第百三十四話 第二次母なる暴走
突然ですが佐渡家には秘密の部屋があります。
‥息子たちも知らない‥私だけのお部屋。
今日はお仕事サボって息子たちのお嫁さんをご馳走中♪
ちょっと、邪魔は入ったけど私の趣味を止めようだなんて永遠にないわ♪
ご機嫌の女性の目の前には、姫騎士姿のエルガと桜華が大の字で縛られていた。
シノンは女性の隣ですり寄っている。
桜華「あ、あのお母様‥そ、そろそろ‥やめてください。」
エルガ「そ、そうです。こ、これ以上は‥そ、その‥耐えられません。」
雪穂「クスッ♪だって二人が可愛いんだもん♪もっと触れ合いたいのよ♪」
桜華「うぅ、それならこんな格好にしなくても‥。」
エルガ「わ、私は姫騎士よりは‥魔導師なのだが‥。」
雪穂「そこ口答えしないの~♪シノンちゃん"あれ"を。」
シノン「わふぅ♪」
雪穂は楽しそうにシノンの上質な毛で作られた狼毛筆を取り出しエルガに向ける。
エルガ「ひっ!?お、お母様!?そ、それは‥それだけはお許しを!?」
雪穂「はぁはぁ、エルガちゃんいいわ~♪気高い美女が取り乱す姿って最高~♪」
雪穂の目は蕩けハートマークが見える。
完全なるドSモード展開にもはや止めることは不可能である。
羽筆は、体の隅々まで擽り、エルガは完全に雪穂の手中に落とされた。
エルガ「あっ♪ぁぁ‥きもひぃれふぅ~♪」
雪穂「はぁはぁ、エルガちゃんあなたは天才よ!」
桜華は目をそらした。
端から見ては完全に‥十八禁である。
雪穂の横暴が続くなか、父景勝と兄蒼紫は何をしていたのか。
雪穂たちが起き始めた午前九時のこと。
桜華の悲鳴から始まった。
桜華「きゃぁぁ!?ね、ねねっ、寝過ごしました!?」
シノン「わふっ!?ど、どうしました!?」
エルガ「っ!なっ、なんだ!?何事だ!?」
雪穂「んんっ~、どうひたの~?」
桜華の声にエルガは飛び起き、雪穂はノロノロと起きる。
桜華「く、九時ですよ!?だ、大遅刻です!?」
エルガ「く、九時だと!?ほ、本当だ‥。」
シノン「わふっ!?そんな‥日課のお、おしゃんぽがぁ~。」
雪穂「あらあら~、寝坊しちゃったわね‥。」
桜華「はわわ!?い、急いで支度しないと!?」
桜華は急いで部屋に戻ろうとすると、先の悲鳴で駆けつけた景勝と蒼紫が部屋に入ってきた。
景勝「ど、どうした!?」
蒼紫「エルガ、シノン、桜華ちゃん!?」
二人の目の前には、見えないけども‥はだけた四人がいた。
景勝「あっ‥えっと。」
蒼紫「や、やばい‥忘れてた。」
桜華「い、いやあぁぁっ!」
恥ずかしさから咄嗟に風魔法を繰り出し、壁を壊してまで二人を外に吹き飛ばした。
景勝&蒼紫「ぎゃあぁぁ!!?」
エルガ「あ、蒼紫!?」
シノン「わふっ!?」
桜華「ふあっしまった!?お父様!?お兄様!?」
三人は慌てて下を見下ろした。
しかし、雪穂は焦らず三人に声をかけた。
雪穂「ふあ~安心しなさい三人とも‥こんなこともあろうかと、下にはマットを敷いてるからね♪」
桜華「は、はわわ!?」
エルガ「お、お母様‥。」
シノン「‥お二方そのマットからズレてます。」
雪穂「ふぇ?」
雪穂は少し急いで下を見ると確かにズレて倒れている二人がいた。
雪穂「あ、あなた!?蒼紫!?み、みんな少し手伝って!」
三人「は、はい!」
慌てて下に降りる四人、
エルガと雪穂の回復魔法により、
命を繋ぎ止めた二人であった。
桜華「ごめんなさい!ごめんなさい!」
桜華は必死で頭を下げ謝った。
景勝「き、気にしなくていいよ桜華ちゃん。元あと言えば俺たちがいきなり入ったせいだからね。」
蒼紫「そ、そうですよ?ほら、こうして生きてるから安心してよ♪」
桜華「で、でも‥。」
雪穂「桜華ちゃん大丈夫よ♪二人はそう簡単に死なないから♪」
エルガ「‥先程は結構焦ってたような。でも、生きてたよかった。」
シノン「あはは‥でもお二人が無事に治ってよかったです。」
四人が安堵するなか、男二人はマットについて言及し始めた。
蒼紫「それにしても‥あのマットがなければ上手く着地できたんだけどな。」
雪穂「えっ?」
景勝「そうだな、あんなアホみたいに弾むマットいつから合ったんだろう?」
蒼紫「確か俺は弾んだ拍子に‥たぶん屋根に頭をぶつけたかな。」
景勝「俺は‥気づいたら目の前に雪穂がいたな。」
景勝は塀に激突し重症でした。
桜華「マット‥?」
エルガ「マットか。」
シノン「わふぅ‥。」
三人は雪穂に顔を向けた。
すると、景勝と蒼紫は納得したかのようにため息をついた。
景勝「はぁ、余計なことをしちゃったようだな?」
蒼紫「母さん‥何であんなの置いてたの?」
雪穂「ご、ごめんなさい!さっきみたいな展開を予想して昨夜の内に置いてたんだけど‥。」
蒼紫「‥それ完全に仕込んでない?」
景勝「‥またアニメや漫画の展開を期待したんだな。で、結果的には成功か?」
雪穂「は、半分かしらね‥。」
景勝「ふぅ‥全く困った母親だな。でも、らしくていいな。」
景勝が優しく妻の頭を撫でると、
雪穂の乙女心に火がつき、外にも関わらず夫を押し倒した。
雪穂「っ!あ、あなた~♪」
景勝「うわっ!?せ、雪穂!?」
雪穂「はぁはぁ、そんな優しく言われたら‥私‥我慢できないわ!」
景勝「ま、待て待て!?まさか、今ここでするきか!?」
雪穂「もちろんよ♪蒼紫たちに見せつけましょう!」
蒼紫「やめんか!?」
雪穂「ふにゅ!?」
見かねた蒼紫が急いで雪穂を気絶させた。
桜華「はわわ!?だ、大丈夫ですか!?」
エルガ「お、おい蒼紫?さすがにやり過ぎではないか?」
蒼紫「大丈夫いつものことだから、全く時と場所を考えてくれよ。元騎士が聞いて呆れるよ。」
景勝「ふう‥助かったよ蒼紫‥。」
蒼紫「ねぇ父さん?母さんって本当に元騎士なの?」
景勝「い、言いたいことはわかるけど、雪穂は間違いなく元騎士だよ。初めて会った時はクールでかっこよくて、素直じゃなくて可愛かった。」
そこからどうしてこうなったのか。
疑問に思う四人。
蒼紫「じゃ、じゃあ‥今はどうしてこんな性格になったの?」
景勝「‥気づいたらって言ったらそれまでだけど、強いて言えば‥初夜を迎えてからだな。」
桜華「しょ、初夜‥ごくり、」
エルガ「な、なるほど‥性に無関心な生娘に快楽を教え込んだら、こうなってしまったと。」
景勝「そ、そうなるな。でも、俺はそんな雪穂も好きだな。」
シノン「お父さんは夫の鏡ですね!」
景勝「ありがとうシノンちゃん♪さてと、桜華ちゃん?学校なんだけど今日は風邪で休んでることにしてあるから家でくつろいでいなさい。」
桜華「ふぇ!?で、でも。」
景勝「大丈夫だよ、一応みんなここにいるから一人じゃないさ。あと、雪穂の監視もしっかりやるから安心しなさい。」
と、言ったのも束の間‥。
時間は正午あたりのこと。
気絶させられた雪穂が目覚めると、
体が火照って仕方がなかった。
景勝の愛が気絶してる間にオーバーヒートし、それが魔力にも影響し媚薬のような作用が働いた。
雪穂は火照った体を動かし、昼食を取っている景勝たちのところへ歩いた。
そして‥暴走。
三人の美女を秘密の部屋へと連れ込み、
蒼紫は氷漬け、景勝は干からびて縛られた。
そして、今に至る。
桃馬「‥誰もいないのかな。」
玄関に靴はあるが、
人の気配はない。
桃馬は恐る恐る家に上がった。