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第百十六話 帝都ノ変(24) 光闇と反抗

亜種族軍中衛部隊の壊滅は電光石火のごとく、四星将グレード・マドリードの耳に届いた。


グレード「‥スカラがしくじったか。それにしてもスカラを破るとは、相手は何者なのだ‥。」


亜種族「それが‥スカラ様が敗れた報を詳しく知るものは全滅しまして‥ひっ!?」


報告している亜種族の目の前に雷が落ちた。


グレード「ほう、では貴様は‥おめおめとそんな情報を伝えに逃げてきたというのだな?」


亜種族「い、いえ!?わ、私はただ‥。」


グレード「消えよ。」


亜種族「お、お許しおぉがあぁぁっ!!?」


懇願する下っぱに容赦なく炎玉(えんぎょく)を放ち焼きつくした。


グレード「‥ふっ、面白い者もまだいるのだな。ならば我が向かうとするか‥。」



グレードは久しく滾るこの思いを胸に帝都から背を向けた。



その頃

帝都内では戦況が変わり始めていた。


本田忠成とゴリ・ゴリポンの一騎討ちでは、

帝都に残ったスカラ・ジャック配下の不意打ち合い、本田忠成は腹部を刺される中傷を負った。


これにキレたゴリは、スカラの配下を踏み潰し停戦を提案した。


ゴリ「‥すまぬウホっ、仲間の配下が卑劣な手を使った。俺は不意打ちで負傷した強者を倒す趣味はない。ここは‥再戦としよう‥ウホっ、。」


忠成「はぁはぁ‥ふっ、それがお主の情けか‥。残念だがその情けは受けんよ。‥あんな者に遅れを取ったのはこちらの油断した末路‥。俺はまだやれるぞ。」


明らかに無理をしているのは目に見えていた。

背中から流れる血は地面に血だまりを作っていた。まわりも制止するが聞く耳を持ってくれない。かなり深刻に見た時奈は声をあげた。


時奈「忠成そこまでよ!出血が多すぎる早く治療しないと死ぬわよ!」



ゴリ「その(めす)の言う通りウホっ、貴様のような強き者を呆気なく殺すのは忍びないウホ。明日‥また来る‥それまで死ぬな‥。我が部隊に告ぐ一旦退くぞ!」


ゴリ・ゴリポンの命令に配下たちは大人しく退いて行った。後方部隊が全滅していることも知らずに‥。


忠成「ぐっ!待たぬか‥!ぐっ、うぐぐ‥。」


遂には片膝をつき限界を迎えていた。

時奈はこの隙に今いる三年生で忠成を押さえ込み後方へ下げたのだった。



そしてもう一方‥。

シシキ・ジュークと対峙するスカルとハイドは大苦戦していた。

シシキ「二人がかりでこの程度か‥帝都の将も地に落ちたな?」

スカラ「はぁはぁ‥。隙が全くねぇ‥。」

ハイド「はぁはぁ‥、俺たちじゃ‥駄目なのか。やっぱり‥大将軍や五聖剣‥じゃないと‥。」


帝都大将軍と五聖剣は、帝都攻防戦前に北方の亜種族討伐のため遠征に出ていたのだ。


だが‥。


シシキ「大将軍?五聖剣??ククク、そう言えば数日前‥そう名乗る雑魚を皆殺しにしたっけな??弱すぎて名前も覚えてないが‥。」


スカラ「っ!貴様‥はったりを言うな!」

ハイド「帝国きっての騎士を雑魚呼ばわりとは‥。」


シシキ「ククク、雑魚は雑魚だ‥。あー、そうだ‥雑魚わりに似つかわしくない物を持ってたな。ほらよ。」


シシキは懐から大将軍に与えられる。

"エグリスガレン"の短剣を見せつけた。


他にも、五聖剣に与えられるバッチ五個を見せつけ、討ち取った証を高らかに証明した。


これにより帝国の最大戦力を投じた北方遠征軍は壊滅したことが明らかとなった。


スカラとハイドは、膝をつき絶望した。

帝国を支えた豪傑を、たった一人で壊滅させた相手にどうやって勝てようか。


二人は無謀を思い知らされた。


シシキ「ククク、いいね~その絶望に満ちた顔‥たまらないよ。もっと近くで見せてくれよ。」


シシキは挑発するかのように無防備で近寄り、二人の髪を掴み顔を上げさせる。


シシキ「はぁはぁ‥いいよ‥ざっ負け犬みたいで、さて‥どう殺してやろうかな?後ろの奴らが死ぬところを見せつけるか‥いっそのこと二人を殺して後ろの奴等に絶望を与えるか。ククク、ひひひ!」


絶望に酔いしれ狂喜に浸っている中、新たな参戦者が斬りかかる。


界人「笑ってるのも今のうちだ!」

景勝「その気色の悪い笑いを黙らしてやる!」


シシキ「ふひっ!小賢しいやぁぁ!」


刃渡り二メートル以上はある刀を軽々しく振るう。その姿はまさにセ○ィロスである。


界人「ちっ。」

景勝「うわっ、あぶな!?」


シシキ「ククク‥雑魚が増えたか。」


スカラ「‥か、界人‥。」


界人「‥刀から伝わる禍々しい殺気。普通の人斬りよりたちが悪い。」


景勝「太刀だけにね‥。」


不意に出てしまった要らぬ一言に、数秒間戸惑う界人であった。


界人「‥‥兄さんこのタイミングでそれを言うか?」


景勝「すまん‥言ってすぐ後悔したよ。でも相手はウケてるみたいだぞ?」


界人「まさか‥‥うわぁ。」


シシキ「ククク‥太刀だけに‥クククあはは!」


まさかの大ウケである。

逆に下らないネタに大笑いしているシシキに、界人はドン引くがこの化け物を倒す一つの突破口が見えた。


こいつ‥笑いのツボ浅いのでは。

もし笑いに餓えてるのなら、下らないネタでも笑うはず‥。その隙に倒す‥。


界人「兄さんちょっと‥。」

景勝「ん?どうした。」


相手が笑ってる隙にちょっとした打ち合わせをする。


景勝「なっ‥もし失敗したらただの笑い者だぞ。」

界人「今はこれしかない‥さしでだめなら、ひと工夫だよ。俺がボケるから、兄さんはさっきみたいにツッコんでくれ。」

景勝「わ、わかった‥。」


まさかこれが帝都の未来を繋げる物になるとは、夢にも思わないことであった。

二人は武器をしまいシシキが笑い終わるのを待った。


シシキ「ククク‥ん?どうした武器なんかしまって‥もしかして諦めたか?」


界人「諦めた?まさか‥これから貴様を倒すんだよ。」


景勝「降伏の打ち合わせどこ行ったんだよ!」


急にボケなのかツッコミなのかわからない芸に走る景勝に、ボケ側の界人がツッコんだ。


界人「降伏の話してないだろ。何ツッコミ役のお前がボケにまわってるんだよ。」


景勝「しっかりツッコんでるだろ。」


界人「中身がボケてどうするんだよ。形だけツッコんでも中身がボケたらただボケだろ。」


景勝「ふぅーん。」


界人「なにドヤってるんだよ。まあいい、俺がツッコミやるから、お前はボケやれ。」


景勝「兄に向かってボケはないだろ!」


界人「そういう意味のボケじゃなねぇよ!まあ、そんな感じでやろう。」


景勝「ふーん。」


スタンスが完全に、

○ー○リーだ。


現実世界を知るものは、

みんなパクりだと思った。


最初のシシキはポカンとしていたが、徐々に笑い始める。界人と景勝は更に攻め立てる。



界人「今回帝都がピンチというわけで我々が義勇軍として参加したわけですけど、まあ現場は悲惨なものですね。人は傷つき、建物は壊れて。」


景勝「俺は神輿(みこし)突撃祭りかと思ったぞ!」


界人「そんなわけないだろ!確かに神輿突撃祭りも怪我人と建物は壊れるけど、ここまでひどくはないだろ。」


景勝「俺んちは毎年壊されてるぞ!」


界人「規制線でも張っとけよ!今ここでまじの悩みをぶっ混むんじゃないよ。」


景勝「誘導したのはお前だろ!」


界人「なら誘導されんなよ!」


景勝「ふーん。」


界人「ふーんやめろ。まあ話を戻しますけど、さすが異世界の戦争ですね。次から次へと強い方々が現れます。私たちもちょうどヤバい相手と戦ってますけど、勝てるかわかりません。」


景勝「そろそろ好機だろ!」


界人「まだ早いよ!さっき戦って何も学んでないな。」


景勝「早く終わらせてアニメみたいんだよ!」


界人「ここで私情を持ち込むな!どうせ見るアニメは異世界系だろ。」


景勝「アン○○マンだよ!」


界人「なに張り合ってんだよ!向こうに伝わるようなボケで頼むよ。」


景勝「‥‥人面パン。」


界人「言い方を変えろって意味じゃないよ。ほら、現実世界で伝わるのじゃなくて異世界で伝わるのだよ。」


景勝「あぁ~なるほど。」


界人「わかったか?じゃあ、次に入る前にもう一度言ってみようか。」


景勝「人面パンマン。」


界人「わかってないじゃないかよ!結局語尾にマンってつけただけだろうが!まあ、話をまた戻して、とまあ、えぇ‥。」


景勝「会話が飛んでるぞ!」


界人「お前のせいだよ!えぇっと‥あっ思い出した。取りあえずですね。難敵を倒してハッピーエンドで終わりたいわけですけども、この先は神のみぞ知る次元ですので一層奮起したいですね。」


景勝「おい、肝心なときに蟹の味噌汁って何噛んでるんだよ!」


界人「何勝手に脳内変換かけてるんだよ!」


景勝「お前のせいで蟹が食いたい!」


界人「今言うことじゃないだろ!生きて帰ったら食わしてやるよ。」


景勝「おいおい、その発言‥武士に‥。」


界人「二言なし‥。」


アドリブ漫才に終止符が打たれると。


シシキはいまだに大爆笑をしている。


その隙に二人は刀に手をかけ斬りかかる。


シシキ「あははっ!?あま‥がはっ!?」


スカル「隙を見せたな‥。」


ハイド「入ったぜ‥懐に!」


小さな油断が導いた勝機。

背中を突かれ両腕をロックされた身動きがとれないシシキに正義の刃が迫った。



シシキ「ぐっ!ちくしょぉぉがぁぁ!!」


景勝&界人「はあぁぁ!」



二人が振るった刃はシシキの首を見事跳ね飛ばした。


首は地面に転がり、胴体は力が抜け倒れ込んだ。


その光景を目にした連合軍は大歓喜した。


これにより前線の戦力は大幅に削がれた。


大反抗の開幕である。





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