第百三十九話 新井田祭り編(3) 大名行列
いよいよ暴走神輿が出発する時間である。
結局ギールは戻らず、神社辺りが少し騒がしいが、下手なことに捲き込まれていないことを願うばかりだ。
忍「よーし、しゅっぱーつ!」
高らかにホラ貝を吹くと神輿は担がれた。
後方の太鼓と笛の音が高らかに奏でられ、神が乗っていない神輿を縦横無尽に進行した。
京骨「おいばか!?こっちにやりすぎだ!?」
志道「ま、まじで落とすからやめろ微食会!」
ジレン「や、やばいって、一回戻せ!?あと、お前たちも何で微食会側で押してるんだ!?」
スザク「は、話が違うぞ!?やばいやばい!?斜めってる!?」
右側は微食会、左は桃馬たち連合の割合。
序盤から微食会が押してくることはわかっていた志道とジレンは、前もって補助役の仲間に、過度な押しが始まったら急いで補助に回るようにと伝えていた。しかし、何を勘違いしたのか、微食会側の方を押していたのだ。
桃馬「ぐぐぐっ!?か、肩が折れる!?」
近藤「ストップストップ!?やりすぎだ!戻せ戻せ!?」
藤井「六組下がれ!?神輿がひっくり返るぞ!」
神輿が勢いよく四十度ほど傾いたとき、急いで神輿を戻した。流石の微食会も補助役たちが一気に押すとは思いもよらなかった。
序盤からひっくり返すと言うハプニングは回避され、担いでる者たちは冷や汗をかいた。
忍「こ、こらこら、威勢が良いのは良いが少しは加減しないとダメだぞ?」
微食会&補助役「す、すみません。」
忍「では、落とさず景気良くいくぞ!」
一同「おぉ!!」
高野「よっと、それでは景気良く爆竹を。」
高野が一時神輿から離れると、爆竹と称する某部隊の武器を参考に造られた、安全性の高い小型炸裂弾を取り出し火をつけてばらまいた。
その威力は爆竹の三倍であり、本体が爆発すると、中にある多数の火薬玉が飛び散り爆竹のように爆発する。
渡邉「マッキー!?今それは早いって!?」
京骨「ちょっ!?」
桃馬「ば、ばか!?なにばらまいて!?」
周りが認識し始める頃には時既におすし。
爆発音と悲鳴、太鼓と笛の音が朝から響き渡った。
桃馬「これだから神輿役は嫌なんだよ~!」
毎年、暴走神輿の盛り上げ方はその時の神輿役に一任されている。そのため始まるまで誰が何を仕出かすのか分からないのだ。
昔は序盤から商店街突っ込んだり、家や防壁を破壊したり、喧嘩したりして酷かった。今はまだ手緩いくらいだと親父は語るが、今は今で危険だと思う。
その頃、白装束で烏帽子を被り刀を拵えた直人たちは後方から聞こえる爆発音に驚いていた。
直人「お、おいおい、のっけからフルスロットルかよ‥やるな。」
晴斗「陛下がいることを忘れてなければいいけど‥。」
奏太「そもそも、知られてないとか?」
直人「さすがにそれはないだろ‥天皇陛下だぞ?」
海洋「そもそも、こんな危険な祭りより、花火大会に来た方がいいと思うけどな。」
晴斗&直人&奏太「確かに。」
憲明「ま、まあ宮中での暮らしは窮屈だろうし、息抜きで変わった催しに参加したかったのだろう。」
晴斗&直人&奏太&海洋「おぉ~。」
納得がいく予想に思わず拍手をする四人。
憲明「お前ら‥変なところは感が良いのに、また変なところで鈍感だよな。」
晴斗&直人&奏太&海洋「褒めんなよ。」
憲明「褒めてないわ!てか、打ち合わせでもしたのか!?」
あまりにも息の合った発言に、掌で踊らされていると感じる憲明であった。
ちなみに周りは歩いてるだけではなく、弓矢を空へと放ち朱雀を作り出したり、黒毛槍を投げ渡しをしたり、鉄砲の空砲などの盛り上げをしていた。
そして、お待ちかねの女の子たちは‥。
小頼「はぁはぁ!ルシアちゃんたち凄くエロかわ~♪サキュバスに巫女服なんて‥はぁはぁ、やっぱりたまりゃない~♪」
ルシア「や、やめてよ小頼!?は、恥ずかしいじゃないの‥。」
小頼「おやおや~♪スタート位置から凄く恥ずかしがっていたけど~?もしかして、その格好で京骨に襲われたとか?」
ルシア「っ!?‥う、うん‥。」
小頼「きゃ~♪やっぱり~♪」
ルビア「あはは~♪ルシアちゃんおあついね~♪」
久々のご登場のルビアは、
四風御影の指示で行列に参加していた。
ルシアとエルンの親友で、綺麗なオレンジ髪の短髪お転婆サキュバスである。
リフィル「ルシアちゃん羨ましいな~♪憲明なんて私を襲う度胸がないからね~♪むしろ、胸が見えすぎだとか、脚が見えて下着が見えるとか言うから、着替えさせられたくらいだよ。」
エルン「む、むしろリフィルはどんな巫女服を着ていたのだ。」
リフィル「クスッ、エルンちゃんが着たら直人が○○させるまで襲うやつかな~♪」
エルン「な、ななっ//そ、そそ、そんなものが‥。」
リール「あぁ~♪なんか心当たりがあるな。どれどれ。おっ、これだよエルン。」
リールはスマホを取り出すと、例の巫女服を検索しエルンに見せた。
胸を大胆に開き見えそうで見えないくらいのきわどい服装。そして袴も切り太ももから脚まで出ているきわどいものであった。
エルン「は、ははっ、破廉恥な!?」
ちなみにエルンは、サキュバスの中でも変わっており恥じらいに敏感なのだ。
※直人と二人きりの時は積極的である。
そのため、まわりはスカート衣装が多いのに、エルンは普通の巫女服に刀を差している。
リールは例の巫女服をみんなに見せる。
ルビア「どれどれ~♪きゃぁ~可愛い♪エルンエルン♪これ全然破廉恥じゃないよ♪」
ルシア「京骨はこう言うのも好きなのかな?」
リフィル「これよこれ~♪今日着ようとしたら止められたやつだよ♪」
小頼「こ、これはいいぞ!」
リール「うーん、私はこう言うのよりスカートが好きだな~♪」
エルン「わ、私はこんなふ、不埒な物は着ないぞ!(な、直人が喜ぶなら着てみたい!)」
淫靡な美女が話すなか、健全な桜華はもふもふのエルゼと戯れていた。
桜華「ふへぇ~♪エルゼちゃんの巫女服可愛いですね♪」
エルゼ「わふぅ~ん♪気持ちがいいです~♪」
なかむつまじい二人の光景に一人の姫が声をかけた。
ジャンヌ「お、桜華ちゃん!」
桜華「ふぇ~♪あ、ジャンヌちゃん♪どうしたの~?」
ジャンヌ「そ、その‥わ、私もその子をもふもふしたい!」
桜華「ふぇ?エルゼちゃんを?」
ジャンヌ「うんうん!」
桜華「エルゼちゃんどうかな?」
エルゼ「わふぅ♪もふもふ~♪」
もふられ好きのエルゼは意図も簡単に尻尾を振った。
ジャンヌ「で、では‥ごくり。」
意外にも異世界出身でありながら獣人族と触れ合った事がないエルフの姫様は、ゆっくりエルゼの頭に手を伸ばした。
そしてケサランパサランに負けず劣らずの上質な毛並みが手から脳に伝わり、ジャンヌを蕩けさせた。
ジャンヌ「こ、これが‥獣人いや‥けも耳族の毛並み‥こ、これはすごい!」
桜華「でしょでしょ♪特にエルゼちゃんのはすごいんだよ♪」
エルゼ「わふぅ~♪」
ご機嫌なエルゼは尻尾をブンブン振り回している。
すると、アンジェリカ、アリシアも導かれるかのように桜華の所へ来た。
ここで久々の小話。
実は桜華は春の大戦乱祭がきっかけで、ジャンヌ、アンジェリカ、アリシアとの交流を深めており、恋話や一般的な話で盛り上がっている。特に、小頼と接触したときには姫としてはできない知識や文化を吸収してしまい。志道に対して凄く積極的になっているとかいないとか‥。
アンジェリカ「おぉ~、その子はジェルドの妹だな?」
アリシア「ふぁ~♪いつ見ても綺麗な毛並み~♪」
桜華「あ、二人もどう?」
アンジェリカ「いいのか♪いや~♪わるいね♪」
アリシア「お言葉に甘えて♪」
エルゼの承諾なしでもふり始める二人の美女。
まあ承諾しなくてもエルゼはウェルカムなので問題はない。
エルゼは四人の美女にもふられ大満足である。
またまた小話
エルゼばかりちやほやされてるように見えますが、獣人族のほとんどはプライドが高く、心に決めた人以外、撫でることはおろか、触ることすらも嫌がるのです。しかし、エルゼの場合は本能で良し悪しを決めているので、大半は受け入れてしまういい子なのです。
そして、和ましい光景を建物の上からエロエロなくノ一衣装をした四風御影と白装束に烏帽子を着けた水焉龍の水毅が見ていた。
※詳しくは
第七十話 春の大戦乱祭(10) 聖母と魔王とショタっ子と‥より
御影「あらあら~♪みんな可愛いわね♪」
水毅「ママ‥人がいっぱい。」
御影「そうね~水毅♪でも、怖がらなくていいのよ♪」
水毅「うん。ママと一緒なら怖くないよ♪」
御影「よしよし~♪いい子ね♪」
椿「ちょ、ちょっとお姉様!そろそろ水毅といちゃつくのを止めて任務に集中してください!」
我が子の様に愛している水毅との触れ合いに、妹の椿が注意してきた。
水毅「ひっ!?」
驚いた水毅は思わず御影の豊満な胸に飛び込んだ。
御影「あらあら~♪こら椿?いきなり怒鳴っちゃ水毅が怖がるでしょ?」
椿「うぐっ、そ、それはすみません。ですけど、今年は天皇陛下がおられるのです。たまには本気で取り組んでください。」
御影「わかってるわよ♪全く‥なんでよりによって来るのかしら。」
椿「何か言いましたか?」
御影「何でもないわ♪さてと水毅♪これからお仕事よ♪」
水毅「はい♪」
水毅は龍の姿になり、御影と椿と共に任務に移った。
信潟県最初の祭り。
何事もないことを祈るばかりである。