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第百五十三話 神様に愛されし魔王様

桃馬が駄犬に誘拐されて三十分、

異種交流会の部室になかなか来ない桃馬と駄犬二匹と豆太とエルゼ、事情を知らない桜華たちは心配していた。


桜華「うーん、桃馬どうしたんだろう。すぐに戻るっていってたのに全然来ない。」


シャル「ギールと豆太も来ないのだ。」


小頼「エルゼちゃんとジェルドもいないわね。」


憲明「ふーん、朝の噂について調査するって言ってたのに‥まさか、オカルト部に行きたくないからって逃げたか?」


リフィル「あり得るかもね~♪」


ディノ「‥‥‥。」


唯一事情を知るディノは、口を滑らせないように発言を控えていた。取りあえずいつも通り従者らしく身構えていた。すると勘の良いシャルが尋ねてきた。


シャル「ディノは何か知らないか?」


ディノ「ふぇ!?あ、い、いえ、な、なにもし、知りません。」


嘘が下手なディノは明らかに不自然な反応で答えた。当然手応えを掴んだシャルはディノに言い寄った。


シャル「ディノ~?お主、弟の癖に余に隠し事でもする気なのか~?」


ディノ「ひっ!?あ、いえ‥それは‥えっと‥ひぃぃ!?。」


シャルが炎弾を作るとディノは直ぐに折れ全て話した。その話にシャルは面白そうな催しに好奇心を震わせ桜華と共に向かおうとする。当然ディノは体を張って止めるも意図も簡単に氷漬けにされ、二人を神社へと向かわせてしまったのだ。



そして今に至る。


ギール「何しに来たんだ早く帰れ!」


シャル「嫌なのだ!こんなに面白そうな催しを見ないのは損なのだ!それと、桃馬の了解もなしに誘拐したことを校長にばらしてもよいのだぞ?」


ギール「うぐっ、日に日に変な知識を身に付けやがって‥。」


シャル「余は勤勉なのだ!それとまた加茂に変なことしないか監視するためでもあるのだ。」


ギール「だから、その加茂様は見えないんだっての。全くそれでどうやって変なことができるかよ。」


シャル「お主はラッキースケベに恵まれておるからな。油断できぬのだ。」


ギール「今までそんなことなかったけどな‥。」


シャル「な、なら神限定なのだ!」


ギール「めちゃくちゃだな‥。」


妹にマウントを取られまくる情けない兄は、渋々シャルを置くことにした。

だが条件として、決してギールから離れてはいけないと釘を刺したのだった。



桜華「あはは、今日の桃馬も散々だね。」


桃馬「笑い事じゃないよ‥、今から何されるのかヒヤヒヤしてるよ。」


桜華「確かに、もしかしたら雌にさせられるかもしれないもんね♪」


桃馬「それが一番気にしてるところだよ‥。それで喜ぶのはあの二匹だし‥特にジェルドは一番危険だよ。」


桜華「我を忘れて三日三晩‥とか。」


桃馬「や、やめてくれよ!?か、考えるだけでも恐ろしい‥。」


心なしか桜華が期待しているようにも聞こえてくる。いやまさかな‥桜華が小頼に毒され始めているとは考えられない。いや、むしろ考えたくもない。


だが実際の桜華は毒され始めていた。

何故なら、桃馬ジェルド、桃馬ギールのツーショット写真を持ち歩いているのだ。以前加茂様に上げたギールの写真もコレクションの一部であったのだ。


桃馬、ここに来て男としての"死の宣告"を告げられたのだった。




そんな絶体絶命の中、ようやく犬神様が現れた。すると犬科の者たちは全員遠吠えで迎えた。


しかし、桃馬ら一般人の目に映ってるのは、本殿の入り口でちょこんと座っている可愛い豆柴であった。


桃馬「‥えっ?あれが犬神様?どう見ても豆柴だろ。」


桜華「可愛い~♪しかも唐草模様の布袋を巻いてる~♪」


桃馬「そ、そうだな‥可愛いな~♪」


目の前には"ザッ豆柴"と言わんばかりの可愛い小動物がいた。

二人及び一般生徒たちはその可愛さから心を奪われ、更に短い後ろ足で首の辺りをかくと言葉にならないくらい心が跳ねた。


桃馬「や、やばい‥持ち帰りたい。」


桜華「う、うん!あの可愛さは反則です!」


ギール「っ、ふ、二人ともなに言っているんだ!早く頭を下げるんだ!」


中々頭を下げない二人を見て、ギールは慌てて頭を下げさせようとする。


桃馬「あ、あぁ‥でも‥無理矢理連れてきて頭を下げさせるなんて‥何か変だろ?」


ギール「今屁理屈言ってないで下げろって!?」


桃馬「いたた、頭を掴むなよ!?」


桜華「あはは、確かに相手が神様なら敬意は評さないとね。よいしょ‥あれ?そう言えばシャルちゃんは?」


ギール「えっ?」


桃馬「‥おい、ギール。早速逃げられたぞ。」


三人がまわりをキョロキョロと見渡すが、シャルの姿はないく、三人はもしやと本殿に顔を向けると‥。予想は当たった。



シャル「なんじゃお主~♪ういやつよの~♪それそれ~♪」


犬神「わふぅ~ん♪きゃふきゃふぅーん♪」


なんと畏こくも犬の神様に大胆にもふりまくっていた。

本殿前に集まってる人たちと、加茂様、神共番たちは驚愕した。下手をすれば神罰が下るくらいの危険な行為をしていたのだ。


ギール「おぉい!?何してるんだシャル!?」


血相変えたギールは急いでシャルを回収しに行く。もはや手遅れではあるがこれ以上の無礼を避けるためにも急いだ。


ジェルド「なっ、シャル!?ギールの奴何してるんだよ!?」


エルゼ「はわわ!?ど、どど、どうしましょう!?」


ジェルドとエルゼも慌てて止めに向かう。

そんな騒然も何のそのシャルは激しくもふりまくっていた。


シャル「この毛並み~♪なんだか懐かしいのだ~♪すぅ~はぁ~♪」


犬神「わふぅ~♪ハッハッ♪きゃふう♪」


犬神は三ヶ月ぶりに飼い主と再開した犬のように悦び暴れまくっていた。

しかしまわりからして見れば、犬神様が嫌がっているように見えた。


もはや神罰は覚悟した。

まさかの祝いの場が神罰を待つだけの絶望に浸ることになるとは誰も思わなかった。



シャル「ぬはは~♪お主もここが弱いとは昔遊んでいた"ポチ"と同じではないか~♪」


犬神「わふぅわふぅ~♪」


シャル「それそれ~♪ぬわっ!?」


犬神と戯れている良いときに、ギールが引き剥がしにかかる。


ギール「こら、シャル!?犬神様に何してるんだよ!?」


シャル「ぬわぁ~!離すのだ~!」


ギール「い、いい、犬神様!申し訳ございません!こ、この馬鹿がご無礼致しました!ほ、ほら、シャルも謝れ!」


シャル「ぬわぁ~!何するのだ!?余はもふもふしてただけではないか!?」


ギール「よりによって、犬神様にもふもふするとはどう言うことだ!?」


シャル「犬神?こやつが??バカを言うな、ポチはこんな小さくないのだ!」


次々と無礼な発言を繰り返す魔王様、現状は大最悪である。そんな時ようやく犬混みから抜け出したジェルドとエルゼが駆けつけた。


ジェルド「ギール!何してるんだよ!?このままだと世界が滅ぶぞ!?」


エルゼ「ごめんなさい!シャルお姉ちゃんここは謝って!」


シャル「うぐっ、なぜエルゼが謝るのだ?」


ギール「お願いの比喩表現だよ。」


シャル「お、おぉ、そ、そうか!うぅ、えっと‥すまないのだ。」


ギール「頭下げろ。」


シャル「うぐっ、ごめんなのだ。」


少々どころか、かなり粗末な謝り方ではあるが、取りあえず謝った魔王様であった。


三匹は恐る恐る犬神様に顔を向ける。

しかし犬神様は不機嫌どころか、なぜ謝られたのかわからずキョトンとしていた。

それより、シャルをずっと見つめている。


犬神「わふぅ?シャル??シャル・イヴェルア様?」


シャル「ん?そうなのだ、余は魔王シャル・イヴェルアであるぞ。」


ギール「ば、ばか!?それ以上しゃべ‥。」


犬神「シャルしゃま~♪」


シャル「うわっ!?な、なんなのだ!?んんっ、や、やめるのだ~。」


突如犬神はシャルに飛び付いた。

本殿前にいる者たちは、犬神様の逆鱗に触れて噛み殺されていると思った。


犬科の種族たちは、その場から逃げるどころか怯えて動けなくなっていた。



桜華「シャルちゃんが!?桃馬助けに行かないと!?」


桃馬「ま、待ってくれ桜華。犬神様から殺気が感じられない。それによく見ろ、あれはただ甘えているだけのようだ。」


桜華「ふぇ?‥うーん、確かにそう見えなくはないけど‥どうなってるのでしょうか?」


桃馬「シャル絡みだからな~。懐かれたか、あるいは昔の馴染みか‥。」


桃馬の予想はほぼ正解であった。


その証拠に犬神は感動の再開見たいにシャルをペロペロと舐め回していた。



ギール「ど、どうなっているんだ?」


ジェルド「‥わ、訳がわからないな。」


エルゼ「わふぅ?」


展開に追い付けず取り残された三人は、呆然と二人を見つめるなか、加茂様は襖越しか覗いていた。


加茂「はわわ!?シャルちゃんが‥ど、どうしよう。」


加茂様の目線では完全に噛みつかれているように見えていた。しかも目の前にはギールがいる。姿は見えないけど、ここでシャルちゃんを助ければ誉めてくれるかもしれない。


加茂様は勇気を出して助けに行くのだった。



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