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第百十五話 帝都ノ変(23) 運命と光闇

リブル公国連合軍とスカラ率いる部隊が交戦していた頃。


帝都より離脱した亜種族の一隊は、亜種族軍中衛部隊の奇襲を考えていた。


リヴァル「戦力が前線に集中しているなら‥中衛を抑えて挟み撃ちにするしかないな。」

アイシュ「えぇ、私も賛成だ。後方だと分散できても父上と合流できないからね‥。」

リヴァル「ふっ、父上って、ここでも界人をそう呼ぶのか?」

アイシュ「なっ//‥こほん、つ、ついだ。」

リヴァル「まあ、年下の男に父上など‥変なものだが‥界人なら言えるのが不思議だ。」

アイシュ「‥リヴァルも言うじゃない。」

リヴァル「う、うるせぇ‥早くいくぞ!」



こうしてアイシュ、リヴァルの亜種族の一隊は、亜種族軍中衛に向け進軍する。


しかし、戦地についたときには各地で黒煙が立ち上ぼり戦後の様にも見えた。


様子を伺うため、斥候(せっこう)を先行させ目視による(さぐ)りを入れた。


アイシュ「‥どうだ?敵陣の様子は?」


ドラゴニア「そうですね‥見たところ帝都の増援でしょうか。中衛部隊を壊滅させて休息してるみたいです。」


アイシュ「なに!?まさか、あれほどの奇襲部隊を各地に向かわせてもなお、怯まず来たというのか。」

リヴァル「‥そうか。やはり亜種族の質はかなり弱まっているようだな。これでは魔界に向かった奴らも今頃は‥。」

アイシュ「壊滅‥だな。」


ドラゴニア「どうしますか?このまま‥ぐはっ!?」


アイシュ「っ!どうした何があった!?」

リヴァル「‥まさか、敵と思われて撃ち落とされたか。」

アイシュ「くっ、私が向かおう。リヴァルは少しずつ部隊を行軍させてくれ。もし、私に何かあれば攻撃しても構わない。」

リヴァル「っ、一人で大丈夫か?」

アイシュ「ふっ、私を見くびるな。」


アイシュは急いで謎の軍に向け騎馬を駆けた。


まさか謎の軍にシャルと義弟がいるとは夢にも思わないだろう。



その頃リブル公国連合軍では、


大西「よし‥撃ち落とした。」

星野「魔法で痺れ弾にしてると思うけど‥久々だから不安だな。」

渡邉「‥まあ、失敗したなら丁重に手当てして尋問にかければいい。尚弥ー!本間ー!念のため急いでくれー!」


じゃんけんで負けた近藤と本間は、撃ち落とされた怪しい者を確保しに行っていた。


近藤「急いでって‥まさか、変なところに当てたんじゃないだろうな‥。」

本間「変なところって‥ち○○とか?」

近藤「あるいは‥心臓か‥金○‥。」

本間「うんうん‥って、近藤もボケたら収集つかんだろ!」

近藤「おまっ!?どはぁぁ!?」


本間が"ペシン"と肩を叩くと、近藤は落下地点まで吹っ飛ばされた。


近藤「いってて、うまく力を使いやがって‥ん?お、おい、生きてるか?」


横を見るとちょうど、撃ち落とされたと思われる不審者を見つけた。


ドラゴニア「はぁはぁ‥。」


どうやら痺れてるようで声が出せないようだ。

近藤は急いで銃痕を探すと翼辺りを貫いた痕を発見した。


近藤「本間~!急いで仁くんに回復魔法の準備を頼んでくれ!」

本間「あいよ~!わかった!」


負傷したドラゴニアをおぶさり連合軍の陣へ向かう。


するとその道中、女性の声が聞こえたが、近藤はまたエニカが騒いでるのだろうと思い受け流した。


しかし、女性の声は徐々に鮮明に聞こえるようになり、声をかけられてるように聞こえた。

近藤はもしやと思い振り向くと、騎馬に乗った褐色美女がこちらに向けて駆けてくる。


アイシュ「そこの者待ってくれ!」


一応人違いだと怖いので辺りを見渡す。


うん、誰もいない。

間違いなく俺だ。

亜種族軍の新手ではないことを祈るか。



近藤は立ち止まり、褐色美女を待ち受けた。

騎馬は手前で止まり、褐色美女は騎馬から降りた。


近藤は刀に手を触れるも、

褐色巨乳で銀髪高身長、露出度高めの美女につい見とれてしまった。


近藤「な、ななにか、ご、ご用ですか?」


かなり動揺していた。

目の前の美女が眩しすぎて直視できない。


アイシュ「そなたはあちらの軍の者か?」


近藤「は、はい、そ、そうですが?」


アイシュ「そうか‥すまない。亜種族中衛部隊に奇襲をかけようとしたのだが、様子がおかしかったもので斥候を放っていたんだ。」


近藤「っ、それではこの亜人はあなたの‥こちらこそ申し訳ない。てっきり亜種族軍の斥候と思い撃ち落としてしまいました。」


間違いではない近藤の思い込みに、アイシュは苦笑いをする。


アイシュ「いや‥無礼を働いたのは私の方だ。この者にもすまないことをした。」


近藤「せめてものの償いです。手当てはこちらでさせてください。」


アイシュ「‥よろしいのですか?」


近藤「えぇ、あなたもこちらと同じ目的みたいですし、よかったら陣に来てみませんか?」


アイシュ「願ってもない話です。」


近藤「近藤尚弥です。よろしく。」

アイシュ「アイシュだ。こちらこそよろしく。」


その後、褐色美女アイシュと共に帰陣したのは良いが、エニカと微食会八人に誤解された近藤が無様に吊るされた事は言うまでもなかった。


それに対してアイシュは手厚くもてなされ、リグリードに引けを取らない褐色美女が現れたと広まり注目を浴びた。


男子「す、すげぇ‥エロかっこいい。」

男子「うんうん!モデル雑誌に出てたら俺‥間違いなくファンになる!」

女子「こら男子!エロい目で見るな!」

女子「はぁはぁ、タキシードとか似合いそう!」

女子「執事コス‥はぁはぁ、触りたい。」

男子「おい!女子の中にも変態がいるぞ!」


一部熱が暴発して言い合いになるなか、

外で待たされているアイシュは苦笑いで手を振った。


すると、人混みが気になり強引に入って来た一人の元魔王が出てきた。


シャル「ぬわっ!やっと出れたのだ。」


アイシュ「えっ?」


シャル「ん?お主‥アイシュか?」


アイシュ「‥あっ‥ぁぁ。」


シャルとアイシュの目が合うと、アイシュは大粒の涙を流しその場に崩れ落ちた。

まわりの男女たちはどよめきどうしたらよいかわからないなか、シャルは慌てて謝罪する。


シャル「あ、すまぬのだ。人違いだったのだ!?」


アイシュ「い、いへ‥ちがいまひゅ‥。わ、わらひは‥アイシュ‥です。ひっく、シャルひゃま!ふへぇーん!」


どうやらアイシュはシャルの知り合いのようだ。と言うことは‥アイシュも亜種族の可能性があると察した。

しかし、まわりは警戒するどころか。

かっこよくもエロ可愛い彼女により親近感を持つのだった。


男子「か、可愛い!」

女子「はぁはぁ‥襲いたいわ!」


学生たちは単に飢えていた。

ここまで完璧な美女はいない。


取りあえず、嫁多くて褐色美女好きの両津直人には絶対に会わせないとまわりは決めた。リグリードに続いてアイシュもなんて‥もはや死刑だ。しかし、みんなは知らない。アイシュが直人の義姉になったことを‥。


泣きじゃくるアイシュにシャルは駆け寄って抱き締めた。


シャル「‥すまぬアイシュよ。長い間‥苦労を掛けたな。」

アイシュ「ひっく、ひっく‥シャルさま‥‥生きててよかったです‥。ゲドゥルムも‥報われます。」


シャル「っ、報われる?ゲドゥルムがどうしたのだ!?」


アイシュ「‥昨夜‥親王派に嵌められ‥ぅぅ。」

シャル「‥‥そうか‥。すまぬ‥余のせいだ‥。」

アイシュ「そうではありません‥親王派に隙を見せた私たちが悪いのです。」

シャル「‥アイシュ‥‥生きててくれてありがとうなのだ。」


震えるアイシュの肩に手を置き優しく介抱した。魔王時代では滅多に見せなかった行為に、アイシュの冷えきった奥底の心を刺激させた。


アイシュ「‥っ、うぅ‥。」


ギール「シャル‥。」

ディノ「‥シャルさま。」


ようやく抜け出せた二人もシャルの行為に心を打たれた。


シャルは目を閉じ気を探った。


シャル「‥なるほど‥リヴァルと多少の仲間はいるようだな。」


アイシュ「はい‥ですが‥大半はこの戦で‥やられました。」


シャル「アイシュ‥‥。」


この問いには流石に困った。

今のシャルには魔王の頃の傲慢(ごうまん)な考えはとうに無くなっていたのだ。世界を知り武力の支配が如何に愚かなものなのかを知ったシャルに、魔王の掲げた思想を忘れずに行動に出たアイシュを(なぐさ)めたり、叱る資格などなかったのだ。


ここで散った配下の責務は、やはり自分にあるとシャルは感じた。


シャル「アイシュよ。この戦が終わったら、みなに全てを話そう。」


アイシュ「‥シャルさま‥。はい‥。」


シャル「ギール‥エニカに伝えてくれ。アイシュは余の古き友だ。連合軍に丁重に迎え入れてくれと。」


ギール「ふっ、わかったよ。後シャル‥お前のせいじゃないからな?気持ちはわかるが‥自棄(やけ)を起こすなよ?」


シャル「っ‥生意気なお兄ちゃんなのだ。」



こうしてアイシュが亜種族であることは一部だけの秘密となった。当然リブル公国軍の兵士には厳禁である。


シャルの体は、いつぞやのセクシーなお姉さん体型になり、親王派の亜種族に怒りを表すのだった。



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