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第十五話 妹魔王は秀才or馬鹿

いよいよ、元魔王シャルとディノの初登校。


二人の編入生は、春桜学園の編入手続きをするため、兄のギールと共に校長室を訪れていた。


ギール「……なんで俺まで。」


シャル「可愛い妹である余の面倒を見るのは、お兄ちゃんの務めであろう?」


ギール「っ、その呼び方は止めろって言っているだろ!?」


校長「こらこら、ここで兄妹喧嘩をするのは感心せんぞ?少しは大人しくしているディノ君を見習ったらどうだい?」


喧嘩するほど仲が良いとは、よく言った光景ではあるが、節操なく校長室でじゃれ合う二人の様子に、流石の校長先生は、黙々と書類にサインをするディノに感心しながら注意を促した。


ギール「ほら見ろ、シャルのせいで怒られたじゃないか。お前もさっさと書類を書いたらどうだ?」


シャル「ふん、嫌なのだ。この書類とやらは、全部ディノに任せるのだ!」


ギール「っ、なに偉そうに威張り腐ってるんだよ!?これくらい自分で書け!」


シャル「断るのだ!」


校長「ふむぅ、仕方あるまい…、シャル君には悪いが、当学園の編入許可は出せんな。」


シャル「ふぇ!?なぜだ!?」


ディノ「えっ!?だ、ダメなのですか……?」


校長「この書類には直筆が必要だからね。それに学園とは、色々と学ぶための所だ。ディノ君にすがって頼るのは別に悪い事では無いけど、ずっと頼りっぱなしでは何も得る物はないぞ?」


シャル「ぐ、ぐぬぬ……。」


ド正論な校長先生の意見に、シャルは返す言葉がなかった。


これを好機と見たギールは、シャルから解放される為の良案を思い付いた。


ギール(しめた!これでシャルが書類を書かなければ、学園には入学できない。上手く行けば、家から追い出すのだって出来る。よ、よし、ここは兄らしく背中でも押してやるか。)


ギール「いや~♪残念だな~♪でもシャルは、文字も書けないダメダメだから仕方ないか~♪」


シャル「な、なにを!?」


ディノ「に、兄さん、やめてください!?」


ギール「甘えさせるなディノ。魔王のくせに、このくらいの書類も書けないんじゃ、もうだめだ。」


シャル「ぐ、ぐぬぬ…。」


ギールに屈辱的な事を言われ悔しがるシャルの姿に、ギールは晴れやかな優越感に浸っていた。


ギール(悔しがってる悔しがってる~♪あぁ~、何て清々しいんだ!まあ、これもわがままの結果だ。シャルには悪いがこのまま異世界へ退場してもらおう。)


厄介払いの好機にギールは高ぶっていた。


だがしかし、思惑は意図も簡単に打ち砕かれる事になる。


校長「よし、合格だ。」


ギール「うんうん、合格……ん?えっ?合格!?」


突然耳に入った"合格"ワードに、ギールは自分の耳を疑った。まさかと思いシャルの方に視線を向けると、そこにはペンを持ったシャルの姿があった。


ギール「はっ!?な、なんで書いてるんだ!?」


シャル「むっ?何って、直筆で書かないとダメなのだろ?」


ギール「か、書けないんじゃないのか!?」


シャル「誰が書けないと言った?余は無駄な体力と手間をかけたくないだけだ。」


にわかに信じがたい事に、ギールはディノに小声で訪ねた。


ギール「…ディノ本当なのか?」


ディノ「え、えぇ、私のお祖父様から聞かされた話ですが、シャル様はズバ抜けた頭脳と武勇、そして魔力を持った完璧な方だと聞いてます。それ故、何でもできる事から、逆にめんどくさがり屋になってしまったとか…。」


ギール「じゃ、じゃあ、シャルって天才なのか…。」


シャル「二人で何こそこそしているのだ?」


ギール「っ!あ、い、いや、えっと、入学出来て…よ、良かったな。」


歯切れが悪く、引きつった笑みを見せながら称賛するギールであるが、その目には悔し涙が流れていた。


シャル「おや~、泣いておるのかギールよ~??そうかそうか、そんなに余と入れて嬉しいのか、お・に・い・ちゃ・ん~♪」


ギール「っ、うれしくねぉよ!」


シャル「ぬはは、そう言うでない照れ屋め~♪それとも何か?余が文字も書けぬ馬鹿とでも思ったのか?あん?」


ギール「うぐっ。」


シャル「ふっふっ~。分かりやすい反応なのだ。余はこう見えても秀才であるのでな~、ほれ、この通りわざわざ日本語で書いてやったわ♪ぬははっ~♪」


ギール「う、うぜぇ~。」


(しゃく)に障るシャルの挑発に、ギールは思わず心の声が漏れた。


校長室で騒ぐ二人に、再び校長先生は注意を促す。


校長「二人とも喧嘩はそこまでにしなさい。さて、次はクラスについてだが、まあ考えるまでもないか。」


ギール「校長先生!どうか、二組だけはやめてください。何なら一年からでも……。」


シャル「余は、ギールと一緒が良いのだ。」


校長「もちろんそのつもりだよ。」


ギール(最悪だ…。完全に監視役にさせられる。)


ギール「ちょちょ、何でですか!?」


校長「答えは簡単だよギール君。今のシャル君とディノ君を一番面倒を見れるのは君だけだからだよ。」


ギール「そ、そんな!?」


校長「そう言う事だから頼んだよ。さっ、ギール君は先に教室に戻りなさい。シャル君とディノ君は、もう少しここに居てもらって、担任の杉本先生と一緒に教室へ向かうようにしてもらうよ。」


どう足掻いても覆らない決定事項に、ギールはため息をつきながら立ち上がると、突然シャルが抱きついて来た。


シャル「いやじゃ、余はギールと居るのだ。」


ギール「こ、こら、またわがままを言って!?」


ディノ「シャル様、しばらくの我慢ですから落ち着いてください!?」


校長「ふむぅ、それにしても愛されておるな~?魔王に愛されるなんて滅多いない事だぞ?」


ギール「品のある魔王様ならともかく、こんな子供じみた魔王に好かれる何て不名誉ですよ!」


シャル「なにを!はぐっ!」


ギール「いてて!?やめろバカシャル!」


ディノ「あわわ!?二人ともやめてください!?」


校長「あはは!これは面白い。やはり、三人は共に居るべきだな。」


節操なく校長室で騒ぎ始める三人の様子に、強い好感を抱いた校長先生は、笑みを浮かべながらシャルとディノの編入書類に(はん)を押すのであった。





その後、春桜学園の編入生となったシャルとディノは、めでたくギールが在籍している二年二組の生徒となった。


こうして、"異世界(現実世界)"での学園生活が始まったシャルとディノであったが、一方のギールに至っては、心配と不安が乱立して気が気ではなかった。



そのため、ホームルームでの自己紹介をする場で、早速肝を潰す様な事が起きる…。


シャル「ふっふぅ~♪余は"魔王"シャル・イヴェルアである!皆、よろしくなのだ!」


ギール「~っ!?」


のっけからの魔王宣言に、ギールは耳と尻尾を直立させながら瞳を大きく見開いた。


自己紹介で浮かないためにも、決して余計な事は言わない様にと伝えていたギールであったが、まさかのド直球な魔王宣言に、二年二組の空気は一瞬にして白けてしまった。



しかしそこへ、二年二組のムードメーカーであるリフィルが、すぐにフォローを入れ始める。


リフィル「あはは、よろしくね♪可愛い魔王様♪」


シャル「おお、リフィルではないか~♪同じクラスとは嬉しいぞ♪」



機転の利いたリフィルのフォローが功を奏し、白けた空気が瞬く間に盛り上がると、二年二組の生徒たちは、(こころ)くシャルの事を迎え入れてくれた。



だがしかし、安心するのも束の間。


自己紹介の順がシャルの従者であるディノに回って来ると、二年二組の生徒たちは一斉にシャルよりも強い視線を向け始めた。


女子生徒「ふへぇ~、あの子可愛い~♪」


女子生徒「そうそう、守ってあげたい感じがあるわね♪」


男子生徒「ゴクリ、ギールのやろう……。どこであんなに可愛い"男の娘"を拾って来たんだ。」


男子生徒「くそぉ……。桃馬だけじゃ飽き足らず、デザートにお転婆ロリと男の娘を迎えるとは……。」


男子生徒「鬼畜陰獣野郎……。」


ギール「なっ、お、おお、お前ら誤解するなよ!?」


杉本「はいはい、皆さん。お二人の事で盛り上がる気持ちは分かりますが、今はディノさんの自己紹介を静かに聞きましょうね?」


ディノの容姿に魅了され、生徒間で多様な声が上がる中、そこへ学園の"ド天然系お姉さん"こと、杉本(すぎもと)桐音(きりね)先生が注意を促した。


何とも覇気のないおっとりとした注意ではあるが、意外にも生徒たちは素直に聞き入れた。


杉本「ふふっ。それじゃあ、ディノさん?自己紹介をどうぞ♪」


ディノ「は、はい。え、えっと。わ、私は、シャル様の従者を務めている、スライム族の"ディノ" と申します。こ、今後ともよろしくお願い致します。」


お転婆なシャルとは違い、礼儀正しく挨拶を交わすディノの姿は、まさに弱々しい執事系男子であった。


そのため、二年二組は生徒たちは大歓声を上げ、中には合掌し(あが)め称える者もいた。


予想以上の反応に困惑したディノは、無意識に体を"もじもじ"させてしまうと、更に生徒たちの萌え心を刺激させた。


昨日の桜華の件に続いて、シャルとディノの編入は、二年生の間でビッグニュースとして再び取り上げられるのであった。




その後。午前の授業を難無くこなしたシャルとディノは、瞬く間に二学年の注目株となり、初日の学園生活にしては、かなり良好なスタートが切れていた。


しかし一方で、二人の身元引受人であるギールは、常に予測不能なシャルを警戒していたため、全く授業に集中できていなかった。


そのため、午前中だけでも三度も注意を受けていたそうな……。




午前の授業が終わると、当然の様にシャルとディノの周りには、多くの生徒たちでごった返した。


クラスメイトはもちろん、別クラスの生徒が集まる中、陽気なシャルは楽しそうに談笑を始めた。


しかし一方で、急な人集りに取り乱してしまったディノは、グイグイと迫り来る同級生たちに思わず困惑していた。


これに対して、予想通りと言わんばかりの表情を浮かべているギールは、やむなくシャルをリフィルに託すなり、早々にディノを連れ出しそのまま屋上へと向かうのであった。



桃馬「あはは、朝から多忙の様だったな。」


憲明「いや~。魔王にモテるイケメンは、やっぱり一味違うな。」


ギール「……他人事みたいに言うなよ。これから毎日シャルに振り回されると考えると、今からでも毛が抜けてしまうよ。」


桃馬「まあ、そう言うなよ?それでも、午前の授業は大人しかったんだろ?」


ギール「そ、そうだけど…、何時どこで変な事するか…。」


ジェルド「まあ、これも運命だ、諦めて現実を受け止めろ。これから桃馬の事は俺が面倒見るから。」


桃馬「黙れジェルド、それ以上言ったら"春の大戦乱祭"の賭け品にするぞ。」


ジェルド「わふっ!?そ、そんな、俺は桃馬の犬だぞ!?そんな事したら、桃馬以外に媚びへつらう事になるじゃないか!?」


桃馬「まあ当然そうなるよな~。ジェルドのお株は、今も高水準だし、一日モフり放題券か、一日奴隷券でも発行すれば、相手は血眼になって戦うだろうな。」


憲明「それは良いな。もしジェルドが景品なら、例え俺たちが負けても、大きなリスクはないからな~♪」


ジェルド「ふ、ふざけるな!?俺を見ず知らずの奴に、一日飼われるのか!?」


桃馬「そうそう、あっ、そうだ。敢えてエルゼちゃんの前で、無様な姿を見せるのもありだな。」


ジェルド「どこがありだよ!?桃馬は鬼か!?」


桃馬「ふっ、冗談だ。それに、大戦乱祭の商品を決めるのは生徒会だ。出したくても出せないよ。」


四人が他愛のない話で盛り上る中、話の全容が読めていないディノが訪ねる。


ディノ「あの、"春の大戦乱祭"とは何でしょうか?聞くからにして危険な予感がするのですけど…。」


桃馬「あ、ごめんごめん、ディノは知らないもんな。」


ここで小話。

大戦乱祭とは、春桜学園の三大イベントの一つで、生徒たちの鬱憤晴らしのために設けられた武闘イベントです。


大戦乱祭は、春の大戦乱祭、夏の大戦乱祭、秋の大戦乱祭、学園対抗宣戦となる、四つの公式戦があります。


しかし冬季は、受験や就活などが絡む事から原則として大戦乱祭は禁止とされています。その代わりに、土日であればいつでも開戦が行える、全学年共通宣戦布告型の学園対抗宣戦が許されています。


簡単に要訳すれば、クラス間の決闘である。



怪我が付き物のイベントだが、厳正なルールと回復魔法による治療が即座に出来る事から、一応安全な競技として、学園の生徒からは人気を集めています。


もちろん、強制参加ではないため、非戦闘員への考慮はしっかりされています。


大戦乱祭の基本的なルールとして、


春、夏、秋の大戦乱祭は、一年生(春を除く)から三年生が結束して一組から六組の六軍に分かれて(いくさ)が行われます。


しかし学園対抗宣戦は、クラスの代表者が他のクラスに宣戦布告し、小規模な戦いを繰り広げるゲリライベントであり、特に、模擬戦を始め、揉め事の解決策として取り入れられています。


本来これらが主流となっているのですが、中には学年別に分かれたり、東西戦に持ち込む場合もあります。



現実世界だけの常識なら受け入れがたい話だとは思いますが、今は異世界共存文化の時代。


憧れの異世界と向き合う為にも、少なからず強くなくてはならないと言う学園の方針なのです。


これを聞いたディノは、少々驚きながら共感した。


ディノ「な、なるほど、確かに私たちが住む世界は、昔より全然平和ですけど、それでも知能の低い野生の魔物や旅人を襲う盗賊などがいますから、それらと遭遇した時の対処訓練も兼ねてるのでしょうね。」


桃馬「まあ、それも正解だな。だけど俺としては、ジェルドとギールの様に異世界出身者の個性や特性を忘れさせないように、充分に配慮された方針だと思うけどな。」


憲明「俺もそう思うよ。異世界の人たちにして見れば、ここは平和過ぎるからな。」


ディノ「そ、そんな深いお考えが…、うぅ、私の意見が単純過ぎて恥ずかしいです///」


直感で浮かんだ答えに恥じたのか、ディノは赤面しながら(うつむ)いた。


桃馬「まあ、これはあくまで俺と憲明の見解だからそう気にするな。それより、午前中のシャルの様子がどうだったのか気になるんだけど?」


ギール「っ、あ、ああ、それがだな、早々に問題を起こすかと思いきや…。」



一限目、数学

初登校にして、最初の授業の問題の問いにいち早く手を上げ解答。数式をどこで習ったのか、スラスラと書いて正解させた。


そして、ギールを見るなり"どや顔"を見せた。


二限目、現代国語

さすがに今日来たばかりのシャルに、日本の国語が分かるはずがないと思っていたギールであったが、朗読の際に日本語で書かれている文を翻訳なしで読み始め、先生とまわりから大称賛を受けた。


そして再びギールを見るなり"どや顔"を見せた。


三限目、魔科学

ここでは簡単な薬を作る授業であったが、ここでシャルが、薬の作成にアレンジを加えてしまい、未だに発見されていない回復薬を作成してしまい。先生が大驚愕し授業どころではなかった。


※ちなみに作成した薬は、シャルが魔王の座にいた時に出回っていた回復薬である。


そして三度目の"どや顔"を見せた。


四限目、体育

どうせ、周囲に人並み外れた運動神経を見せつけて、"どや顔"でも決めるのだろうと思っていたギールであったが、シャルの運動神経は、普通の人並みであった。


しかしシャルは、自信満々にやり切った表情を見せては、四度目の"どや顔"を見せた。


何とも平和なやり取りに、話を聞いていた桃馬たちは、感心していた。


桃馬「シャルって天才なんだな、さすが魔王様だ。それより良かったなギール、魔王様に相当愛されてるじゃないか?」


ギール「愛されてねぇよ、むしろナメられてるんだよ。それより、三、四限目はともかく、一、二限目は、どうも不正をしてる感じがする。」


憲明「まあまあ、妹をそんな風に見るなよ"お兄ちゃん"?」


ギール「うぐっ!おい憲明、そのセリフ…二度と言うなよ。」


憲明「えぇ~、二度と言うなって言われても事実だろ?」


桃馬「うんうん、憲明の言う通りだ。結局、寮は止めて、これから兄妹として一緒に暮らす事になったんだ。"お兄ちゃん"って言われるくらいは、許してやれよ。」


ギール「うぐっ、くぅ…。」


桃馬「そもそも、魔王が妹だなんて滅多にないぞ?」


ギール「それが品のある魔王ならな…。」


ディノ「あ、あはは、シャル様は自由ですからね。で、でも兄さん、どうかシャル様を受け入れてください。」


ギール「う、うーん…。」



既にギールは、ディノの事を弟として認めているのか。


ディノからのお願いになると、強く否定しない上に大人しくなるギールの姿に、桃馬たちは疑問に思った。


なぜ、ディノの言葉には大人しく受け入れるのだろうか。


確かにディノは、弟にしたいくらい可愛いくて良い子だ。


そんな子に、一つや二つお願いされたら、つい聞いてあげたくなる気持ちはよく分かる。


それにしても、今では桃馬にしか興味のないギールが、ここまで心を許すくらいだ。相当気に入っているのであろう。


もしそうなら、このままターゲットをディノに移ってほしいと、桃馬は密かに願うのであった。


桃馬「ま、まあ、始めは悪いイメージしかないさ。でも、長く付き合えば、シャルの良いところが見つかると思うよ?」


ジェルド「さすが桃馬!良い事を言うな~♪」


突然の犬の姿に変化したジェルドは、桃馬に甘える様にすり寄った。


桃馬「こ~ら、スリスリするな、この"ばか犬"め。」


口では否定的な事を言う桃馬であるが、擦り寄って来るジェルドを追い返そうとせず、高級な毛並みに両手を突っ込み"しっかり"と堪能していた。


ギール「っ、ジェルドてめぇ!?抜け駆けは許さんぞ!」


ジェルドの抜け駆けに反応したギールは、負けじと犬の姿に変化するなり、そのまま桃馬に擦り寄り始めた。


これに桃馬はため息をつくも、満更でもない表情で二匹の駄犬をモフり始めた。


憲明「桃馬は二人の事が、好きなのか嫌いなのか、全く分からないな。」


桃馬「ん?そうだな~、俺は、犬の姿とショタ化した時の二人が好きだけど、普段のイケメン"ケモ耳"男子の姿で言い寄られたら、流石に抵抗はあるよ。」


憲明「まあ確かに、でも、女子からして見れば羨ましい光景だけど?」


桃馬「俺は女子じゃねぇよ。」


一見、大型犬と戯れている"ほのぼのしい"光景ではあるが、これをイケメンの姿で"フィルター"をかけてみると、ある意味"BL系のハーレム"展開である。


そのため、もしここで"二匹の駄犬"が共闘した場合、間違いなく桃馬は、"二匹のイケメン"に犯され、午後の授業に出させてもらえないだろう。


性欲によって理性を失った二匹のイケメンに、穴という穴に"ガチガチ"の肉棒をねじ込まれ、気が狂うまで激しく犯される展開は、もはや地獄絵図そのものである。


……とまあ、地獄とは言っても、一部からの層からして見れば最高の展開である。


だがしかし、そんなビッグチャンスが到来しているにも関わらず、肝心なジェルドとギールはと言うと、一方的に桃馬の寵愛(ちょうあい)を受けるだけであった。






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