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第百二十五話 佐渡家結集

佐渡家自宅。


家の外には毎年見慣れた神輿突撃祭りの予防線"バリケード"が張られていた。


桃馬は父景勝と母雪穂に事の次第を報告した。


景勝「あはは!お前もついてないな~♪それなら、今年はバリケードを張らなくてもよかったかもな。」


桃馬「な、なんでだよ?」


景勝「先頭なら家に突っ込まないようにできるだろ?」


桃馬「一人で止められるとでも?」


景勝「‥それもそうか。」


桃馬「納得するの早いな‥逆に傷つくよ。」


仲良さそうな二人に桜華と雪穂は楽しそうに見つめていた。


雪穂「もう~、二人とも桜華ちゃんの前ではしたないわよ?」


桜華「あ、あはは、私にはお気になさらず~。それより、あ、あのお母様?ど、どこを触って‥ひゃう!?」


雪穂「クスッ♪どこかしらね~♪」


雪穂は、小動物のように可愛らしい桜華の首筋と胸を嫌らしく触り始める。


こうなっては残念ながら助け出すのは不可能である。雪穂の手は魔法でひんやりとして気持ちが良く、数日間の研究で桜華が喜ぶ温度に調整されていた。


桃馬「親父‥母さんを止めろよ。」


景勝「無理に決まってるだろ‥お楽しみを邪魔したら氷漬けにされる。桃馬‥彼女の危機だ男を見せるチャンスだぞ。」


桃馬の肩に手を置き、親指を上ではなく下に向けるくそ親父。

完全に狙ってやがる。


桃馬は景勝の腕を掴み抵抗する。


桃馬「都合の良い様に話をまとめてるようだけどそうはいかないぞ‥?あと、その親指はなんだよ。」


景勝「えっ?、あ、ごめん間違えた‥いたたっ!?や、やめろって!?」


わざとらしく親指を上に向けるも、桃馬は景勝に弱攻撃を見舞う。


若干やばい要素はあるものの、

家族同士のじゃれ合いとも言えるこの光景は、


いつもと変わらぬ賑やかな佐渡家である。


そんな時、玄関から聞き覚えのある声が聞こえた。


?「ただいま~、母さん、父さんいるか~?」


飾らない黒髪短髪の青年である。

その後ろには二人の美女もいる。



桃馬「あ、あれ?親父‥今兄さんの声聞こえなかったか?」

景勝「ん?気のせいだろ。蒼紫は今魔界支部日本大使館にいるから当分帰ってこれないぞ?」


桃馬「兄さんは今そんなところにいるんだ。」


景勝「あぁ、以前の帝都ノ変では魔界でえらく暴れたみたいだぞ?」


桃馬「さすが兄さん!かっこいい!」


景勝「それにほら、雪穂も玄関に向かわないし桃馬の空耳だろ?」


確かに、お客さんでも直ぐに対応する母さんがでないと言うことは気のせいの可能性が高い。

でも‥。


桃馬「桜華に夢中になりすぎて聞こえないとか?」


景勝「あぁ~、かもな。仕方ない俺が見てくるから二人を頼むよ。」


桃馬「お、おう任せてくれ‥って!何逃げようとしてるんだよ!?」


景勝「くそ、ばれたか!?」


桃馬は景勝の腹部をロックして部屋から出さないようにしている。


しかし、景勝も大人だ。

力の差でじりじりと襖に手を掛けると、襖がスッと開いた。


景勝「えっ?」


桃馬「っ!?」


襖の先には黒髪短髪の佐渡家長男、蒼紫が豆鉄砲を喰らったかのような顔で見ていた。


蒼紫「‥返事がないから心配して来てみれば、何してるんだ?」


景勝「あ、いやこれは‥ふれ合いだよ。」


蒼紫「‥まあ、見た感じそうだな。」


桃馬「に、兄さん!ちょうど良いところに、母さんを止めてくれ!?」


蒼紫「ん?うわっまた‥って、誰襲ってるんだ!?」


桃馬「お、俺の彼女だよ。は、話は後だから頼む!」


蒼紫「‥あれ、完全に下着の中に手を入れてるな。それに感度抜群‥良い彼女を持ったな桃馬?」


桃馬「そ、そうだろう♪って、なに呑気に観察してるんだよ!?」


蒼紫「まあまあそう焦るなよ?それより自分で助けないのは、彼女の恥ずかしい姿を拝むためか?」


桃馬「んなわけないだろ!?邪魔したら氷漬けにされるから‥助けられなくて。」


蒼紫「まあ、懸命な判断だな。下手したら飯抜きも付いてくる。よーし、助けてやろう。おーい、シノン出番だ。エルガも上がってくれ~?」


蒼紫は玄関で待たせている二人を呼び出した。

ちなみに、エルガの件はまだ誰も知らない。


桃馬「ん?兄さん誰か友達つれてきたの?」


蒼紫「ま、まあ‥二人目の嫁かな?」


桃馬「おぉ!今度は誰ですか!魔界だから魔族ですか!?」


蒼紫「名前でピンとこないか?じゃあ、ダークエルフと言えばわかるか?」


ダークエルフ、エルガのキーワードに桃馬は固まった。しかも、兄さんのあの言い方‥心当たりが一つしかなかった。えっ、うそ、まさかそんなことが‥今でも信じられないことに恐る恐る聞いてみた。


桃馬「まさか‥元生徒会長のエルガ先輩ですか?」


蒼紫「正解だ。」


桃馬「ま、まじで‥。」


エルガ「マジとはなんだ桃馬よ?」

シノン「わふう~♪お義父さん、桃馬くん久しぶり♪」


桃馬「え、エルガ先輩にシノン姉さん、お、お久しぶりです。」

景勝「おぉ、シノンちゃん久しぶり。それとあなた様がエルガ皇女殿下ですね。」


桃馬「お、皇女!?」


驚くことも無理もない。

学園にいた頃のエルガは皇女としての位を隠していたため、桃馬らは知らなかったのだ。

そのため、エルガの正体を知る者は数少なく、知っていても口外しない約束で伏せられていたのだ。


エルガ「初めましてお義父様、(わたくし)ガールンド国皇女エルガ・ガールンドと申します。この度は蒼紫との婚約の件でご挨拶に上がりました。」


景勝「いえこちらこそ、エルガ皇女殿下にはご足労頂きありがとうございます。お話は蒼紫から聞いております。」


どうやら親父は前から知っていたようだ。

おそらく、何も言わなかったのは下手な漏洩(ろうえい)を防ぐためだろうか。


雪穂「あらお帰り蒼紫~♪シノンちゃんと‥えっ?あ、貴方はエルガ皇女!?」


ようやく息子の帰宅に気づくも、エルガの姿を見るや雪穂は驚いていた。


元異世界出身である雪穂は、エルガ・ガールンド皇女の存在はよく知っていたのだ。


エルガ「お義母様突然の訪問お許しください。この度は不躾ながら蒼紫との婚約の件でご挨拶に参りました。」


雪穂「こ、婚約!?」


雪穂は桜華から離れエルガ三人の元に駆け寄った。


解放された桜華は色っぽくその場に倒れ込んだ。その隙に桃馬は救出にかかった。


桃馬「お、桜華大丈夫か!?」

桜華「はぁはぁ‥と、桃馬~。」

桃馬「っ、ゴクリ‥で、出来上がってるな‥。」


雪穂に蹂躙された桜華は色っぽく蕩けきっていた。その姿に一瞬理性が切れそうになる桃馬であったが、なんとか不純な想いを圧し殺して介抱した。



雪穂「あ、蒼紫!いつの間にエルガ皇女と婚約関係になってたの!?お母さん何も聞いてないんだけど!」


蒼紫「えっ、えっと‥それは‥ほ、ほら皇女と婚約となると色々大変だろ?タイミングを見計らって報告しようと思ってたんだけど‥。」


雪穂「う、うーん、あ、あなたは知ってたの?」


景勝「すまん、帝都ノ変の直後もあって言えなかったんだ。それに残党がこの事を知れば二人の間を引き裂こうとする(やから)が出ると思ったから‥(おおやけ)には出来なかったんだよ。」


雪穂「むう、それでも私も知りたかったわ!もう‥こう言うサプライズは好きじゃないわ。」


蒼紫「ご、ごめん母さん‥。」

景勝「わるい雪穂。」


二人が謝ると雪穂はお気に入りのシノンをもふり始めた。


シノン「はぅん♪お義母しゃま~♪」


雪穂「全く‥シノンちゃんのもふもふに免じて許します!それとエルガ様?母親の私が言うのはあれですけど、蒼紫は王たる(うつわ)は乏しいですよ?」


エルガ「クスッ、大丈夫ですよ。蒼紫の器は立派です。足りないところは夫婦で切り抜ければ良いだけです。ねっ、先輩(あなた)?」


蒼紫「‥エルガ。あぁ、荷が重い事だけど、シノンもいるし三人で盛り上げよう。」


シノン「わふぅ~♪賛成です♪」


三人の円満な光景に、景勝と雪穂は微笑んだ。


景勝「なぁ雪穂?蒼紫の未来は明るいな。」

雪穂「えぇ、良い人に恵まれましたね。」


景勝「よーし蒼紫!今日泊まるだろ?」


蒼紫「あぁ、もちろんそのつもりだよ♪」


雪穂「クスッ、一家結集ね♪よーし!お母さん今日は腕を振るうわよ♪」


こうして佐渡家に偶然にも一家結集イベントが発生し、楽しい楽しい一夜を過ごすのだった。

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