第百三十話 突撃!とある部室のおやつタイム!
毎度お馴染みの放課後のこと。
異種交流会の部活は先の大戦以来、異世界の行き来は当分禁止とされた。
そのため異種交流会は、とても退屈な部活動を勤しんでいた。
しかしそんな時、面白い話が舞い込んでいた。
リフィル「それでね!シャルちゃんとギールったら授業中ずっとボーってしてて、先生の指名も無視して怒られてね。これは二人に何かあるよ~!」
小頼「うんうん!これはようやく恋愛フラグが立ったね!兄妹の禁断プレイは特ダネだね!」
問題児の二人は、水を得た魚のように燃え上がっていた。しかも、本人の前で堂々と‥。
ギール「お前ら‥本人の前でよくそんなこと言えるよな‥。」
シャル「や、やめるのだ!興が冷めるのだ!?」
珍しくシャルが動揺している。
これは間違いなく互いに好意を持っている。
桃馬もからかおうと思ったが、後が怖いので止めました。
しかし、恐れを知らぬ命知らずは攻め立てるわけで‥。
時奈「ふむふむ、兄妹プレイか‥魔王と狼‥うむっ!熱いな!」
時奈の脳内ではあれやこれやと卑猥なイメージが流れた。
ジェルド「小さいシャルを後方から押し倒して‥狼流の行為‥最低‥最低だな。」
桃馬&ギール「お前が言うな!?」
憲明「ひどいブーメランだな‥。」
男たちは自覚なしの駄犬をツッコんだ。
ある意味修羅場な光景に、ディノはスライムの特性を活かして純粋なエルゼとディノをスライムベッドで寝かせていた。
ディノ「はぁ、純粋な二人には見せられませんね。」
エルゼ「わふぅ‥スヤァ~♪」
豆太「スゥスゥ~。」
二匹は互いの尻尾に抱きついて寝ていた。
ディノ「はぅ~♪可愛いです♪」
ディノは二匹にメロメロである。
シャル「ぬわっ!二人とも何してるのだ!ディノよ!余も混ぜるのだ!」
ディノ「あっ。は、はい!」
シャルは気晴らしのためにディノ特製スライムベッドにダイブした。
リフィル「クスッ♪シャルちゃん照れちゃった~♪」
小頼「ひゅ~♪」
シャル「お、お主ら余を裏切るのか!?」
リフィル「裏切ってないよ~♪」
小頼「そうそう♪私たちは応援してるんだよ♪」
都合の良い言葉を並べて楽しそうに話す二人は、もはや悪意だ。
ギール「こ、こらお前ら!あまり俺とシャルをからかうなよ!お、俺とシャルは兄妹だ。そ、そう言ったことはしないぞ!」
小頼「へぇ~♪本当かな?」
リフィル「シャルちゃんが元の姿になれば‥もしかして~♪」
小頼「うんうん!凄く合うね!」
ギール「あぐっ///。そ、それは‥あ、合う‥のか。」
顔を真っ赤にして否定するどころか、食いついてきた。やはり、妹に欲情する変態であった。
だが、妹概念を捨てれば‥変態ではないが‥。
今更そんなこと出来るわけがない。
葛藤するギールに、桃馬はあることに気づいてしまった。
もし、このままシャルとギールが結ばれれば‥ギールは俺に執着しなくなるのではと浅はかな考えを思い付いた。
桃馬「ギール‥悔しいが俺も応援するぞ。」
涼しげな表情でギールの恋路を応援したが、当然うまくはいかないわけで‥。
ギール「ふっ、桃馬よ‥。お前は俺とシャルが結ばれたら離れると思ったようだが?安心しろ‥俺と桃馬は主従関係だ。これは一生続くぞ?」
桃馬「うぐっ‥。」
まるで予想していたかのように、ギールは余裕な表情で返した。
まずい、これは余計なことをした気がした。
いや待てよ‥これはまさか俺を嵌めるための罠ではないか‥。
そうなると、近々この犬は‥お、俺の処男を奪いに来る可能性がある‥。
くそぉ‥大人しくシャルに尻尾を振っていればよいものを‥。
考えれば考えるほど、危機迫る考えに導かれ被害妄想に蝕まれる。
ジェルド「桃馬、ちなみに俺も主従関係だからな!な!」
桃馬「お前も張り合うんじゃねぇ‥。」
ギール「おい、ジェルド~?主従関係は俺だけで充分なんだが~?」
ジェルド「ふっ、お前はシャルに尻尾を振ってた方がお似合いだ。」
ギール「その言葉そっくりそのまま返してやるよ‥お前は小頼に首輪つけられて腰を振ってる方がお似合いだ。」
ジェルド「何だとこの駄犬がぁ!」
ギール「お前が言うなよ!」
何故か桃馬を賭けた取っ組み合いへと発展。
ギールとシャルの恋話は完全に脱線した。
桃馬「はぁ‥お前ら‥。」
リフィル「おぉ!愛されてるね桃馬~♪」
小頼「この際二匹を性的に受け入れたら?」
桃馬「お前らは馬鹿か!?そんなの受け入れるわけないだろ!?」
憲明「発情した二匹に襲われたら‥正気が保てないかもな。」
桃馬「憲明は何他人事みたいに言ってるんだ‥えぇ?」
我関せずに語る憲明の肩を掴み問いただした。
憲明「あ、あはは、す、すまん。だから‥うっ‥そ、そう怒るなよ‥なっ?」
憲明は少しキレ気味の桃馬を宥めるが、
今回ばかりは骨が折れそうだ。
そんなこんなで賑わっていると、
突如部室の扉が前触れなく開いた。
寝ている二匹と一人を除いて、全員が注目した。
そこには、深紅の赤髪に一際目立つ薙刀を背負った、今注目されている転入生、ルイ・リーフが立っていた。
迷ったのだろうか。
見たところ完全に一人のようだ。
確かエニカの家臣と聞いてはいるが、どういう経緯ではぐれたのか気になるところだ。
ギール「あ、ルイじゃないか?どうした、もしかして迷ったか?」
ギールはジェルドの取っ組み合いを止め、ルイに話しかけるとルイは黙って頷いた。
ギール「全く、エニカとあいつらもしっかり見てないとダメなのにな。時奈先輩、少しルイをここに置いてもいいですか?その間エニカたちを探しに行きますんで。」
時奈「あぁ、構わないぞ。」
ギール「ありがとうございます。」
ギールは許しをもらうと颯爽に部室を後にした。
さすが、面倒見の良い犬だ。
ここは素直に評価できるところだな。
思わず桃馬は心の中でギールを評価した。
それに対してジェルドは何かを察したのか、口を膨らませふて腐れていた。
とまあ、それより‥俺たちだけでどうすれば良いのだろうか。
リフィルと小頼に任せるのも危険な気もする‥。
あぁ、こんな時にルシアと京骨がいてくれたらな‥。
ルシアと京骨はあの大戦以来部活に参加していない。
話によれば、大妖怪の会議に毎夜毎夜と出席しているらしい。(土日を除く)
時奈「えっと、君がルイ・リーフくんだね?立ち話もあれだから席に座ってくつろいでくれ。」
ルイ「うん‥わかった。」
時奈の計らいにルイは大人しく席に座った。
さて、ここからどうするか。
話しかけようにも表情が掴めないため、何を話せば良いかわからない。
こういう時に役に立つマイペースのシャルはお眠‥。取りあえずお菓子でも出して時間を稼ごうと時奈は考えた。
時奈「そ、そう言えばルイくんは食べることが好きと聞いている。よかったらお菓子でも食べないか?」
ルイ「うん‥食べる。」
時奈「うむ、ちょっと待ってくれ。」
小頼「あっ、私も手伝います♪」
リフィル「私も私も~♪」
会話の活路が出来ると小頼とリフィルが動いた。
三人はお菓子が溜め込んでいる棚をあさり、ルイが好きそうな物を探し出した。
結局、定番のクッキーを出した。
ルイは不思議そうな表情でクッキーを見つめていた。
ルイ「‥これは?」
リフィル「クッキーだよ♪もしかして初めて食べる?」
ルイ「‥クッキー‥はむっ、もくもく。」
ルイはクッキーに手を伸ばし一つ口に含むと、すぐにもう一つ、もう一つと"もくもく"と食べ始める。
一同「っ!?」
無表情のはずなのに小動物のように食べる姿は非常に愛くるしく、気がつけばあっという間にクッキーは失くなった。
ルイ「あっ‥なくなった。」
空になった器を見つめルイは少し残念そうにした。
時奈「あ、安心しろ。お菓子ならまだ沢山あるからな♪小頼、リフィル!クッキーをもっと出すぞ!」
小頼&リフィル「おぉ~♪」
桃馬「や、やばい‥こ、これは子犬みたいだ。」
ジェルド「ゴクリ‥あ、あぁ‥。」
憲明「‥う、噂になるのも納得だ。」
ディノ「い、犬耳が見えます‥。」
女子たちはルイをデロデロに甘やかし、男たちは仔犬を見るかの様に微笑んでいた。
その後、部室のお菓子が全てルイに食われるとは夢にも思わないのだった。
その頃‥微食会とエニカを探しに出たギールは、恐ろしい光景を目にしていた。