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第百十話 帝都ノ変(18) 希望と戦狂

再び帝都では戦華の炎で燃え上がった。


連合軍は大攻勢を仕掛けてきた亜種族軍を陣形を駆使して迎撃した。


更に、本田忠成と四星将ゴリ・ゴリポンの一騎討ちは激しさを増し、建物を破壊し次第に広範囲でぶつかるようになった。



だが、この戦況はまだ序の口であった。


連合軍前衛では四星将シシキ・ジュークが食い破っていた。


シシキ「‥弱い‥弱すぎる。」


二メートルをも越える太刀には血が滴り落ち、

後方には多くの同士が倒れていた。


衛兵「くっ、義勇軍を前に出すな!帝都の意地を見せろ!」

衛兵「おぉぉ!」


男「ま、待て!?無駄死にする気か!」


帝都の兵たちは義勇軍の制止を聞き入れずシシキに突撃する。

だが、その先に待つのは予想通り。

たった一薙(ひとなぎ)で十人近く斬り落とされた。


男「‥くそぉ‥セフィ○ス見たいな刀持ちやがって‥。」


男「冗談抜きであれはまずいぞ‥。上半身と下半身が分断されてしまったら‥間違いなく即死だぞ。」


シシキ「‥早いところ終わらせ‥。」


スカル「っ!」

ハイド「終わるのは貴様だ!」


ほんの一瞬の隙をつき、スカルとハイドが両サイドから攻めかかる。


シシキ「‥ふっ、そんな攻撃見えている!」


太刀の技で一番危険な回転斬りを見舞う。


スカル「ぐっ!」

ハイド「あぶねぇ‥。」


シシキ「避けたか‥。やるではないか?」


スカル「ちっ、あの刀邪魔すぎる‥。」

ハイド「(ふところ)に入れたらこっちの物なのにな‥。」

シシキ「俺の懐に入るだと?面白いことを言うな?」


ハイド「ふっ、そうだろ?だがな‥今から貴様に現実を見せてやるよ。」


シシキ「それはこちらの台詞だ‥。返り討ちにしてその首晒してやるよ。」


スカル「‥その余裕もこれまでだ!」

ハイド「首を晒されるのは貴様の方だ!」



戦場には早くも四星将の二人が現れた。


予想を越える戦況に連合軍の抵抗も増し

双方の犠牲者は激しく出始めている。

帝都終末の歯車は未だ止まらない。




その頃桃馬たち義勇軍は、微食会、リブル公国の連合軍と合流し帝都に向かっていた。



桃馬「す、すげぇ!ドラゴンはえぇ!」


桜華「風が直接肌に感じて気持ちいいですね!」


小頼「す、すごい!飛行機より見晴らしが良いわ!記念に一枚‥。」


ジェルド「わふぅ!あの自尊心が強いドラゴンをこんなに従えるなんて‥リブル公国凄すぎるぞ!」



注意、ドラゴンは坪谷勇二郎が手掛けた絵です。



シャル「ぬはは!ドラゴンに乗るのは久々なのだ!」


ディノ「シャル様立っては危ないですよ!?」


豆太「うぅ、た、高い‥。」


ギール「‥ドラゴンに乗れる日が来るなんて、俺‥感動だ。」


シャル「なんだギール?ドラゴンに乗ってみたかったのか?」


ギール「そりゃあ憧れるだろ‥獰猛(どうもう)で危険だけど。」


シャル「ぬはは!憧れが叶ってよかったのだ♪」


一体のドラゴンに約三十人乗り込みが可能で、

その数は三十体を越え、約千人の連合軍が先行して帝都へ向かっていた。


ちなみに夜通し龍を描いてた坪谷勇二郎は、寝不足、腱鞘炎(けんしょうえん)、体力の消耗によりリブル公国に残り寝込んでいた。


更に、序盤まで微食会と同行していた二年六組は、ゲートを抜け早々にジャンヌの故郷へと急いだ。案の定、ジャンヌの故郷は亜種族に囲まれ大苦戦。これに志道らは、がら空きの後方を攻め亜種族包囲網を崩壊させ救出。

それから、転々と亜種族と交戦したいた。



壮大な風景に一際(ひときわ)目立つ黒煙が見えた。


桃馬「ん?あの煙‥。」

桜華「っ!ま、まさかもう攻め落とされてるのでしょうか!?」

桃馬「‥可能性はあるな。‥親父と叔父さんたちが無事なら良いが。」


ジェルド「だけど、どうやって降りる?これだと下手に目立つし味方や敵からも攻撃されてしまうぞ。」


桃馬「まあ蒼喜からは、"龍に任せろ"って言ってたし‥。」


ジェルド「大丈夫だよな?」

桃馬「‥ま、まあ神風みたいな事はしないと思うけど。変なところに降りないことを祈るしかないね。」

桜華「えっと、それはつまり‥緊急脱出もあり得ると?」


桃馬「‥そうだな。」


小頼「いや~、いきなり飛び降りろって言われても無理があるよね。うん、普通に死んじゃう。」


桃馬「取りあえず、そうならないのとを祈ろう‥‥まあ、空の事故は九割型助からないが‥。」


ぼそっと、危険なことを口走る。


ドラゴンはそのまま降りる傾向を見せずに戦場へと向かう。


そして先頭にいる微食会たちは‥。


渡邉「さて‥帝都が見えてきたが、どこで降りる?」


近藤「そのまま敵陣に向け神風の如く風穴を開ける!」


番場「賛成だね。相手に動揺を誘い込むにはあり得ないところからの奇襲だ。」


星野「いや、ここは対空攻撃を避け、後方に回り込んだ方がいい。」


藤井「それがいいな。リスクを犯すよりはその方が安定だ。」


近藤「うーん、確かに‥こちらは大群ではないからな。一体でも撃ち落とされるだけでも‥大打撃だ。」


渡邉「‥それなら、俺たちだけで敵陣に風穴開けて他は後方から攻めてもらうのはどうだ?」


藤井「おぉ、それならいいな!」


茂野「いいのかよ。まあ、逆に俺たちが(おとり)になれば、別動隊が後方にまわりやすくなるか。」


本間「ちょうど、ここにいるのは"もしも"の時のために編成した部隊だけど‥早くも"もしも"が来たようだな。」


渡邉「よーし、そうと決まればエニカたちに知らせるぞ。」


作戦は決まった。


渡邉は龍の手綱を取り、エニカが乗っている龍に寄せた。


高野「ん?おや?蒼喜たちだ。」

大西「笑いにでも来たか‥それとも、何かあったか。」


エニカ「なにかしら?敵襲には見えないけど‥。」


要件が見えない三人が不思議そうに見ていると、渡邉は手綱を近藤に託し飛び乗ってきた。


渡邉「よっと、三人とも悪いな。少し作戦を考えたんだ聞いてくれ。」


作戦の話は手短に済ませたが、

予想通りエニカも囮側に加わろうとした。


当然、受け入れられる訳もなく、

近藤を除く八人はエニカの説得に当たった。


近藤「おーい!早く戻ってこい!そろそろ帝都だぞ!」


渡邉「わかってる!エニカ、頼むからわかってくれ。」

エニカ「むう‥昨日仲間だって言ったのに。」


茂野「確かに言ったけど、別に省いてる訳じゃない。」


星野「そ、そうそう、ほら、地上に降りたら指揮する人がいないだろ?」


エニカ「そ、それも‥そうね。わかったわ‥。」


渡邉「ふぅ、よし戻るぞ!」


大西&高野「よーし、俺も!」


本間「二人は引き続きここだよ?」


藤井「どさくさに紛れて逃げようとしたな。」


大西&高野「ぶーぶー!」


息の合ったブーイングを無視して龍に戻ると、一気に先行し敵の注目を集めた。

エニカは、作戦通り目立たないように後方に回り込むと他のドラゴンも後に続く。



直人「‥‥いよいよ始まるか。」

リール「どうしたかな直人~♪もしかして、土壇場で怖くなった?」

エルン「お、おいリール!」

直人「怖くないと言えば嘘になるな。」

リール「ふっふっ、それなら私が守って上げようか?」

直人「ふっ、そうじゃない。俺が一番怖いのは愛する三人が負傷したり‥失うことだ。」

リール「はぅっ///」

エルン「あ、愛する‥か。ふっ‥よくそんな恥ずかしいことが言えるな?」

直人「‥あー、俺も驚いている。無意識とは言え‥こそばゆいな。」


リグリード「ふっ安心しろ。直人に心配されるほど私たちは弱くはないぞ?むしろ、直人が死ぬことが私たちにとって最悪だ。」


リール「そうそう!私たちを気にしすぎてへましちゃだめだよ?」


エルン「そうです。過保護は時として身を滅ぼしますからね。」


直人「‥それもそうだな。じゃあ頑張って生きようか。」


戦地に近づくほど、

連合軍は己の意思を心に刻んだ。


最高潮に達したこの戦に

新たな歯車が動き出す。





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