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第百四十五話 新井田祭り編(9) 奉納先の恋

手汗握る一騎討ちが決着すると早々に勝者への洗礼バズーカ祭りへと変わり、一騎討ちに負けた近藤尚弥ごと両津直人を吹き飛ばした。


結局痛み分けの結果であったが、四天王二人を退場させた戦果は神輿側からみれば大いなる成果であった。

しかし、問題の前線の相撲部はオーガ族の鬼山が退場しただけで未だ健在であった。


だが微食会が本気を出し始めた今、相撲部など恐るるに足らず、神輿役たちの猛攻が始まろうとしていた。


本間「さぁ!近藤とせいっちゃんの犠牲を無駄にしてはいけない!いくぞぉ!」


近藤を吹き飛ばした犯人は、詫びるどころか踏み台にしてまわりに鼓舞した。桃馬たちも突然すぎる展開に、この後の行動に迷っていた。


桃馬「い、いいのか?な、何か凄く突っ込みづらいのだけど。」


志道「うーん、でも微食会は位置につき始めてるし、やるなら今がチャンスだよな。」


京骨「志道の言う通りだ。桃馬の気持ちはわかるけど、これも彼らの流儀だ。今はこの好機をのさず早く神輿を奉納しよう。」


志道と京骨の意見にスザクとジレンも賛同し、一足先に神輿へ向かった。

桃馬は、神輿に向かう前に近くの茂みへ駆け寄った。

するとそこには、加茂様に耳をアマ噛みされ、上半身裸で蕩けているギールがいた。


ギール「わふぅ‥はぁはぁ。」


姿の見えない神様に好き放題もふられ、アマ噛みされたりと、変なプレイを覚えさせられたギール。完全に落ちていた。


加茂「はむはむ♪」


ギール「ふあっ♪わふぅ‥はぁはぁ。」


桃馬「うわぁ‥こりゃだめだな。か、加茂様?お楽しみのところすみませんが、そろそろお時間なのでお戻りください。」


加茂「ふぇ?も、もうですか?」


桃馬「は、はい♪準備はできています。」


加茂「もう少し‥だめなのですか?」


可愛らしくお願いする加茂様だが、神輿の方から桃馬を呼ぶ声が聞こえた。


京骨「おーい桃馬~?何してるんだよ?早く来いよ~。」


桃馬「わ、わりぃ、ギールが少しダメそうなんだ。ちょっと、待っててくれ。」


京骨「あっ、そう言えば誰かいないと思えば、ギールだったか。わかった、でも早くしろよ~。」


桃馬「あぁ、わかった。と、と言うことなので‥すみませんがお戻りください。終わったらギールを献上しますので。」


加茂「わ、わかりました!」


もう少し抵抗するかと思ったが、見事エサに飛び付いた加茂様。余程この駄犬がお気に入りのようだ。この祭りが終わった後がとても楽しみである。


桃馬は蕩けたギールを放置して、加茂様と共に神輿に向かった。



本間「残る壁は海洋のみ!我ら三人が血路を開く!これでもくらへぇ!」


本間は前線の相撲部に向けバズーカを再び発砲。

着弾後、猪木、六道、春日の悲鳴が響き渡る。この機に本間を先頭に渡邉と星野、暴走神輿の順に本殿へ突っ込んだ。

しかし、流石守護役に選ばれ志願した精鋭たち、激しい押し合いに競り勝ち神輿役を摘まみ出した。


海洋「おい!本間!次バズーカ撃ったら承知しないぞ!」


本間「うるせぇ!守護役ならバズーカでも隕石でも守ってみやがれ!」


もはや守るスケールが大きすぎる。

心なしか当初の目的を忘れるほど、本間は暴走し始めていた。


桃馬「本間のやつ酔ってるのか!?」


茂野「酔ってるね~。凄く酔ってる。」


藤井「まあ、目の前に立ってた五人は場に酔いやすいからな。こういう時には最適なんだよな。」


桃馬「確かに最適だけど‥何しでかすか怖いんだけど。」


京骨「余談はその辺にしておけ舌噛むぞ?」


桃馬「お、おう!」


そして二回目の突撃の時。

本間は海洋の警告を無視して本殿に向けバズーカを構えた。流石に危険と見た渡邉と星野が本間を取り押さえた。


星野「本間少し頭を冷やせ!」


渡邉「本殿に向けて発砲は流石に不味いって!?」


本間「放せ!?今良いところなんだよ!?」


暴れる本間に星野は睡眠魔法をかけ大人しくさせた。まわりが胸を撫で下ろし安堵するのも束の間、本間のバズーカを渡邉が手に取り本殿へ発砲した。


海洋「なっ!?ぐはぁぁっ!?」

男子「ぎゃぁぁ!?」


海洋を中心に半数近くの守護役が吹き飛ばされた。微食会を除く誰もが驚愕と唖然とし本殿が損傷したと思った。しかし、不思議と本殿は傷ひとつもない無傷であった。

実は渡邉が発砲する前に星野が本殿にバリアを張って備えていたのだ。


渡邉「今だ!お前ら突っ込め!」


微食会五人「おぉ!」


桃馬&京骨&志道「突っ込めるか!?」


神輿で突っ込みはしないが、一応お望み通りツッコンだ三人に渡邉が弄る。


渡邉「ふっふっ、三人ともそう言いながら今ツッコンだね~?」


桃馬「何を言っている?俺たちはまだ突っ込んで‥なっ!謀ったな!?」


京骨「突っ込め‥ツッコミ‥あー、なるほど~。」


志道「バカにされてる気がするな‥。」


ようやく気づいた鈍感男たち。

かなり屈辱的な誘導に引っ掛かったことにより、苛立ちを隠しきれなかった。


スザク「見え透いたなぞかけだな。」


ジレン「三人がツッコンだ瞬間すぐわかったよな。」


異世界出身の二人は腕を組んで子供だましのなぞかけにうなずいていた。


公衆の面前で恥をかかされた三人は、目の前の二人を捲き込んで突っ込もうとしていた。


桃馬「こうなれば本殿を発砲したこと理由に、神罰を代行してやるか。」


京骨「そうだな。畏こくも神様の住まいを撃ったのだからな~。」


志道「酔いを冷まさせてやるか。」


三人の復讐心に火がつき、神輿の一部が激しく上下し始めると、微食会の五人も息を合わせ始めた。


その後、本殿の攻防戦は三十分以上続き、結局渡邉と星野を捲き込むことはできず、暴走神輿は本殿へと奉納された。


ヘロヘロ状態の神輿役たちは本殿内で喜びに浸っていた。

笛太鼓の奏者たちはラストを飾る心踊る音を響き渡らせた。会場では歓声が止まず、上空には無数の花火が上がった。

これで倒れた主役たちも浮かばれることであろう。


実況の亀田映果は、一旦の区切りをつけるべく締めの挨拶に出た。


映果「皆様お疲れ様でした~♪これにて本日のお祭りは終了となりますが、この後の後夜祭もお楽しみください!ここまでの実況は、春桜学園二年五組亀田映果がお送りしました!」



時刻は午後の九時辺り‥。

祭りが終わるにはまだ寂しい物である。

打ち上がった花火は未だ止まることを知らず、今日は土曜日で明日も休みなので、深夜近くまで盛り上がる勢いであった。


お盛んな恋人たちは人気(ひとけ)の少ないところへ赴きイチャイチャしたり、出店で楽しんだりと青春を謳歌していた。


その頃、桃馬と桜華は神明宮神社にある公園のベンチに座っていた。


桃馬「いや~、今日はほんと疲れたよ‥。」


桜華「お疲れ様です♪最後の海洋さんを倒して奉納した姿はかっこよかったですよ♪」


桃馬「うぅ、そ、そうかな?で、でも、海洋も相当弱ってたし‥まぐれだよ。」


桜華「まぐれでも、自分より大きな方を倒す姿はよかったです♪」


桃馬「~っ//そ、そそ、そうか♪か、かっこいい姿を見せれてよかった。」


まぐれでも沢山誉めてくれる桜華にテレて顔をそらした。


桜華はそんな桃馬が可愛くて仕方がなかった。

そのため少しいたずらを考え、桃馬の耳元で囁いた。


桜華「ねぇ桃馬?今なら私のこと好きにして良いわよ?」


桃馬「っ///な、ななっ、なに言ってんんっ!?」


桃馬が驚いて振り向いた瞬間、桜華は迷わず桃馬に口づけをした。


一秒‥二秒‥三秒とそれは長い口づけであった。



突然すぎる口づけに動揺した桃馬であったが、次第に落ち着き桜華の肩を抱きしめた。


しかも、みんなが見ているなかで…。


憲明「あの二人…俺たちの存在忘れてるな。」


リフィル「あはは~♪お熱いね~♪ねぇねぇ、憲明~♪私たちもやろうよ~♪」


憲明「なっ、そ、そんな事…ここでできるわけないだろ!?」


リフィル「えぇ~♪こう言うところだからいいんじゃないの~♪」


人目を気にせずいちゃつく二人に便乗して、巫女服姿のリフィルは憲明に迫る。

しかし、人目を気にする憲明は拒み続けたが、どうしても真似をしたいリフィルは、胸の谷間を出すなりし片腕に抱きつき強行手段に出た。


憲明「ばっ!?な、ななっ、何してるんだ!?」


リフィル「キスしてくれないと声だしちゃうよ?」


憲明「なっ!?ひ、卑怯だぞ。」


リフィル「さぁ~♪どうする??」


憲明「うぐっ…め、目…閉じろ。」


リフィル「はーい♪」


ジーーー。


憲明「いや、だから目を閉じろって…あと半目も禁止だからな。」


リフィル「もう~、まわりは少し暗いんだからいいでしょ?家では沢山してくれるのに~。」


憲明「お、おぉい!?恥ずかしいこと言うな!?それに家は…誰も見てないだろ?」


リフィル「むぅ、あ、お義父さん!?」


憲明「なっ!?ど、どこに!?」


リフィルのまじな声に驚き後ろを振り向く。

しかしそこには、憲明の父はいなかった。


なんだ‥脅かしかよ。


せっかくの二人っきりの時間に水を刺されるかと思ったが、リフィルの冗談だったようだ。


安堵した憲明は、リフィルに一喝しようと振り向くと、目の前に綺麗で可愛いリフィルの顔があった。


憲明「えっ?」


咄嗟に後ろへ下がろうとするとリフィルは両手で憲明の頬を掴み、そのまま口づけをした。


憲明「~っ!!!?」


油断した‥、あの冗談が俺の気をそらすための罠であった。


一瞬離そうとするが、憲明の理性にヒビが入り、一度くっついた唇は離れることはなく、憲明はリフィルの肩を掴み抱きしめた。


それから公園はカップルが増え、同じようにいちゃついていたそうな。


原因として今年は加茂様がギールに恋をしてしまったため、恋愛成就の神力が強く出てしまったためであったと言う。


その頃、加茂様はと言うと、

疲れきって寝ているギールの尻尾にしがみついて寝ていた。

それを見ていたシャルは指を咥えて羨ましそうに見ていた。


シャル「むっむっ!加茂が羨ましいのだ。」


ディノ「あ、あの‥シャル様?"かも"とは一体‥誰に言ってるのですか?」


豆太「もしかして、兄さんが寝てるのが羨ましいのですか?」


シャル「違うのだ~!二人はギールの尻尾にしがみついている加茂が見えぬのか?」


ディノ&豆太「は、はい。」


シャル「そ、そんな目で余を見るな~!」


ディノと豆太も加茂の姿は見えず、独り言のように話すシャルを見るなりドン引いたのだった。



波乱万丈の夜はまだまだ長い。

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