たれてることに気づかない鈍感犬は困惑した。


シャル「もう~、何してるのだ?加茂もいきなりギールと目があって怖かったであろ?でも大丈夫なのだ、ギールは目付きは悪いが根は優しいのだ。」


半分ディスられシャルにツッコもうにも、加茂様を怖がらせてしまうことから我慢して矛を納めた。


するよそこへ、散歩から戻られた上杉校長が現れた。


上杉「おや?こんな朝早くから珍しい生徒がおるではないか?」


ディノ「あ、校長先生おはようございます。」


豆太「お、おはようございます。」


シャル「おお!ちょうど良いところに!」


ギール「あ、おい!?」


シャルは上杉校長を見るなり駆け寄った。


シャル「校長よおはようなのだ!」


上杉「おはよう、シャルくん。それよりこんな朝早くからどうしたのだ?」


シャル「あ、そうなのだ!校長よ、この二人をこの学園に編入させたいのだが、できないだろうか?」


上杉「二人?うーん、ふむふむ。」


上杉校長は、シャルの後ろにいる犬神と加茂をじっくり観察し始めた。


上杉「なるほど、二人からは神秘の力を感じる。神に近いものか、それとも神ってところかの。」


シャル「おぉ!さすがなのだ!二人とも神様なのだ。」


上杉「やはりな。よし、久々の神様だ。まずは今日一日学力検査とその他もろもろの試験をしてもらおう。シャルくんとえっと‥ギールくんは保護者として手続きが終わるまで付き合ってもらおうか。」


ギール「ええっ!?な、なんで俺まで!?」


上杉「それはまあシャルくんの案件はギールくんが付き物だからね。」


ギール「う、うぐっ、ま、捲き込まれてるだけですよ。」


上杉「あはは、そうと決まれば早速校長室へ来てもらおうか。」



とまあ、こう言う経緯があり一応無事、加茂と犬神の編入手続きができたわけである。






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